この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

破産管財人は、破産裁判所により、破産手続開始と同時に選任されます。破産管財人に選任されるのは1人とは限らず、複数人が選任されることもあります。また、破産管財人には、個人だけでなく法人を選任されることもあります。
もっとも、実務上、破産管財人に選任されるのは個人の弁護士であることが大半であり、東京地方裁判所においても弁護士以外または法人を選任した例はないようです。
また、破産裁判所である地方裁判所の管轄地域内に所在する法律事務所に所属し、当該地域の弁護士会推薦名簿に登録されている弁護士が選任されるのが通常です。
破産管財人とは
破産手続は、破産者の財産を換価処分して金銭に換えて、それを各債権者に対して弁済または配当する倒産手続です。
もっとも、これらの破産手続における業務(管財業務)を裁判官または裁判所の職員が行うのは、年間数万件にも及ぶ破産事件の件数からして、物理的に困難です。
そこで、破産管財業務は, 裁判所によって選任される破産管財人が行うものとされています。言ってみれば、裁判所が管財業務の遂行を外注するのです。
そして、この破産管財人は、破産者の財産を調査・回収・換価処分して破産財団を形成し、それによって得た金銭を各債権者に弁済または配当していきます。
破産手続において中心的な役割を果たす法的機関は、この破産管財人なのです。
破産管財人の選任者
破産法 第31条
- 第1項 裁判所は、破産手続開始の決定と同時に、一人又は数人の破産管財人を選任し、かつ、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 第1号 破産債権の届出をすべき期間
- 第2号 破産者の財産状況を報告するために招集する債権者集会(第4項、第136条第2項及び第3項並びに158条において「財産状況報告集会」という。)の期日
- 第3号 破産債権の調査をするための期間(第116条第2項の場合にあっては、破産債権の調査をするための期日)
破産法 第74条
- 第1項 破産管財人は、裁判所が選任する。
- 第2条 法人は、破産管財人となることができる。
引用元:e-Gov法令検索
前記のとおり、破産管財人を選任するのは、破産裁判所です(破産法31条1項、74条1項)。破産裁判所とは、破産事件が継続している裁判所のことです。
破産管財人は、事件ごとに、破産裁判所が選任します。決まった特定の人がすべての破産事件の破産管財人になるわけではありません。
破産管財人の選任時期
破産管財人は、破産手続開始決定と同時に裁判所によって選任されます(破産法31条1項)。
もっとも、実務では、裁判所において破産手続開始の申立てが受理された時点で破産管財人候補者が選定され、その後、破産手続開始決定と同時に破産管財人として正式に選任されることになるのが通常です。
破産管財人の選任資格
破産法上、破産管財人になるための資格は設けられていません。したがって、理屈で言えば、裁判所は誰を破産管財人に選任してもよいことになります。
しかし、破産管財人の職務を遂行するためには破産法などの専門的な法的知識が要求されます。そのため、実際に破産管財人に選任されるのは弁護士です。
具体的に言うと、破産裁判所の管轄内に所在する法律事務所に所属し、当該地域の弁護士会における破産管財人推薦名簿に登録されている弁護士が選任されます。
例えば、東京地方裁判所本庁が破産裁判所の場合は、東京23区内に所在する法律事務所に所属し、東京都内の弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)の破産管財人推薦名簿に登録されている弁護士が、破産管財人に選任されます。
もちろん、選任されるのは、債務者(破産者)の代理人や債権者の代理人などではなく、当該事件に利害関係のない弁護士です。
この条件にあう弁護士の中から、それぞれの事件にあった弁護士を破産裁判所が選任することになります。
複数人・法人の選任
大規模事件に対応する必要性が生じた場合に備えて、破産法においては、複数人の破産管財人を選任することも可能とされています(破産法31条1項)。
また、個人だけでなく、法人を破産管財人に選任することもできます(破産法74条2項)。
ただし、実務においては、弁護士法人などの法人が選任されることはほとんどないようです。また、複数人の破産管財人が選任されることも非常に限られます。
破産管財人代理の選任
破産法 第77条
- 第1項 破産管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の破産管財人代理を選任することができる。
- 第2項 前項の破産管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
引用元:e-Gov法令検索
破産管財人は、管財業務が多岐にわたるなど必要があるときは、自己の責任で1人または数人の破産管財人代理を選任できます(破産法77条1項)。ただし、選任については、裁判所の許可が必要です(同条2項)。
破産管財人「代理」という名称ですが、破産管財人の代理人というよりも、どちらかと言えば補助者のような役割です。
破産管財人代理は、裁判所の許可は必要であるものの、選任自体は破産管財人が行います。弁護士だけでなく、会計や税務処理のために、公認会計士や税理士が選任されることもあります。


