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特定調停していることを家族・友人・勤務先などに秘密にできるか?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

特定調停の画像
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特定調停をしていることを家族・友人・勤務先などに知られる可能性はそれほど大きくありませんが、絶対に秘密に出来るわけではありません。

家族・友人・勤務先などに知られてしまう可能性

特定調停をする場合に「特定調停をしていることを家族・友人・勤務先などに知られてしまわないか?」と不安を持っている方は少なくありません。

結論から言うと、特定調停も裁判手続ですから、絶対に誰にも知られないとは言えません。

しかし、特定調停は裁判手続ではありますが、あくまで話し合いです。自己破産個人再生などのように、官報公告される性質のものではありません。そのため、自己破産や個人再生などに比べれば、家族・友人・勤務先などに知られる可能性は小さいでしょう。

もし、家族・友人・勤務先などに知られる可能性があるとすれば、以下に述べる場合が考えられます。

法律的に関連性のある場合

家族・友人・勤務先などが、特定調停をしようとしている債務について、法律的な関連性を有している場合には、特定調停をしていることが知られる可能性があるでしょう。

法律的に関連性がある場合とは、例えば、特定調停をしようとしている債務の保証人・連帯保証人・連帯債務者・物上保証人になっているような場合です。

特定調停をするということは、その債務を約定どおりに支払えなくなったということです。そのため、特定調停をすると、その債務について期限の利益が失われるという条項が設けられているのが通常です。

期限の利益が失われると、債権者は、保証人・連帯保証人などの方に対して、残額を一括で支払うように求めることができるようになりますから、債権者が、その保証人などになっている家族・友人・勤務先の同僚などに対して請求する可能性があります。

そのことによって、特定調停をしていることが知られてしまうことはあり得ます。

裁判所からの特定調停の通知などの送達

特定調停を申し立てると、裁判所から自宅に期日の呼出状が送り届けられます。また、その他裁判所からの連絡文書や決定書などが、自宅に送達されることもあります。

自宅に裁判所からの書類が届いた場合、他の家族がその封を開けてしまうと、特定調停をしていることを知ってしまうでしょう。

ということは、特定調停の申立てをすると、少なくとも同居している家族には知られてしまう可能性があるということです。

他方、自宅や債権者以外のところに裁判所が何かを送付することはありません。

したがって、友人や勤務先の同僚が同居していれば別ですが、そうでなければ、友人や勤務先に知られるおそれはないでしょう。

送達場所の変更

上記の裁判所からの送達の送り先(送達場所)は、自分で指定することができます。つまり、自分の住所でないところに送達してもらうことも可能なわけです。

場合によっては、特定調停をしていることを知られてもかまわないという親族の方などのところへ送達してもらうように指定することも可能です。

ただし、この自分の住所以外の場所への送達先を指定する場合、その送達先に呼出状などが届いたらすぐに自分のところへ連絡をくれるような人の住所などを指定する必要があります。

特定調停の申立書にも、住所地以外の送達場所を記載する欄がありますが、これに記載する場合には、その送達場所で書面を受領してくれる人がどういう人なのかについて、裁判所に説明をしておく必要があります。

その他知られる可能性がある場合

前記のほか、特定調停そのものを知られるというよりも、借金が支払えなくなっていることを知られてしまい、そこから特定調停などの手続をとっていることが知れてしまうという場合があります。

例えば、債権者から貸金返還請求訴訟を提起された場合などには、その訴状が自宅に送達されます。

この訴状は特別送達で送られてきます。特別送達は、受領者の確認が必要となるため、単に郵便ポストに入れられているということはありません。必ず送達先に居住している人、特に申立人本人の受領署名や押印が求められます。

そのため、同居の家族が受け取ったりすると、裁判を起こされていることを知られてしまう可能性があります。

また、貸金返還請求訴訟において判決がなされ、その判決等に基づいて給料などの差押えが行われた場合、差押えの命令が勤務先に送られることになりますから、これにより、勤務先に借金が支払えていないことが知られてしまうことになります。

したがって、これら訴訟や強制執行がされる前に、特定調停や債務整理などを開始した方が、家族・友人・勤務先に知られる可能性は小さくなるでしょう。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。

債務整理と特定調停で悩んでいる場合

特定調停は、弁護士などに依頼せずに行うことが可能です。特に、債務がそれほど大きくない場合には、特定調停を選択することも考えられます。

他方、債務が高額な場合には、自己破産や個人再生なども考えておかなければいけません。自己破産や個人再生の場合には、弁護士に相談・依頼する必要があります。

まずは、債務整理について相談をしてみた上で、特定調停にするのか債務整理にするのかを選択した方がよいでしょう。

今どきは、ほとんどの法律事務所で債務整理の相談は無料相談です。むしろ有料のところを探す方が難しいくらいです。無料ですので、とりあえず相談してみてから考えるのが得策です。

弁護士法人東京ロータス法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
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・所在地:東京都台東区

弁護士法人ひばり法律事務所
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レ・ナシオン法律事務所
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・所在地:東京都渋谷区

参考書籍

本サイトでも特定調停について解説していますが、より深く知りたい方のために、債務整理や特定調停の参考書籍を紹介します。

特定調停法逐条的概説
編集:濱田芳貴 出版:民事法研究会
特定調停法の逐条解説。かなり詳細に書かれているため、実務家向けです。個人の債務整理だけでなく、事業再生にも対応しています。

クレジット・サラ金処理の手引き(6訂版)
編著・出版:東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会
東京の三弁護士会による債務整理・クレサラ事件処理全般についての実務書。債務整理全般を1冊でまとめている実務書は意外と少ないので、債務整理を知るにはちょうど良い本です。

中小企業再生のための特定調停手続の新運用の実務
編集:日弁連中小企業法律支援センター 出版:商事法務
記事本文の内容と異なりますが一応紹介。特定調停の手続は、個人の債務整理だけでなく、中小企業の事業再生・私的整理の一環として利用されることも増えています。

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