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交通事故の加害者に課される行政上の責任とは?

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

交通事故(民事)の画像
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交通事故の加害者は、法律上、行政上の責任を負う場合があります。行政上の責任とは、運転免許の停止・取消しや反則金の支払いなどの制裁を課されることです。

加害者の負う行政上の責任

交通事故の加害者は、さまざまな法的責任を負います。具体的にいえば、刑事責任民事責任・行政上の責任です。

刑事責任を負うというのは、要するに、犯罪を犯したものとして刑罰を科せられるということです。たとえば、自動車運転過失致死傷罪等の罪責を負い、それに応じた罰金や懲役などの刑罰を科されることになります。

民事責任を負うというのは、被害者に対して損害賠償を支払う義務を負うということです。

これらに対して、行政上の責任とは、行政による交通行政における一定の不利益を受けることです。刑事責任とは異なり刑罰ではありませんが、一定のペナルティを課されることになります。

行政上の責任と刑事責任の違い

前記のとおり、行政上の責任とは、一定の社会秩序の維持を害する行為をした場合に課されることになるペナルティです。具体的に言うと、行政処分を受けることです。これに対し、刑事責任とは、犯罪として刑罰を科されることです。

犯罪と社会秩序を乱す行為とは重なる部分もありますが、犯罪とはあくまで刑法や自動車運転致傷処罰法などの法律において犯罪として規定されている行為をした場合に科されるものです。この法律に規定されている行為以外は犯罪となることはありません。

交通事故を起こした場合、その交通事故を起こした行為が刑法などに定める行為に該当すれば犯罪として処罰されることになりますが、そうでない場合は犯罪として処罰されることはありません。しかし、行政上の責任を課される場合はありえます。

要するに、刑事責任と行政上の責任とは、全く別物なのです。

犯罪に該当する行為が必ずしも行政上の責任の対象となるわけではありませんし、逆に、行政上の責任を課される場合であるからといって刑罰を受けるわけではありません。

また、行政上の責任を課されたからといって、刑事責任を免れることができるわけでもありませんし、刑事責任を受けたから行政処分を受けずに済むということもないのです。

さらに、刑罰は、あくまで裁判所の判断によって科されますが、行政処分は行政庁によって課されるという違いもあります。

加えて、刑事責任を科された場合、それは法律上の「前科」となりますが、行政処分を受けたにすぎない場合には前科にはなりません。

交通事故加害者に課される行政処分の内容

交通事故の加害者が負うことになる行政処分とは、具体的に言うと、以下のペナルティを課されることです。

交通事故加害者の行政上の責任
  • 反則金の支払い
  • 自動車運転免許の停止
  • 自動車運転免許の取消し

交通違反の行政上の責任については、点数制度が設けられています。点数制度とは、交通違反があった場合、違反者に一定の点数が付けられ、この点数が過去3年間で一定数まで累積されると行政処分を課されるという制度です。

交通事故を起こした場合にどれだけの点数が加算されるのか、どのくらい累積されると行政処分を受けるのかなどは、道路交通法によって定められており、その交通事故の態様や交通違反の程度によって、異なります。

もちろん、違反の程度が大きい場合や交通事故の被害が大きい場合には、違反点数も大きなものとなります。

例えば、死亡事故の場合には、違反点数20点以上が付けられることもあります。前歴がない場合でも、15点以上累積すると、自動車運転免許は取消しになります。したがって、死亡事故の場合には、1回で免許取り消しになることもあるということです。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になりましたら幸いです。

弁護士に依頼するメリット

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とお悩みの方は少なくないでしょう。

実は、交通事故の損害賠償額には、保険会社の基準と裁判基準(弁護士基準とも呼ばれます。)があります。保険会社の基準は、裁判基準よりもかなり低額に抑えられています。

そのため、自分で保険会社と示談交渉する場合よりも、弁護士に依頼して裁判基準で示談交渉または訴訟をしてもらう方が、損害賠償額が高額になる可能性が高いのです。弁護士に依頼する一番のメリットは、その点にあります。

特に、自動車保険に弁護士特約を付けてある場合には、弁護士費用を保険金で支払うことが可能です。そのため、自己負担がほとんどないまま、弁護士に依頼することができます。弁護士特約がある場合には、間違いなく弁護士に依頼すべきです

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参考書籍

本サイトでも交通事故損害賠償について解説していますが、より深く知りたい方のために、交通事故損害賠償の参考書籍を紹介します。

民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準
出版:日弁連交通事故相談センター東京支部
通称「赤い本」。交通事故損害賠償請求を扱う弁護士は、ほとんどが持っている必携書。東京地裁の実務を中心に、損害賠償額の算定基準(裁判基準)を解説しています。この本の基準が実務の基準と言ってよいほどに影響力があります。毎年改定されています。

交通事故損害額算定基準 -実務運用と解説-
出版:日弁連交通事故相談センター
通称「青本」。こちらは、赤い本と違って、東京地裁だけでなく、全国の裁判所における裁判例を紹介しています。2年に1回改訂されています。

別冊判例タイムズ38号(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準)全訂5版
編集:東京地裁民事交通訴訟研究会 出版:判例タイムズ社
こちらも実務必携と言われる書籍。交通事故では過失相殺がよく問題となりますが、その過失相殺率の認定基準を解説する実務書です。東京地裁の裁判官が中心となって執筆されている本ですが、この本の認定基準が全国的な実務の基本的な認定基準となっています。

大阪地裁における交通損害賠償額の算定基準
編集:大阪民事交通訴訟研究会 出版:判例タイムズ社
大阪地裁交通部(第15民事部)の裁判官による大阪地裁における交通事故損害賠償額算定基準を解説する実務書。大阪地裁で交通事故訴訟をする場合には必携です。(※なお、大阪弁護士会交通事故委員会による「交通事故損害賠償算定のしおり(通称、緑の本)」とは異なります。こちらは、裁判官執筆の本です。)

注解交通損害賠償算定基準(新版)
著者:高野真人ほか 出版:ぎょうせい
赤い本や青本の解説書。実務書の解説書という珍しい本ですが、赤い本や青本はどちらかと言うと資料集的な実務書であるため、詳細な理由付けなどが説明されていない部分もあります。本書は、そこを解説しています。赤い本や青本とセットで持っていると便利です。

交通事故損害賠償法(第3版)
編集:北河隆之 出版:弘文堂
交通事故損害賠償に関する法律の体系書。実務マニュアル的なものではなく、理論的な面の解説も体系的にまとめられており、交通事故損害賠償の基本書といった感じの本です。

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