この記事にはPR広告が含まれています。

小規模個人再生にはどのような要件が必要か?(まとめ)

個人再生の画像
answer

小規模個人再生の再生計画が認可されるためには、まず、再生手続を開始してもらう必要があります。再生手続を開始してもらうためには、再生手続開始の要件を充たしていなければなりません

再生手続が開始されたとしても、再生計画が当然に認可されるわけではありません。再生計画を認可してもらうためには、再生債権者による決議において再生計画案が可決されなければならず、さらにその上で、再生計画の不認可事由がないことが必要となります。

小規模個人再生を利用するための要件

個人再生には、小規模個人再生給与所得者等再生の2種類の手続があります。小規模個人再生が個人再生の基本類型であり、給与所得者等再生はその特則という位置づけとなります。

個人再生は裁判手続です。したがって、これを利用するためには、民事再生法で定める利用条件(法律要件)を充たしている必要があります。

ただし、小規模個人再生において裁判所によって再生計画を認可してもらうためには、再生手続を開始してもらうための要件だけでなく、再生計画を認可してもらうための要件も満たしている必要があります。

まず、再生手続を開始するかどうかを判断する段階において、再生手続開始の要件を充たしている必要があります。再生手続開始の要件を充たしていれば、小規模個人再生の手続が開始されることになります。

小規模個人再生の手続が開始された後、再生計画を認可するかどうかを判断する前に、再生債権者により再生計画案の決議が行われます。この決議で可決されなければ、再生手続は廃止され、打ち切られてしまいます。

そして、再生計画を認可するかどうかを判断する段階で、今度は再生計画認可の要件を充たしていなければ、再生計画は認可されるに至りません。

再生手続を開始してもらわなければ何も始まりませんが、再生手続が開始されたからといって、再生計画が認可されなければ意味がありません。

結局、小規模個人再生の再生計画を認可してもらうためには、再生手続開始の要件、再生計画案の決議において可決されること、さらに、再生計画認可の要件を満たしていなければならないのです。

小規模個人再生の再生手続開始要件

小規模個人再生の再生計画を認可してもらうためには、そもそも再生手続を開始してもらわなければ話になりません。

小規模個人再生の再生手続開始の要件としては、以下のものがあります。

小規模個人再生における再生手続開始要件

この小規模個人再生の再生手続開始要件があるか否かは、再生手続を開始するかどうかを判断する際に審査されます。

再生手続開始の要件を充たしていない場合には、再生手続開始の申立ては棄却(申立てが不適法の場合には却下)されます。つまり、再生手続を開始してもらうことさえできないということです。

民事再生手続全般に共通する再生手続開始の要件

個人再生手続は、民事再生手続の特則です。そのため、民事再生手続全般に共通して必要とされる再生手続開始の要件は、小規模個人再生でももちろん必要です。

具体的に言えば、前記の小規模個人再生における再生手続開始要件のうち、以下の要件は民事再生に共通する再生手続開始要件です。

民事再生全般に共通する再生手続開始要件
  • 再生手続開始原因があること(民事再生法21条1項)
  • 再生手続開始申立棄却事由がないこと(民事再生法25条)
  • 申立てが適法であること

小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する個人再生に固有の再生手続開始要件

前記の民事再生全般に共通する要件だけでなく、個人再生に固有の再生手続開始要件もあります。

個人再生に固有の再生手続開始要件には、小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する要件もあります。

具体的に言えば、前記の小規模個人再生における再生手続開始要件うち、以下の要件は小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する個人再生に固有の再生手続開始要件です(民事再生法221条1項、239条1項)。

小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する個人再生に固有の再生手続開始要件
  • 債務者が個人であること
  • 債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある者であること(利用適格要件)
  • 負債総額が5000万円を超えていないこと

小規模個人再生に固有の再生手続開始要件

民事再生共通・個人再生共通の再生手続開始要件のほか、小規模個人再生に固有の要件もあります。

小規模個人再生に固有の再生手続開始要件は、「再生手続開始の申立てにおいて、小規模個人再生を行うことを求める旨の申述をすること」です。

小規模個人再生手続を廃止されないための要件

小規模個人再生の手続を開始してもらえても、手続を途中で打ち切られてしまっては、再生計画を認可してもらうことができません。

小規模個人再生においては、裁判所による再生計画を認可するか否かの判断に先立って、再生債権者による決議が行われます。この再生計画案の決議が否決されると、小規模個人再生の手続は廃止となり、打ち切られてしまいます。

また、再生計画案の決議が否決された場合のほかにも、再生手続廃止事由がある場合には、やはり手続が打ち切られてしまいます。

したがって、小規模個人再生で再生計画認可を受けるためには、再生手続廃止事由のないことが要件として必要となるということです。

再生債権者による再生計画案の決議

小規模個人再生においては、裁判所による再生計画を認可するか否かの判断に先立って、再生債権者による決議が行われます。

この再生債権者の決議において、不同意回答をした再生債権者の頭数が再生債権者の頭数の総数の半数以上であるか、または再生債権総額の2分の1を超えていた場合、再生計画案は否決されたものとなり、小規模個人再生の再生手続は廃止されます。

廃止されるというのは、つまり、再生計画を認可するかどうかを判断するまでもなく、再生手続が打ち切られてしまうということです。

したがって、小規模個人再生において再生計画案が可決されるためには、「再生計画案の決議において不同意回答をしなかった(消極的に同意した)再生債権者の頭数が再生債権者の頭数の総数の半数未満であり、かつ、再生債権総額の2分の1を超えていないこと」が要件として必要となるということです。

その他の再生手続廃止事由

再生計画案の決議が否決された場合のほかにも、再生手続廃止事由としては以下のものがあります。これらに1つでも該当すると、手続は打ち切られてしまいます。

再生手続廃止事由
  • 決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがあること
  • 再生計画案提出期間またはその伸長期間内に、決議に付するに足りる再生計画案を提出したこと
  • 民事再生法41条1項各号及び同法42条1項各号に定める行為をする場合には、裁判所の許可を得ること
  • 財産目録に不正なく記載すべき財産を記載していること

小規模個人再生の再生計画認可の要件

小規模個人再生の再生手続が開始され、再生計画案の決議で可決されたからといって、当然に、再生計画が認可されるわけではありません。

再生計画案が可決された後、その次に、今度は、再生計画認可の要件を満たしているかどうかが審査されます。要件を満たしているかどうかというのは、再生計画の不認可事由がないのかどうかを審査するということです。

そこで再生計画不認可事由があることが判明した場合には、再生計画は不認可となってしまいます。

再生計画が認可されるためには、民事再生法で定める再生計画の不認可事由がないことが必要となるということです。

小規模個人再生の再生計画不認可事由には、以下のものがあります。

小規模個人再生における再生計画不認可事由
  • 再生手続に不備を補正できない重大な法律違反があること
  • 再生計画に不備を補正できない法律違反があること
  • 再生計画遂行の見込みがないこと
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したものであること
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反していること(清算価値保障原則を満たしていないこと
  • 再生債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがないこと
  • 再生債権総額が5000万円を超えていること
  • 計画弁済総額が最低弁済額を下回っていること

民事再生全般に共通する再生計画不認可事由

個人再生手続は、民事再生手続の特則ですから、民事再生手続全般に共通する再生計画不認可事由は、小規模個人再生においても不認可事由となります。

具体的に言えば、前記の小規模個人再生における再生計画不認可事由のうち、以下のものは民事再生全般に共通する再生計画不認可事由です。

これらが1つでもあると、小規模個人再生の再生計画は不認可とされます。

民事再生全般に共通する再生計画不認可事由
  • 再生手続に不備を補正できない重大な法律違反があること
  • 再生計画に不備を補正できない法律違反があること
  • 再生計画遂行の見込みがないこと
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したものであること
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反していること(清算価値保障原則を満たしていないこと)

小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する個人再生に固有の再生計画不認可事由

再生計画不認可事由には、民事再生全般に共通するものだけでなく、個人再生に固有の不認可事由もあります。

前記の小規模個人再生における再生計画不認可事由のうち、以下のものは、小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する再生計画の不認可事由です。

これらも、やはり1つでも該当すると、小規模個人再生の再生計画は不認可とされます。

小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する個人再生に固有の再生計画不認可事由
  • 再生債権総額が5000万円を超えていること
  • 計画弁済総額が最低弁済額を下回っていること

最低弁済額は、おおまかにいえば、以下のようになります。

最低弁済額の基準
  • 債権額が100万円未満の場合は「その債権額」
  • 債権額が100万円以上500万円未満の場合は「100万円」
  • 債権額が500万円以上1500万円未満の場合は「債権額の5分の1の金額」
  • 債権額が1500万円以上3000万円未満の場合は「300万円」
  • 債権額が3000万円以上5000万円以下の場合は「債権額の10分の1の金額」

また、最低弁済額を下回っていないとしても、清算価値保障原則を充たしていなければ再生計画は不認可となります。

したがって、仮に財産の清算価値が最低弁済基準額を上回っているのであれば、その清算価値に相当する金額を計画弁済額としなければなりません。

小規模個人再生に固有の再生計画不認可事由

事再生共通・個人再生共通の再生計画不認可事由のほか、小規模個人再生に固有の再生計画不認可事由もあります。

小規模個人再生に固有の再生計画不認可事由は、「再生債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがないこと」です。

この「再生債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込み」の有無は、再生手続開始の段階および再生手続を通じて審査される要件です。

小規模個人再生の要件(まとめ)

まとめると、小規模個人再生の手続が開始され、最終的に認可に至るまでには、以下の要件が必要となります。

小規模個人再生の要件(まとめ)
  • 再生手続開始原因があること
  • 再生手続開始申立棄却事由がないこと
  • 申立てが適法であること
  • 債務者が個人であること
  • 再生債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
  • 再生債権額が5000万円を超えていないこと
  • 小規模個人再生を行うことを求める旨の申述をしたこと
  • 民事再生法41条1項各号及び同法42条1項各号に定める行為をする場合には,裁判所の許可を得ること
  • 財産目録に不正なく記載すべき財産を記載していること
  • 再生計画案提出期間またはその伸長期間内に、決議に付するに足りる再生計画案を提出したこと
  • 再生計画案の決議において、不同意を述べた再生債権者が、議決権を有する再生債権者の総数の半数に満たず、かつ、その議決権を有する再生債権者の再生債権の額が総額の2分の1を超えないため、再生計画案が可決されたこと
  • 再生手続に不備を補正できない重大な法律違反があること
  • 再生計画に不備を補正できない法律違反がないこと
  • 再生計画遂行の見込みがあること
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立したものでないこと
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するものでないこと(清算価値保障原則を満たしていること)
  • 計画弁済総額が最低弁済額以上であること
タイトルとURLをコピーしました