
経過利息とは,和解成立日までに発生している利息(遅延損害金を含む場合もあります。)のことを意味します。将来利息とは,和解成立後に発生する利息のことを意味します。
任意整理においては,この経過利息と将来利息を免除(カット)してもらうよう交渉することになります。ただし,経過利息のカットに応じない債権者は少なくありません。
任意整理における利息のカット
任意整理においては,利息や遅延損害金をカットしてもらい,元本のみで分割払いの合意等をしてもらうように交渉をするのが一般的です。
債務整理をするということは,すでに支払いが困難な状態になっているということです。それでも何とか返済をしようというわけですから,利息まで支払わなければならないというのでは,債務者の経済的更生を阻害するおそれがあります。
利息の利率が高いと,借金の返済はますます困難になります。
例えば,利率が年28パーセントだと,100万円借りれば,借金の元本の他に1年のうちに余分に利息28万円支払わなければならなくなり,これを1月に換算すれば,実に毎月2万3000円近く支払わなければいけないということになります。
任意整理の目的は,債務者の方にできる限り無理を強いないような返済計画を債権者との間で合意することが目的ですから,和解後もこのような利息をつけてしまうと,その目的が達せられないおそれがあります。
また,債権者にとってみても,本来であれば自己破産や個人再生によって大幅に返済が減少する可能性があるところ,債務者による任意整理が上手くいけば,自己破産や個人再生の場合以上の返済を受けることができるようになるわけですから,メリットがあるといえます。
そのような観点から,任意整理においては,長期の分割払いだけでなく,同時に利息も免除(カット)してもらうように交渉することになります。
経過利息と将来利息
利息には,2つの種類があります。
1つは,経過利息です。これは,弁護士や司法書士が受任通知を送付してから(つまり,返済を停止してから)債権者との間で和解が成立するまでに発生している利息(遅延損害金を含める場合もあります。)のことをいいます。
もう1つは,将来利息です。これは,債権者との間で和解が成立してから任意整理に基づいて完済するまでの間に発生する利息のことです。
任意整理においては,上記の経過利息・将来利息のいずれもカットしてもらうように交渉することになります。
債権者の対応
前記の経過利息や将来利息をカットしてもらえるかどうかは,貸金業者によって異なってきます。もっとも、利息のカットに応じないという貸金業者も少なくありません。
経過利息も将来利息もカットに応じないという場合もあれば,将来利息はカットしてもよいが経過利息はカットしないという貸金業者もあります。特に、経過利息については、ほとんどの貸金業者等がカットに応じなくなってきています。