引き直し計算とは,貸金業者との間で行ってきたすべての貸し借りの取引を利息制限法所定の制限利率に直して正式な債務残高に計算をし直していくという計算手法のことをいいます。
引き直し計算の記事一覧
引き直し計算の記事一覧は、以下のとおりです。
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- 旧貸金業規制法における18条書面の交付がないとしてみなし弁済の成立を否定した最二小判平成16年2月20日(平成14年(受)第912号)とは?
- みなし弁済の成立を否定した最二小判平成16年2月20日(平成15年(オ)第386号)とは?
- リボルビング方式貸付におけるみなし弁済の成立を否定した最一小判平成17年12月15日とは?
- みなし弁済の成立を全面的に否定した最二小判平成18年1月13日とは?
- 日賦貸金業者にみなし弁済は適用されないとした最高裁判所第三小法廷平成18年1月24日(平成15年(受)第1653号)とは?
なお、その他債務整理に関する記事は、以下のページをご覧ください。
引き直し計算の概要
前記のとおり、引き直し計算とは、最高裁判所の判決に基づき,貸金業者との間で行ってきたすべての貸し借りの取引を利息制限法所定の制限利率に直し,制限超過利息をすべて借入れ元本に充当しながら,利息制限法に従った正式な債務残高に計算をし直していくという計算手法のことをいいます。元本充当計算.利息計算などと呼ばれることもあります。
この引き直し計算もはじめから認められていたわけではありません。最高裁判所大法廷昭和38年11月18日判決において、利息制限法の制限超過部分が元本に充当されることが認められてから、この引き直し計算と呼ばれる手法が生み出されたのです。
また、最高裁判所第三小法廷昭和43年10月29日判決では、当事者間での弁済充当指定の特約の有無にかかわらず、制限超過部分は元本に充当されることが認められました。これらの判決により、現在の引き直し計算が可能となっているのです。
引き直し計算には、一連計算(一連充当計算)という手法があります。一連計算とは、完済によって取引が分断している場合に、分断前の取引と分断後の取引とを一連のものとして引き直し計算することを言います。
この引き直し計算は、貸金業者から開示された取引履歴をもとに行うのが通常です。しかし、貸金業者の中には、取引履歴の全部または一部しか開示をしてこない業者もあります。
その場合には、取引履歴以外の資料・書類や記憶をもとに取引経過を推定し、それをもとに引き直し計算を行うことになります。これを推定計算といいます。
この引き直し計算に関連して、かつては、旧貸金業規制法にみなし弁済という制度がありました。利息制限法違反の利息でも要件を満たせば適法な利息として扱えるという制度です。しかし、消費者保護を無意味にするとして、現在では撤廃されています。
弁護士の探し方
「債務整理をしたいけれど、どの弁護士を選べばいいのか分からない」
という方は少なくないでしょう。
現在では、多くの法律事務所が債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、債務整理を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人の債務整理の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
参考書籍
本サイトでも債務整理について詳しく説明していますが、より深く知りたい方のために、債務整理の参考書籍を紹介します。
編著・出版:東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会
東京の3弁護士会による債務整理・クレサラ事件処理全般についての実務書。債務整理全般を1冊でまとめている実務書は意外と少ないので、債務整理を知るにはちょうど良い本です。
著者:柄澤昌樹 出版:青林書院
任意整理に関する実務書。Q&A形式なので問題点を理解しやすい。任意整理をメインとする実務書は多くないのでおすすめできる書籍ですが、古い本なのでアップデートが必要です。
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
破産実務を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、破産実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
編集:名古屋消費者信用問題研究会 出版:民事法研究会
過払金返還請求の教科書のような本。やや古いので判例や論点のアップデートは必要ですが、過払金返還請求を知るためには、よい本です。