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最高裁判例の索引2(平成の判例)

本サイトの記事で取り扱った最高裁判例(平成の判例)を年代順に取り上げています。

昭和の判例

昭和の判例索引は、以下のページです。

平成元年~9年

最高裁判所第一小法廷平成元年2月9日判決(民集 第43巻2号1頁)

裁判要旨
共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が右協議において負担した債務を履行しないときであつても、その債権を有する相続人は、民法541条によつて右協議を解除することができない。

最高裁判所第三小法廷平成元年7月18日判決(家裁月報41巻10号128頁)

裁判要旨
遺骨は祭祀主宰者に帰属するとした原審判決を支持した判例。

最高裁判所第二小法廷平成2年1月22日判決(民集 第44巻1号332頁)

裁判要旨
貸金業の規制等に関する法律43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払つた」及び同条3項にいう「債務者が賠償として任意に支払つた」とは、債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識した上、自己の自由な意思によつて支払つたことをいい、債務者において、その支払つた金銭の額が利息制限法1条1項又は4条1項に定める利息又は賠償額の予定の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しない。

最高裁判所第三小法廷平成2年6月5日判決(民集第44巻4号599頁)

裁判要旨
売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記の経由された不動産につき抵当権の設定を受け、その登記を経由した者は、予約完結権の消滅時効を援用することができる。

最高裁判所第二小法廷平成3年4月19日判決(民集 第45巻4号477頁)

裁判要旨
一 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法が指定されたものと解すべきである。
二 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される。

最高裁判所第一小法廷平成4年3月19日判決(民集第46巻3号222頁)

裁判要旨
売買予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記のされた不動産につき所有権移転登記を経由した第三取得者は、予約完結権の消滅時効を援用することができる。

最高裁判所第二小法廷平成5年7月19日判決(集民 第169号243頁)

裁判要旨
遺言により法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人が、遺産を構成する特定不動産に法定相続分に応じた共同相続登記がされたことを利用し、右登記に係る自己の共有持分権を第三者に譲渡し、第三者が右持分の移転登記を受けたとしても、右第三者は右共同相続人の指定相続分に応じた持分を取得するにとどまる。

最高裁判所第一小法廷平成5年11月25日判決(集民 第170号553頁)

裁判要旨
いわゆるファイナンス・リース契約において、利用者がリース物件の引渡しを受けていないのにリース業者にこれを受領した旨の受領書を交付し、その後リース業者が販売店からその経営不振を理由にリース物件を引き揚げたなど判示の事実関係の下においては、利用者は、リース物件を使用することができなかったからといって、リース料の支払義務を免れることはできない。

最高裁判所第一小法廷平成6年2月10日判決(集民 第171号445頁)

裁判要旨
資金不足を理由にする1回目の手形不渡りが、金額が約3億6000万円であり、多額の債務を抱え支払不能の状態にある時点で生じたときは、その後に満期が到来した約1100万円の手形については弁済等により不渡りが回避されたとしても、右1回目の手形不渡りが破産法104条2号にいう「支払ノ停止」に当たる。

最高裁判所第二小法廷平成6年7月18日判決(民集 第48巻5号1233頁)

裁判要旨
保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「相続人」と指定した場合は、特段の事情のない限り、右指定には相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれ、各保険金受取人の有する権利の割合は相続分の割合になる。

最高裁判所第二小法廷平成6年12月16日判決(集民 第173号503頁)

裁判要旨
被相続人甲からその子乙が遺言公正証書の正本の保管を託され、乙は遺産分割協議の成立に至るまで法定相続人の一人である姉に対して遺言書の存在と内容を告げなかったが、甲の妻丙は甲が公正証書によって遺言をしたことを知っており、丙の実家の当主は証人として遺言書の作成に立ち会った上、遺言執行者の指定を受け、また、乙は遺産分割協議の成立前に法定相続人の一人である妹に対して遺言公正証書の正本を示してその存在と内容を告げたなど判示の事実関係においては、乙の行為は、民法891条5号にいう遺言書の隠匿に当たらない。

最高裁判所第二小法廷平成7年4月14日判決(民集 第49巻4号1063頁)

裁判要旨
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約によりリース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生手続の開始決定があった場合、未払のリース料債権は、その全額が更生債権となる。

最高裁判所第二小法廷平成8年1月26日判決(民集 第50巻1号132頁)

裁判要旨
遺言者の財産全部の包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しない。

最高裁判所第三小法廷平成9年1月28日判決(民集 第51巻1号184頁)

裁判要旨
相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は、民法八九一条五号所定の相続欠格者に当たらない。

最高裁判所第二小法廷平成9年4月11日判決(集民 第183号241頁)

裁判要旨
譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。

最高裁判所第一小法廷平成9年11月13日判決(民集 第51巻10号4144頁)

裁判要旨
一 遺言者が遺言を撤回する遺言を更に別の遺言をもって撤回した場合において、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が当初の遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、当初の遺言の効力が復活する。
二 遺言者が、甲遺言を乙遺言をもって撤回した後更に乙遺言を無効とし甲遺言を有効とする内容の丙遺言をしたときは、甲遺言の効力が復活する。

平成10年代(10年~19年)

最高裁判所第二小法廷平成10年6月22日判決(民集第52巻4号1195頁)

裁判要旨
詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権の消滅時効を援用することができる。

最高裁判所第一小法廷平成11年1月21日判決(民集 第53巻1号98頁)

裁判要旨
貸金業の規制等に関する法律43条1項によるみなし弁済の効果を生ずるためには、債務者の利息の支払が貸金業者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってされた場合であっても、特段の事情のない限り、貸金業者は右の払込みを受けたことを確認した都度、直ちに、同法18条1項に規定する書面を債務者に交付しなければならない。

最高裁判所第二小法廷平成11年2月26日判決(集民 第191号457頁)

裁判要旨
譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲り受けた第三者は、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権として目的不動産について留置権を有する譲渡担保権設定者に対し、右請求権の消滅時効を援用することができる。

最高裁判所第三小法廷平成12年2月29日判決(民集 第54巻2号553頁)

裁判要旨
1 破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は破産法59条1項に基づく解除権を行使することができない。
2 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合において、破産管財人が会員契約を解除すると、破産財団は殊更解除に伴う財産的な出えんを要しないのに、ゴルフ場経営会社は、ゴルフ場施設を利用可能な状態に保持しこれを会員に利用させなければならない状況に変化がないまま、据置期間内の預託金を即時返還しなければならず、両者の均衡を失しており、同会社が右の不利益を破産法60条により回復することは困難であり、年会費支払義務が会員契約において付随的なものにすぎないなど判示の事情の下では、右解除により同会社に著しく不公平な状況が生じるということができ、破産管財人は、同法59条1項により会員契約を解除することができない。

最高裁判所第一小法廷平成12年3月9日判決(集民 第197号289頁)

裁判要旨
一 破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は破産法59条1項に基づく解除権を行使することができない。
二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合において、破産管財人が会員契約を解除すると、破産財団は殊更解除に伴う財産的な出えんを要しないのに、ゴルフ場経営会社は、ゴルフ場施設を利用可能な状態に保持しこれを会員に利用させなければならない状況に変化がないまま、据置期間内の預託金を即時返還しなければならず、両者の均衡を失しており、同会社が右の不利益を破産法60条により回復することは困難であり、年会費支払義務が会員契約において付随的なものにすぎないなど判示の事情の下では、右解除により同会社に著しく不公平な状況が生じるということができ、破産管財人は、同法59条1項により会員契約を解除することができない。

最高裁判所第二小法廷平成12年4月28日決定(集民 第198号193頁)

裁判要旨
破産者が株式会社である場合を含め、破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき別除権者がその放棄の意思表示をすべき相手方は、破産者である。

最高裁判所第三小法廷平成12年7月11日判決(民集 第54巻6号1886頁)

裁判要旨
一 受贈者又は受遺者は、遺留分減殺の対象とされた贈与又は遺贈の目的である各個の財産について、民法1041条1項に基づく価額弁償をすることができる。
二 いわゆる単位株制度の適用のある株式の共有物分割において、新たに単位未満株式を生じさせる現物分割を命ずることはできない。

最高裁判所第一小法廷平成12年9月7日判決(家裁月報54巻6号66頁)

裁判要旨
遺産の代償分割においては、債務を負担することになる相続人に代償金を支払うだけの資力(支払能力)があることが必要であるとした判例。

最高裁判所第二小法廷平成14年6月10日判決(集民 第206号445頁)

裁判要旨
「相続させる」趣旨の遺言による不動産の権利の取得については,登記なくして第三者に対抗することができる。

最高裁判所第二小法廷平成15年3月14日判決(民集 第57巻3号286頁)

裁判要旨
破産終結決定がされて法人格が消滅した会社を主債務者とする保証人は,主債務についての消滅時効が会社の法人格の消滅後に完成したことを主張してこれを援用することはできない。

最高裁判所第二小法廷平成15年7月18日判決(民集 第57巻7号895頁)

裁判要旨
1 貸金業者甲の受ける利息,調査料及び取立料と甲が100%出資して設立した子会社である信用保証会社乙の受ける保証料及び事務手数料との合計額が利息制限法所定の制限利率により計算した利息の額を超えていること,乙の受ける保証料等の割合は銀行等の系列信用保証会社の受ける保証料等の割合に比べて非常に高く,乙の受ける保証料等の割合と甲の受ける利息等の割合との合計は乙を設立する以前に甲が受けていた利息等の割合とほぼ同程度であったこと,乙は甲の貸付けに限って保証しており,甲から手形貸付けを受ける場合には乙の保証を付けることが条件とされていること,乙は,甲に対し,保証委託契約の締結業務,保証料の徴収業務,信用調査業務及び保証の可否の決定業務の委託等をしており,債権回収業務も甲が相当程度代行していたことなど判示の事実関係の下においては,乙の受ける保証料等は,甲の受ける利息制限法3条所定のみなし利息に当たる。
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法489条及び491条の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務に充当され,当該他の借入金債務の利率が利息制限法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない。

最高裁判所第一小法廷平成15年9月11日判決(集民 第210号617頁)

裁判要旨
1 貸金業者甲の受ける利息,調査料及び取立料と甲が100%出資して設立した子会社である信用保証会社乙の受ける保証料及び事務手数料との合計額が利息制限法所定の制限利率により計算した利息の額を超えていること,乙の受ける保証料等の割合は銀行等の系列信用保証会社の受ける保証料等の割合に比べて非常に高く,乙の受ける保証料等の割合と甲の受ける利息等の割合との合計は乙を設立する以前に甲が受けていた利息等の割合とほぼ同程度であったこと,乙は甲の貸付けに限って保証しており,甲から手形貸付けを受ける場合には乙の保証を付けることが条件とされていること,乙は,保証委託契約の締結業務及び保証料の徴収業務を甲に委託しており,信用保証契約の締結に際しても独自の審査を行っておらず,甲が債権回収のための訴えの提起を行っていたことなど判示の事実関係の下においては,乙の受ける保証料等は,甲の受ける利息制限法3条所定のみなし利息に当たる。
2 同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法489条及び491条の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務の利息及び元本に充当され,当該他の借入金債務の利率が利息制限法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない。

最高裁判所第二小法廷平成16年2月20日判決(民集 第58巻2号380頁)

裁判要旨
貸金業者が,貸金の弁済を受ける前に,その弁済があった場合の貸金業の規制等に関する法律18条1項所定の事項が記載されている書面で貸金業者の銀行口座への振込用紙と一体となったものを債務者に交付し,債務者がこの書面を利用して同銀行口座に対する払込みの方法によって利息の支払をしたとしても,同法43条1項の適用要件である同法18条1項所定の要件を具備した書面の交付があったということはできない。

最高裁判所第二小法廷平成16年2月20日判決(民集 第58巻2号475頁)

裁判要旨
1 貸金業者との間の金銭消費貸借上の約定に基づき利息の天引きがされた場合における天引利息については,貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用はない。
2 貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に該当するためには,当該書面に同項所定の事項のすべてが記載されていなければならない。
3 貸金業者が貸金の弁済を受けた日から20日余り経過した後に債務者に当該弁済についての書面を送付したとしても,貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用要件である同法18条1項所定の事項を記載した書面の弁済直後における交付がされたものとみることはできない。
(1〜3につき補足意見がある。)

最高裁判所第三小法廷平成16年4月20日判決(集民 第214号13頁)

裁判要旨
共同相続人甲が相続財産中の可分債権につき権限なく自己の相続分以外の債権を行使した場合には,他の共同相続人乙は,甲に対し,侵害された自己の相続分につき,不法行為に基づく損害賠償又は不当利得の返還を求めることができる。

最高裁判所第一小法廷平成16年6月10日判決(民集 第58巻5号1178頁)

裁判要旨
1 有限会社の取締役は,会社が破産宣告を受けた後であっても,火災保険の保険契約者又は被保険者の取締役の故意等によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨の約款中の免責条項にいう「取締役」に当たる。
2 有限会社を保険契約者兼被保険者として締結された火災保険契約に適用される約款中に,保険契約者又は被保険者の取締役の故意等によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨の免責条項がある場合において,当該有限会社の取締役が会社の破産宣告後に保険の目的である建物に放火し,当該建物が焼失したという事実関係の下では,上記放火による建物の焼失は,上記免責条項にいう「取締役」の故意による事故招致に当たる。

最高裁判所第二小法廷平成16年10月1日決定(集民 第215号199頁)

裁判要旨
破産者が株式会社である場合において,破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき,別除権者が破産者の破産宣告当時の代表取締役に対してした別除権放棄の意思表示は,これを有効とみるべき特段の事情の存しない限り,無効である。

最高裁判所第二小法廷平成16年10月29日判決(民集 第58巻7号1979頁)

裁判要旨
被相続人を保険契約者及び被保険者とし,共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は,民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが,保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持戻しの対象となる。

最高裁判所第一小法廷平成17年3月10日決定(民集 第59巻2号356頁)

裁判要旨
1 抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても,抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり,その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ,その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは,抵当権者は,当該占有者に対し,抵当権に基づく妨害排除請求として,上記状態の排除を求めることができる。
2 抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり,抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には,抵当権者は,当該占有者に対し,直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。
3 抵当権者は,抵当不動産に対する第三者の占有により賃料額相当の損害を被るものではない。

最高裁判所第三小法廷平成17年7月19日決定(民集 第59巻6号1783頁)

裁判要旨
貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業の規制等に関する法律の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,その業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う。

最高裁判所第一小法廷平成17年9月8日決定(民集 第59巻7号1931頁)

裁判要旨
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。

最高裁判所第一小法廷平成17年12月15日判決(民集 第59巻10号2899頁)

裁判要旨
1 貸金業者は,貸付けに係る契約の性質上,貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に同項所定の事項について確定的な記載をすることが不可能な場合には,同書面に当該事項に準じた事項を記載すべきである。
2 貸金業者は,借主が借入限度額の範囲内であれば繰り返し借入れをすることができ,毎月定められた返済期日に最低返済額以上の元金を経過利息と共に返済するという内容の金銭消費貸借基本契約に基づく貸付け(いわゆるリボルビング方式の貸付け)をしたときには,各貸付けごとに借主に交付すべき貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に,「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」として,当該貸付けを含めたその時点での全貸付けの残元利金について,毎月定められた返済期日に最低返済額及び経過利息を返済する場合の返済期間,返済回数及び各回の返済金額を記載すべきである。

最高裁判所第二小法廷平成18年1月13日判決(民集 第60巻1号1頁)

裁判要旨
1 貸金業の規制等に関する法律施行規則15条2項の規定のうち,貸金業者が弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,貸金業の規制等に関する法律18条1項1号から3号までに掲げる事項の記載に代えることができる旨定めた部分は,同法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効である。
2 利息制限法所定の制限を超える約定利息と共に元本を分割返済する約定の金銭消費貸借に,債務者が元本又は約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約が付されている場合,同特約中,債務者が約定利息のうち制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同法1条1項の趣旨に反して無効であり,債務者は,約定の元本及び同項所定の利息の制限額を支払いさえすれば,期限の利益を喪失することはない。
3 利息制限法所定の制限を超える約定利息と共に元本を分割返済する約定の金銭消費貸借において,債務者が,元本又は約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下で,利息として上記制限を超える額の金銭を支払った場合には,債務者において約定の元本と共に上記制限を超える約定利息を支払わない限り期限の利益を喪失するとの誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,制限超過部分の支払は,貸金業の規制等に関する法律43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできない。

最高裁判所第三小法廷平成18年1月24日判決(民集 第60巻1号319頁)

裁判要旨
1 日曜日等の特定の日には集金をしない旨の合意がある日賦貸金業者の貸付けについて,集金をしない日の記載がされていない借用証書の記載内容は貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面の記載事項である「各回の返済期日」の記載として正確性を欠き,また,日曜日等の特定の日と共に「その他取引をなさない慣習のある休日」に集金をしない旨の記載がされている借用証書の記載内容は上記「各回の返済期日」の記載として明確性を欠き,借主に交付されたこれらの借用証書の写しは,上記書面に該当しない。
2 日賦貸金業者の貸付けについて,貸金業の規制等に関する法律43条1項の規定が適用されるためには,平成12年法律第112号による改正前の出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律第33号)附則9項所定の各要件が,契約締結時の契約内容において充足されているだけではなく,実際の貸付けにおいても現実に充足されていることが必要である。
3 日賦貸金業者の貸付けについて,契約締結時の契約内容においては,返済期間が100日以上と定められていたところ,約定の返済期間の途中で,残元本に貸増しが行われ,貸増し後の元本の合計金額を契約金額として新たに契約が締結され,旧債務が消滅したために,旧債務の返済期間が100日未満となったときには,平成12年法律第112号による改正前の出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律第33号)附則9項2号所定の要件が実際の貸付けにおいて現実に充足されているとはいえず,貸金業の規制等に関する法律43条1項の規定は適用されない。
4 平成12年法律第112号による改正前の出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律第33号)附則9項3号所定の「返済期間の100分の70以上の日数」には,日賦貸金業者が集金する方法により金銭を取り立てたにもかかわらず返済のされなかった日が含まれる。

最高裁判所第三小法廷平成18年1月24日判決(集民 第219号243頁)

裁判要旨
1 利息制限法所定の制限を超える約定利息と共に元本を分割返済する約定の金銭消費貸借に,債務者が元本及び約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の約定が付されている場合,同約定中,債務者が約定利息のうち制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同法1条1項の趣旨に反して無効であり,債務者は,約定の元本及び同項所定の利息の制限額を支払いさえすれば,期限の利益を喪失することはない。
2 利息制限法所定の制限を超える約定利息と共に元本を分割返済する約定の金銭消費貸借において,債務者が,元本及び約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の約定の下で,利息として上記制限を超える額の金銭を支払った場合には,債務者において約定の元本と共に上記制限を超える約定利息を支払わない限り期限の利益を喪失するとの誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,制限超過部分の支払は,貸金業の規制等に関する法律43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできない。
(2につき意見がある。)

最高裁判所第一小法廷平成18年3月30日判決(民集 第60巻3号1242頁)

裁判要旨
自動車損害賠償保障法16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を請求する訴訟において,裁判所は,同法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支払を命じることができる。

最高裁判所第一小法廷平成18年12月21日判決(民集 第60巻10号3964頁)

裁判要旨
1 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことは,当時破産財団に上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する。
2 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際して賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,質権の設定された敷金返還請求権の発生を阻害したことが,質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務に違反する場合であっても,その義務違反の有無が,破産債権者のために破産財団の減少を防ぐという破産管財人の職務上の義務と質権設定者が質権者に対して負う上記義務との関係をどのように解するかによって結論の異なり得る問題であって,この点について論ずる学説や判例も乏しかったことや,破産管財人が上記合意をするにつき破産裁判所の許可を得ているという事情の下では,破産管財人は,質権者に対し,善管注意義務違反の責任を負うということはできない。
3 破産管財人が,破産者の締結していた建物賃貸借契約を合意解除するに際し,賃貸人との間で破産宣告後の未払賃料等に破産者が差し入れていた敷金を充当する旨の合意をし,上記賃料等の現実の支払を免れた場合において,当時破産財団には上記賃料等を支払うのに十分な銀行預金が存在しており,これを現実に支払うことに支障がなかったなど判示の事情の下では,破産管財人は,敷金返還請求権の質権者に対し,敷金返還請求権の発生が阻害されたことにより優先弁済を受けることができなくなった金額につき不当利得返還義務を負う。
(2につき補足意見がある。)

最高裁判所第三小法廷平成19年2月13日判決(民集 第61巻1号182頁)

裁判要旨
1 貸主と借主との間で継続的に貸付けが繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し,その後,第2の貸付けに係る債務が発生したときには,特段の事情のない限り,第1の貸付けに係る過払金は,第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前にされたものであるか否かにかかわらず,第2の貸付けに係る債務には充当されない。
2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分である。

最高裁判所第三小法廷平成19年4月24日判決(民集 第61巻3号1073頁)

裁判要旨
いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,それ以降自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行する。

最高裁判所第一小法廷平成19年6月7日判決(集民 第224号479頁)

裁判要旨
いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行する。

最高裁判所第一小法廷平成19年6月7日判決(民集 第61巻4号1537頁)

裁判要旨
同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付けとその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており,同契約には,毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ,利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算するなどの条項があって,これに基づく債務の弁済が借入金の全体に対して行われるものと解されるという事情の下においては,上記基本契約は,同契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。

最高裁判所第二小法廷平成19年7月13日判決(民集 第61巻5号1980頁)

裁判要旨
1 貸金業者が返済方式を元利均等方式とする貸付けをするに際し,貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に当たるものとして借用証書の写しを借主に交付した場合において,
(1) 当該借用証書写しの「各回の支払金額」欄に,一定額の元利金の記載と共に「別紙償還表記載のとおりとします。」との記載があり,償還表は借用証書写しと併せて一体の書面をなすものとされ,各回の返済金額はそれによって明らかにすることとされていること,
(2) 「各回の支払金額」欄に元利金として記載されている一定額と償還表に記載された最終回の返済金額が一致していないことなど判示の事実関係の下では,償還表の交付がなければ,同項の要求する各回の「返済金額」の記載がある書面の交付があったとはいえない。
2 貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められない場合には,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。

最高裁判所第二小法廷平成19年7月13日判決(集民 第225号103頁)

裁判要旨
利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領した貸金業者が,その預金口座への払込みを受けた際に貸金業の規制等に関する法律18条1項に規定する書面を債務者に交付していなかったために同法43条1項の適用を受けられない場合において,当該貸金業者が,事前に債務者に約定の各回の返済期日及び返済金額等を記載した償還表を交付していれば上記書面を交付しなくても同項の適用があるとの認識を有していたとしても,当時既に存した判例(最高裁平成8年(オ)第250号同11年1月21日第一小法廷判決・民集53巻1号98頁)の説示によれば,同項の適用が認められるためには償還表が交付されていても上記書面が交付される必要があることは明らかであるなど判示の事情の下では,「上記書面の交付がなくても他の方法で貸付金の元金及び利息の内訳を債務者に了知させていたときには同項の適用が認められるとの見解が主張され,これに基づく貸金業者の取扱いも少なからず見られた」というだけで,上記認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえず,上記貸金業者は民法704条の「悪意の受益者」であるとする推定を覆すことはできない。

最高裁判所第一小法廷平成19年7月19日判決(民集 第61巻5号2175頁)

裁判要旨
同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずにされた多数回の金銭の貸付けが,1度の貸付けを除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして長年にわたり反復継続して行われており,その1度の貸付けも,前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであり,上記各貸付けは1個の連続した貸付取引と解すべきものであるという判示の事情の下においては,各貸付けに係る金銭消費貸借契約は,各貸付けに基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。

平成20年代(20年~29年)

最高裁判所第一小法廷平成20年1月18日判決(民集 第62巻1号28頁)

裁判要旨
1 同一の貸主と借主との間で継続的に金銭の貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務について利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,その後に改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されない。
2 同一の貸主と借主との間で継続的に金銭の貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務について利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,その後に改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合において,下記の事情を考慮して,第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができるときには,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を第2の基本契約に基づく取引により生じた新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するものと解するのが相当である。          記
第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間,第1の基本契約についての契約書の返還の有無,借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無,第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況,第2の基本契約が締結されるに至る経緯,第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等

最高裁判所第一小法廷平成20年3月13日判決(民集 第62巻3号860頁)

裁判要旨
1 民事再生法174条2項3号所定の「再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき」には,議決権を行使した再生債権者が詐欺,強迫又は不正な利益の供与等を受けたことにより再生計画案が可決された場合はもとより,再生計画案が信義則に反する行為に基づいて可決された場合も含まれる。
2 次の(1)及び(2)の事情の下では,再生債務者Xについての再生計画の決議は,民事再生法172条の3第1項1号の少額債権者保護の趣旨を潜脱し信義則に反するXらの行為によって成立したものというべきであり,上記再生計画には同法174条2項3号所定の不認可事由がある。
(1) 民事再生手続による方が破産手続によるよりも債権の回収に不利な債権者がいて,再生計画案が可決されないことが見込まれていた状況の下で, Xが再生手続開始の申立てをする直前に,Xの取締役であってそれまでXに対する債権を有していなかったAが,回収可能性のないXに対する債権を譲り受け,その一部を同じくXの取締役であってそれまでXに対する債権を有していなかったBに譲渡した。
(2) AとBが再生計画案に同意するものとして議決権を行使したことにより民事再生法172条の3第1項1号の要件を充足し,再生計画案が可決された。

最高裁判所第三小法廷平成20年12月16日判決(民集 第62巻10号2561頁)

裁判要旨
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効である。 (補足意見がある。)

最高裁判所第一小法廷平成21年1月22日判決(民集 第63巻1号247頁)

裁判要旨
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生したときには,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合は,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する。

最高裁判所第三小法廷平成21年3月24日判決(民集 第63巻3号427頁)

裁判要旨
相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合には,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,相続人間においては当該相続人が相続債務もすべて承継したと解され,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない。

最高裁判所第二小法廷平成21年7月10日判決(民集 第63巻6号1170頁)

裁判要旨
期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を初めて否定した最高裁平成16年(受)第1518号同18年1月13日第二小法廷判決・民集60巻1号1頁の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することはできない。

最高裁判所第二小法廷平成21年9月4日判決(集民 第231号477頁)

裁判要旨
いわゆる過払金充当合意(過払金発生当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意)を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合においても,悪意の受益者である貸主は過払金発生の時から民法704条前段所定の利息を支払わなければならない。

最高裁判所第二小法廷平成22年6月4日判決(民集 第64巻4号1107頁)

裁判要旨
自動車の購入者から委託されて販売会社に売買代金の立替払をした者が,購入者及び販売会社との間で,販売会社に留保されている自動車の所有権につき,これが,上記立替払により自己に移転し,購入者が立替金及び手数料の支払債務を完済するまで留保される旨の合意をしていた場合に,購入者に係る再生手続が開始した時点で上記自動車につき上記立替払をした者を所有者とする登録がされていない限り,販売会社を所有者とする登録がされていても,上記立替払をした者が上記の合意に基づき留保した所有権を別除権として行使することは許されない。

最高裁判所第二小法廷平成23年1月14日判決(民集 第65巻1号1頁)

裁判要旨
1 弁護士である破産管財人は,所得税法204条1項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負う。
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たる。
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではない。

最高裁判所第三小法廷平成23年3月22日判決(集民 第236号225頁)

裁判要旨
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転すると解することはできない。

最高裁判所第二小法廷平成23年5月18日判決(民集 第65巻4号1755頁)

裁判要旨
民訴法38条後段の要件を満たす共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されることはない。

最高裁判所第一小法廷平成23年7月7日判決(集民 第237号139頁)

裁判要旨
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転する,あるいは,当該業者が上記取引に係る過払金返還債務を譲渡の対象に含まれる貸金債権と一体のものとして当然に承継すると解することはできない。

最高裁判所第二小法廷平成23年7月8日判決(集民 第237号159頁)

裁判要旨
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において,上記債権を譲渡した業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは,上記合意の内容いかんにより,それが営業譲渡の性質を有するときであっても,借主との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が上記債権を譲り受けた業者に当然に移転する,あるいは,当該業者が上記取引に係る過払金返還債務を譲渡の対象に含まれる貸金債権と一体のものとして当然に承継すると解することはできない。

最高裁判所第二小法廷平成23年7月14日判決(集民 第237号263頁)

裁判要旨
金銭消費貸借に係る基本契約が順次締結され,これらに基づく金銭の借入れと弁済が繰り返された場合において,先に締結された基本契約に基づく最終の弁済からその後に締結された基本契約に基づく最初の貸付けまでの間に,約1年6か月ないし約2年4か月の期間があるにもかかわらず,これらの期間を考慮することなく,各基本契約に当初の契約期間の経過後も当事者からの申出がない限り当該契約を2年間継続し,その後も同様とする旨の定めが置かれていることから,先に締結された基本契約に基づく取引により発生した各過払金をその後に締結された基本契約に基づく取引に係る各借入金債務に充当する旨の合意が存在するとした原審の判断には,違法がある。
(補足意見がある。)

最高裁判所第二小法廷平成23年9月30日決定(集民 第237号655頁)

裁判要旨
貸金業者Yとその完全子会社である貸金業者Aの顧客Xとが,金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結し,この際,Xが,Aとの継続的な金銭消費貸借取引における約定利息を前提とする残債務相当額をYから借り入れ,これをAに弁済してAとの取引を終了させた場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,XとYとは,上記基本契約の締結に当たり,Yが,Xとの関係において,Aとの取引に係る債権を承継するにとどまらず,債務についても全て引き受ける旨を合意したと解するのが相当である。
(1) Yは,国内の消費者金融子会社の再編を目的として,Aの貸金業を廃止し,これをYに移行,集約するために,Aとの間で業務提携契約を締結し,同契約において,Aが顧客に対して負担する過払金債務等一切の債務をYが併存的に引き受けることや,Aと顧客との間の債権債務に関する紛争について,Yが,単にその申出窓口になるにとどまらず,その処理についても引き受けることとし,その旨を周知することを,それぞれ定めた。
(2) Yは,上記業務提携契約を前提として,Xに対し,上記基本契約を締結するのはYのグループ会社再編に伴うものであることや,Aとの取引に係る紛争等の窓口が今後Yになることなどが記載された書面を示して,Yとの間で上記基本契約を締結することを勧誘した。
(3) Xは,Yの上記勧誘に応じ,上記書面に署名してYに差し入れた。

最高裁判所第一小法廷平成23年12月1日判決(集民 第238号189頁)

裁判要旨
いわゆるリボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)17条1項に規定する書面として交付する書面に個々の貸付けの時点での残元利金につき最低返済額を毎月の返済期日に返済する場合の返済期間,返済金額等の記載をしない場合は,当該貸金業者は,同項に規定する書面には上記記載を要する旨を判示した最高裁平成17年(受)第560号同年12月15日第一小法廷判決・民集59巻10号2899頁の言渡し日以前であっても,利息制限法所定の制限を超えて利息として支払われた部分の受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用があるとの認識を有することについてやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえず,過払金の取得につき民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。

最高裁判所第一小法廷平成23年12月1日判決(平成23年(受)第407号)

裁判要旨
貸金業者が17条書面に確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合、最判平19.7.13の判示する特段の事情があるといえず、当該貸金業者は、悪意の受益者と推定されると判示した。なお、プロミスが、確定的な返済期間、返済金額等の記載を始めたのは、平成14年10月と認定している。

最高裁判所第一小法廷平成23年12月15日判決

裁判要旨
17条書面に、返済期間、返済金額等の記載があることによって「借主は、個々の借入れの都度、今後、追加借入れをしないで、最低返済額を毎月の返済期日に返済していった場合、いつ元利金が完済になるかを把握することができ、完済までの期間の長さ等によって、自己の負担している債務の重さを認識し、漫然と借入れを繰り返すことを避けることができる」と述べ、返済期間、返済期間等の記載がなくてもみなし弁済が成立するという学説、下級審判決が多数を占めていなかったことは当裁判所に顕著と認定した上で、貸金業者が17条書面に確定的な返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合、最判平19.7.13の判示する特段の事情があるといえず、当該貸金業者は、悪意の受益者と推定されると判示した。

最高裁判所第三小法廷平成24年2月6日決定(刑集 第66巻4号85頁)

裁判要旨
法務大臣の許可を受けないで,消費者金融会社から,通常の状態では満足を得るのが困難な貸付債権を譲り受け,同債権に関し,取立てのための請求をし,弁済を受けるなどしてその管理回収業を営んだ行為は,債権管理回収業に関する特別措置法33条1号,3条に該当する。

最高裁判所第二小法廷平成24年6月29日決定(集民 第241号1頁)

裁判要旨
貸金業者Yの完全子会社である貸金業者Aが,Yとの間の債権譲渡基本契約に基づき,Aの顧客Xとの間の基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引に係る債権をYに譲渡した場合において,上記債権譲渡基本契約が,Yの国内の消費者金融子会社の再編を目的として,Aの貸金債権をYに移行し,その貸金業を廃止するために行われたもので,同契約にはAが顧客に対して負担する過払金返還債務をYが併存的に引き受ける旨の条項があったとしても,次の⑴,⑵など判示の事情の下では,Yは,AのXに対する過払金返還債務を承継したとはいえない。
⑴ 上記債権譲渡基本契約には,個別の債権譲渡によりAの契約上の地位がYに移転する旨又はAの負担する過払金返還債務が当然にYに承継される旨を定めた条項はない。
⑵ Xは,上記債権譲渡に係る通知を受けてから上記の併存的債務引受けに係る条項が効力を失うまでの間に,Yに対し,弁済をしただけであって,上記条項に係る受益の意思表示とみる余地のある行為をしていない。

最高裁判所第一小法廷平成24年10月11日判決(集民 第241号75頁)

裁判要旨
自動車損害賠償保障法15条所定の保険金の支払を請求する訴訟において、裁判所は、同法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく保険金の額を算定して支払を命じることができる。

最高裁判所第二小法廷平成24年10月19日決定(集民 第241号199頁)

裁判要旨
債務者の代理人である弁護士が債権者一般に対して債務整理開始通知を送付した行為は,上記通知に,上記債務者が自らの債務整理を弁護士に委任した旨並びに当該弁護士が債権者一般に宛てて上記債務者,その家族及び保証人への連絡及び取立て行為の中止を求める旨の各記載がされていたこと,上記債務者が単なる給与所得者であり広く事業を営む者ではないことなど判示の事情の下においては,上記通知に上記債務者が自己破産を予定している旨が明示されていなくても,破産法162条1項1号イ及び3項にいう「支払の停止」に当たる。
(補足意見がある。)

最高裁判所大法廷平成25年9月4日決定(民集 第67巻6号1320頁)

裁判要旨
1 民法900条4号ただし書前段の規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた。
2 民法900条4号ただし書前段の規定が遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたとする最高裁判所の判断は,上記当時から同判断時までの間に開始された他の相続につき,同号ただし書前段の規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない。 (1,2につき補足意見がある。)

最高裁判所大第三小法廷平成26年2月25日判決(民集 第68巻2号173頁)

裁判要旨
1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。

最高裁判所第二小法廷平成26年12月12日判決(集民 第248号155頁)

裁判要旨
共同相続された委託者指図型投資信託の受益権につき,相続開始後に元本償還金又は収益分配金が発生し,それが預り金として上記受益権の販売会社における被相続人名義の口座に入金された場合,上記預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく,共同相続人の1人は,上記販売会社に対し,自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができない。

最高裁判所第三小法廷平成28年3月1日判決(民集 第70巻3号681頁)

裁判要旨
1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。
2 法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として,民法714条1項が類推適用される。
3 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの妻Y1が,長年Aと同居しており長男Y2らの了解を得てAの介護に当たっていたものの,当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており,Aの介護につきY2の妻Bの補助を受けていたなど判示の事情の下では,Y1は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。
4 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの長男Y2がAの介護に関する話合いに加わり,Y2の妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながらAの妻Y1によるAの介護を補助していたものの,Y2自身は,当時20年以上もAと同居しておらず,上記の事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないなど判示の事情の下では,Y2は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。
(1,2につき補足意見,4につき意見がある。)

最高裁判所大法廷平成28年12月19日決定(民集 第70巻8号2121頁)

裁判要旨
共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。
(補足意見及び意見がある。)

最高裁判所第一小法廷平成29年4月6日判決(集民 第255号129頁)

裁判要旨
共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。

最高裁判所第一小法廷平成29年12月7日判決(民集 第71巻10号1925頁)

裁判要旨
自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ,売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後,購入者の破産手続が開始した場合において,その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは,保証人は,上記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができる。

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