裁判所に破産手続を開始してもらうためには,形式的要件(手続的要件・申立ての適法性)および実体的要件を満たしている必要があります。
破産手続開始の要件に関する記事一覧
破産手続開始の要件に関する記事一覧は、以下のとおりです。
なお、その他破産法に関する記事は、以下のページをご覧ください。
破産手続開始の要件の概要
前記のとおり、裁判所に破産手続を開始してもらうためには,形式的要件(手続的要件・申立ての適法性)および実体的要件を満たしている必要があります。
形式的要件としては、、①申立ての方式が適式であること、②申立人に申立権があること、③債務者に破産能力があること、④手数料を納付したこと、⑤裁判所の管轄が正しいことが必要です。
破産能力とは、破産者となることができる一般的な資格または地位のことです。個人(自然人)や一般的な法人については、破産能力が問題となることはほとんどないでしょう。特殊な法人や団体について問題となることがあります。
また、実体的要件としては、①債務者に破産手続開始原因(支払不能または債務超過)があること、②破産障害事由が無いことが必要です。
破産手続開始原因とは、債務者について、破産手続を開始する必要があると認められる財産状態の悪化の事由のことをいいます。破産手続開始原因は支払不能であることです。法人破産の場合には、債務超過も破産手続開始原因となります。
破産障害事由とは、それがあると破産手続が開始されなくなる事由です。破産証が自由には、破産手続の費用の予納がないこと、不当な目的または不誠実な破産手続開始の申立てがされたこと、民事再生・会社更生・特別清算手続が開始されたことがあります。
参考書籍
破産法を深く知りたい方やもっと詳しく勉強したい方のために、参考書籍を紹介します。
著者:伊藤 眞 出版:有斐閣
倒産法研究の第一人者による定番の体系書。民事再生法と一体になっているので分量は多めですが、読みやすいです。難易度は高めですが、第一人者の著書であるため、信頼性は保証されています。
著者:伊藤 眞ほか 出版:弘文堂
条文ごとに詳細な解説を掲載する逐条の注釈書。破産法の辞書と言ってよいでしょう。破産法の条文解釈に関して知りたいことは、ほとんどカバーできます。持っていて損はありません。金額面を除けば、誰にでもおすすめです。
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の現役裁判官による破産実務の解説書。東京地裁の破産事件を扱う実務家必携の本。実務家でなくても、実際の手続運用を知っておくと、破産法をイメージしやすくなるでしょう。
司法試験・予備試験など資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。
著者:杉本和士ほか 出版:有斐閣
法科大学院生や司法試験・予備試験受験生向けに書かれた基本書・概説書。破産法だけでなく、倒産法全般について分かりやすくまとめられています。
著者:野村剛司ほか 出版:日本加除出版
こちらも法学大学院生や司法試験・予備試験受験生向けに書かれた教科書。著者が実務家であるため、実務的な観点が多く含まれていて、手続をイメージしやすいメリットがあります。
著者:伊藤塾 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。