自己破産の手続において同時廃止となるのは,破産手続開始の時点において「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」です。
同時廃止の要件に関する記事一覧
同時廃止の要件に関する記事一覧は、以下のとおりです。
なお、その他債務整理に関する記事は、以下のページをご覧ください。
同時廃止の要件の概要
前記のとおり、自己破産の手続において同時廃止となるのは、破産手続開始の時点において「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」です。
ただし、破産手続費用を支弁(支払い)できない場合には必ず同時廃止になるわけではありません。免責不許可事由がある場合(またはその疑いがある場合)や否認権行使の必要性がある場合(またはその疑いがある場合)には、管財手続になることもあります。
したがって、同時廃止になるのは、以下のすべてを満たしている場合です。
- 引継予納金を支払えるだけの財産(自由財産を除く)が無いことが明らかなこと
- 東京地裁の場合は、現金が33万円未満であること
- 大阪地裁の場合は、現金・預貯金合計額が50万円未満であること
- 否認権の対象となる行為が無いことが明らかなこと
- 免責不許可事由が無いことが明らかなこと
弁護士への依頼の要否
「同時廃止になるのなら、弁護士に依頼する必要はないのでは?」と思われる人もいるかもしれません。もっとも、それは正しくありません。
弁護士に依頼したことにより、その弁護士が事前にある程度の調査を済ませているからこそ、裁判所も、破産管財人を選任しない同時廃止にできるのです。
そのため、弁護士による調査を経ていない債務者本人による申立ての場合には、原則として管財事件扱いになるというのが、現在の裁判所の運用です(もちろん、本人申立てでも同時廃止になることはありますが、生活保護受給中であるなど明らかに財産がない場合に限られます。)。
しかも、弁護士に依頼していないので、少額管財は適用されません。そのため、特定管財事件となり、予納金も高額となります。
したがって、同時廃止になるような状況であったとしても、弁護士に依頼した方がよいでしょう。
参考書籍
本サイトでも個人の自己破産について解説していますが、より深く知りたい方のために、債務整理・自己破産の参考書籍を紹介します。
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
破産実務を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、破産実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、破産事件の実務全般について解説されています。
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。
編集:東京弁護士会法友全期会破産実務研究会 出版:ぎょうせい
東京弁護士会による破産実務書。基本的には、東京地裁の破産事件の運用について解説されています。代理人・管財人の両視点から書かれています。
編集:東京弁護士会倒産法部 出版:商事法務
東京弁護士会による破産実務書。申立てをする側からの解説がされています。代理人弁護士向けの本ですが、自己破産申立てをする人の参考にもなります。