この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

自己破産とは「借金をゼロにする制度」です。裁判所から免責を許可してもらうことにより、借金を返済しなくてよくなります。そのため、債務整理の方法の1つとして非常に多く利用されています。
自己破産とは
自己破産とは、一定の財産を処分する代わりに、それでも支払いきれない借金・債務の支払義務を免除(免責)してもらえる裁判手続です。
クレジットカード会社やサラ金などの借金を整理する方法を「債務整理」と呼んでいます。債務整理の方法には任意整理や個人再生などの方法もありますが、自己破産もその方法のひとつです。
自己破産は、この債務整理のうちでも最も強力な手段です。実際、年間約7万人が利用しています(裁判所司法統計から)。
- 平成31年・令和元年(2019年):約7万3000件
- 令和2年(2020年):約7万2000件
- 令和3年(2021年):約6万8000件
- 令和4年(2022年):約6万5000件
- 令和5年(2023年):約7万1000件
決して特別な手続ではありません。
自己破産の仕組み:破産手続と免責手続
一般的に「自己破産」と呼ばれる手続は、実は、法律的に言うと、破産法に基づく破産手続と免責手続の2つを合わせて行うことを指しています。
破産手続で財産を処分して債権者(お金を貸している人)に支払いを行い、足りない部分を免責手続で免除するのが、自己破産の仕組みです。
以下では、自己破産の基本的な仕組みや破産手続と免責手続について説明します。
破産手続:財産を処分して債権者に分配する手続
破産手続とは、裁判によって、破産した債務者(破産者)の財産を換価処分して、それによって得た金銭を債権者に公平に配当する手続のことをいいます。
破産手続の目的は、破産者の財産を処分して債権者に分配することです。支払い切れなかった借金をどうするかについては、破産手続では扱われません。借金の免除は、免責手続で判断されます。
借金を背負っている人が自ら、この破産手続の開始を裁判所に申し立てることを「自己破産(申立て)」と呼んでいます。
※ 債権者:特定の人に特定の行為を請求できる権利(債権)を持っている人。借金の場合であれば、消費者金融、銀子、クレジットカード会社などお金を貸している側。
※ 債務者:特定の人に特定の行為をしなければならない義務(債務)を負っている人。借金の場合であればお金を借りている側。
免責手続:支払い切れなかった借金を免除する手続
破産手続とは、破産者の財産を処分してそれを債権者に配当する手続です。
しかし、破産者の財産が債務よりも少なければ、配当しても支払いきれない部分がでてきます。破産手続では、この支払いきれなかった部分については特に何もなされません。
破産者の財産を処分しても支払いきれない借金・債務の支払い義務については、免責手続という破産手続とは別個の手続によって、免責を認めることができるかどうか、借金の支払義務を免除してよいかどうかを判断することになります。
破産手続において財産を処分しても支払い切れない債務については、免責手続において免責許可決定を受けることによってはじめて支払義務を免除してもらえるのです。
破産手続と免責手続の関係
上記のとおり、破産手続と免責手続は別個の手続ではあるものの、実際には、同時並行で進行していきます。
一般的には、この破産と免責の手続を債務者自身で申し立てる場合のことをあわせて「自己破産」と呼んでいます。
破産・免責の両手続によって、破産者の財産を処分して債権者に配当し、それでも支払いきれない部分の支払い義務は免責されることになるのです。
自己破産の3つのメリット
前記のとおり、自己破産は、債務整理の方法のひとつとして、年間7万0000件もの申立てがされています。これだけ多くの人が利用しているのは、自己破産に大きなメリットがあるからです。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- 裁判所に免責が許可されると、借金の返済義務を免れることができる
- 弁護士が受任通知を送付すると、債権者からの取立てがストップする
- 裁判所の破産手続が開始されると、債権者から訴訟の提起や強制執行が禁止される
自己破産をすると、借金返済は帳消しになります。また、債権者からの取立てや督促がなくなり、平穏な生活を取り戻しながら、計画的に生活を立て直すことが可能になります。
自己破産は,債務整理においても最も強力な効果を持つ方法といえるでしょう。
以下、それぞれのメリットについて詳しく説明します。
借金全額の免除(免責)
自己破産の最大のメリットは「免責」です。免責とは、借金を支払う義務を免れることです。
裁判所によって免責が許可されれば、借金を返済しなくてもよくなります。言い方はよくないかもしれませんが、借金をチャラにすることができるのです。
債務整理の方法の中でも最も強力な効力です。
債権者からの取立て停止
自己破産を弁護士に依頼すると、弁護士が債権者に「債務整理を開始する」旨の通知(受任通知)を送ります。
この受任通知には、貸金業者や債権回収会社が債務者に訪問や電話などで直接に取立てすることを停止させる法的な効力があります。
自己破産を弁護士に依頼した後は、借金額を確定させるために返済をストップしますが、受任通知の効力によって取立てもなくなるので、安心して自己破産の準備を進めつつ、平穏な生活を取り戻せます。
債権者による裁判手続の停止・取消し
弁護士による受任通知には、直接の取立てを止める効力はあるものの、債権者が訴訟を起こしたり、差押えをすることまでは止められません。
もっとも、裁判所での自己破産手続が始まると、債権者からの取立てだけでなく、訴訟提起や強制執行なども禁止となります。
また、すでに給料差押えがされていたとしても、裁判所での手続が開始されれば、給料の差押えは取り消されて、もとどおりの給料をもらえるようになります。
自己破産のデメリット
前記のとおり、自己破産には、借金の支払義務を免除してもらえる非常に強力な効果があります。
しかし、効果が強力である反面、一定のデメリットも存在します。具体的には、以下のようなデメリットがあります。
- 財産の処分
自己破産すると、財産を処分しなければならなくなります。ただし、破産法で決められた一定の財産(自由財産)は処分しなくてもよいとされています。 - 資格制限
裁判所に免責が許可されるまで、一定の公的資格を利用できなくなります。例えば、警備員、保険外交員、宅建、士業資格などです。(参考:資格制限とは?) - 郵便物の転送(通信の秘密の制限)
裁判所での破産手続中、郵便物が破産管財人に転送されて、中身をチェックされます。郵便物転送は全件で行われます。 - 居住制限
裁判所での破産手続中、住居を移転したり,長期出張や旅行に行く場合に裁判所の許可が必要になります。 - 官報公告
自己破産をすると、国の機関紙である「官報」に、氏名や住所などとともに自己破産手続をしていることが掲載されて公告されます。(参考:官報公告とは?) - ブラックリストの登録
信用情報に事故情報が掲載され、裁判所による破産手続開始決定から7年間(または免責許可決定から5年間)は、新たな借入れ・ローンを組むこと・クレジットカードの利用が非常に難しくなります。(参考:ブラックリストとは?) - 保証人・連帯保証人への請求
連帯保証人などがついている借金があると、自己破産した場合、債権者はその連帯保証人に代わりに支払いを求めます。なお、自己破産の場合、連帯保証人などがついている借金だけ外すことができません。 - 免責不許可事由
破産法で定められた一定の事由(免責不許可事由)があると、免責が許可されないケースがあります。例えば、ギャンブルや浪費で借金を増やした場合など。
これらのデメリットも踏まえて、自己破産を選択するかどうかを検討しなければなりません。
自己破産のデメリットに関する誤解・間違い
上記のとおり、自己破産には一定のデメリットが存在します。もっとも、自己破産のデメリットについては、間違った情報や誤解も少なくありません。
インターネットなどで出回っている情報として誤解があるものとしては、以下のようなものがあります。
| デメリット | 正しい知識 |
|---|---|
| 財産が処分される | すべての財産が処分されるわけではない。生活に最低限必要となる財産(自由財産)は処分しなくてもよい |
| 公的資格が制限される | 一生資格が使えなくなるわけではない。裁判所によって免責が許可されれば、資格制限は解除される |
| 公的資格が制限される | 選挙権は制限されない |
| 郵便物が破産管財人に転送される | 郵便物が転送されるのは、裁判所の破産手続期間中のみ。破産手続が終われば終了する なお、破産手続中でもチェックが終われば返してもらえる |
| 引っ越しや長期旅行が制限される | 居住制限されるのは、裁判所の破産手続期間中のみ。破産手続が終われば終了する |
| 官報に公告される | 記載されるのは官報だけ。戸籍や住民票に記載されることはない |
| 免責不許可事由 | 免責不許可事由がある場合でも、裁判所の裁量によって免責が許可(裁量免責)されるケースは多い |
| 仕事や就職への影響 | 自己破産したことを理由に勤務先を解雇されることはない |
| 借りている家や部屋への影響 | 自己破産したことを理由に借りているアパートやマンションを追い出されることはない(ただし、家賃を滞納している場合は解約されることがある) |
自己破産をすべきかどうかを判断する際には、間違った情報に左右されずに正しい情報をもって判断する必要があります。
自己破産と他の債務整理手続の比較
前記のとおり、自己破産をすると、借金の支払義務から免れることが可能です。そのため、債務整理の方法の1つとして多く用いられています。
この債務整理の方法には、自己破産のほかにも、任意整理や個人再生といった方法があります。どれを選択するかは、個々の事情に応じて考える必要があります。
以下では、自己破産と任意整理・個人再生の違いについて説明します。
自己破産と任意整理
任意整理は、弁護士等が債務者の代わりに債権者と交渉して、生活を立て直せるような返済条件に変更してもらう手続のことです。
任意整理は裁判外での交渉ですから、ある程度柔軟な対応が可能です。また、自己破産のような財産処分・資格制限・居住制限・免責不許可事由などの制約もありません。
しかし、裁判外での交渉であるため、強制力がありません。そのため、大幅な減額や返済の長期延長などが難しい面があります。
他方、自己破産の場合には、さまざまな制約があるものの、借金をすべて免責してもらえるのは、かなり大きなメリットです。
無理をして任意整理をしても上手くいかないことが少なくありません。生活を立て直すために、冷静に判断し、自己破産を選択することが必要な場合もあるでしょう。
自己破産と個人再生
個人再生は、民事再生法に従って再生計画を策定し、それを裁判所に認可してもらう裁判手続きです。
個人再生では、自己破産と異なり、財産処分や資格制限などはありませんが、すべての借金を免除できるわけではなく、一定の返済が必要です。しかも、要件がかなり限定されています。
個人再生も有用ですが、自己破産と同じく官報に掲載されますし、破産手続以上に手続が複雑です。
したがって、自己破産ができない理由がある場合には個人再生を選択し、そうでない場合は自己破産を選択するのが基本的な考え方かと思われます。
自己破産できない理由がある場合としては、以下のようなケースが考えられます。
- 住宅ローンの残る自宅を維持したい
- 処分できない財産がある
- 資格制限があると仕事に支障がある
- 免責不許可になる可能性がある
自己破産できる場合・できない場合
自己破産も破産法に基づく裁判手続ですから、法律上の要件を充たしていなければ利用することはできません。
具体的には、自己破産を成功させるためには、以下の要件が必要です。
- 破産手続の要件:支払不能であること
- 免責許可の要件:免責不許可事由がないこと(免責不許可事由がある場合は、裁量免責してよい事情があること)
以下、詳しく説明します。
破産手続の要件:支払不能であること
破産手続を開始してもらえなければ、借金が免除(免責)されることもありません。
自己破産には、借金額の上限や年齢・収入による制限などはありませんが、裁判所に破産手続を開始してもらうには、「支払不能」であることは必要です。
支払不能とは、収入や持っている財産だけでは、借金を通常どおりに支払い続けていくことができない状態にあることを意味します。
そのため、借金の返済を続けていけるだけの充分な収入がある場合や、財産を処分すれば借金を完済できる場合などは、支払不能とは言えず、自己破産できません。
逆に、借金を毎月返済しているものの、実は他から借りて返しているような自転車操業の場合には、支払不能と認められます。
ただし、自己破産は最後の手段です。あまりに条件が厳しすぎると、最後の救済手段まで失ってしまいます。そのため、現実的に返済が厳しい状況にある場合には、自己破産の利用が認められることが多いでしょう。
免責許可の要件1:免責不許可事由がないこと
自己破産の利用が認められたとしても、裁判所に免責を許可してもらえなければ意味がありません。
免責を許可してもらうための条件は、破産法で定められている一定の事由(免責不許可事由)がないことが必要です。
免責不許可事由は破産法252条1項各号に定められています。代表的な事由としては、以下のものが挙げられます。
これらの事由があると、原則としては、免責が不許可になってしまうとされています。ただし、後述の裁量免責によって救済措置がとられることも多いです。
免責許可の要件2:裁量免責の事情があること
免責不許可事由がある場合でも、裁判所が免責を許可してもよいと判断した場合、裁量により免責が許可されることがあります。これを「裁量免責」といいます。
裁量免責は、さまざまな事情が考慮されます。特に重要な要素は、以下の事情です。
- 免責不許可事由が重大か
- 真摯に反省しているか
- 生活を立て直せる見込みがあるか
- 破産手続に協力したか
裁量免責されるケースはかなり多いです。むしろ、裁量免責すらされずに免責が不許可になる方がレアケースです。
したがって、免責不許可事由があるからと言って自己破産はできないとあきらめてしまうのは早計です。免責不許可事由がある場合でも、裁量免責の可能性を検討すべきでしょう。
自己破産で免責許可されるか否かの見通し
自己破産の申立てをする前に、免責不許可事由がないか、裁量免責の可能性はあるのかなど、免責が許可されるのかどうかの見通しを立てておく必要があります。
ただし、自分だけで判断するのは簡単ではありません。あらかじめ弁護士に相談することをお勧めします。
万が一、免責不許可事由が重大で免責が許可されない見込みの場合には、任意整理や個人再生を検討する必要があります。
免責不許可事由と非免責債権
自己破産の免責にかかわるものとして、免責不許可事由のほかに「非免責債権」と呼ばれるものがあります。
非免責債権とは、そもそも債務免除(免責)の対象にならない債権債務のことです。具体的には、以下のような債権債務があります。
これら非免責債権は、そもそも免責されないので、仮に裁判所が免責許可決定を出したとしても、免除されません。免責許可決定の後でも、支払いをしなければならないのです。
貸金業者や銀行などからの借金も、裁判所に意図的に申告しなかった場合は非免責債権となることがあるので、注意しましょう。
自己破産しても処分されない財産
自己破産した場合、持っている財産は裁判所・破産管財人によって処分されますが、すべての財産が処分されるわけではありません。
破産法で定められている「自由財産」は、自己破産したも処分しなくてよいとされています。実際、生活に最低限必要となる財産は、高価品を除いて、自己破産してもほとんど残せます。
以下では、自己破産しても処分しなくてよい財産について説明します。
破産法で処分不要とされている財産(本来的自由財産)
債務者の経済的な更生も破産法の重要な目的のひとつです。すべての財産を処分してしまっては、経済的更生どころではなくなります。
そのため、個人が自己破産した場合、破産法で決められた一定の財産は処分しなくてもよいとされています。これを「自由財産」といいます。具体的には、以下の財産です。
- 裁判所の破産手続が開始された後に取得した財産(新得財産)
- 法律で差押えが禁止されている財産(差押禁止財産)
- 99万円以下の手持ち現金
裁判所の運用で処分不要とされている財産(自由財産の拡張)
破産法で明示されていない財産であっても、裁判所が処分不要と判断した財産も自由財産として扱われます(自由財産の拡張)。
多くの裁判所で、自由財産として扱われる財産の基準(換価基準・自由財産拡張基準)を設けています。
例えば、東京地方裁判所では、以下の財産は処分不要とされています。
- 残高(複数ある場合は合計額)が20万円以下の預貯金
- 見込額(数口ある場合は合計額)が20万円以下の生命保険解約返戻金
- 処分見込額が20万円以下の自動車
- 居住用家屋の敷金債権
- 電話加入権
- 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
- 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当額
- 家財道具
東京以外の裁判所でも、20万円以下の財産は自由財産として扱われていることが多いです。どのような財産が残せるのかは、あらかじめ弁護士に相談して確認しておきましょう。
自己破産の手続の種類:同時廃止手続と管財手続
自己破産には、「管財手続」と「同時廃止手続」があります。
管財手続と同時廃止手続では、手続の進み方や内容、費用や手間の負担などでかなりの違いがあります。両者の違いを知っておくことが大切です。
以下では、自己破産の管財手続と同時廃止手続の違いについて説明します。
管財手続とは
管財手続とは、裁判所によって破産管財人が選任され、その破産管財人が、破産者の財産を調査・管理・換価処分して、それによって得た金銭を各債権者に弁済または配当するタイプの手続です。
裁判所によって破産管財人が選任され、各種の業務(破産管財業務)を行うことから、「管財手続(管財事件)」と呼ばれています。
この管財手続が破産手続の原則的な形態です。
少額管財の運用
管財手続の場合、破産管財人が選任されるので、その破産管財人に支払う報酬が必要となります。
財産が集まらなかった場合に備えて、この破産管財人の報酬の最低額に相当する金額は、自己破産を申し立てた債務者が、引継予納金として納めなければならないとされています。
とは言え、あまりに高額だと、個人債務者が自己破産できなくなってしまうかもしれません。
そこで、東京地方裁判所や大阪地方裁判所など多くの裁判所では、引継予納金の額を少額にする「少額管財」の運用が行われています。具体的に言うと、少額管財の引継予納金は、原則20万円とされています。
個人の自己破産の場合は、管財手続になるとしても、少額管財になるのが通常です。
管財手続(少額管財)の手続の流れ
管財手続では、破産管財人が、債務者の財産・債権者・免責不許可事由があるかなどを調査し、財産を処分して各債権者に弁済または配当していきます。
一般的には、以下のように進みます。
弁護士に依頼する
まずは弁護士に相談し、任意整理を依頼します。
返済と取立てをストップする
債務整理の開始と同時に返済をストップします。また、弁護士が受任通知を送ることにより、貸金業者や債権回収会社からの取立てもストップします。
裁判所に自己破産を申請(申立て)する
自己破産する人の住所地を管轄する地方裁判所に自己破産の申立書と必要書類一式を提出する方式で自己破産を申請(申立て)します。
破産手続が開始され、破産管財人が選任される
申立てに不備がなければ裁判所によって破産手続の開始が決定され、同時に破産管財人が選任されます。
財産の処分・債権の調査・免責の調査が行われる
破産管財人によって、財産の調査や換価処分、債権の調査・確定、免責不許可事由の調査が実施されます。
裁判所で債権者集会(※)・免責審尋が行われる
裁判所で債権者集会が行われます。破産管財人の業務が終了していれば債権者集会は終了となり(終わっていない場合は、2回、3回と続行されます。)、免責審尋が行われます。
裁判所が免責許可を決定する
免責審尋の後、裁判所が免責許可を決定します。免責許可決定が確定すれば自己破産手続は完了です。
※債権者集会:裁判官、破産管財人、破産を申し立てた人(破産者)、代理人弁護士が出席。債権者の出席は任意のため、金融機関の債権者は出席しないのが通常。
同時廃止手続とは
同時廃止手続とは、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」に、破産管財人を選任せずに、破産手続の開始と同時に破産手続を廃止(打ち切り)にするタイプの手続です。
破産管財人が選任されないので、財産の処分や詳細な債権者の調査・免責の調査は行われません。そのため、管財手続よりもかなり簡易化された手続になります。
破産管財人の費用さえ支払えない場合に認められる例外的な手続です。
同時廃止の趣旨
自己破産の原則は管財手続ですが、破産手続開始の時点ですでに、破産手続費用(主に破産管財人報酬)を支払うだけの財産さえ無いことが明らかな場合や、免責不許可事由が無いことが明らかな場合もあります。
そのような場合に、あえて破産管財人を選任するのは無駄になります。
そこで、破産手続においては、例外的手続として、破産管財人を選任せず、破産手続開始と同時に破産手続が廃止される「同時廃止手続」を設けているのです。
同時廃止の手続の流れ
同時廃止では、破産管財人が選任されず、財産の処分や配当などの破産手続は行われません。行われるのは、免責を許可してよいかどうかの手続(免責手続)だけです。
弁護士に依頼する
まずは弁護士に相談し、任意整理を依頼します。
返済と取立てをストップする
債務整理の開始と同時に返済をストップします。また、弁護士が受任通知を送ることにより、貸金業者や債権回収会社からの取立てもストップします。
裁判所に自己破産を申請(申立て)する
自己破産する人の住所地を管轄する地方裁判所に自己破産の申立書と必要書類一式を提出する方式で自己破産を申請(申立て)します。
裁判所が破産手続開始と同時に手続を廃止することを決定する
申立てに不備がなければ裁判所によって破産手続の開始が決定され、同時に廃止(打ち切り)も決定されます。破産管財人は選任されません。
裁判所で免責審尋が行われる(裁判官と面談)
裁判所で免責審尋が実施されます。免責審尋では裁判官と面談し、免責や生活について質問されることもあります。
裁判所が免責許可を決定する
免責審尋の後、裁判所が免責許可を決定します。免責許可決定が確定すれば自己破産手続は完了です。
管財手続と同時廃止手続の違い
同時廃止手続では破産管財人が選任されませんから、当然、破産管財人による調査等も行われません。
そのため、同時廃止手続の場合は、管財手続の場合よりも、破産手続の期間が短く、また、費用も廉価で済みます。
具体的には、管財手続(少額管財)と同時廃止とでは、以下のような違いがあります。
| 比較項目 | 少額管財 | 同時廃止 |
|---|---|---|
| 破産管財人の選任 | あり | なし |
| 財産の調査・管理・処分 | 破産管財人が行う | なし |
| 債権調査の手続 | 破産管財人が行う | なし |
| 免責の調査 | 破産管財人が行う | 裁判所が行う |
| 裁判所への出頭 | 債権者集会(免責審尋) | 免責審尋 |
| 手続の期間 | 概ね3~4か月 ただし、管財業務の進捗によっては延期される | 概ね2~3か月 |
| 手続の費用 | 引継予納金(最低20万円)が必要 | 引継予納金は不要 |
費用が少額で済むのかどうかは、意外と切実な問題です。自己破産をした場合に、管財手続となるのか、同時廃止手続となるのかについても、ある程度の見通しを立てておく必要があります。
管財手続と同時廃止のどちらになるかの基準
管財手続(少額管財)と同時廃止のどちらになるかは、申立てをした後に裁判所が決定します。自分で選ぶことはできません。希望を述べることはできますが、あまり意味はありません。
同時廃止になるのは、以下のすべての条件を満たす場合です。これ以外は管財手続になるのが通常です。
- 処分すべき財産がないことが明らかであること
- 否認権の行使(※)や破産法上処理すべきことがないことが明らかであること
- 免責不許可事由がないことが明らかであること
※否認権の行使:例えば、一部の債権者にだけ返済した場合(偏頗弁済)や、家族に財産の名義を移した場合(詐害行為)などに、返済や財産を受け取った人に対して破産管財人が財産の返還を求めること
管財手続と同時廃止では、かなり手続の進行や費用に違いがあるので、事前に弁護士に相談して見通しを立てておくことが肝心です。
自己破産の費用
弁護士に依頼して自己破産する場合、以下のような費用がかかります。
| 費用項目 | 相場 |
|---|---|
| 弁護士費用 | 200,000~600,000円 |
| 裁判手数料(収入印紙代) | 1,500円 |
| 予納金(官報公告費用) | 15,000円前後 |
| 予納郵券(郵便切手代) | 5,000円前後 |
| 引継予納金(破産管財人の報酬) | 原則200,000円(裁判所によって異なる場合があります。) |
| 実費 | 5,000円~10,000円 |
自己破産に関するよくある質問
以下では、自己破産に関して特によくある質問について説明します。
なお、その他自己破産に関する質問は、下記リンク先ページでまとめているので、そちらを参照してください。
自己破産すると保証人に請求される?
- Q自己破産すると保証人に請求される?
- A
はい。保証人・連帯保証人のついている借金がある場合に自己破産すると、その保証人・連帯保証人が債権者から請求されます。
保証人や連帯保証人が付いている借金がある場合、自己破産すると、債権者はその保証人や連帯保証人に請求(通常は残額の一括請求)します。
保証人などが付いている借金だけ外すことができないため、自己破産の場合は保証人などへの請求を回避することができません。
どうしても保証人などへの請求を回避したいは、他の債務整理方法(任意整理)を選択して、保証人などがついている借金だけ外すことになるでしょう。
自己破産すると家族にも影響する?
- Q自己破産すると家族にも影響する?
- A
ブラックリストへの登録・財産の処分・資格制限など、自己破産の効力が生じるのは、自己破産をした本人だけです。家族であっても、自己破産の影響が及ぶことはありません。ただし、間接的に影響を及ぼすことはあります。
ブラックリストへの登録や財産の処分・資格制限など、自己破産の効力が生じるのは、自己破産をした本人だけです。家族であっても、自己破産の影響が及ぶことはありません。
ただし、家族が保証人や連帯保証人の場合は、その家族に請求がいきます。
また、自己破産前に財産の名義を家族に移して財産隠しをした場合は、裁判所・破産管財人からその家族に財産を返すよう請求(否認権の行使)されます。
その他、間接的に影響を及ぼす場合として、例えば、自己破産して自宅を処分すると、家族も家を失うことになるなどの影響もあります。
自己破産したことは家族や勤務先に知られる?
- Q自己破産したことは家族や勤務先に知られる?
- A
知られる可能性は大きくはありませんが、絶対に知られないとまでは言えません。
自己破産すると、国の機関紙である「官報」に自己破産したことが氏名・住所などとともに掲載されます。そのため、家族や勤務先に知られる可能性がゼロとは言えません。
とは言え、特別な職種(金融機関、保険会社、警備会社、会計事務所など)を除いて、官報を定期的にチェックしている人や企業はほとんどないでしょう。
自己破産したからといって、家族や勤務先に知られるケースは少ないです。
ただし、債権者から給料を差押えられた場合、勤務先に借金をしていること・借金を支払っていないことを知られます。そこから、自己破産しようとしていることを知られる可能性はあるでしょう。
なお、仮に知られたとしても、借金をしていることだけをもって従業員を解雇することはできません。
自己破産すると給料がもらえなくなる?
- Q自己破産すると給料がもらえなくなる?
- A
いいえ。自己破産しても給料がもらえなくなることはありません。
自己破産しても給料がもらえなくなることはありません(ただし、未払いの給料がある場合、その未払い分の一部はもらえなくなる可能性はあります。)。
なお、自己破産したからと言って、そのことだけを理由に勤務先から解雇されることもありません(ただし、資格制限に該当するため仕事ができなくなった場合には解雇の可能性があります。)。
自己破産すると自宅・持ち家は残せない?
- Q自己破産すると自宅・持ち家は残せない?
- A
はい。自己破産すると、所有している自宅不動産は手放すことになります。
自己破産した場合、自宅不動産は、住宅ローンが残っているか否かにかかわらず残せないでしょう。破産管財人によって売却されるか、ローン会社によって競売にかけられて売却されます。
自宅を残したい場合は、他の債務整理(任意整理や個人再生)を検討する必要があります。
自己破産すると車は残せない?
- Q自己破産すると車は残せない?
- A
ローンが残っているか否か、処分価格がどのくらいかなどによって、残せるケースと残せないケースがあります。
自動車は、売却した場合の見込み額が20万円以下であれば、自己破産しても残せるケースが多いです。あらかじめ査定してもらって、見込額を確認しておきましょう。
ただし、自動車ローンが残っている場合は、ローン会社に引き揚げられてしまうため残せません。
自動車ローンが残っている車を確実には、家族に援助でローンを完済してもらうか、任意整理を選択して自動車ローンだけ外すなどの対処をする必要があります。
2回目以降の自己破産は可能?
- Q2回目以降の自己破産は可能?
- A
はい。ただし、手続はより厳しくなるでしょう。
多くはありませんが、実際に2回目の自己破産をする人はいます。
ただし、前回の免責許可から7年以内に再度自己破産を申し立てると、そのこと自体が免責不許可事由に該当するものとして扱われます。
そのため、不正はないかなどが厳しくチェックされるでしょう。特に、前回のときと同じような理由で借金を増やして自己破産した場合は、さらに厳しいチェックを受けることになります。
7年以内でない場合でも、厳しい手続になることは間違いないでしょう。2回目にならないよう、自己破産した後は借金に頼らない生活へ改善する努力をしましょう。
自己破産は弁護士に依頼した方が良い?
自己破産は、弁護士に依頼しなくても債務者自身で申し立てることは可能です。また、司法書士に依頼することもできます。
もっとも、以下の理由から、自己破産は弁護士に依頼して申し立てることをお勧めします。
破産法その他の法律や実務の知識を習得する手間がいらなくなる
自己破産の手続は、単なる役所への届出とは違って、裁判手続です。破産法その他の法律の知識や実務の知識・経験がなければ円滑に進めることはできません。
とはいえ、一から破産法その他の法律を習得するのは大変な手間です。日常の生活や仕事をしながら、法律を習得するのは困難ですし、時間も非常にかかります。
法律の専門家である弁護士に依頼すれば、破産法その他の法律の知識や実務を自分で習得する必要はなくなります。
債権者・裁判所・破産管財人への対応も任せられる
自己破産をするには、債権者とのやり取りが不可欠です。裁判所の手続が始まった後も、債権者や関係者に対応しなければならないこともあります。
また、自己破産の手続を進めるためには、裁判所や破産管財人と話し合ったり、質問に適切に回答したりなどの対処も求められます。
これら債権者・裁判所・破産管財人に逐一対応していると、日常生活や普段の仕事に差し支えるおそれがあります。また、精神的な負担やプレッシャーも小さくありません。
弁護士に依頼することによって、債権者・裁判所・破産管財人対応を任せることができ、日常生活への負担や精神的な不安を減らすことができます。
裁判所での手続や破産管財人との面接にも同席してもらえる
自己破産では、債権者集会や免責審尋などの手続が裁判所で行われます。また、管財事件の場合は、破産管財人との面談も実施されます。
自分ひとりで申し立てた場合は、当然ひとりで手続に臨まなければいけません。司法書士に依頼した場合も、同席が許可されないことも多いです。
一方、弁護士に依頼すると、破産管財人との面談(面接)や裁判所での手続(免責審尋や債権者集会)にも必ず同席してサポートしてもらえるので、手続に臨む不安を解消できます。
少額管財が利用できるようになる
自分ひとりで自己破産を申し立てた場合、基本的に管財手続になります。そのため、弁護士等の費用はかからないものの、裁判所へ支払う予納金は50万円以上になります。
また、司法書士の場合には自己破産の代理権がないので、少額管財にはなりません(ただし、本人申立てよりは予納金が低額になることが多いです。)。
一方、弁護士に依頼した場合は、少額管財が利用できます。弁護士が代理人として就任することによって、適切な調査や対応が望めるからです。予納金も20万円で済みます。
費用面でみても、司法書士に依頼するより弁護士に依頼した方が、全体的な費用が少額で済むことが多いのです。
実際、裁判所も、弁護士に依頼して自己破産申立てをすること推奨しています。
この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。
弁護士の探し方
「自己破産をしたいけどどの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。
現在では、多くの法律事務所が自己破産を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人の自己破産の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・休日対応・メール相談可
- 所在地:東京都台東区
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・依頼後の出張可
- 所在地:東京都墨田区
- 相談無料
- 24時間対応・秘密厳守・匿名相談可能・メールフォーム・LINE相談可能
- 所在地:東京都千代田区
参考書籍
本サイトでも自己破産について解説していますが、より深く知りたい方のために、自己破産の参考書籍を紹介します。
破産実務Q&A220問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
破産実務を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、破産実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
破産・民事再生の実務(第4版)破産編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、破産事件の実務全般について解説されています。
破産管財の手引(第3版)
編著:中吉徹郎 出版:金融財政事情研究会
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。破産管財人向けの本ですが、申立人側でも役立ちます。
はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。
破産申立マニュアル(第3版)
編集:東京弁護士会倒産法部 出版:商事法務
東京弁護士会による破産実務書。申立てをする側からの解説がされています。代理人弁護士向けの本ですが、自己破産申立てをする人の参考にもなります。



