
官報とは、国の機関誌です。官報により、裁判所の公告もされます。公告とは、ある事柄を一般に知らせることをいいます。裁判所の公告事項には、破産に関する事項も含まれますので、破産をすると官報公告されます。
具体的には、①破産手続開始決定がされた場合、②破産手続廃止決定または終結決定がされた場合、③最後配当・中間配当・追加配当がされる場合、④免責許可決定がされた場合(個人破産の場合)に官報公告されます。
官報公告される場合、それぞれの決定がされたことだけでなく、破産者の氏名や商号、住所や本店所在地、代表者の氏名も官報に掲載されます。
破産手続における官報公告とは
破産法 第10条
- 第1項 この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
- 第2項 公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
- 第3項 この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。
- 第4項 この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
- 第5項 前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。
「官報」とは、国が発行する機関誌です。現在では、独立行政法人国立印刷局が編集および発行を行っています。
この官報によって、憲法・詔書・法律・政令・条約・省令・告示等の「法令の公布」、国会事項・人事異動・叙位・叙勲・褒章・皇室事項・官庁報告(国家試験・公聴会・地価公示等)および資料(閣議決定事項・国際収支状況等)等の「広報」のほか、「公告」もされます。
公告とは、ある事柄を一般に知らせることをいいます。この公告として、各省庁の公告・特殊法人の公告・地方公共団体の公告・会社の公告などがされており、さらに、裁判所の公告もなされます。
そして、この裁判所の公告事項の1つとして、破産に関する事項があります。官報に掲載されることによって、会社などの法人や個人(自然人)が破産したことも公告されます(破産法10条1項)。
官報公告される時期
前記のとおり、裁判所の公告として、破産に関する事項も官報公告されます。具体的には、以下の場合に官報公告されることになります。
- 破産手続開始決定がされた時
- 破産手続廃止決定または終結決定がされた時
- 最後配当・中間配当・追加配当がされる場合
- 免責許可決定がされた時(個人破産の場合)
最初に官報公告されるのは、裁判所によって破産手続開始決定がされたときです。破産手続開始決定がされると、そのことが官報公告されると同時に、破産した人の氏名や会社など法人の商号、住所や本店所在地等も官報で公告されます。
破産手続廃止決定がされた時または破産手続終結決定がされた時も、官報に公告されます。
同時廃止の場合には、破産手続開始と同時に廃止になるため、同じ機会に官報公告されることになります。
これらの官報公告は、裁判所書記官によって行われます。
他方、最後配当・中間配当・追加配当がされる場合にも、官報公告がされます。この官報公告は、破産管財人が行います。
したがって、法人破産の場合でも個人破産の場合でも、最低2回は官報に公告されることになります。
官報公告される内容
官報には、裁判の内容はもちろん公告されます。破産手続開始時の官報であれば、破産手続が開始した旨、担当の裁判所、事件番号、裁判の日時、破産管財人の氏名、裁判の期日などが公告されます。
それだけでなく、破産者が個人であれば氏名や住所、法人であれば商号や本店所在地(実際の主たる営業所が他にある場合はその住所)が掲載されます。
さらに、法人破産の場合は、法人・会社の商号等だけでなく、代表者の氏名も公告されます(代表者の住所は公告されません。)。
破産した情報が知られる場合
前記のとおり、破産をすると官報に公告されます。それにより、破産したことの情報が第三者などに知られることはあるでしょう。
とはいえ、官報は、公開されているといっても、一般的には官報をチェックしているような人は少ないでしょう。
法人破産の場合、企業の倒産情報を扱うリサーチ会社によって、法人破産・会社破産の情報がインターネット上などに掲載されるため、官報よりも、それによって法人破産・会社破産の情報が知られることの方が多いでしょう。