自己破産にはどのようなメリットがあるのか?

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自己破産の最大のメリットは,裁判所の免責許可決定によって,借金などの債務を免責してもらえることです。免責とは債務の支払義務がなくなることを意味します。つまり,借金を支払わなくてもよくなるということです。

また,破産手続が開始すると,債権者からの取り立てや訴訟の提起,給料差押えなどの強制執行もされなくなり,すでに提起されている訴訟は中断し,すでにされている強制執行は停止または取り消されることもメリットと言えるでしょう。

自己破産のメリット

一般に考えられている「自己破産」には,破産手続と免責手続という2つの手続が含まれています。

破産手続においては,債務者の財産が換価処分され,それによって得られた金銭が公平に債権者に分配されます。

破産手続によっても支払いきれなかった債務は,破産手続と同時並行的に行われる免責手続において,裁判所によって免責を許可されると,その支払義務を免除してもらえます。

自己破産というとデメリットばかりのように思われがちです。もちろん,デメリットがあることは間違いありません。

しかし,自己破産には,デメリットを補ってあまりあるほどに大きなメリットがあることも間違いありません。

自己破産を検討する際にデメリットを考慮しておくことは必要なことですが,大きなメリットがあるということも知っておく必要があるでしょう。

借金などの債務が免責されること

自己破産によって得られる最大のメリットは,言うまでもなく,裁判所の免責許可決定によって,借金などの債務が「免責」されることです。免責とは,債務の支払義務が免除されるということです。

本来であれば支払わなければならない借金を支払う必要が無くなるというのですから,この効果は,債務整理においてこれ以上なく非常に強力なものです。

借金を支払わなくてよくなれば,返済や取立てで苦しむこともなくなりますし,新たに生活を立て直すことが可能となります。最も決定的な債務整理の方法といってもよいでしょう。

しかも,個人の方の自己破産の場合には,生活に必要最低限の財産は,自由財産といって,処分しなくてもよいものとされています。

そのため,自己破産をすると,生活に必要となる最低限の財産を残したまま,借金の支払い義務を免れることができますので,生活を立て直すことが容易になるというメリットがあるのです。

債権者からの取り立てや訴訟提起が停止すること

自己破産のメリットには,免責だけでなく,債権者からの取り立てや訴訟提起も停止することも挙げられます。

債務整理を開始するに当たって,弁護士等が受任通知(介入通知)を送付すると,貸金業者や債権回収会社からの直接の取り立てが停止します。

さらに,自己破産を申し立て,破産手続が開始されると,債権者による個別の取立てが禁止されます。つまり,貸金業者や債権回収会社だけでなく,それら以外の債権者からの取り立てもすべて停止します。

また,直接の取り立てが停止するだけでなく,破産手続が開始されると,債権者による訴訟の提起も禁止されます。すでに提起されている訴訟は中断します。

取り立てや訴訟提起されることがなくなるので,平穏な生活を取り戻すことができます。このことも自己破産のメリットでしょう。

給料などの差押えが停止・取消になること

給料の差押えなどが停止または取り消しになることも,自己破産のメリットの1つといえます。

自己破産の申立てによって破産手続が開始されると,債権者による個別の取立てだけでなく,個別の強制執行も禁止されます。すでになされている強制執行は停止または取り消されます。

給料等を差し押さえられているような場合も,破産手続が開始されると,差押えが停止または取り消され,再び,自分で給料を受け取ることができるようになります。

給料を自分で受け取れるようになるので,生活を立て直すのが容易になるのも大きなメリットでしょう。

自己破産に対する誤解

メリットとは少し違いますが,自己破産には多くの誤解があります。例えば,以下のようなものです。

自己破産に対する誤解
  • すべての財産が処分されてしまう。
    ▶ 生活に最低限必要な財産は,自由財産として処分しなくてもよいとされています。したがって,すべての財産が処分されるものではありません。
  • 引っ越しや旅行ができなくなる。
    ▶ 居住制限がされるのは破産手続の間のみです。破産手続が終了すれば制限は解除されます。また,破産手続き中でも裁判所の許可があれば,転居や旅行は可能です。
  • 郵便物が送られてこなくなる。
    ▶ 郵便物が破産管財人に転送されるのは破産手続の間のみです。破産手続が終了すれば制限は解除されます。
  • 資格を使った仕事ができなくなる。
    ▶ 資格の制限は,免責が許可されれば解除されます。
  • 選挙権も制限されてしまう。
    ▶ 選挙権が制限されることはありません。
  • 免責不許可事由があると免責は絶対に受けられない。
    ▶ ギャンブルなどの免責不許可事由がある場合でも,裁判所の裁量によって免責が許可されることは少なくありません。

自己破産には大きなメリットがあります。もちろんデメリットもありますが,間違った情報をもとに自己破産を断念することがないようにしなければなりません。

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