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特定調停はどのような方式で申し立てればよいのか?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

特定調停の画像
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「特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述」を付して「特定債務等の調整に係る調停」を申し立てることを、「特定調停の申立て(申請)」と呼んでいます。

この特定調停の申立ては、特定調停の申立書という書面を管轄の裁判所に提出する方式で行う必要があります。

特定調停の申立ての方式

特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 第3条

  • 第1項 特定債務者は、特定債務等の調整に係る調停の申立てをするときは、特定調停手続により調停を行うことを求めることができる。
  • 第2項 特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述は、調停の申立ての際にしなければならない。
  • 第3項 前項の申述をする申立人は、申立てと同時に(やむを得ない理由がある場合にあっては、申立ての後遅滞なく)、財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料及び関係権利者の一覧表を提出しなければならない。

特定調停を行うためには、「特定債務等の調整に係る調停」を行いたい旨を裁判所に申立てしなければいけません。

この特定債務等の調整に係る調停を申し立てる際に、申立人(特定債務者)は、特定調停手続により調停を行うよう求めることができます。これを「特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述」と言います(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律3条1項、2項。以下「特定調停法」と言います。)。

この「特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述」を付して「特定債務等の調整に係る調停」を申し立てることを、「特定調停の申立て(申請)」と呼んでいます。

この特定調停の申立ては、書面で行う必要があります(民事調停法4条の2第1項)。この申立てのために提出する書面のことを「特定調停の申立書」と呼んでいます。

つまり、特定調停の申立ては、管轄の裁判所に対して特定調停の申立書を提出する方式で行うのが一般的です。

特定調停申立ての管轄裁判所

特定調停の申立ては、どこの裁判所に申立てをしてもよいわけではありません。どこの裁判所に申立てをすればよいのかは、法律で決められています(民事調停法3条)。

具体的には、以下の裁判所に申立てをする必要があります。

特定調停申立ての管轄裁判所
  • 相手方(債権者)の住所・居所・営業所や事務所の所在地を管轄する簡易裁判所
  • 当事者間で管轄の合意をしている場合は、合意で定める地方裁判所または簡易裁判所

当事者間で管轄の合意がある場合には、その合意で定められた地方裁判所または簡易裁判所に申立てをします。合意がない場合は、債権者の住所・居所・営業所や事務所の所在地を管轄する簡易裁判所に申立てをします。

債権者が複数いる場合、いずれかの債権者についての管轄裁判所に申し立てれば問題ありませんが、同じ管轄の債権者が多数いる裁判所や最も金額の大きい債権者の管轄裁判所などを選ぶこともあります。

特定調停の申立書の書き方・添付書類

前記のとおり、特定調停の申立ては、特定調停の申立書を提出する方式で行う必要があります。

この申立書には、以下の事項を記載する必要があります(民事調停法4条の2第2項、民事調停規則3条、非訟事件手続規則1条1項)。

特定調停申立書の記載事項
  • 申立人 (氏名・名称、住所・所在地、連絡先、送達場所)
  • 相手方 (氏名・名称、住所・所在地、連絡先、送達場所)
  • 申立ての趣旨
  • 紛争の要点
  • 特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述
  • その他表題,作成年月日,裁判所の表示など

また、申立書には、財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料、関係権利者の一覧表を添付する必要があります(特定調停法3項)。

もっとも、これらを一から作成する必要はありません。各簡易裁判所には特定調停の申立書のひな形が用意されています。

したがって、これを取り寄せて、必要事項を埋めていくだけで申立書は作成でき、あとは必要書類を用意すれば、申立てをすることができます。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。

債務整理と特定調停で悩んでいる場合

特定調停は、弁護士などに依頼せずに行うことが可能です。特に、債務がそれほど大きくない場合には、特定調停を選択することも考えられます。

他方、債務が高額な場合には、自己破産や個人再生なども考えておかなければいけません。自己破産や個人再生の場合には、弁護士に相談・依頼する必要があります。

まずは、債務整理について相談をしてみた上で、特定調停にするのか債務整理にするのかを選択した方がよいでしょう。

今どきは、ほとんどの法律事務所で債務整理の相談は無料相談です。むしろ有料のところを探す方が難しいくらいです。無料ですので、とりあえず相談してみてから考えるのが得策です。

レ・ナシオン法律事務所
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参考書籍

本サイトでも特定調停について解説していますが、より深く知りたい方のために、債務整理や特定調停の参考書籍を紹介します。

特定調停法逐条的概説
編集:濱田芳貴 出版:民事法研究会
特定調停法の逐条解説。かなり詳細に書かれているため、実務家向けです。個人の債務整理だけでなく、事業再生にも対応しています。

クレジット・サラ金処理の手引き(6訂版)
編著・出版:東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会
東京の三弁護士会による債務整理・クレサラ事件処理全般についての実務書。債務整理全般を1冊でまとめている実務書は意外と少ないので、債務整理を知るにはちょうど良い本です。

中小企業再生のための特定調停手続の新運用の実務
編集:日弁連中小企業法律支援センター 出版:商事法務
記事本文の内容と異なりますが一応紹介。特定調停の手続は、個人の債務整理だけでなく、中小企業の事業再生・私的整理の一環として利用されることも増えています。

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