この記事にはPR広告が含まれています。

過払金返還請求の手続はどのような流れで進むのか?

過払い金の画像
point

過払金(過払い金)返還請求をする前提として,貸金業者に対して取引履歴の開示を請求し,その取引履歴をもとに引き直し計算(元本充当計算)を行って,過払金が発生しているかどうかを調査する必要があります。

引き直し計算により過払金が発生していることが判明した場合には,貸金業者に対して請求書を送付し,過払金返還交渉を行います。交渉が上手くいかなかった場合には,過払金返還請求の訴訟を提起して,過払金の返還を図ることになります。

過払金の調査

過払金返還請求をする前提として、まずそもそも過払い金が発生しているのかどうかを調査しなければなりません。

取引履歴の開示請求

過払い金が発生しているかどうかを調べるには、それまでの取引を引き直し計算(元本充当計算)する必要があります。

この引き直し計算をするためには、その計算のための資料として、これまでの全取引の経過を把握する必要があります。

そこで、第一にやるべきことは、貸金業者に対して取引履歴の開示を請求することです。

弁護士等に委任した場合、受任通知の送付と同時に取引履歴の開示も請求してくれるのが通常です。債務者本人で行うことも可能です。

引き直し計算

貸金業者から取引履歴の開示を受けた場合、その取引履歴をもとにして引き直し計算を行い、過払い金が発生しているかどうかを確認します。

取引履歴の開示までの時間は,業者によって異なります。遅いところだと2か月近くかかる場合もあります。

なお,開示がなされなかった場合には,再度開示を請求するか,または,その他の資料に基づいて推定計算を行います。

過払金返還請求の手続

過払金返還請求書の送付

引き直し計算の結果,過払金が発生していることが判明した場合には,貸金業者に対して請求書を送付します。

この請求書に対して全額をすんなり支払うというような貸金業者は皆無といってよいでしょう。しかし、少なくとも、消滅時効の完成猶予の効力はあります。

ただし,交渉による回収が明らかに見込めない貸金業者います。そのような貸金業者が相手方の場合には、請求書を送らずに、すぐさま訴訟を提起してしまうという場合もあります。

貸金業者との交渉

過払い金返還請求書の送付後,貸金業者との交渉を開始することになります。交渉で回収する場合には,比較的早い段階で入金されるというメリットもあります。

しかし,交渉の場合,たいていは過払い金の金額の半額かよくて7割程度,貸金業者によっては半額未満という提案がされることが多いと思われいます。

交渉だけだと満足な回収が図れない場合が多いため,ある程度のところで訴訟提起を検討しなければならないことが多いでしょう。

過払い金返還請求訴訟の提起

貸金業者側が交渉に応じない場合や交渉が上手くいかない場合には,過払金返還の訴訟を提起する必要があります。

また,交渉ができないことが明らかな相手方であるときは,交渉をせずに最初から訴訟を提起するという場合もあります。

過払い金の金額が140万円以下の場合には,簡易裁判所に訴訟を提起します。140万円を超える場合には,地方裁判所に訴訟を提起します。

複数の貸金業者に対して過払い金返還を請求する場合には,まとめて1つの訴訟として訴訟を提起することもあります。

訴訟の提起は、訴状という書面を裁判所に提出する方式で行います。訴状には、収入印紙をはりつけて、郵便切手を添付します。

収入印紙の金額は,訴額によって異なります。また,郵便切手の必要枚数などは,裁判所によって異なります。あらかじめ訴訟を提起する裁判所に確認しておいた方がよいでしょう。

過払い金返還請求訴訟の遂行

訴状を提出して裁判所に受理されると、訴訟を提起したことになります。訴訟提起後、第1回目の期日が指定されます。

第1回期日は,被告(貸金業者)は答弁書を提出すれば出頭しなくてもよいことになっていますので,大半の場合,被告は第1回には出頭してきません。

本格的に訴訟となるのは,第2回目以降ということになります。訴訟の期日はだいたい1か月に1回くらいのペースで行われます。

もっとも,訴訟を提起すると,すぐに和解ができる貸金業者もあります。そうでなくても,だいたいは2回目の期日までに和解案が出されます。

訴訟提起後の和解案は、交渉の場合よりも高額であるのが通常です。そのため、訴訟提起後、第1回期日までまたは第2回期日までには話がつくということもあります。

ただし,貸金業者側が激しく抵抗してくるということもあるため,訴訟が半年以上に及ぶ場合も少なくありません。

訴訟は、公開の法廷で行われます。過払金返還請求訴訟の場合、当事者尋問等は行われないのが通常です。弁護士等に依頼している場合、依頼者が出頭することはほとんどないでしょう。

判決

訴訟における主張と立証が尽くされると,審理は終結し,裁判所によって判決がなされることになります。判決は被告への送達から2週間が経過すると確定します。

ただし,第一審の訴訟に対しては控訴することができ,控訴審の判決に対しては上告することができるため,訴訟が上級の裁判所に引き続いていく場合もあります。

過払い金の回収

判決が確定すると,たいていの貸金業者は任意に全額を支払ってきます。しかし,一部の業者は判決確定後も支払いを拒絶することがあります。

その場合には,過払金回収のために,強制執行の手続などが必要となることがあります。大手貸金業者であれば,その会社の返済用口座などを強制執行することが可能です。

もっとも,中小以下の貸金業者になると,口座が空にされている場合があり,強制執行も難しいという問題があります。それをふまえて返還交渉等をしなければならないこともあり得ます。

タイトルとURLをコピーしました