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個人再生申立て時に提出する債権者一覧表とは?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

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債権者一覧表とは、個人再生手続開始の申立てをした債務者に対して債権を有している者の一覧表です。個人再生の申立てにおいては、個人再生申立書のほか、債権者一覧表を添付して提出する必要があります(民事再生法221条3項、244条)。

個人再生の場合、再生手続開始後に債権者一覧表を訂正することができません。したがって、申立て前に十分な債権調査をしておく必要があります。

債権者一覧表の提出

民事再生法 第221条

  • 第3項 前項の申述をするには、次に掲げる事項を記載した書面(以下「債権者一覧表」という。)を提出しなければならない。
  • 第1号 再生債権者の氏名又は名称並びに各再生債権の額及び原因
  • 第2号 別除権者については、その別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる再生債権の額(以下「担保不足見込額」という。)
  • 第3号 住宅資金貸付債権については、その旨
  • 第4号 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があるときは、その旨
  • 第5号 その他最高裁判所規則で定める事項

民事再生法 第244条

  • 第221条第3項から第5項まで、第222条から第229条まで、第232条から第235条まで及び第237条第2項の規定は、給与所得者等再生について準用する。

個人再生の手続(小規模個人再生給与所得者等再生)を開始してもらうためには、管轄の裁判所に個人再生の申立書を提出する方式で個人再生手続開始の申立てをする必要があります。

もっとも、ただ申立書を提出しただけでは、どのような債権があるのかが分かりません。債権の内容や金額が分からなければ、再生手続開始原因や返済能力があるのかも分かりません。

そこで、個人再生の申立てをする際には、申立書に「債権者一覧表」を添付して提出しなければならないとされています(民事再生法221条3項、244条)。

債権者一覧表とは、個人再生手続開始の申立てをした債務者に対して債権を有している者の一覧表のことです

債権者一覧表の記載事項

民事再生法 第221条

  • 第4項 再生債務者は、債権者一覧表に各再生債権についての再生債権の額及び担保不足見込額を記載するに当たっては、当該額の全部又は一部につき異議を述べることがある旨をも記載することができる。

民事再生規則 第114項

  • 第1項 債権者一覧表には、法第221条(手続開始の要件等)第3項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項をも記載しなければならない。
  • 第1号 再生債権者の住所、郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)
  • 第2号 法第84条(再生債権となる請求権)第2項各号に掲げる請求権については、その旨
  • 第3号 執行力ある債務名義又は終局判決のある債権については、その旨
  • 第2項 債権者一覧表には、副本を添付しなければならない。

民事再生規則 第140条

  • 第114条(債権者一覧表の記載事項等)、第115条(住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある場合の特則)、第117条から第126条まで(個人再生委員、再生債権の届出の方式、再生債権に関する資料の送付、届出再生債権を記載した書面、異議の方式、特別異議申述期間を定める決定等の送達、異議の撤回、債権者一覧表等の副本等による閲覧等、再生債務者による債権者一覧表等の開示、異議の通知及び再生債権の評価の申立ての方式等)、第128条から第130条の2まで(財産目録の記載の簡略化、再生債務者による財産目録等の開示、再生計画案の提出時期及び再生計画により変更されるべき権利等を記載した書面)及び第132条から第134条まで(再生計画変更の申立ての方式等、計画遂行が極めて困難となった場合の免責の申立ての方式及び再生手続廃止の申立ての方式)の規定は、給与所得者等再生について準用する。この場合において、第130条の2第2項中「第230条(再生計画案の決議)第4項」とあるのは、「第240条(再生計画案についての意見聴取)第2項」と読み替えるものとする。

債権者一覧表には以下の事項を記載しなければなりません(民事再生法221条3項、244条)。

債権者一覧表の記載事項
  • 再生債権者の氏名・名称、各再生債権の額・原因
  • 別除権者については、その別除権の目的である財産および別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる再生債権の額(担保不足見込額)
  • 住宅資金貸付債権については、その旨
  • 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があるときは、その旨
  • その他最高裁判所規則で定める事項

上記「最高裁判所規則」とは「民事再生規則」のことです。債権者一覧表には、以下の事項も記載する必要があります(民事再生規則114条1項、140条)。

最高裁判所規則(民事再生規則)で定める記載事項
  • 再生債権者の住所・郵便番号・電話番号・ファクシミリの番号
  • 法第84条(再生債権となる請求権)第2項各号に掲げる請求権については、その旨
  • 執行力ある債務名義または終局判決のある債権については、その旨

債権者一覧表には、上記のほか、再生債権額の全部または一部につき異議を述べることがある旨をも記載することができます(民事再生法221条、244条)。

個人再生の手続においては債権認否の手続が行われ、この手続において、再生債務者は、再生債権について異議を述べることができます。

この債権認否において異議を述べる可能性がある場合には、異議を留保する旨を債権者一覧表に記載しておくことになります。

異議留保を記載しておかないと、後に債権認否で異議を述べることができなくなります。そのため、実務では、再生債権(住宅資金貸付債権は除きます。)すべてに異議留保を記載しておくのが通常です。

債権者一覧表記載の注意点

個人再生においては、債権者一覧表は非常に重要です。

債権者一覧表は、再生手続開始後に訂正することができません。したがって、再生手続開始後に新たな債権者が発覚したとしても、その債権者を追加することができません。

債権者を追加することができないのですから、その新たな債権者には個人再生の通知もなされず、届出もされません。

つまり、新たな債権者の債権については、個人再生の再生計画認可による借金の減額分割払いの効果が生じなくなってしまうということです。その債権は、約定どおりに返済していかなければなりません。

そうすると、新たに発覚した債権の額によっては、その返済金額が高額なために再生計画に基づく弁済の履行可能性が無いと判断され、再生計画の認可も認められないという事態が生じる可能性があります。

そのため、個人再生を利用する場合には、再生債権を十分に調査し、漏れがないように債権者一覧表を作成して申立てをする必要があります。

また、前記のとおり、債権者一覧表に異議留保を記載しておかなければ、債権認否において異議を述べることができなくなります。異議留保も忘れずに記載しておく必要があります。

住宅資金特別条項を利用する場合には、住宅資金貸付債権についてはそれが住宅資金貸付債権である旨、住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する予定であることを記載しなければなりません。

これらを記載しておかなければ、住宅資金特別条項を利用できなくなってしまうので、忘れずに記載しておく必要があります。

各裁判所における債権者一覧表

各裁判所では、それぞれ債権者一覧表の書式が用意されています。

例えば、東京地方裁判所所定の債権者一覧表書式(個人再生用)では、以下の事項を記載することになっています。他の裁判所でも、おおむね同様でしょう。

債権者一覧表の記載事項(東京地裁の場合)
  • 再生債権の総額
  • 債権者名
  • 債権者の住所
  • 債権の種類
  • 債権の金額
  • 備考(住宅資金貸付債権である旨、住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する予定があること、その他債務名義があるかなどを記載します。)
  • 異議留保

なお、各裁判所の債権者一覧表の書式などについては、以下の記事も参照してください。

弁護士の探し方

「個人再生をしたいけどどの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。

現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。

しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。

債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。

そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。

ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。

他方、通常再生の場合は、対応できる事務所が限られてきます。小規模の事務所の場合には、対応が難しいこともあり得ます。その点からも、個人の債務整理では、通常再生ではなく、個人再生を選択した方がよいのです。

弁護士法人ひばり法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・依頼後の出張可
・所在地:東京都墨田区

レ・ナシオン法律事務所
・相談無料
・全国対応・メール相談可・LINE相談可
・所在地:東京都渋谷区

弁護士法人東京ロータス法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・休日対応・メール相談可
・所在地:東京都台東区

参考書籍

本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。

個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。

個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。

破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。

はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。

書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。

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