任意整理とは?

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任意整理とは,弁護士が債務者代理人として,「債権者が債務者に対して有するとみられる債権について,弁済の額,方法等について裁判外で債権者と交渉をして処理する」(日弁連「債務整理事件処理の規律を定める規程」第2条第3号)ことをいいます。

つまり,任意整理とは,弁護士が債務者の代理人となって,債務者の生活を立て直せるような返済計画に変更してもらうよう債権者と交渉する債務整理手続です。

任意整理とは?

債務整理の方法の1つに「任意整理」があります。

任意整理とは、弁護士等が債務者の代理人となって、「債権者債務者に対して有するとみられる債権について,弁済の額,方法等について裁判外で債権者と交渉をして処理する」(日弁連債務整理事件処理の規律を定める規程」第2条第3号)ことをいいます。

要するに,弁護士等が債務者の代理人となって,債務者の生活を壊さない範囲で返済計画を変更してもらえるよう債権者と交渉するという手続です。

裁判外で行われる債務整理の方法であることから「任意」整理と呼ばれています。

債権者との間で話し合いが上手くいった場合には,債権者との間で和解契約を締結し,それに基づいた和解書(合意書)を取り交わします。

合意書を作成しておくのは,後日に言った言わないという不毛な紛争の蒸し返しを防ぐためです。これは必ず行っておく必要があります。

任意整理による返済条件の変更

任意整理では,相手方である債権者と交渉して,生活を立て直せるような返済条件に変更してもらうことになります。

任意整理の場合には,月に1回の支払いで,36回の分割払いにしてもらうのが一般的でしょう。債権者によっては,50回~60回など,もっと長期の分割払いを認めてくれる場合もあります。

とはいえ,36回を超える分割払いにしなければ借金を整理できないというような場合は,返済にかなり無理をしなければならないということでもあります。

場合によっては,任意整理以外の債務整理方法(自己破産個人再生)を検討した方がよいかもしれません。

また,利息のカットも任意整理の交渉ではよく行われます。

債務整理開始による返済の停止後から任意整理による和解の成立までの利息を「経過利息」,和解後から支払い済みまでの利息を「将来利息」と呼びます。

任意整理においては,これらいずれの利息もカットしてもらうように,要するに,元本のみの分割払いにしてもらうように交渉するのが一般的でしょう。

ただし,任意整理はあくまで相手方のある交渉ですから,必ずしも債務者の希望どおりの返済条件になるとは限りません。近時は,貸金業者も,業績悪化により,利息のカットに応じない業者が増えてきています。

なかには,将来利息まで付けなければ和解に応じないような貸金業者もいますので,注意が必要です。

そのような貸金業者が債務整理の対象となる債権者に含まれている場合には,訴訟提起や強制執行(特に給与差押え)等がなされることも想定して,任意整理をとるべきか,それとも他の債務整理の方法を選択するのかどうかを考える必要があります。

任意整理のメリット

任意整理を開始するに当たって,弁護士等が任意整理を行う貸金業者や債権回収会社に対して受任通知(介入通知)を送付すると,その貸金業者や債権回収会社からの直接の取立て(電話や郵便の送付など)が停止します。

直接の取立てが停止することにより,平穏な生活を取り戻すことができます。また,その間に支払の原資を積立てるなど任意整理の準備をすることもできます。

また,任意整理は裁判外での交渉です。そのため,自己破産や個人再生のような裁判手続のような制限が無いというメリットがあります。

自己破産であれば,財産の処分が必要となったり,資格の制限や居住の制限などもあります。個人再生は,利用のための条件が厳格であるという制約があります。

任意整理の場合には,このようなデメリットが無く,柔軟な対応が可能となるという点にメリットがあると言えるでしょう。

任意整理のデメリット

任意整理をすると,信用情報に事故情報(ブラックリスト)として登録されます。任意整理の場合の登録期間は5年間とされています。この間は,新たに借入れをしたり,ローンを組むことが非常に難しくなります。

また,任意整理は,裁判外での交渉です。そのため,制限が少ない反面,自己破産や個人再生のような強制力がありません。

したがって,相手方が強硬な業者である場合など,相手方と話がつかないときには,任意整理を成功させることができないというデメリットがあります。

デメリットとはいえないかもしれませんが,任意整理の場合,返済を続けていかなければなりません。しかも,減額されない場合や条件が厳しい場合には,それなりに高額な返済をしなければならないこともあります。

無理な任意整理を行うと,話がついたとしてもどこかでつまづいてしまうおそれもあります。

任意整理を選択する判断基準

債務整理の方法には,任意整理のほかにも,自己破産や個人再生などの方法があります。

しかし,任意整理は制限やデメリットも少ない裁判外の手続ですから,最初に検討するのは任意整理ということになるでしょう。

もっとも,任意整理は返済を継続していかなければならない手続です。デメリットが少ないことにばかり注目して無理に任意整理を選択すると,返済ができなくなってしまうということもあります。

実際,任意整理をしたものの,結局,返済できなくなり,あらためて自己破産や個人再生を行うということも少なくありません。

そこで,任意整理を選択するかどうかは,慎重に検討しなければいけません。

具体的には,やはり,家計の収支を確認して,返済に充てる金額の見込みを判断し,借金を36回の分割払いで支払えっていけるかどうかを1つの基準とすべきでしょう。

36回を超える回数で支払っていくのは容易ではありません。無理な長期の支払いにしてしまうと,不測の出費があった場合などに,かえって生活を圧迫してしまうおそれもあります。

したがって,36回の支払いでは返済できない見込みである場合には,もう一度,他の債務整理の方法も検討してみる必要があるでしょう。

任意整理の流れ

任意整理は,裁判手続きではありませんから,法律上決まった手続はありません。

もっとも,一般的には,まず代理人等の弁護士が各債権者に受任通知(介入通知)を送付して返済を停止するとともに債権者からの取立も停止させ,その間に,債権者と交渉を進めていくという流れになります。

この返済・取立停止の期間中に,弁護士等の費用の分割払いや,返済のための原資の積立をすることもあります。

相手方との間で話がついた場合には,和解契約を締結し,和解書・合意書を取り交わします。そして,その和解内容に基づいて,返済を再開することになります。

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