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小規模個人再生・給与所得者等再生に共通する個人再生に固有の再生手続開始要件とは?

個人再生の画像
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個人再生の再生手続を開始してもらうためには、民事再生共通の再生手続開始要件だけでなく、個人再生に固有の再生手続開始要件を満たしていることも必要です。

個人再生に固有の要件には、小規模個人再生・給与所得者等再生に共通するものもあります。具体的には、①債務者が個人であること、②継続的または反復して収入を得る見込みがあること、③再生債権額が5000万円を超えないことなどが挙げられます。

個人再生に固有の再生手続開始要件

個人再生も裁判手続ですから、個人再生手続を開始してもらうためには、民事再生法で定める再生手続開始の要件を満たしている必要があります。

再生手続開始要件には、民事再生手続全般に共通する要件のほか、個人再生に固有の要件もあります。

個人再生には小規模個人再生給与所得者等再生という2つの手続が設けられています。

個人再生の固有の要件には、小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する要件、小規模個人再生に固有の要件、給与所得者等再生に固有の要件があります。

個人再生に固有の再生手続開始要件のうち、小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する要件としては、以下のものがあります。

小規模個人再生・給与所得者等再生に共通する個人再生固有の再生手続開始要件
  • 債務者が個人であること
  • 債務者に継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること(利用適格要件)
  • 再生債権額が5000万円を超えていないこと

これら小規模個人再生・給与所得者等再生共通の要件を満たした上で、さらにそれぞれの手続特有の再生手続開始要件を満たしていなければ、個人再生手続は開始されないのです。

債務者が個人であること

民事再生法 第221条

  • 第1項 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が5000万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。

民事再生法 第239条

  • 第1項 第221条第1項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「給与所得者等再生」という。)を行うことを求めることができる。

個人再生と銘打っているくらいですから、小規模個人再生・給与所得者等再生を利用できるのは個人(自然人)だけです(民事再生法221条1項、239条1項)。法人は利用できません。

なお、個人再生手続が用意されているからといって、個人は個人再生しか利用できないというわけではありません。個人であっても通常民事再生手続を利用することは可能です。

継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること

個人再生は、大幅な減額がなされることがあるとはいえ、債務を返済していかなければなりません。

したがって、少なくとも、個人再生を利用しようとする債務者は、継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある者でなければならないとされています(民事再生法221条1項、239条1項)。この要件を「利用適格要件」と呼んでいます。

収入がない場合はもちろん、継続的にまたは反復して収入を得る見込みがない場合、すなわち、収入がまったく安定していないような場合には、個人再生が利用できないということです。

なお、給与所得者等再生の場合には、継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある上で、さらに、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれることも必要となります。

再生債権額が5000万円を超えていないこと

個人再生には、負債総額の上限があります。

すなわち、負債総額(具体的にいえば、無担保債権の総額)が5000万円以下でなければ、個人再生は利用できません。これを超える場合には、通常の民事再生を利用することになります。

この5000万円の限度額には、元本だけでなく利息遅延損害金も含まれます。

ただし、上記のとおり、負債総額は無担保債権の総額です。つまり、住宅ローンや担保権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる債権の金額等は含まれません。

なお、住宅資金特別条項を利用する場合には、住宅ローン以外のサラ金等からの借金など無担保債権総額が5000万円以下であれば、個人再生を利用することが可能です。

その他の要件

以上が、個人再生を開始してもらうための小規模個人再生・給与所得者等再生に共通する再生手続開始の要件です。これらの要件が満たされていなければ、そもそも個人再生を利用することができません。

この上でさらに、民事再生全般に共通する再生手続開始要件、小規模個人再生固有の要件、給与所得者等再生固有の要件を満たしている必要があります。

また、以上の要件をすべて満たし個人再生を利用できるとしても、当然に、個人再生がうまくいくというわけではありません。

個人再生においては、最終的に再生計画が裁判所によって認可されなければ上手くいったとはいえませんが、この再生計画認可のためには、さらに、再生手続開始の要件とは異なるさまざまな要件を満たしていなければなりません。

したがって、個人再生を利用しようという場合には、前記の要件を満たしているかどうかだけではなく、最終的に再生計画の認可の要件も満たしているかどうかまで考えておく必要があることには、注意が必要です。

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