この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

優先的破産債権とは、破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権のことをいいます。この優先的破産債権については、他の破産債権に優先して配当を受けることができます(破産法98条1項)。
優先的破産債権とは
破産法 第98条
- 第1項 破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権(次条第1項に規定する劣後的破産債権及び同条第2項に規定する約定劣後破産債権を除く。以下「優先的破産債権」という。)は、他の破産債権に優先する。
引用元:e-Gov法令検索
破産手続においては、財団債権に該当するものを除いて、破産者に対する債権は破産債権として扱われ、配当手続によってのみ満足を受けることができます。
この破産債権とは、破産者に対する破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって、財団債権に該当しないもののことをいいます(破産法2条5項)。
もっとも、破産債権といってもその内容はさまざまです。財団債権ほどではないにしても、優先的に支払われるべき内容の債権もあります。
民法などの実体法においても、一般の債権よりも優先的に扱われている債権があります。これらについては、実体法とのかい離を防ぐために、破産手続においても一定の優先的な取り扱いをする必要があります。
特に、一般の先取特権や優先権などは、抵当権や質権などが付いている債権と異なり、破産手続上でも優先される別除権が認められていないため、別除権とは異なる優先的な取り扱いをすることが求められます。
そこで、破産法では、破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権を「優先的破産債権」とし、他の破産債権に優先して配当を受けることができることを規定しています(破産法98条1項)。
優先的破産債権に該当する債権
破産法上、優先的破産債権とされるのは、「破産財団に属する財産につき一般の先取特権その他一般の優先権がある破産債権」です。
一般の先取特権がある債権
一般の先取特権がある債権としては、以下のものがあります(民法306条)。
- 共益費用の債権
- 雇用関係の債権
- 葬式費用の債権
- 日用品供給の債権
これら一般先取特権のある債権は、破産手続において優先的破産債権とされます。
ただし、このうち、共益費用の請求権については、破産法148条1項において財団債権とされるものがありますので、これを除く共益費用の請求権が優先的破産債権となります。
また、雇用関係の請求権についても、破産手続開始前3月間の破産者の使用人の給料の請求権(破産法149条1項)など一部の請求権が財団債権とされているため、これを除く雇用関係の請求権が優先的破産債権となります。
一般の優先権がある債権
一般の優先権がある債権としては、租税等の請求権などがあります。租税等の請求権とは、国税徴収法または国税徴収の例によって徴収することのできる請求権のことです。
ただし、租税等の請求権も、破産手続開始時にまだ納期限が到来していないものや納期限から1年を経過していないものは、財団債権とされています(破産法148条1項3号)。そのため、これを除く租税等の請求権が優先的破産債権となります。
優先的破産債権相互間の優先順位
破産法 第98条
- 第2項 前項の場合において、優先的破産債権間の優先順位は、民法 、商法その他の法律の定めるところによる。
引用元:e-Gov法令検索
優先的破産債権は、他の破産債権に優先されます。具体的には、まず優先的破産債権に配当され、その上で余剰があれば他の破産債権に配当されます。
優先的破産債権が複数ある場合でも同様です。まず、その複数の優先的破産債権全部への配当がなされた後に、余剰があれば他の破産債権に配当がなされます。
ただし、優先的破産債権が複数ある場合には、すべての優先的破産債権が同列に扱われるわけではなく、優先的破産債権相互間においても優劣関係があります。
優先的破産債権の優先順位は、実体法を反映するため、前記条文のとおり、「民法 、商法その他の法律の定めるところによる」ことになります(破産法98条2項)。
具体的には、以下の順位となります(なお、財団債権となるものは除きます。)。
- 公租(国税・地方税)の請求権
- 公課(国民年金や国民健康保険の保険料など)の請求権
- 共益費用の請求権
- 雇用関係の請求権
- 葬式費用の請求権
- 日用品の供給の請求権
この優劣関係がある場合には、まず上位のものから配当されていき、それぞれ余剰があれば次順位のものに配当されていくことになります。



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