債務整理の記事一覧
個人の借金問題解決の法的手段のことをまとめて「債務整理(さいむせいり)」と呼んでいます。
債務整理の記事一覧は、以下のとおりです。
債務整理(共通)の記事一覧
- 債務整理共通の手続(記事一覧)
- 債務整理に共通する手続はどのような流れで進むのか?
- 債務整理に共通して行う債権調査とは?
- 受任通知(介入通知)(記事一覧)
- 取引履歴の開示(記事一覧)
- 引き直し計算(記事一覧)
- 引き直し計算(利息計算・元本充当計算)とは?
- 制限超過利息の元本充当を認めた最高裁判所大法廷昭和39年11月18日判決とは?
- 利息制限法違反の充当指定特約を無効とした最高裁判所第三小法廷昭和43年10月29日判決とは?
- 一連計算(記事一覧)
- 推定計算(記事一覧)
- みなし弁済(記事一覧)
- みなし弁済とは?
- みなし弁済がグレーゾーン金利に及ぼした影響とは?
- みなし弁済における支払いの任意性について判断した最二小判平成2年1月22日とは?
- 旧貸金業規制法における18条書面の交付がないとしてみなし弁済の成立を否定した最二小判平成16年2月20日(平成14年(受)第912号)とは?
- みなし弁済の成立を否定した最二小判平成16年2月20日(平成15年(オ)第386号)とは?
- リボルビング方式貸付におけるみなし弁済の成立を否定した最一小判平成17年12月15日とは?
- みなし弁済の成立を全面的に否定した最二小判平成18年1月13日とは?
- 日賦貸金業者にみなし弁済は適用されないとした最高裁判所第三小法廷平成18年1月24日(平成15年(受)第1653号)とは?
任意整理の記事一覧
自己破産の記事一覧
- 自己破産における財産の処分(記事一覧)
- 自己破産した場合に処分しなければならない財産とは?
- 破産財団(記事一覧)
- 自由財産(記事一覧)
- 自己破産すると手持ちの現金はどうなるのか?
- 自己破産すると預金・貯金はすべて没収されるのか?
- 自己破産すると生命保険などを解約されるのか?
- 自己破産すると自動車・バイクなども処分されるのか?
- 自己破産すると借りている家・部屋の敷金・保証金はどうなるのか?
- 自己破産すると電話加入権も処分されるのか?
- 自己破産すると退職金・退職手当も回収されてしまうのか?
- 自己破産すると家具・家電・家財道具も処分されてしまうのか?
- 自己破産すると給料・賞与・ボーナスも回収されるのか?
- 自己破産すると年金を受け取れなくなるのか?
- 自己破産すると所有不動産(土地・建物)を処分されるのか?
- 自己破産すると住宅ローンの残っている持ち家・住宅はどうなるのか?
- 自己破産における免責(記事一覧)
- 自己破産における免責とは?
- 自己破産で免責が許可された後の生活はどうなるのか?
- 免責不許可事由(記事一覧)
- 自己破産における免責不許可事由とは?
- 自己破産の免責不許可事由にはどのような種類があるのか?
- 不当な破産財団価値減少行為(記事一覧)
- 不当な債務負担等(記事一覧)
- 不当な偏頗行為(記事一覧)
- 浪費・賭博・射幸行為(記事一覧)
- 詐術による信用取引で財産を取得すると自己破産しても免責されないのか?
- 業務帳簿等の隠匿・偽造・変造(記事一覧)
- 虚偽債権者名簿等の提出(記事一覧)
- 裁判所から求められた説明を拒んだり虚偽説明をすると自己破産しても免責されないのか?
- 破産管財人等の業務を妨害すると自己破産しても免責されないのか?
- 7年以内の免責許可等(記事一覧)
- 破産法で定められた義務に違反すると自己破産しても免責されないのか?
- 裁量免責(記事一覧)
- 非免責債権(記事一覧)
- 自己破産における免責手続(記事一覧)
個人再生の記事一覧
過払い金の記事一覧
- 過払金の利息(記事一覧)
- 過払い金に利息を付けて返還請求できるか?
- 貸金業者を悪意の受益者と認めた最高裁判所第二小法廷平成19年7月13日判決(平成17年(受)第1970号)とは?
- 貸金業者を悪意の受益者と認めた最高裁判所第二小法廷平成19年7月13日判決(平成18年(受)第276号)とは?
- 期限の利益喪失特約下で制限超過利息を受領したしたことのみでは貸金業者を悪意の受益者であると推定することはできないとした最高裁判所第二小法廷平成21年7月10判決とは?
- CFJを悪意の受益者であると認定した最高裁判所第一小法廷平成23年12月1日判決(平成23年(受)第307号)とは?
- 旧プロミスを悪意の受益者であると認定した最高裁判所第一小法廷平成23年12月1日判決(平成23年(受)第407号)とは?
- アコムを悪意の受益者であると認定した最高裁判所第一小法廷平成23年12月15日判決とは?
- 過払金の利息の発生時期(記事一覧)
- 過払金の利息の利率(記事一覧)
消滅時効の援用の記事一覧
相続放棄の記事一覧
特定調停の記事一覧
債務整理の概要
前記のとおり、個人の借金問題解決の法的手段のことをまとめて「債務整理(さいむせいり)」と呼んでいます。
多重債務とは、複数の債権者から借入れをしている状態のことです。かつては、サラ金やクレジットカード会社からの借入れが多重債務を生み出し、クレサラ問題またはサラクレ問題と呼ばれて、社会問題にまでなっていることもありました。
現在でも、借金返済の問題は、非常に多くの人に関わっています。というのも、自己破産申立ての件数は年間で約7万件、任意整理に至っては推定年間100万件以上と言われているからです。この借金問題を解決するための法的手段が債務整理なのです。
債務整理には、主に、任意整理、自己破産、個人再生(個人民事再生)という3つの方法があります。また、払い過ぎた利息を取り戻す過払い金返還請求も、債務整理の一種と言えるでしょう。
また、事情によっては、消滅時効の援用、相続放棄、限定承認、特定調停などが債務整理の方法として用いられることもあります。
それぞれの手続によってメリットは異なりますが、共通するメリットとしては、借金の負担を軽減できることです。弁護士等が受任通知を送ることによって、貸金業者からの直接の取立てが停止されることもメリットと言えるでしょう。
ただし、債務整理をすると、信用情報機関にブラックリスト登録がされます。ブラックリストに登録されると、5年~7年(手続によっては10年ほど)は新たな借入れやローンを組むことなどが難しくなります。
債務整理をするにあたって、不動産の任意売却をすることもあります。任意売却は競売よりも高額で売却できる可能性が高いのでメリットがあります。ただし、安易に任意売却してしまうと、その後の債務整理に悪影響を及ぼすこともあるので、慎重に判断する必要があります。
この債務整理をするに際して、知っておかなければならない法律として、貸金三法と呼ばれる3つの法律があります。貸金三法とは、利息制限法、貸金業法、出資法のことです。また、債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)などもあります。
任意整理
任意整理は、弁護士等が債務者に代わって債権者と交渉し、生活を維持しながら可能な程度の返済条件に変更してもらう裁判外の手続です。
任意整理は、あくまで裁判外の交渉であるため、法的な制限が少なく、柔軟な対応が可能です。ただし、法的制限が少ない反面、法的な強制力も弱いため、強硬な債権者がいる場合などには、任意整理が難しいこともあります。
自己破産
自己破産は、裁判所によって免責を許可してもらうことによって、借金など債務の支払義務を免責してもらう裁判手続です。
自己破産は、裁判手続であるため、要件を満たせば、債務を免責してもらえる、つまり、借金を支払わなくてもよいことにしてもらえるという強力な効果があります。
しかし、その反面、生活に必要最低限度のものを除く財産を処分しなければならない、免責が許可されるまで公的資格の利用が制限される、手続が終了するまで居住の制限や郵便物の転送がされる、官報に氏名や住所が公告されるなどの制限もあります。
この自己破産手続には、破産管財人が選任されて財産の調査や換価処分などを行う管財手続と、破産管財人が選任されずに簡易迅速に手続が終結する同時廃止手続があります。管財手続には、引継予納金の額を抑えた少額管財という運用が行われている裁判所もあります。
個人再生
個人再生は、裁判所に再生計画を認可してもらうことによって、借金などの債務の減額や分割払いへの条件変更などをしてもらう裁判手続です。
個人再生も裁判手続であるため、要件を満たせば、借金の減額(最大で10分の1まで減額)や3年から5年の分割払いへの変更が可能です。また、財産の処分は必須ではなく、資格制限や居住制限などもありません。
この個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続があります。小規模個人再生が個人再生の基本類型であり、給与所得者等再生はその特則という位置づけです。
また、個人再生には、住宅資金特別条項という特殊な制度があり、この要件を満たしていれば、住宅ローンの残っている自宅を処分せずに、借金を整理することが可能です。
ただし、効果が大きい反面、利用のための要件は厳格です。また、手続が複雑な上、再生債務者自身が手続を進めていかなければならないというデメリットもあります。
過払金(過払い金)
過払金とは、利息制限法所定の制限利率を超える利率の利息を支払い続け、その制限超過利息を借入金元本に充当した結果、計算上、借入金元本が完済となった後に、さらに支払った金銭のことをいいます。
この過払い金が発生している場合、債務者は、貸金業者等の債権者に対して、過払い金の返還を請求することができます。
消滅時効の援用
借金などの貸金債権も、債権である以上、時効によって消滅することがあります。債務者は、この消滅時効を援用することによって、借金を免れることができる場合があります。
貸金業者からの借金の場合、消滅時効期間は、取引の終了時から5年間です。その期間内に時効更新の手続がとられていなければ、5年の経過後に消滅時効を援用することができます。
相続放棄
相続は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続人に引き継がれます。そのため、被相続人に借金があった場合、相続によって、その借金も相続人に引き継がれてしまいます。
もっとも、相続人は、相続放棄をすることができます。相続放棄をすれば、プラスの財産も引き継がれませんが、マイナスの財産を引き継ぐこともありません。この相続放棄を利用することによって、相続債務を免れることができます。
特定調停
特定調停とは、支払不能に陥るおそれのある金銭債務者の経済的再生のために,債務者と債権者その他の利害関係人の間における金銭債務の内容の変更,担保関係の変更その他の金銭債務に関する利害関係の調整をする民事調停のことです。
特定調停は、債務整理に特化した民事調停と言えます。調停が開始されると、取立てが停止し、また、強制執行を停止させることも可能です。
ただし、債務者本人が裁判所に出頭する必要があること、取立ての停止までに時間がかかること、過払金返還請求は調停内では行えないことなど、任意整理とは異なる点もあります。