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個人再生の再生計画案に提出期限はあるのか?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

個人再生の画像
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個人再生においては、再生債務者が自ら再生計画案を作成し、それをあらかじめ指定された提出期限までに裁判所に提出しなければなりません。この指定期限までに提出をしなかった場合、再生手続は廃止されて打ち切られてしまうので、注意が必要です。

なお、やむを得ない事情により提出期限までに提出ができない場合には、再生計画案提出期限の伸長を申し立てることができます。

個人再生の再生計画案とは

個人再生においては、再生債務者が自ら「再生計画案」を策定しなけばなりません。

この再生計画案が裁判所によって正式な再生計画として認可されることによってはじめて、その計画に従って弁済をしていけばよいことになり、債務の減額分割払いへの変更が可能となるのです。

もっとも、再生計画案はいつ提出してもよいわけではありません。それでは、債権者が再生債務者が再生計画案を作成するまでいつまでも待ち続けていなければならなくなってしまうからです。

再生計画案の提出期限は、あらかじめ裁判所によって指定されます。そして、その期限までに提出しなければ、個人再生手続は廃止となります。

再生手続が廃止されるというのは、要するに、再生手続が再生計画認可に至る前に終了させられてしまうということです。

再生計画案の提出期限

民事再生法 第163条

  • 第1項 再生債務者等は、債権届出期間の満了後裁判所の定める期間内に、再生計画案を作成して裁判所に提出しなければならない。

民事再生規則 第84条

  • 第1項 法第163条第1項に規定する期間の末日は、特別の事情がある場合を除き、一般調査期間の末日から2月以内の日としなければならない。

民事再生規則 第130条

  • 小規模個人再生における第84条第1項の規定の適用については、同項中「一般調査期間の末日から」とあるのは、「一般異議申述期間の末日から」とする。

民事再生規則 第140条

  • 第114条、第115条、第117条から第126条まで、第128条から第130条の2まで及び第132条から第134条までの規定は、給与所得者等再生について準用する。この場合において、第130条の2第2項中「第230条第4項」とあるのは、「第240条第2項」と読み替えるものとする。

再生債務者は「債権届出期間の満了後裁判所の定める期間内に、再生計画案を作成して裁判所に提出しなければならない」とされています(民事再生法163条1項)。

そして、この裁判所の定める期間の末日は、個人再生の場合(小規模個人再生給与所得者等再生のいずれも同様。)、特別の事情がある場合を除き、一般異議申述期間の末日から2か月以内の日とされてます(民事再生規則84条1項、130条、140条)。

具体的な再生計画案提出の期限は、再生手続開始決定と同時に、裁判所によって決められることになります。

例えば、東京地方裁判所の場合、再生計画案提出期限は、個人再生の申立てから18週間後(個人再生手続開始決定から14週間後)の特定の日が指定されるのが通常です。

提出期限の伸長

民事再生法 第163条

  • 第3項 裁判所は、申立てにより又は職権で、前二項の規定により定めた期間を伸長することができる。

前記のとおり、再生計画案の提出については厳格に提出期限が定められていますが、例えば、再生債権者や住宅ローン債権者などとの協議に時間がかかるなどの理由から、提出期限内に再生計画案を提出することが難しいという場合もあり得ます。

そこで、再生債務者は、再生計画案の提出期間伸長の申立てをすることができ、申立てに理由があると認められる場合には、裁判所は再生計画案提出期間を伸長することができるとされています(民事再生法163条3項)。

ただし、再生計画案提出期間伸長の申立てをすれば、必ず伸長が認められるわけではありません。当然、期限を延ばしてもらうだけの正当な理由が必要となってきます。

例えば、住宅ローン債権者との協議中であるとか、再生債権評価手続が長引いているなどの理由が必要です。単に提出期限を失念していたというだけでは、伸長の申立ては認められないでしょう。

提出期限を渡過してしまった場合

民事再生法 第191条

  • 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。
  • 第1号 決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。
  • 第2号 裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に再生計画案の提出がないとき、又はその期間内に提出されたすべての再生計画案が決議に付するに足りないものであるとき。
  • 第3号 再生計画案が否決されたとき、又は第172条の5第1項本文及び第4項の規定により債権者集会の続行期日が定められた場合において、同条第2項及び第3項の規定に適合する期間内に再生計画案が可決されないとき。

民事再生法 第243条

  • 給与所得者等再生において、次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。
  • 第1号 第241条第2項各号のいずれにも該当しない再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき。
  • 第2号 裁判所の定めた期間若しくはその伸長した期間内に再生計画案の提出がないとき、又はその期間内に提出された再生計画案に第241条第2項各号のいずれかに該当する事由があるとき。

前記のとおり、裁判所の指定する再生計画案提出期限(提出期間を伸長した場合はそれにより伸長された提出期限)を渡過してしまった場合、小規模個人再生・給与所得者等再生のいずれであっても、再生手続は廃止されます(民事再生法191条2号、243条2号)。

再生計画が認可されるかどうかを判断するまでもなく、個人再生の手続が終了させられてしまうということです。

実際に、個人再生の手続においても、再生計画案の提出期限を渡過したために手続廃止となったケースがあるとのことですので、提出期限には十分に注意しておく必要があるでしょう。

弁護士の探し方

「個人再生をしたいけどどの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。

現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。

しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。

債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。

そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。

ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。

他方、通常再生の場合は、対応できる事務所が限られてきます。小規模の事務所の場合には、対応が難しいこともあり得ます。その点からも、個人の債務整理では、通常再生ではなく、個人再生を選択した方がよいのです。

弁護士法人ひばり法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
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・所在地:東京都墨田区

レ・ナシオン法律事務所
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弁護士法人東京ロータス法律事務所
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・所在地:東京都台東区

参考書籍

本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。

個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。

個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。

破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。

はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。

書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。

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