この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは何?
- A
個人再生の住宅資金特別条項とは、住宅ローン(住宅資金貸付債権)だけ減額・分割払いの対象から外して、契約どおり(または若干リスケジュールして)返済できるようにする制度です。これにより、住宅ローンの残る自宅を競売にかけられることがなくなり、自宅を維持したまま他の借金を整理できます。
このページでは、個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは何かについて詳しく説明します。
- 個人再生の住宅資金特別条項とは何か
- 住宅資金特別条項を利用する4つのメリット
- 住宅資金特別条項で住宅ローンだけ特別扱いされる理由
- 住宅資金特別条項を利用するための条件(要件)と利用できないケース
- 住宅資金特別条項に定められる内容や必要書類

個人再生の住宅資金特別条項とは
個人再生とは、裁判所に再生計画を認可してもらうことによって、借金を大幅に減額(最大で10分の1)した上で、3~5年の分割払いにできる手続のことです。
個人再生には、継続的な収入がある人全般が広く利用できる小規模個人再生と、サラリーマンや公務員など定期的な収入がある人だけが利用できる給与所得者等再生の2種類の手続があります。
この小規模個人再生と給与所得者等再生の両方で使える特殊な制度として、「住宅資金貸付債権に関する特則」制度が設けられています。住宅資金特別条項と呼ばれます。「住宅ローン特則」「住宅ローン特別条項」「住宅条項」などと呼ばれることもあります。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは、住宅ローンだけ個人再生の減額などの対象から外すことで、今までどおり(または若干リスケジュール)して返済できるようになるため、自宅を残したまま借金を整理できる制度です。
住宅資金特別条項を使うと、住宅ローンを減額対象から外せるので、ローン会社に自宅を競売にかけられずに済みます。
しかも、住宅ローン以外の借金は個人再生で減額・分割払いにできるため、住宅ローンの残る自宅を維持したまま借金を整理する方法として最も強力な制度です。
住宅資金特別条項の4つのメリット
住宅資金特別条項を使うと、住宅ローンの残る自宅を残したまま債務整理できます。住宅資金特別条項があること自体が、個人再生のかなり大きなメリットです。
ここでは、住宅資金特別条項のメリットを4つ詳しく説明します。
メリット1:自宅を競売にかけられなくなる
住宅ローン契約では、対象の住宅に抵当権が設定されます。住宅ローンを債務整理の対象にすると、ローン会社は抵当権を実行して住宅を競売にかけ、売却処分します。
しかし、住宅資金特別条項を定めた再生計画が裁判所に認可されると、住宅ローンだけは個人再生による減額の対象から外して、契約どおり(または若干リスケジュールして)返済を続けられます。
ほとんど契約どおりに返済するため、ローン会社に住宅を競売にかけられません。そのため、住宅資金特別条項を使うと、自宅を競売で失わずに済みます。
メリット2:住宅ローン以外の借金は減額できる
住宅資金特別条項はあくまで住宅ローンだけ減額の対象から外す制度です。住宅ローン以外の借金は、個人再生によって大幅に減額した上で分割払いにしてもらえます。
住宅ローンの残る自宅を維持したまま他の借金を大幅に減額できる唯一無二の方法です。
| 借金・債務 | 住宅資金特別条項を使わない場合 | 住宅資金特別条項を使った場合 |
|---|---|---|
| 住宅ローン | 減額される(他の借金と同じように分割払いで返済していく) ただし、自宅はローン会社に競売で処分される | 減額されない(契約どおりまたは若干リスケジュールして返済していく) ただし、自宅を維持できる |
| 住宅ローン以外 | 減額される | 減額される |
メリット3:任意整理よりも借金の負担を大きく減らせる
任意整理は対象を選べます。そのため、住宅資金特別条項と同じように、住宅ローンだけ対象から外して競売を回避しつつ、他の借金を整理することが可能です。
しかし、任意整理では、ほとんど借金の減額は期待できません。毎月の返済額を減らせる程度です。他方、個人再生では借金の大幅な減額が可能です。
債務整理としては、住宅資金特別条項を使う個人再生の方がかなり強力です。
メリット4:自己破産と違って自宅を残せる
自己破産には、借金全額を帳消しにできるメリットがあります。借金の返済の面でみれば、個人再生よりも強力です。
しかし、自己破産の場合は、住宅ローンだけ対象から外すことはできません。また、財産の処分も必要です。
そのため、自己破産の場合、住宅ローンの残る自宅は、ローン会社に競売されるか、破産管財人によって売却処分されます。自宅を残すことはできません。
住宅ローンの残る自宅を手放したくない場合は、個人再生を選ぶ必要があります。
住宅資金特別条項の利用条件(要件)
住宅資金特別条項は、住宅ローンの残る自宅を維持したまま借金を整理できる強力な制度ですが、利用の要件は複雑です。
例えば、以下のような要件を満たしていないと住宅資金特別条項は使えません。
- 個人再生(小規模個人再生または給与所得者等再生)の要件を充たしていること
- 対象とする建物が、申立てをした本人(再生債務者)が所有し、床面積の2分の1以上の部分を専ら居住の用に供している「住宅」であること
- 住宅資金特別条項の対象となる債権が「住宅資金貸付債権」に当たること
- 住宅資金貸付債権が法定代位により取得されたものでないこと
- 対象となる住宅に住宅ローンなど住宅資金貸付債権のための抵当権ではない担保が設定されていないこと
- 対象となる住宅以外の不動産にも住宅ローンなど住宅資金貸付債権の抵当権が設定されている場合には、その住宅以外の不動産に後順位抵当権者がいないこと
- 再生債務者が住宅の所有権または住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれないこと
以下、基本的な要件を説明します。
要件1:小規模個人再生・給与所得者等再生の要件を充たしている
住宅資金特別条項は、小規模個人再生・給与所得者等再生のいずれでも利用できます。とは言え、あくまで個人再生のオプションですので、小規模個人再生または給与所得者等再生の要件を満たしていることが前提です。
個人再生を申し立てずに住宅資金特別条項だけ利用することはできません。
要件2:対象の自宅が民事再生法で定める「住宅」に該当している
住宅資金特別条項で残せるのは、民事再生法で定める「住宅」です。具体的には、以下の条件を満たす建物でなければいけません。
- 申し立てした本人が所有していること
- 日常的に生活していること
- 床面積の2分の1以上を居住専用にしていること
つまり、所有する「自宅・マイホーム」でなければならないのです。他人に貸しているような建物は対象外です。
なお、住宅に該当する建物が複数ある場合でも、対象になるのはメインの建物だけです。
要件3:住宅ローンが「住宅資金貸付債権」に該当している
住宅資金特別条項の対象となる住宅ローンは、民事再生法で定める「住宅資金貸付債権」でなければなりません。住宅資金貸付債権とは、以下の条件を満たすものを指します。
- 貸付債権(借金)であること
- 分割払いであること
- 住宅の建設・購入・改造のための資金であること
- 住宅に抵当権が設定されていること
一般的な住宅ローンであれば、住宅資金貸付債権に該当することが大半です。
要件4:住宅ローンが法定代位により取得されたものでない
住宅資金貸付債権(住宅ローン)が、法定代位により取得されたものである場合は、住宅資金特別条項を利用できません。
例えば、連帯保証人が代わりに住宅ローンを支払った場合(代位弁済)、ローン会社から連帯保証人に住宅ローンの債権者が入れ替わります。この場合は、住宅資金特別条項を使えなくなります。
ただし、ただの連帯保証人ではなく、保証会社が代位弁済した場合は、代位弁済した日から6か月以内に個人再生を裁判所に申し立てれば、住宅資金特別条項を使えます。
6か月以内に申し立てると保証会社による代位弁済はなかったことになり、ローン会社が債権者に復帰します。これを「巻戻し」と呼んでいます。
要件5:住宅に住宅ローンの抵当権以外の担保が設定されていない
住宅資金特別条項を利用するには、対象の住宅に、住宅ローンの抵当権以外に担保が設定されていないことも必要です。
例えば、自宅に、住宅ローンの抵当権だけでなく、別の借金を担保するための抵当権や不動産質権などが付いていると、住宅資金特別条項は利用できません。
また、税金を滞納したため住宅に滞納処分の差押えがされている場合も、住宅資金特別条項を使えなくなります。
要件6:住宅以外の共同抵当不動産に後順位抵当権者がいない
住宅ローンを担保するため、住宅に加えて住宅以外の不動産にも抵当権(共同抵当)を設定することがあります。
この住宅以外の不動産に、住宅ローンの抵当権に劣後する抵当権が設定されていると、住宅資金特別条項が使えなくなります。
共同抵当が設定されている場合は、すべての不動産の登記を確認しておきましょう。
要件7:住宅や敷地利用権を失う見込みがない
住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されたとしても、結局住宅の所有権や敷地の利用権がなくなってしまうのでは意味がありません。
そのため、住宅の所有権や敷地利用権を失う見込みがないことも、住宅資金特別条項の要件です。
例えば、税金を滞納している場合、住宅を差し押さえられて、所有権を失うおそれがあります。マンション管理費を滞納している場合も、自宅マンションを競売される可能性があります。
そのため、税金やマンション管理費を滞納している場合は、住宅資金特別条項を利用できないケースがあります。
住宅資金特別条項が利用できない代表的ケース
住宅資金特別条項は、住宅ローンの残る自宅を維持したまま債務整理できる非常にメリットのある制度です。ただし、多くの条件を満たしていないと利用できません。
住宅資金特別条項が利用できないケースとしては、以下のような場合があります。
- そもそも個人再生の条件を満たしていない
返済可能な程度の継続的な収入がないなど、個人再生自体の条件を満たしていない場合は、住宅資金特別条項も使えません。 - 住宅ローン残額よりも住宅の価値が高すぎる
住宅の価値が住宅ローン残高を超える部分は、資産です。住宅の価値が高すぎると、支払不能のおそれがないとして個人再生自体が認められない可能性があります。また、清算価値に加算されて返済総額が高額になり、返済不能と判断されるケースもあり得ます。 - 自宅に住宅ローン以外の担保がついている
住宅ローン以外に、事業融資を担保するための抵当権や他人の借金を担保するための抵当権がついているような場合は、住宅資金特別条項を使えません。支払いをするなどして、抵当権を外してもらうほかないでしょう。 - 自宅が税金の滞納で差し押さえられている
税金を滞納しているため、自宅が滞納処分により差し押さえられている場合も、住宅資金特別条項を使えない典型的なケースです。税金を支払って滞納処分を解除してもらう必要があります。 - 税金やマンション管理費を滞納している
税金やマンション管理費の滞納があると、いずれ自宅を差し押さえられる可能性があるため、住宅資金特別条項を利用できません。税務署・市町村役場や管理組合と、分納について合意をしておく必要があります。
自分の状況で住宅資金特別条項を利用できるか否かを正確に知りたい場合は、やはり弁護士に直接相談した方がよいでしょう。
住宅資金特別条項に定めることができる内容
住宅資金特別条項制度を利用するには、再生計画に民事再生法で決められている内容の住宅資金特別条項を定めなければいけません。
住宅資金特別条項として定めることができるものとしては、以下の5つのタイプがあります(民事再生法199条1項~4項)。
- そのまま型(正常返済型)
当初の約定に変更を加えず、その約定どおりに弁済を継続していくタイプ。 - 期限の利益回復型
すでに遅滞に陥っている部分と約定の債務を再生計画で定めた期間内に弁済することで、遅滞に陥ったことによって生じていた期限の利益喪失の効果を失わせるタイプ。 - リスケジュール型
期限の利益回復型による再生計画認可の見込みがない場合に、利息と遅延損害金を含めた住宅ローンの全額を弁済することを条件として、支払期限を延長し、各回の弁済額を減額するタイプ。 - 元本猶予期間併用型
期限の利益回復型またはリスケジュール型による再生計画認可の見込みがない場合に、リスケジュール型に、再生計画期間内において元本の一部の弁済猶予を受けることを加えるタイプ。 - 合意型
住宅ローン債権者の同意を得て条件を定めるタイプ。
実務では、住宅ローンを滞納していない場合は「そのまま型」が利用されることが最も多く、滞納がある場合などに他のタイプが検討されます。
そのまま型の注意点:一部弁済許可を忘れずに申し立てる
住宅ローンを滞納していない場合、「そのまま型」で進めることが多いでしょう。
なお、そのまま型を採用する場合は、手続中も住宅ローンの返済を継続する必要があるため、裁判所に住宅ローンだけ返済することを許可(一部弁済許可)してもらう必要があります。
この一部弁済許可を忘れると、住宅ローンの返済がすべて偏頗弁済になってしまいます。偏頗弁済した金額は清算価値となり、返済予定額に加算されてしまう場合があるので、忘れないようにしましょう。
住宅資金特別条項の必要書類
個人再生で住宅資金特別条項を利用する場合、以下のような書類が必要となります。
| 必要書類 | 備考 |
|---|---|
| 住宅ローンの金銭消費貸借契約書 | 常に必要 |
| その他契約書類(金利に関する合意書や覚書など) | 契約書以外に作成しているものがある場合は必要 |
| 変更契約書 | 契約変更している場合に必要 |
| 保証委託契約書 | 保証会社が付いている場合に必要 |
| 自宅の不動産登記事項証明書 | 常に必要 どこの法務局でも取得できる |
| 共同抵当不動産の登記事項証明書 | 共同抵当が設定されている場合に必要 どこの法務局でも取得できる |
| 住宅ローンの償還表・返済計画表 | 常に必要 |
| 住宅の査定書・鑑定書 | 常に必要 無料査定でも可。ただし、複数社の査定を提出する必要がある(例えば、東京地裁では、大手不動産会社の査定は2社以上、その他の査定は3社以上) |
契約書や償還表などを紛失してしまっている場合は、住宅ローン会社に依頼して再発行してもらう必要があります。
住宅資金特別条項が認められる理由
個人再生では、複数の債権者がいる場合、全員を平等・公平に扱わなければいけないのが原則です(債権者平等の原則)。
それにもかかわらず、住宅資金特別条項は、住宅ローンの債権者(住宅ローン会社)だけ特別な扱いを認めています。
ここでは、なぜ住宅資金特別条項が認められるのかについて説明します。
理由1:債務者の経済的再生に資する
住宅資金特別条項が認められる最大の理由は、債務者の経済的再生を図るために必要だからです。
借金を減額できても、自宅を失ってしまうと生活を立て直すのに時間がかかります。自宅を維持したままの方がよりスムーズに再生を図れます。
理由2:住宅ローンの返済は不当性が小さい
住宅資金特別条項の対象にできるのは、住んでいる自宅の住宅ローンに限られます。
住宅ローンも借金であるとは言え、自宅の住宅ローンであるため、賃借している自宅の家賃や地代を支払うのに近い部分があります。
そのため、住宅ローンの返済は、不当な支払い(偏頗弁済)とまでは言えないことが、住宅資金ローンだけ特別扱いする理由のひとつです。
理由3:住宅ローンを返済すると清算価値も上がる
住宅ローンを返済し続けるほど、ローン残高が減り、自宅の価値が上がります。
個人再生には、申し立てた本人(再生債務者)の持っている財産の価値総額(清算価値)以上の金額を返済しなければならないとするルール(清算価値保障原則)があります。
自宅の価値が上がると、清算価値も上がり、住宅ローン以外の債権者も多くの支払いを受けられるようになる可能性があります。
住宅ローンの支払いが他の債権者の利益の増加につながる可能性があることも、住宅資金特別条項が認められる根拠になります。
理由4:自宅の価値に相当する金額は返済する
前記のとおり、個人再生には、申し立てた本人(再生債務者)の持っている財産の価値総額(清算価値)以上の金額を返済しなければならないとするルール(清算価値保障原則)があります。
自宅の住宅ローンが残っている場合、自宅の価値は住宅ローン残額を差し引いて考えます。
オーバーローン(自宅の価値よりも住宅ローン残額の方が大きい場合)であれば、自宅に価値はありません。売却されても住宅ローン会社に全額払われるだけで、他の債権者には何も支払われません。
他方、アンダーローン(住宅ローン残額よりも自宅の価値の方が大きい場合)の場合には、清算価値保障原則により、他の債権者に自宅の価値以上の金額は最低でも返済されます。
そのため、住宅ローンの残る自宅を再生債務者のもとに残したままにしても、債権者に不公平をもたらすことになりません。債権者平等に反しないことが、住宅資金特別条項を許容できる理由になっています。
住宅資金特別条項に関するよくある質問
以下では、個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)に関するよくある質問をQ&A形式で説明します。
なお、住宅資金特別条項を利用できるかどうかで問題となるケースについての説明は、下記リンク先も参照してください。
自宅を競売にかけられていても利用できる?
- Qすでにローン会社によって自宅を競売にかけられてしまっている場合でも、住宅資金特別条項を利用できる?
- A
はい。すでに自宅を競売にかけられている場合でも、開札期日(落札者を決める手続)にまで至っていなければ住宅資金特別条項を利用可能です。
住宅資金特別条項を利用する場合、裁判所の個人再生手続において、すでに開始されている競売を取り消すことが可能です(抵当権実行手続の命令)。
そのため、すでに競売の手続が始まっている場合でも、競売の手続が開札期日(落札者を決める手続)に至る前に個人再生を裁判所に申し立て、競売の中止命令を出してもらえれば、住宅資金特別条項を利用できます。
ただし、開札期日までは大丈夫といっても、個人再生の審査もあります。あまりにギリギリだと中止命令が間に合わないかもしれません。できる限り余裕をもって早めに個人再生を申し立てることが大切です。
住宅ローンがない自宅には使えない?
- Q自宅に住宅ローンがない(残っていない)場合は、住宅資金特別条項を使えない?
- A
はい。住宅資金特別条項は、住宅ローンの残っている自宅が対象であるため、住宅ローンのない自宅には使えません。
住宅資金特別条項は、住宅ローンだけ個人再生による減額等の対象から外す制度です。そのため、住宅ローンの残っていない自宅には使えません(使う意味もありません。)。
オーバーローンでない場合(アンダーローン)も使える?
- Q自宅の査定額が住宅ローンの残額よりも大きい場合(アンダーローン)でも、住宅資金特別条項を使える?
- A
はい。アンダーローン(住宅の価値が住宅ローンの残額を上回る場合)でも、住宅資金特別条項の利用は可能です。
住宅資金特別条項を利用できるのは、オーバーローン(住宅の価値が住宅ローン残額を下回る場合)だけに限らず、アンダーローンの場合でも利用可能です。
ただし、アンダーローンの場合、住宅ローン残額を超える部分は清算価値として扱われます。
住宅ローン残額を住宅の価値が大きく超えていると、返済額が高額となってほとんど減額できず、個人再生自体利用できないケースもあります。
実際、アンダーローンで住宅の価値の方が高いため、清算価値が高額となり、個人再生できないケースも多いです。
住宅資金特別条項で住宅ローン自体も減額できる?
- Q住宅資金特別条項を使うと、住宅ローン自体も減額できる?
- A
いいえ。住宅資金特別条項を使うと、住宅ローンを減額できません。ただし、住宅資金特別条項で定める内容によっては、毎月の返済額を減らせる場合はあります。
住宅資金特別条項は、住宅ローンを個人再生による減額の対象から外すための制度です。そのため、住宅資金特別条項を利用する場合は、自宅を残すことはできるものの、住宅ローン自体は減額できません。
なお、住宅資金特別条項では、リスケジュール型や元本猶予併用型などのタイプがあります。これらのタイプを選べば、住宅ローンの元金は減らせないものの、毎月の返済額は減額できることがあります。
また、住宅資金特別条項の合意型でも、住宅ローン会社が承諾すれば毎月の返済額を減らせます。なお、合意型の場合は、理論上は元金減額も可能ですが、住宅ローン会社が元金減額に合意することはないでしょう。
住宅ローン自体を減額したいのであれば、住宅資金特別条項を使ってはいけません。しかし、住宅資金特別条項を使わないと、自宅は競売で処分されてしまいます。
諸費用ローンがあると利用できない?
- Q住宅ローンを借りる際、手続費用なども諸費用ローンとして借り、まとめて自宅に抵当権を付けている場合、住宅資金特別条項は利用できない?
- A
いいえ。諸費用ローンがあっても住宅資金特別条項を利用できるケースは多いです。
諸費用ローンとは、住宅の建設資金や購入資金のための住宅ローンそのもののほかに、住宅の建設や購入等に付随して必要となる各種費用を支払うための資金の借入れのことです。
この諸費用ローンも、住宅ローン本体に含めて抵当権が設定されるのが通常です。
そのため、住宅の建設・購入・改造の資金ではない借金を担保するための抵当権が住宅に設定されていることになってしまうので、住宅資金特別条項を利用できないのが原則です。
しかし、諸費用ローンも住宅の建設・購入・改造のために必要不可欠な借金であることを説明することで、住宅資金特別条項の利用を認めてもらえるケースは多いです。
ペアローンだと利用できない?
- Qペアローンで住宅ローンを組んでいる場合、住宅資金特別条項を利用できない?
- A
いいえ。ペアローンでも、住宅資金特別条項を利用できるケースはあります。
ペアローンとは、夫婦などが住宅を共有し、それぞれの持分に応じて各自個別に住宅ローンを組み、その各自の住宅ローンを担保するために共有住宅全体に抵当権を設定することです。
ペアローンの場合、申し立てた本人所有の住宅に、ペア(配偶者)の借金の抵当権が設定されていることになってしまうので、住宅資金特別条項を利用できないのが原則です。
ただし、東京地方裁判所をはじめとする多くの裁判所では、ペアローン債務者がふたりとも個人再生を申し立てた場合は、ふたりとも住宅資金特別条項の適用を認める運用を採用しています。
そのため、ペアローンを組んでいるふたりで個人再生を申し立てれば、ペアローンであっても住宅資金特別条項の利用は可能です。
なお、ペアの一方のみで申し立てる場合でも、事情によっては住宅資金特別条項の利用が認められるケースもあります。
この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。
弁護士の探し方
「個人再生をしたいけど、どの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。
現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・休日対応・メール相談可
- 所在地:東京都台東区
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・依頼後の出張可
- 所在地:東京都墨田区
- 相談無料
- 24時間対応・秘密厳守・匿名相談可能・メールフォーム・LINE相談可能
- 所在地:東京都千代田区
参考書籍
本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。
個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。
破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。
事例解説個人再生 大阪再生物語(第3版)
編集:中尾彰ほか 出版:大阪弁護士協同組合
大阪地裁の個人再生の実務運用を解説する実務書。事例形式になっています。書式集も付いているので、実務家以外でも参考にできます。
書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。




