この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

個人再生手続においては、再生債権者から届け出られた再生債権について、再生債務者が認否を行う必要があります。再生債権の認否とは、その再生債権を認めるのか、認めない(異議を述べる)のかということです。
ただし、異議を述べることができる債権は、申立ての際に提出する債権者一覧表において異議を留保していた債権に限られます。
異議を述べなかった債権は「無異議債権」となり、再生計画における弁済を受けることができる基準債権とされます。他方、異議を述べられた再生債権者は、裁判所に対して再生債権評価申立てができます。
再生債権の認否
個人再生においては、再生計画認可決定が確定した後、再生債権について弁済を継続していかなければなりません。
そのため、再生計画に基づいて弁済すべき再生債権の金額はいくらなのかということを正確に確定させておく必要があります。
そのための手続が債権調査手続です。債権調査においては、まず再生債権者から債権届出がなされます。そして、これに対して、再生債務者は再生債権の認否をしなければなりません。
再生債権の認否とは、再生債権者からなされた債権届出(みなし届出を含みます。)の内容を認めるのか、認めないのか(異議を述べるのか)を明らかにするという手続です。
債権届出を認めることについては特に制限はありません。しかし、異議を述べることができるのは、個人再生の申立書に添付して提出する債権者一覧表において異議を留保していた再生債権だけです。
債権者一覧表で異議を留保しておかなかった債権については、異議を述べることができません。認めるしかなくなります。債権に誤りがあったとしても、異議を述べることができなくなってしまうのです。
そのような事態を避けるため、実務では、すべての再生債権について異議を留保して申立てをするのが通常です。
なお、債権者一覧表に記載がなく、債権届出もない債権であっても、自認債権として認めることができるとされています。
再生債権認否の手続
再生債権者による再生債権届出には、裁判所によって期間が設けられます。
この期間が終了すると、その後、再生債権の認否をするための一般異議申述期間が開始されます。再生債務者は、この一般異議申述期間内に、再生債権についての認否をすることになります。
例えば、東京地方裁判所本庁では、債権届出期間終了から2週間後に一般異議申述期間が開始され、その初日までに「債権認否一覧表」を提出して債権認否をすることになっています。
債権認否一覧表には、再生債権の届出の有無・内容、認める金額・認めない金額などを記載することになります。
また、異議を述べる場合には、債権認否一覧表とは別に、異議申述書を裁判所に提出し、また、異議申述をしたことを当該再生債権者に通知しなければならないとされています。
なお、債権届出期間経過後に届出られた期限後債権については、期間内に届出できなかった理由が、その再生債権者の責に帰することができない事由によるものであった場合には、その事由が消滅した後1か月以内で、かつ、再生計画案を決議に付する旨の決定または意見聴取の決定がされる前であれば、債権届出の追完ができます(民事再生法95条1項)。
そして、その追完された再生債権の調査のために、特別異議申述期間が設けられて、その期間中に債権認否をすることになります。
異議を述べない(認める)場合
再生債権の認否において認めた(異議を述べなかった)債権については、その届出債権が手続内で確定されます。
この認めた届出債権は「無異議債権」と呼ばれ、再生計画における基準債権として扱われることになります。小規模個人再生における再生計画案の決議では、無異議債権の額が議決権額になります。
異議を述べた場合の手続
再生債権の認否において異議を述べた場合、その債権が存在するのか、存在するとして金額はいくらなのかなどを決めなければなりません。そのための手続が、再生債権評価の手続です。
債権評価の手続においては、個人再生委員による調査などが行われ、その意見を参考にして、対象となっている債権の存否や金額等を決定することになります。
この決定された債権を「評価済債権」といいます。評価済債権も、無異議債権と同様に、基準債権となり、また、再生計画案の決議においては評価済債権の額が議決権額となります。
弁護士の探し方
「個人再生をしたいけどどの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。
現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
他方、通常再生の場合は、対応できる事務所が限られてきます。小規模の事務所の場合には、対応が難しいこともあり得ます。その点からも、個人の債務整理では、通常再生ではなく、個人再生を選択した方がよいのです。
レ・ナシオン法律事務所
・相談無料
・全国対応・メール相談可・LINE相談可
・所在地:東京都渋谷区
弁護士法人東京ロータス法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・休日対応・メール相談可
・所在地:東京都台東区
弁護士法人ひばり法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・依頼後の出張可
・所在地:東京都墨田区
参考書籍
本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。
個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。
破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。
はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。
書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。