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日掛け金融(日賦貸金業者)とは?

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日単位で貸金の返済期間を設けている貸金業者のことを「日掛け金融」「日賦(にっぷ)貸金業者」といいます。日掛け金融には、かつて出資法で上限金利に関する特例が設けられていましたが、現在では、この特例はすでに廃止されています。

日掛け金融・日賦貸金業者とは

日掛け金融」という類型の貸金業者があります。「日賦(にっぷ)貸金業」と呼ばれる貸金業者のことです。

通常の貸金業の場合には月単位で返済をしていくことになりますが,この日掛け金融の場合には,日単位で返済期限が設けられています。そのため,「日掛け」とか「日賦」という名称がついているのです。

零細小規模事業者にとっては,当座の資金を賄うために審査の比較的緩い貸金業者からの借り入れが必要となる場合があります。

日掛けの場合,日ごとに売り上げから返済をしていくという形態をとるため,審査が緩くなり,お金を借りやすくなりますから,零細小規模事業者にメリットがあるということから,認められた制度です(ただし,実際には,メリットよりもデメリットの方がはるかに大きいといってよいでしょう。)。

日賦貸金業者の特例の廃止

かつて、出資法には、日賦貸金業者として認められると、上限金利が通常の貸金業者よりもはるかに緩和される制度が設けられていました。日賦貸金業者の特例と呼ばれる制度です。

出資法の上限金利を超える利率で貸付けを行った場合,貸金業者は刑罰を受けることになります。

かつて,通常の貸金業者の場合,29.2パーセントまでが上限金利とされていました(現在では,さらに厳格化され,20パーセントが上限金利となっています。)。

ところが,日賦貸金業者として認められた場合には,上限金利が54.75パーセントまで許されてしまっていたのです。

たとえば,100万円借りると,1年後には154万円,1月後ですら4万5000円程度もの利息が付いてしまう計算になります。1日に換算すると,1500円ほどが利息として加算されるというわけです。

しかも,平成13年までは,日掛け金融の出資法上限金利は109.5パーセントだったというのですから,上記金利の倍額です。100万円借りると,1日で3000円近くもの利息がつけられていたのです。

これはもう,いわゆる「といち」,つまり10日で1割の超高金利とまではいかないまでも,通常であれば返済はほぼ不可能に近い利息です。

なお,上記100万円借りた場合でいうと,1月で約10万円ほどの利息が付けられることになります。

加えて,日掛け金融にはこの出資法上限金利すら遵守しない違法業者が多く,事業者のみならず,一般消費者にまで日掛けで貸付けを行う者がおり,重大な問題とされていました。

そのため,日掛け金融に対する法的規制が徐々に強化され,一定の要件を満たさない限りは日掛け金融として認めず,しかも,上限金利も引き下げられていき,現在ではついに,貸金業法・出資法等の改正によって,日掛け金融の特例という制度自体が廃止となることになりました。

したがって,現在では,日掛け金融であっても,年利20パーセント以上の利息をとることは出資法違反として刑罰の対象となります。

参考:日賦貸金業者の特例の要件

前記のとおり,日賦貸金業者の特例は,すでに廃止されています。したがって,日賦貸金業者の要件などももはや無用なのですが,一応,参考までに,かつての日賦貸金業者の要件についてご紹介します。

日賦貸金業者の特例が認められるための要件は,以下のとおりです。

  • 主として物品販売業,物品製造業,サービス業を営む者で,かつその常時使用する従業員の数が5人以下であるものを相手先とすること
  • 返済期間が100日以上であること
  • 返済金を返済期間の100分の50以上の日数にわたり,かつ,貸付けの相手方の営業所又は住所において貸金業者が自ら集金する方法により取り立てること

そもそも日掛け金融というものは,零細事業者の資金調達の便を図るために認めらている制度ですから,その貸付けの対象となる相手方も零細事業者でなければある必要があります。

第一の要件は,それを示していました。

また,超高利ですから一括で返済するとなるとかえって借主を追い込むことになってしまいます。そこで,返済期間は100日以上とされていました。

しかも,返済期間の50パーセント以上の日数は,貸金業者の方から債務者を訪れて取り立てをしなければならないこととされていました。

なお,くどいようですが,日賦貸金業者の特例はすでに廃止されていますので,上記の要件も当然廃止されています。

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