破産財団とは「破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの」のことをいいます。
破産財団の記事一覧
破産財団の記事一覧は、以下のとおりです。
なお、その他破産法に関する記事は、以下のページをご覧ください。
破産財団の概要
前記のとおり、破産財団とは「破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの」のことをいいます。
「財団」と言っても組織のようなものではありません。破産手続において破産管財人によって管理・換価処分される財産の集合体を意味します。
この破産財団に属する財産は、破産管財人に管理処分権が専属します。破産者自身であっても、自由に処分することはできなくなります。ただし、個人破産の場合には、破産財団に属しない自由財産が認めれています。
破産財団には、3つの内容が含まれると解されています。法の予定するあるべき形を意味する「法定財団」、破産管財人が現に管理しているものを指す「現有財産」、破産債権者に対する配当原資としての「配当財団」です。
破産管財人は、現有財団を適切に管理・増殖させて、法定財団に少しでも近づけるように管財業務を行い、配当財団を増やしていくことが求められます。
破産財団に組み入れられる破産者の財産とは、破産手続開始時に破産者が有する一切の財産です。破産手続開始時を基準時とする考え方のことを固定主義と言います。破産手続開始後に破産者が取得した財産は、破産財団に組み入れられません。
破産財団に組み入れられる一切の財産には、換価処分可能なものであれば、権利とは言えないようなものでも含まれます。また、破産手続開始前の原因に基づく将来の請求権も破産財団に組み入れられます。
破産管財人は、これらの財産を調査・回収して破産財団を増殖させていきます。また、否認権、取戻権、別除権、相殺権などが行使されることによって、破産財団は変動します。
破産法と資格試験
倒産法は、司法試験(本試験)や司法試験予備試験の選択科目とされています。この倒産法の基本となる法律が、破産法です。
民事再生法など他の倒産法は破産法をもとにした法律した法律ですので、破産法を理解していることが前提となってきます。そのため、学習する順番としては、まずは破産法からでしょう。
もっとも、出題範囲が限られているとはいえ、破産法もかなりのボリュームです。効率的に試験対策をするには、予備校や通信講座などを利用するのもひとつの方法でしょう。
参考書籍
破産法を深く知りたい方やもっと詳しく勉強したい方のために、参考書籍を紹介します。
著者:伊藤 眞 出版:有斐閣
倒産法研究の第一人者による定番の体系書。民事再生法と一体になっているので分量は多めですが、読みやすいです。難易度は高めですが、第一人者の著書であるため、信頼性は保証されています。
著者:伊藤 眞ほか 出版:弘文堂
条文ごとに詳細な解説を掲載する逐条の注釈書。破産法の辞書と言ってよいでしょう。破産法の条文解釈に関して知りたいことは、ほとんどカバーできます。持っていて損はありません。金額面を除けば、誰にでもおすすめです。
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の現役裁判官による破産実務の解説書。東京地裁の破産事件を扱う実務家必携の本。実務家でなくても、実際の手続運用を知っておくと、破産法をイメージしやすくなるでしょう。
司法試験・予備試験など資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。
著者:杉本和士ほか 出版:有斐閣
法科大学院生や司法試験・予備試験受験生向けに書かれた基本書・概説書。破産法だけでなく、倒産法全般について分かりやすくまとめられています。
著者:野村剛司ほか 出版:日本加除出版
こちらも法学大学院生や司法試験・予備試験受験生向けに書かれた教科書。著者が実務家であるため、実務的な観点が多く含まれていて、手続をイメージしやすいメリットがあります。
著者:伊藤塾 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。