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破産管財人はどのような法的地位・立場にあるのか?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

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破産管財人は、破産手続における中心的な機関です。この破産管財人は、私人とは別個独立の法人格を有すると解されています。

また、実体法においては、第三者と同様の地位にあると解されています。ただし、破産財団・破産債権・財団債権に関する訴訟においては、当事者(原告または被告)として地位を有するものとされています。

破産管財人とは

破産手続は、破産者の財産を換価処分して金銭に換えて、それを各債権者に対して公平・平等に弁済または配当する倒産手続です。これらの手続を行うのが、破産管財人です。

破産管財人は、破産手続開始決定と同時に、裁判所によって選任される破産手続における機関のひとつです(破産法31条1項、74条1項)。ただし、機関とは言っても、実際に破産管財人として選任されるのは、個人の弁護士です。

破産管財人は、破産財団に属する破産者の財産の管理処分権を有し、その財産を換価処分して破産財団を増殖させ、それによって得た金銭を、各債権者に対して弁済または配当していくことになります。

つまり、破産管財人は、破産手続のほとんどを遂行していく役割を担っています。破産管財人が、破産手続における中心的な機関なのです。

もちろん、破産管財人も、すべてを自由に行えるわけではありません。裁判所の監督の下に公平中立に業務を遂行していく必要があります。その意味では、裁判所の代理または代行者ともいえるでしょう。

破産管財人の法的地位

破産管財人は、破産法に基づき裁判所によって選任される機関です。

もっとも、破産法における破産管財人の法的地位を理論的にどのように説明するのかについては、以下のような諸説があります。

破産管財人の法的地位に関する諸説
  • 代理説
    破産管財人を利害関係人の代理人であるとする見解。これには、破産者の代理人とみる破産者代理人説、破産債権者または債権者団体の代理人とみる債権者代理説などがあります。
  • 職務説
    破産管財人が法律上の職務として自己の名において破産法上の諸権能を行使し、その効果が破産者や破産財団に帰属するとする見解。破産管財人の職務を公法上の職務とみるか私法上の職務とみるかによって、公法上の職務説と私法上の職務説に分かれます。
  • 破産財団代表説
    破産財団という財産の集合体に法人格を認め、破産管財人をその法人格の代表機関とみる見解。
  • 破産団体代表説
    破産手続においては、破産者と破産債権者とで構成される権利能力なき社団が成立するとし、破産管財人をその権利能力なき社団の代表機関とみる見解
  • 受託者説
    破産者を委託者、破産債権者を受益者、破産管財人を受託者とする法定信託が成立するという見解。
  • 管理機構人格説
    破産財団に属する財産の管理処分権を有する破産管財人に、私人とは別個の独立の法人格(または法主体性)を認める見解。

現在の通説的見解は、管理機構人格説です。破産管財人に、私人としての地位とは別の法人格(または法主体性)を認める見解です。

破産管財人の実体法的地位・立場

前記のとおり、通説的見解によれば、破産管財人は、私人とは別個独立の法人格を認められた機関と解されます。もっとも、ここから、当然に、破産管財人の実体法的地位が導かれるわけではありません。

実体法上、破産管財人がいかなる地位にあるかどうか、つまり、第三者に対する関係でどのような地位・立場にあるといえるのかについては、別に考察が必要です。

第三取得者説

この点、破産管財人を破産者の財産の第三取得者であると捉える見解もあります。

しかし、破産手続の開始によって、破産管財人は破産者の財産の管理処分権を有することになりますが、権利義務の主体はあくまで破産者です。したがって、破産管財人は、破産者の財産についての第三取得者ではありません。

第三者説

破産管財人の実体法的地位を考えるには、破産手続の構造から考える必要があります。

破産手続が開始されると、破産管財人に破産者の財産の管理処分権が専属し、債権者による個別の債権回収行為の禁止されます。そして、破産管財人が破産者の財産を換価処分して、債権者への弁済や配当に充てます。

このような破産手続の構造からすると、破産手続は、破産者の財産の包括的な差押えの実質を有しており、破産手続の遂行者である破産管財人は、差押債権者と類似した地位・立場にあるといえます。

そこで、実体法において差押債権者を第三者として保護している場合には、差押債権者類似の地位を有する破産管財人も、実体法上、第三者と同様の保護を与えられるべき地位にあると解するのが通説です。

この通説のように、破産管財人には実体法において第三者として保護されるべき地位・立場にあることを「破産管財人の第三者性」と呼ぶことがあります。

有力説

なお、近時は、破産管財人の実体法的地位を、破産管財人の第三者性という概念で説明するのではなく、利害関係人の権利が破産手続上尊重されるべきものか否かを個別に検討すべきであるとする見解も有力とされています。

破産管財人の訴訟における地位・立場

前記のとおり、破産管財人は、実体法においては第三者としての地位・立場があると解されています。したがって、訴訟においても、原則としては第三者的な地位にあると解することになります。

もっとも、破産財団に関する訴訟については別です。破産財団の管理処分権は破産管財人にありますから、破産財団に関する訴訟についても第三者であるとは言えません。

そこで、破産財団に関する訴訟については、破産管財人が当事者(原告または被告)になるとされています(破産法80条)。

なお、この破産財団に関する訴訟には破産債権・財団債権に関する訴訟も含まれ、破産債権・財団債権に関する訴訟についても破産管財人が当事者となるものと解されています。

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