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個人事業者・自営業者の個人再生でも継続的・反復した収入見込みは認められるか?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

個人再生の画像
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個人再生を利用するためには、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があることが必要です(利用適格要件。民事再生法221条1項、239条1項)。

個人事業主・自営業者の場合、収入が不定期であったり、金額に変動があったりすることがあるため、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があるかどうかが問題となることが少なくありません。

3か月に1回以内のペースで再生計画に基づく弁済可能な程度の収入が入ってくるかどうかが、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があるかどうかを判断するための1つの目安となってきます

個人再生における利用適格要件(将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み)

民事再生法 第221条

  • 第1項 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が5000万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。

民事再生法 第239条

  • 第1項 第221条第1項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「給与所得者等再生」という。)を行うことを求めることができる。

個人再生(個人民事再生)は、裁判所によって、借金などの債務の減額長期の分割払いを定めた再生計画を認可してもらい、それに基づいて返済をしていくという手続です。

つまり、個人再生においては、返済を継続していくことが前提とされているということです。

そのため、個人再生を利用できるのは「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」がある場合でなければならないとされています(民事再生法221条1項、239条1項)。

この「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」の要件は、小規模個人再生でも給与所得者等再生でも必要です。個人再生の利用適格要件と呼ばれています。

個人事業者・自営業者が個人再生を利用する場合には、この「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があるかどうかが問題となることが少なくありません。

というのも、個人事業主・自営業者の場合、サラリーマンや公務員などと異なり、毎月、決まった金額の収入や支出があるとは限らないからです。

収益の多い時期もあれば、収益の少ない時期もあるでしょう。事業によっては、数か月に1回収入があるということもあり得ます。

そのため、個人事業者・自営業者の個人再生においては、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があるかどうかが問題となることが少なくないのです。

個人事業主・自営業者の個人再生における利用適格要件の判断

前記のとおり、個人事業者・自営業者の個人再生においては、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があるかどうかが問題となることが少なくありません。

取引先や取引内容がある程度固定化されていて、毎月、一定の収入が確保できるというのであれば、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」はそれほど問題なく認められるでしょう。

しかし、収入が入ってくるのが数か月に1回であったり、時期によって収入に変動があるような場合には、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があるかどうかを、あらかじめよく吟味しておかなければなりません。

利用適格要件と再生計画の遂行可能性

前記のとおり、個人事業主・自営業者の個人再生においては、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があるかどうかが問題となることが少なくありません。

もっとも、個人再生における収入に関する要件は「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」だけではありません。再生計画の遂行可能性があることも要件とされます。

収入の面からみて再生計画の遂行可能性があることとは、再生計画に基づく弁済が可能な程度の収入があるかどうかということです。

したがって、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」がある場合でも、その収入が、再生計画の遂行可能性があるといえるだけの金額なのかどうかも併せて検討する必要があります。

収入が入ってくるのが数か月ごとである場合

個人事業主・自営業者の方の場合、収入が入ってくるのが毎月ではなく、数か月ごとに入ってくるという場合もあります。

このような場合でも、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があると言えるのかどうかが問題となってきます。

個人再生における再生計画では、3か月に1回以上弁済することが必要とされています。逆に言うと、3か月に1回弁済できるのであれば、再生計画が認可されるということです。

そのため、3か月に1回以内のペースで再生計画に基づく弁済可能な程度の収入が入ってくるのであれば、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があると言えます。

収入が入ってくるペースが3か月を超える場合でも、例えば、年単位の収入全体で見て、その利益を割り振れば3か月に1回以内のペースで再生計画に基づく弁済可能な程度の収入が入ってくると言えるのであれば、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があると判断される可能性はあるでしょう。

時期によって収入に変動がある場合

個人事業者・自営業者の方の場合、繁忙期などの関係で、時期により収入に変動があるということもあり得ます。

給与所得者等再生の場合、変動の少ない定期的な収入があることが求められます。

これに対し、小規模個人再生の場合には、必ずしも変動の少ない収入でなければならないというわけではありません。時期により収入に変動がある場合でも利用は可能です。

もっとも、小規模個人再生であっても、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」がなければなりませんし、その収入が再生計画に基づく弁済可能な程度の額である必要もあります。

前記と同様、収入に変動があっても、3か月に1回以内のペースで再生計画に基づく弁済が可能な程度の収入が入ってくるといえるかどうかが、1つの目途となってくるでしょう。

個人事業主・自営業者の給与所得者等再生

前記のとおり、個人事業主・自営業者の個人再生においては、小規模個人再生を選択するのが通常です。もっとも、個人事業者・自営業者の方は給与所得者等再生を利用できないというわけではありません。

給与所得者等再生という名称ですが、利用できるのが「給与所得者」に限られているわけではありません。

給与所得者でなくても、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み」があり、これに加えて、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの」であれば、給与所得者等再生の利用が可能です(民事再生法239条1項)。

したがって、個人事業者・自営業者でも、固定顧客が決まっているなど、定期的に一定額の確実な収入を得ることができる場合であれば、給与所得者等再生の利用が可能です。

ただし、小規模個人再生の方がより多く減額できるのが通常です。そのため、給与所得者等再生を選択するのは、小規模個人再生が利用できない場合(債権者から多数の反対が見込まれる場合など)に限られるでしょう。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。

弁護士の探し方

「個人再生をしたいけど、どの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。

現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。

しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。

債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。

そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。

ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。

弁護士法人東京ロータス法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・休日対応・メール相談可
・所在地:東京都台東区

弁護士法人ひばり法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・依頼後の出張可
・所在地:東京都墨田区

レ・ナシオン法律事務所
・相談無料
・全国対応・メール相談可・LINE相談可
・所在地:東京都渋谷区

参考書籍

本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。

個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。

個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。

破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。

はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。

書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。

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