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個人再生における再生計画認可決定の効力とは?

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個人再生において裁判所により再生計画認可決定がされると、すべての再生債権者の権利が、再生計画で定めた一般的基準に従って変更されることになります(民事再生法232条2項、244条)。

再生手続内で確定できなかった債権については、原則として、再生計画に基づく弁済期間が終了するまで、弁済を受けられないとされています(債権の劣後化。民事再生法232条3項、244条)。

なお、再生計画認可決定が確定すると、個人再生手続は当然に終結します(民事再生法233条、244条)。

再生計画とは

個人再生手続では、再生債務者が、民事再生法の規定に従って、債務を減額した上で分割で支払うという内容の再生計画案を策定し、その再生計画を裁判所によって認可してもらう必要があります。

裁判所の認可は、具体的には、再生計画認可決定という裁判によってなされます(民事再生法231条、241条)。

この再生計画認可決定が確定すると、債務の減額および分割払いを定めた再生計画が法的効力を生じることになります。

なお、再生計画認可決定がされたことが官報に公告されてから2週間を経過すると、再生計画認可決定は確定することになります。

官報公告されるのが概ね決定日から2週間後くらいですので、確定するのは、決定日から約1か月後くらいになるでしょう。

再生債権者の権利変更

再生計画認可決定により再生計画の効力が生じると、すべての再生債権者の権利が、再生計画で定めた一般的基準に従って変更されることになります(民事再生法232条2項、244条)。

一般的基準とは、すべての再生債権者について、債務がどのくらいの割合で減額されるのか、分割払いの弁済をどのように支払っていくのかなどを定めた基準です。

再生債権者の権利が一般的基準に従って変更されるというのは、つまり、再生債務者の側からいえば、再生計画で定めたとおりに債務が減額され、かつ再生計画で定めた分割払いの内容で支払っていけばよくなるということです。

なお、通常の民事再生の場合には、確定した再生債権は認可決定の確定によって権利変更され、そこで認められたもの以外はすべて免責されます。

他方、個人再生の場合には、届出がなされなかった債権も免責されるわけではなく、すべての再生債権が一般的基準に従って変更されるにとどまります。

また、通常の民事再生の場合には、再生債権者の権利の変更を実体的にも確定させる効力を有するとされていますが、個人再生の場合には、実体的な確定はなされません。

したがって、再生債権者表に記載されているからと言って、それに執行力が認められるわけではありません。

債権の劣後化

個人再生手続は、通常の民事再生手続と比べて簡易な手続となっています。そのため、債権の存否や内容について難しい事情がある場合、簡易な個人再生手続内だけでは確定できないということがあり得ます。

そのような場合には、再生手続外の通常訴訟等で債権の存否や内容を確定しなければなりません。

しかし、その訴訟等が終了して債権が確定される都度返済を開始するというようにすると、再生計画が狂い、再生計画に基づく履行が頓挫してしまうおそれがあります。

そこで、上記のような再生手続内で確定できなかった債権については、原則として、再生計画に基づく弁済期間が終了するまで、弁済を受けられないとされています。

これを「債権の劣後化」と呼んでいます(民事再生法232条3項、244条)。

つまり、再生手続内で確定できなかった債権については、再生計画に基づく履行が終わった後に、別途支払いをしていくという扱いになるのです。

個人再生手続の終結

個人再生手続は、再生計画認可決定が確定すると、当然に終結します(民事再生法233条、244条)。

したがって、通常の民事再生手続きにおける監督委員の履行監督のようなものはなく、認可決定確定以降は、裁判所や個人再生委員による監督も終了します。

そして、再生計画認可決定確定後は、再生債務者が、再生計画に従って返済をしていくことになります。

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