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個人再生における債権調査手続とは?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

個人再生の画像
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個人再生手続においては、再生債権額を確定させるために、再生手続内で債権調査手続が行われます。この債権調査は再生債務者が自ら行う必要があります。

具体的に言うと、個人再生の手続が開始されると、裁判所から債権者一覧表に記載された各再生債権者宛てに通知が送付され、各再生債権者は再生債権を届け出ます。再生債務者は、この届け出られた債権に対して認否を行います。

債権認否において認められた債権は、再生債権として確定します。他方、異議意見が提出された債権については、当該再生債権者は裁判所に対して債権評価手続を申し立てることができ、この評価手続において、債権の存否や金額が確定されます。

個人再生における債権調査手続

個人再生においては、再生計画認可決定後、再生債権について弁済を継続していかなければなりません。

そのため、再生計画に基づいて弁済すべき再生債権の金額はいくらなのかということを正確に確定させておく必要があります。そのために、個人再生の手続においては、「債権調査手続」が行われます。

債務整理をする場合、個人再生申立てをする前にも債権調査を行いますが、これとは別に、今度は裁判手続内で裁判所を介して、さらに正確な債権額等の調査を行うことになります。

この債権調査手続は、裁判所(および個人再生委員が選任されている場合は個人再生委員)のチェックも入るとはいえ、基本的には、再生債務者が自ら行わなければなりません(代理人弁護士が就いている場合には代理人が行います。)。

再生債権の届出

個人再生手続が開始されると、各債権者に対して、個人再生手続が開始されたことが通知されるとともに、個人再生の申立書と一緒に裁判所に提出された債権者一覧表も送付され、さらに、再生手続開始決定とともに定められた債権届出期間内に債権の届出をするよう通知がなされます。

債権の届出とは、要するに、自分が再生債務者に対して、どのような内容の、いくらの債権を持っているのかということを届け出るという手続です。

その際、債権の存在・金額を明らかにするための資料等も添付することになっています。

債権者からの債権届は、いったん裁判所に送付されますが、その後、裁判所から再生債務者(または代理人弁護士)に送付されます。

裁判所は、基本的に、どこから届出されたのかしかチェックしてくれませんので、債権の内容や金額については再生債務者側で自ら確認しておく必要があります。

この債権届出を提出してこない債権者もいますが、個人再生の場合には、みなし届出制度といって、債権者一覧表に記載のある債権については、届出がなくても、債権者一覧表に記載されている内容で届出があったものとみなすという制度が用意されています。

なお、債権者一覧表に記載のない債権について、債権届出期間を経過した後に届出がされた場合、原則としては再生計画に基づく弁済を受けることはできず、その弁済期間経過後まで弁済を受けることはできないとされています。

しかし、その再生債権者の責に帰することができない事情によって期間内に届出ができないと認められた場合には、特別異議申述期間が設けられて、その間に債権調査が行われることになります。

再生債権の認否

債権届出期間が終了すると、今度は、その届出がされた債権について、再生債務者(または他の再生債権者)が異議を述べることができる期間が開始されます。これを一般異議申述期間といいます。

再生債務者は、この一般異議申述期間内に、届出債権について認めるか認めないかの認否をしなければなりません。具体的には、裁判所(および個人再生委員)に対して、債権認否の一覧表を作成して提出することになります。

ただし、この債権認否において認めない(異議を述べる)ことができるのは、申立書に添付する債権者一覧表において、異議を留保していた債権に限られます。

そのため、申立ての段階では、基本的に、住宅資金貸付債権を除く債権にはすべて異議留保を付けておくのが通常です。

債権認否において認めた債権については、その金額が再生計画に基づく弁済金額算定の基準になります。

なお、前記のとおり、債権者一覧表に記載がある債権については、届出がなされていない債権であっても、みなし届出があったものとして扱われます。

したがって、債権者一覧表の内容に従って、債権認否をすることになります。

さらに、債権者一覧表に記載がなく、しかも届出がなされていない債権であっても、再生債務者がその債権があると認める場合には、自認債権として扱われ、再生計画に基づく弁済の対象となります。

ただし、自認債権には、他の再生債権のような議決権はなく、しかも基準債権に含まれません。

そのため、再生計画案作成の場合には、自認債権については、他の再生債権と同じように扱ってしまわないように注意する必要があります。

また、前記のとおり、債権者一覧表に記載のない債権について、債権届出期間を経過した後に届出がされた場合には、特別異議申述期間が設けられて、その間に債権認否が行われることになります。

再生債権の評価

前記の異議申述期間中に、再生債務者(または再生債権者)から、特定の債権について異議が述べられた場合には、その金額を新たに確定しなければなりません。

そこで、個人再生手続においては、異議申述期間の末日から3週間以内に、再生債権の評価申立てをすることができるとされています。

再生債権評価手続が行われる場合、必ず個人再生委員が選任されます。その個人再生委員が債権額の評価について調査をすることになります。

そして、個人再生委員の調査の結果を受けて、裁判所は、その債権について評価をし、その債権の金額を定めることになります。この評価手続を経て決められた債権のことを評価済債権といいます。

評価済債権も、再生計画に基づく弁済に含まれることになります。

再生債権額の確定

前記債権届出から債権評価までの債権調査手続の結果、再生債権額が確定されます。

債権認否において認めた債権(無異議債権)や債権評価手続で決められた債権(評価済債権)の金額に基づいて、再生計画における最低弁済額が定まることになります。

また、小規模個人再生では再生計画案の決議が行われます。この再生計画案の決議において、無異議債権や評価済債権はその額に応じて議決権を行使できます。

弁護士の探し方

「個人再生をしたいけどどの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。

現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。

しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。

債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。

そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。

ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。

他方、通常再生の場合は、対応できる事務所が限られてきます。小規模の事務所の場合には、対応が難しいこともあり得ます。その点からも、個人の債務整理では、通常再生ではなく、個人再生を選択した方がよいのです。

弁護士法人東京ロータス法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・休日対応・メール相談可
・所在地:東京都台東区

弁護士法人ひばり法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・依頼後の出張可
・所在地:東京都墨田区

レ・ナシオン法律事務所
・相談無料
・全国対応・メール相談可・LINE相談可
・所在地:東京都渋谷区

参考書籍

本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。

個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。

個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。

破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。

はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。

書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。

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