遺産分割の対象となる財産に関する記事一覧
遺産分割の対象となる財産(遺産)は,遺産分割時に存在する相続財産です。ただし,可分債権のように,相続財産であっても遺産分割の対象にならないものもあります。
遺産分割の対象となる財産に関する記事一覧は、以下のとおりです。
- 遺産分割の対象となる財産(記事一覧)
- 遺産分割の対象となる財産の範囲とは?
- 遺産分割の対象となる財産を確定させる基準時はどの時点か?
- 遺産分割の対象となる財産の価額はどのように評価するのか?
- 金銭その他の可分債権は遺産分割の対象になるのか?
- 預金・貯金(預貯金債権)は遺産分割の対象になるのか?
- 相続開始から遺産分割までの間に処分された財産は遺産分割の対象になるのか?
- 相続財産の代償財産は遺産分割の対象となるか?
- 相続財産の果実は遺産分割の対象となるか?
- 国債は遺産分割の対象となるのか?
- 社債は遺産分割の対象となるのか?
- 死亡退職金は遺産分割の対象となるのか?
- 生命保険金は遺産分割の対象となるのか?
なお、その他民法に関する記事は、以下のページをご覧ください。
遺産分割の対象となる財産の概要
前記のとおり、遺産分割の対象となる財産(遺産)は,遺産分割時に存在する相続財産です。
遺産分割の対象となる財産が確定する基準時は、上記のとおり、遺産分割時です。ただし、相続人全員の合意があれば、確定基準時を相続開始時にすることは可能です。
また、遺産分割の対象となる財産の評価の基準時も、遺産分割時とされています。遺産をどのように評価するのかは、各財産によって異なってきます。
ただし,可分債権のように,相続財産であっても遺産分割の対象にならないものもあります。金銭その他の可分債権は、相続開始によって、当然に、各共同相続人にそれぞれの相続分に応じて分割承継されます。そのため、遺産分割が必要ないのです。
もっとも、例外はあります。それは、預貯金払戻債権です。預貯金払戻債権は、可分債権であるものの、当然には分割承継されず、遺産分割の対象となると解されています。
相続開始時から遺産分割までの間に処分された財産は、遺産分割時に存在していないので、遺産分割の対象にならないのが原則ですが、共同相続人全員の合意があれば、遺産分割の対象とすることができます。
相続開始時に存在していた相続財産が、その後に生じた出来事の結果として相続財産から逸出し、これに代わって生じた財産的利益を代償財産といいます。代償財産も遺産分割の対象にはならないのが原則ですが、共同相続人の合意があれば遺産分割の対象にできます。
相続開始時から遺産分割までの間に生じた相続財産の果実も、遺産分割の対象にならないのが原則ですが、共同相続人の合意があれば遺産分割の対象にできると解されています。
国債や社債は、金銭債権ではあるものの、その内容や性質から相続開始により当然に相続人に分割承継されるものではなく、共同相続人全員の準共有となると解されています。そのため、国債や社債は、遺産分割の対象となります。
投資信託の受益権も、金銭債権ではあるものの、純然たる金銭債権ではないため、相続開始により当然に相続人に分割承継されるものではなく、共同相続人全員の準共有となると解されています。そのため、投資信託受益権も、遺産分割の対象となります。
株式会社の社員たる地位(株式)や社員権(株主権)は、相続財産に含まれます。そのため、遺産分割の対象になります。ただし、合名・合資・合同会社の場合は、社員の死亡は退社事由であるため相続財産にはなりません。したがって、遺産分割もありません。