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民事再生の再生計画が認可されるためにはどのような要件が必要か?

民事再生法の画像
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民事再生の再生計画を裁判所に認可してもらうためには、再生計画認可の要件を満たしていることが必要です。具体的には、再生計画不認可事由がないことが求められます。

民事再生手続全般に共通する再生計画不認可事由としては、①再生手続又は再生計画に法律違反があり、かつ、その不備を補正することができないものであること、②再生計画遂行の見込みがないこと、③再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったものであること、④再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反することです。これらの不認可事由がある場合、再生計画は認可されません。

民事再生全般に共通する再生計画認可の要件・不認可事由

民事再生法 第174条

  • 第1項 再生計画案が可決された場合には、裁判所は、次項の場合を除き、再生計画認可の決定をする。
  • 第2項 裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。
  • 第1号 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。ただし、再生手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。
  • 第2号 再生計画が遂行される見込みがないとき。
  • 第3号 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。
  • 第4号 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。

民事再生手続(再生手続)を利用して債務の減額を含む新たな弁済方法などを承認してもらうためには、裁判所によって再生計画認可決定を発令してもらう必要があります。

この再生計画認可決定をしてもらうためには、民事再生法で定める再生計画認可の要件を満たしていなければなりません。

民事再生全般に共通する再生計画認可要件(個人再生には固有の要件もあります。)とは、民事再生法174条2項各号で定める再生計画不認可事由がないことです。

再生計画不認可事由とは、その事由があると再生計画が不認可となるという事由のことです。民事再生共通の不認可事由としては、以下のものがあります。

再生計画不認可事由
  • 再生手続または再生計画に法律違反があり、かつ、その不備を補正することができないものであること
  • 再生計画遂行の見込みがないこと
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったものであること
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反すること

これらの不認可事由がある場合には、再生計画は認可されません。

補正不能な法律違反がないこと

前記のとおり、民事再生共通の再生計画の不認可事由の1つに「再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき」があります。

これに該当する場合、再生計画は不認可となります。

つまり、再生計画認可要件としては、「再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものではないこと」が必要となるということです。

民事再生手続(再生手続)は、民事再生法に基づく裁判手続ですから、法律違反があれば、再生計画の認可が認められないというのは当然のことです。

ただし、不備を補正できない法律違反があったとしても、「再生手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるとき」には、不認可事由に該当しないとされています(民事再生法174条2項1号ただし書き)。

この民事再生法174条2項1号ただし書きでは、「再生手続」の法律違反が軽微な場合には不認可事由とならないとは規定されていますが、「再生計画」の法律違反については何も規定されていません。

したがって、軽微な法律違反であっても、再生計画に法律違反がある場合には、不認可事由に該当するということになります。

つまり、民事再生法174条2項1号を細分化するならば、以下の事由が不認可事由に該当するということになります。

補正不能な法律違反に該当する場合
  • 再生手続に不備を補正できない「重大な」法律違反がある場合
  • 再生計画に不備を補正できない法律違反がある場合

再生計画認可の要件としては、上記の不認可事由がないことが必要となります。

再生計画遂行の見込みがあること

前記のとおり、民事再生共通の再生計画の不認可事由の1つに「再生計画が遂行される見込みがないとき」が挙げられています。これに該当する場合、再生計画は不認可となります。

したがって、再生計画認可要件としては、「再生計画が遂行される見込みがあること」が必要となるということです。

民事再生の手続においては、債務の弁済を継続することなど再生計画を遂行していくことが前提となっています。

再生計画を遂行していくことができないことが分かっていながら再生計画を認可するのは無意味ですし、再生債権者に無用な負担を与えます。

そのため、再生計画遂行の見込みがない場合には、再生計画は認可されないのです。

不正の方法によって成立した再生計画の決議でないこと

前記のとおり、民事再生共通の再生計画の不認可事由の1つに「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき」が挙げられています。これに該当する場合、再生計画は不認可となります。

したがって、再生計画認可要件としては、「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったものではないこと」が求められます

不正の方法とは、例えば、再生債権者に対する詐欺・強迫・利益供与行為等をして再生計画に同意させた場合などが挙げられます。

また、議決権者の過半数の同意が得られない状況にありながら、再生債権を再生債務者の関係者に一部譲渡して、その関係者が再生債権者となることにより、議決権者の過半数の同意を得たような場合も、信義則に違反する行為であるから「不正の方法」に当たるとした判例もあります(最一小決平成20年3月13日)。

再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するものでないこと

前記のとおり、民事再生共通の再生計画の不認可事由の1つに「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき」が挙げられています。これに該当する場合、再生計画は不認可となります。

したがって、再生計画認可要件としては、「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するものでないこと」が必要と言うことです。

ここでいう「再生債権者の一般の利益」とは、誰か特定の再生債権者の利益という意味ではなく、再生債権者全体の利益という意味です。

例えば、再生計画による弁済率が破産手続における配当率を下回っている場合(清算価値保障原則に違反している場合)が典型的な場合として挙げられます。

再生計画認可要件のまとめ

再生計画認可要件とは、再生計画不認可事由がないことです。不認可事由を裏返しただけですが、具体的に言うと、再生計画認可要件としては、以下のものが必要となるということです。

再生計画認可要件(まとめ)
  • 再生手続または再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものではないこと
  • 再生計画が遂行される見込みがあること
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったものではないこと
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するものでないこと
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