この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

個人再生において債務の減額や分割払いなどを定めた再生計画が認可されると、その再生計画に従って弁済をしていくことになります。
再生計画を認可してもらうためには、再生計画案を策定して裁判所に提出し、審査を受けなければなりません。この再生計画案は、再生債務者が自ら作成する必要があります。
個人再生の再生計画
個人再生を利用する目的は、言うまでもなく、借金などの債務を整理することです。そして、そのためには、借金の減額や長期の分割払い化などを実現しなければなりません。
個人再生においては、最終的に、借金の減額や分割払い化などを規定した再生計画を裁判所に認可してもらうことによって、この借金の減額などを実現できることになります。
再生計画が認可されれば、後はそれにしたがって返済していくだけです。
再生計画とは、言ってみれば、借金の減額や分割払い化などを含めた新しい返済等の計画です。これを裁判によって認めてもらうということです。
そして、この再生計画の基となるものが「再生計画案」です。文字どおり、再生計画の「案」が再生計画案と呼ばれるものです。
再生計画案の作成
再生計画案は、再生計画のもととなるものですから、これを作成することが重要なものであることは言うまでもないでしょう。再生計画案に不備があれば、再生計画は認可されないことになります。
この再生計画案は、裁判所や個人再生委員が作成してくれるわけではありません。再生債務者自身で作成する必要があります(代理人弁護士が就いている場合は代理人弁護士が作成します。)。
とはいえ、いくら案だからといって、自由に作成できるわけでありません。民事再生法で、何をどのように記載しなければならないのかなどの枠組みは定められていますから、これに従って作成しなければなりません。
しかも、その文言などもかなり細かく正確に記載することが求められます。通常は、各裁判所に用意されている書式等に従って記載していくことになります。
再生計画案提出の手続
再生計画案については、あらかじめ提出期限が設けられています。その期限までに、再生計画案を作成して裁判所に提出しなければなりません。
この提出期限は必ず守る必要があります。再生計画案の提出期限を守れなかった場合、再生手続は容赦なく廃止されてしまいます。
廃止とは、要するに、再生計画認可に至る前に手続を終了させられてしまうということです。
実際にも、再生計画案期限を渡過してしまったために、再生手続が廃止になる例があるとのことですので、注意が必要でしょう。
例えば、東京地方裁判所の一般的スケジュールでは、個人再生の申立てから約18週間後に再生計画案の提出期限がも設けられています。
通常は、債権認否一覧表等を提出し、異議等がなく債権額が確定した後、再生計画案提出期限前にまずは個人再生委員に提出してチェックをしてもらい、その上で、提出期限までに裁判所に再生計画案提出をすることになります。
再生計画案の審査
再生計画案が提出期限内に提出された場合、再生計画案の審査が始まります。
小規模個人再生の場合、再生債権者によって再生計画案の決議が行われます。再生計画案を各再生債権者に送付し、その是非を問う手続です。
この再生計画案の決議において、不同意回答をした議決権のある再生債権者が、議決権者総数の半数以上である場合か、または、その議決権の額が議決権者の議決権総額の2分の1を超える場合、再生計画案は否決されます。
他方、給与所得者等再生の場合には、再生計画案の決議は行われず、意見聴取にとどまります。この意見聴取で再生計画案が覆されることはほとんどないでしょう。
これらの手続を経た上で、再生計画案に不備がないか、その他の再生計画認可要件を満たしているかを審査し、問題がなければ再生計画認可決定がされます。
弁護士の探し方
「個人再生をしたいけどどの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。
現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
他方、通常再生の場合は、対応できる事務所が限られてきます。小規模の事務所の場合には、対応が難しいこともあり得ます。その点からも、個人の債務整理では、通常再生ではなく、個人再生を選択した方がよいのです。
弁護士法人東京ロータス法律事務所
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参考書籍
本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。
個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。
破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。
はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。
書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。