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小規模個人再生における再生計画案の議決権者とは?

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小規模個人再生においては、再生債権者による再生計画案の決議が行われます。この決議に議決権者として参加できるのは、無異議債権と評価済債権を有する届出再生債権者です

小規模個人再生における再生計画案の決議権者

個人再生手続には、小規模個人再生給与所得者等再生の2つの種類の手続が用意されています。

給与所得者等再生は、サラリーマンなど安定した収入が見込める債務者が利用可能な個人再生手続です。

給与所得者等再生の場合、債権者の意向にかかわらず、要件を満たしていれば再生計画の認可が認められますが、要件自体が厳格で、しかも、小規模個人再生の場合よりも返済額が高額になります。

これに対し、小規模個人再生の場合、給与所得者等再生よりも返済額が少額になることが多く、個人事業者など収入が一定でない人でも利用が可能とされています。

ただし、小規模個人再生の場合には、債権者の意向が再生計画の認可・不認可に大きく影響を及ぼします。

すなわち、小規模個人再生の場合、再生債務者が提出した再生計画案について議決権者による決議が行われ、その決議において、議決権者からの不同意・異議が、議決権者の頭数の半数以上または議決権者の議決権の額の合計が議決権額総額の2分の1を超える額になった場合には、再生手続は廃止になります。

この小規模個人再生における決議の議決権者になれるのは、無異議債権および評価済債権を有する届出再生債権者です。

再生計画案の決議における議決権者の要件
  • 再生債権の届出をしていること
  • 無異議債権または評価済債権を有する再生債権者であること

住宅資金特別条項を利用する場合の住宅資金貸付債権者(住宅ローン会社等)は、小規模個人再生の再生計画案についての議決権者には含まれません。

再生債権者とは

前記のとおり、小規模個人再生における再生債権者による再生計画案の決議に参加して議決権を行使できるのは、無異議債権有または評価済債権を有する届出再生債権者です。

したがって、議決権を取得するためには、再生債権を有していることが前提となります。

再生債権とは、再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権または一般優先債権であるものを除く)のことです(民事再生法84条1項)。

住宅資金特別条項を利用する場合の住宅資金貸付債権者(住宅ローン会社)は、再生債権者ではないので、決議権者にはなれません。

また、裁判費用の請求権などの共益債権の債権者や、先取特権を有する一般優先債権の債権者も、再生債権者ではないので、決議権者にはなれません。

債権の届出をしている再生債権者とは

再生債権者であっても、議決権者となるためには再生債権の届出が必要です。

個人再生の手続が開始されると、裁判所から各債権者に対して、再生債権を届け出るよう通知が送られます。これに応じて、再生債権の届出をした再生債権者が議決権者となります。

他方、裁判所に再生債権の届出をしていない場合には、再生債権者であっても、議決権者にはなりません。

無異議債権を有する再生債権者とは

前記のとおり、小規模個人再生における再生債権者による再生計画案の決議に参加して議決権を行使できるのは、無異議債権または評価済債権を有する届出再生債権者です。

個人再生の手続においては、各再生債権者が債権を届出をし、それに対して、再生債務者が、届出された再生債権を認めるのか認めないのかについての認否を行います。

再生債務者による認否に不服がある場合、再生債権者は、その認否に対して異議を申述することができます。

無異議債権とは、その再生債務者による認否に対し、一般異議申述期間または特別異議申述期間を経過するまでに異議が述べられなかった再生債権のことをいいます(民事再生法230条8項)。

この無異議債権を有する届出再生債権者は、小規模個人再生における再生計画案の議決権者となることができます。

評価済債権を有する再生債権者とは

無異議債権を有する債権者のほか、評価済債権を有する債権者も、小規模個人再生における再生計画案の議決権者となります。

再生債務者による再生債権の認否に対して再生債権者が異議を述べた場合、裁判所において、その債権について再生債権の評価手続が行われます。

評価済債権とは、この裁判所における再生債権の評価手続によって債権額等が定められた再生債権のことをいいます(民事再生法230条8項)。

この評価済債権を有する届出再生債権者も、小規模個人再生における再生計画案の議決権者となることができます。

自認債権を有する再生債権者は議決権者となるのか?

自認債権とは、再生債務者が、届出がされていない再生債権があることを知っている場合に、その内容等について自認した再生債権のことをいいます(民事再生法101条3項)。

個人再生においても自認債権を認めるのが一般的ですが、認める場合であっても、自認債権者は議決権者になることはできません。

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