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オーバーローンでなければ個人再生の住宅資金特別条項を利用できないのか?

住宅資金特別条項の画像
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住宅(敷地)の査定額が住宅ローンの残額よりも少額な場合(いわゆる「オーバーローン」)だけでなく、査定額が住宅ローンの残額よりも高額な場合(いわゆる「アンダーローン」)でも、個人再生の住宅資金特別条項を利用することは可能です

ただし、アンダーローンの場合、住宅の査定額と住宅ローン残額の差額は清算価値として扱われ、その清算価値以上の額は最低限返済していかなければなりません。

そのため、住宅ローン以外の返済額が高額となり、場合によっては、返済を継続している見込がないものとして、再生計画の認可を受けられないこともあるため、注意が必要です。

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)利用のための要件

個人再生における住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の制度は、住宅ローンなど住宅資金貸付債権だけは通常どおり(またはリスケして)返済を行いながら、その他の借金等債務については大幅な減額を認めるという制度です。

住宅ローンは通常どおりに支払いを続けていくため、住宅を競売にかけられて処分されることがなくなり、自宅を残したまま、住宅ローン以外の借金等を整理できるようになります。

住宅資金特別条項を利用するためには、個人再生本体(小規模個人再生または給与所得者等再生)の要件だけでなく、住宅資金特別条項を利用するための固有の要件も満たしている必要があります。

もっとも、対象となる「住宅」は、居住している自宅であることなどの要件はあるものの、住宅(敷地)の査定額が住宅ローンの残額よりも少額でなければならないというような要件はありません。

したがって、住宅(敷地)の査定額が住宅ローンの残額よりも少額な場合(いわゆる「オーバーローン」)だけでなく、査定額が住宅ローンの残額よりも高額な場合(いわゆる「アンダーローン」)でも、個人再生の住宅資金特別条項を利用することは可能です。

ただし、住宅(敷地)の査定額が住宅ローンの残額よりも高額な場合には、後述のとおり、清算価値の問題が生じます。

オーバーローンではない(アンダーローン)住宅の注意点

前記のとおり、住宅(および敷地)の査定額が住宅ローンの残額よりも高額な場合(アンダーローン)でも、個人再生の住宅資金特別条項を利用することは可能です。

もっとも、個人再生には、清算価値保障原則があります。清算価値保障原則とは、再生計画における弁済率が破産における場合の配当率以上でなければならないとする原則のことをいいます。

要するに、持っている財産の価額以上は、個人再生が成功しても返済しなければならず、それ以上は減額できないとする原則です。

オーバーローンであれば、住宅査定額よりも住宅ローン額の方が大きいので、その住宅には価値が無いものとして扱われ、清算価値に計上されません。

しかし、アンダーローンの場合、その住宅には、住宅の査定額から住宅ローン残額を引いた金額分の価値があることになります。その価値は、清算価値となります。

したがって、住宅の査定額から住宅ローン残額を引いた差額は、個人再生をしても、(住宅ローンとは別に)最低限支払わなければならないということです。他にも価値のある財産があれば、その金額も加算されます。

この差額が高額になると、現在の収支状況では、個人再生をしてもその差額分を返済していくことが無理である判断されて、個人再生の認可を受けられない可能性が生じてしまいます。

オーバーローンか否かの確認

上記のとおり、住宅がオーバーローンなのかアンダーローンなのかは、個人再生を利用できるかどうかそのものに関わってきます。

実際、他の住宅資金特別条項の要件は充たしているものの、アンダーローンで住宅の価値が大きすぎるため、個人再生を利用できないというケースは少なくありません。

したがって、個人再生の住宅資金特別条項を利用しようという場合には、まず、住宅の査定をとり、オーバーローンなのかアンダーローンなのか、アンダーローンだとした場合、差額はどのくらいになるのかを、あらかじめよく確認しておく必要があります。

なお、住宅の査定は、不動産会社等が行っている無料査定でかまわないでしょう。ただし、1社だけではなく、複数社から査定をとっておく必要があります。

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