契約は,法的拘束力を伴う約束です。したがって,容易には契約関係を解消することができないのが原則です。そのため,契約書を作成する際にも,契約の解消に関する条件は注意深く定めておく必要があります。
契約を解消できる場合
契約は,法的な拘束力を持った約束です。したがって,契約がいったん有効に成立した場合,簡単には解消できないのが原則です。
そのため,契約の目的が達せられて終了する場合を除いては,契約を解消できる場合というのは非常に限られてくることになります。
具体的にいえば,契約が無効となる場合,契約を取消し得る場合,または契約を解除できる場合などに限られてきます。
契約が無効となる場合
契約を解消できる場合のうち,もっとも端的なものは,契約が無効であるという場合でしょう。
契約が無効であるということは,契約が有効に成立していなかったということ,つまりは,はじめから契約などなかったということです。
したがって,契約が無効であることが判明すれば,(厳密にいえば,解消とは異なりますが)その契約を解消することができます。
ただし,契約が無効となる場合は限られています。例えば,契約が強行法規に違反している場合,契約が公序良俗に違反している場合,契約について錯誤があった場合などです。
契約を取消し得る場合
契約が無効とまでいえない場合であっても,契約をするに際して意思表示に瑕疵があったような場合には,契約を取り消すことができます。
契約を取り消した場合,その契約は遡及的に無効となります。つまり,はじめから効力がなかったものとして扱われることになるわけです。
したがって,契約を取り消すことができれば,無効の場合と同様,契約を解消することできることになります。
ただし,契約を取り消すことができる場合も,やはり限られています。例えば,騙されて契約した場合(詐欺)や脅されて契約した場合(強迫)などです。
また,親権者や未成年後見人の同意なく未成年者が契約をした場合にも,一定の場合を除いて,契約を取り消すことができます。
契約を解除できる場合
契約について解除の事由がある場合にも,契約を解除して,契約を解消することができます。
契約の解除をする権利のことを解除権といいますが,この解除権には,法律で定められた法定解除権と,当事者間の約定で取り決める約定解除権とがあります。
法定解除権は,債務不履行があった場合や瑕疵担保責任などの契約責任が発生する場合に解除権も発生します。
したがって,これらの契約責任に基づく解除権発生の要件を満たしている場合に限り,解除することができるということになります。
他方,約定解除権は,当事者間で決めることができます。したがって,当事者間でどのような事由が発生したら解除できるかを定めておき,その事由が発生したら解除できるということになります。
契約書には,この約定解除事由を詳細に規定しておく必要があります。
また,売買で解約手付を交付しているような場合には,買主は手付を放棄して,売主は手付を倍返しして,手付解除をすることができます。
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