貸金業者が、過払い金返還債務が発生しているはずの取引を別の業者に債権譲渡等によって移転させた場合に、過払金返還債務がその譲受業者に引き継がれるのかどうかという問題を、過払金返還債務の承継の問題と呼んでいます。
過払金返還債務の承継に関する記事一覧
過払金返還債務の承継に関する記事一覧は、以下のとおりです。
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過払金返還債務の承継の概要
前記のとおり、貸金業者が、過払い金返還債務が発生しているはずの取引を別の業者に債権譲渡等によって移転させた場合に、過払金返還債務がその譲受業者に引き継がれるのかどうかという問題を、過払金返還債務の承継の問題と呼んでいます。
譲渡等をする前の貸金業者が廃業しているなど過払金を返還する資力がない場合に、貸金債権を譲り受けた業者に対して過払い金返還請求できることになれば、過払い金回収の可能性が高まります。そのため、争点となっているのです。
この問題については、一律に過払い金返還債務は承継されるまたは承継されないと結論付けることができません。事案によって取引移転の契約内容などが異なるからです。そのため、事案ごとに検討するほかありません。
マルフクからCFJに対して資産譲渡契約が締結された事案では、最一小判平成23年7月7日と最二小判平成23年7月8日のいずれも、過払金返還債務の承継を認めませんでした。
クラヴィスからプロミス(現在のSMBCコンシューマーファイナンス)への移転は、契約切替と債権譲渡という2つの方式がとられています。
このうち契約の切替事案について最二小判平成23年9月30日は、過払金返還債務の承継を認めました。しかし、債権譲渡事案については、最二小判平成24年6月29日は、過払金返還債務の承継を否定しました。
弁護士の探し方
「過払金返還請求をしたいけれど、どの弁護士を選べばいいのか分からない」
という方は少なくないでしょう。
現在では、多くの法律事務所が債務整理・過払金返還請求を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、過払金返還請求を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理・過払金返還請求の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、過払金返還請求の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
参考書籍
本サイトでも過払金返還請求について解説していますが、より深く知りたい方のために、過払金返還請求の参考書籍を紹介します。
編集:名古屋消費者信用問題研究会 出版:民事法研究会
過払金返還請求の教科書のような本。やや古いので判例や論点のアップデートは必要ですが、過払金返還請求を知るためには、よい本です。
監修:名古屋消費者信用問題研究会 出版:民事法研究会
タイトルどおり、過払金返還請求に関するほとんどの論点を網羅している実務の解説書。ただし、最新の判例などのアップデートは必要です。
著者:輿石武裕 出版:日本加除出版
簡易裁判所裁判官による過払金返還請求の裁判例解説書。最高裁判例だけでなく下級審裁判例も多く掲載。ただし、こちらも古い本なのでアップデートが必要です。
編集:岡口基一 出版:ぎょうせい
岡口元裁判官による実務家に人気の要件事実の解説書。第4巻には、過払金返還請求の要件事実についても解説されています。