個人再生においては「住宅資金貸付債権に関する特則」が設けられています。一般には「住宅資金特別条項」と呼ばれています。「住宅ローン特則」などと呼ばれることもあります。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の記事一覧
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の記事一覧は、以下のとおりです。
- 住宅資金特別条項の要件(記事一覧)
- 個人再生で住宅資金特別条項を利用するための要件とは?(まとめ)
- 個人再生の再生計画に住宅資金特別条項を定めるための要件とは?
- 個人再生で住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されるための要件(不認可事由がないこと)とは?
- オーバーローンでなければ個人再生の住宅資金特別条項を利用できないのか?
- 諸費用ローンがあっても個人再生の住宅資金特別条項は利用できるか?
- 住宅資金特別条項の「住宅」(記事一覧)
- 住宅資金貸付債権(記事一覧)
- 住宅ローンの巻戻し(記事一覧)
- 住宅ローン以外の債権の担保が設定されている住宅でも個人再生の住宅資金特別条項を利用できるか?
- 住宅以外の不動産に共同抵当権が設定されている場合でも個人再生の住宅資金特別条項を利用できるか?
- ペアローン(記事一覧)
なお、その他債務整理に関する記事は、以下のページをご覧ください。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の概要
前記のとおり、個人再生においては「住宅資金貸付債権に関する特則」が設けられています。一般には「住宅資金特別条項」と呼ばれています。「住宅ローン特則」などと呼ばれることもあります。
住宅資金特別条項を利用できる場合、住宅ローンを通常どおり(または若干のリスケジュールをして)支払い続けることによって自宅を維持しつつ、住宅ローン以外の借金を個人再生によって債務整理することが可能となります。
自己破産の場合、住宅ローンの残っている自宅は処分されます。任意整理で住宅ローン以外の債務を任意整理する方法もありますが、債務の減額は難しいでしょう。
そのため、住宅ローンの残っている自宅を維持したまま債務整理をする方法としては、個人再生の住宅資金特別条項を利用する方法が最も確実です。
ただし、住宅資金特別条項を利用するためには、個人再生の要件を満たしていることはもちろん、さらに、住宅資金特別条項に固有の要件も満たしていなければならないため、利用のハードルはそれほど低くありません。
住宅資金特別条項に固有の要件とは、まず住宅資金特別条項を再生計画に定めることができる要件を満たしていることが必要です。その上で、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可要件も満たしている必要があります。
住宅資金特別条項に定められる内容としては、①正常返済型(そのまま型)、②期限の利益回復型、③リスケジュール型、④元本猶予期間併用型、⑤合意型があります。実務では、そのまま型や合意型が多いでしょう。
そのまま型を利用するには、住宅ローンの返済を再生手続開始後も継続していく必要があります。そのため、裁判所に一部弁済許可を申し立て、住宅ローンだけは返済を継続していく許可をしてもらわなければなりません。
住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されると、住宅ローンを住宅資金特別条項に定めた内容に従って従前のとおり(またはリスケして)返済を継続していくことができます。これにより、住宅を失わずに済むことになります。
弁護士の探し方
「個人再生をしたいけれど、どの弁護士を選べばいいのか分からない」
という方は少なくないでしょう。
現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理・個人再生の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
参考書籍
本サイトでも個人再生について解説していますが、個人再生をより深く知りたい方のために、参考書籍を紹介します。
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。