
債務整理をすると,信用情報に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されます。それにより,新規でローンの申込みをしても,審査を通すことは非常に難しくなります。
また,返済中のローンがある場合には,ローンで購入した商品等があれば,その商品等はローン会社に引き揚げられます。ただし,任意整理の場合には,返済中のローンだけ除外して通常どおり返済を続ければ,ローンで購入した商品が引き揚げられることはありません。
債務整理によるブラックリストへの登録
債務整理の方法には,主として自己破産・個人再生・任意整理がありますが,これらに共通するデメリットとして,信用情報に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されることが挙げられます。
個人のローンによる借入やクレジットカード利用の情報は,信用情報機関において,個人の「信用情報」として記録されています。
貸金業者は,貸付やローン利用の審査において,この信用情報を確認することができます。
信用情報には,ローンによる借入れや返済状況だけでなく,滞納をしているかどうかなどの事故情報も記録されています。これが,いわゆるブラックリストと呼ばれる情報です。
ブラックリスト情報が登録されていれば,それを確認した貸金業者は,当然,ローン利用の審査を通さないでしょう。
債務整理をするということは,自己破産・個人再生・任意整理のいずれであっても,約定どおりに返済しないということですから,このブラックリストに登録されてしまいます。
そして,このブラックリストに登録されると,ローンを組むことが非常に難しくなります。
新規のローン申し込みへの影響
前記のとおり,債務整理をすると,自己破産・個人再生・任意整理のいずれであっても,ブラックリストに登録されます。したがって,新規のローンを組むことは難しくなります。
ただし,一生ブラックリストに登録されているわけではありません。一定期間が経過すれば,ブラックリストの削除が可能となります。
ブラックリストに登録されている期間は,どの手続を行ったかによって異なってきます。おおよその目安は以下のとおりです。
- 自己破産の場合は,破産手続開始決定から7年間(または、免責許可決定から5年間)
- 個人再生の場合は,再生計画に基づく返済の完了から5年間(または、再生手続開始決定から7年間)
- 任意整理の場合は,完済してから5年間
この期間を経過すれば,ブラックリストを削除できます。
ただし,ブラックリストから削除されたとしても,必ずローンが組めるとは限りません。ローンが組めるかどうかは,その時の収入や資産の状況によります。
返済中のローンへの影響
債務整理をする際,まだローン返済中のものもあるでしょう。ブラックリストに登録されたからといって,返済中のローンがいきなり打ち切られるということはありません。
しかし,自己破産や個人再生では,一部の債権者だけ除外して他の債権者だけ手続を行うということができません。返済中のローンも対象になります。
返済中のローンは,自己破産を申し立てて免責が許可されればローン残額の支払い義務は免除され,個人再生を申し立てて再生計画が認可されればローン残額は減額されて分割で支払っていくことになります。
そのため,ローンを約定どおりに完済しないことになるので,原則として,ローンで購入した商品は,ローン会社によって引き揚げられることになります。
ただし,必ず引き揚げられるわけではなく,売却価値の無いものや引き揚げに過大な費用がかかるようなものは引き揚げられないこともあります(なお,引き揚げられなかったとしても,自己破産の場合は,破産管財人によって換価処分されることがあります。)。
他方,任意整理の場合には,返済に支障がないのであれば,一部の債権者だけ除外することも可能です。
したがって,返済中のローンだけ除外して通常どおり返済を続け,他の債務について任意整理をすれば,ローンで購入した商品は,ローン会社に引き揚げられることはありません。