借金などの負債・債務も相続されるのか?

相続財産の画像

相続が開始されると,被相続人が有していた権利義務(相続財産)が相続人に承継されることになりますが,この相続財産に借金などの負債や債務が含まれます。そのため、相続人は相続によって借金なども引き継ぐことになります。

相続における借金などの負債・債務の取扱い

民法 第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

相続が開始されると,被相続人の一身に専属するものを除いて,被相続人が有していた一切の権利義務(相続財産)が相続人に承継されることになります(民法896条本文)。

相続されるのは権利だけではありません。上記のとおり,義務も受け継ぎます。プラスの遺産(資産)だけではなく,マイナスの遺産(負債・債務)も一緒に受け継ぐことになるのです。

マイナスの遺産として,代表的なものは,やはり借金でしょう。被相続人が借金を負っていた場合,相続をすると,被相続人はその借金を被相続人に代わって返済していかなければならなくなります。

相続人が複数いるという場合であれば,各共同相続人がそれぞれの法定相続分に応じて,遺産分割を経ることなく,当然に分割された債務を負担することになります(遺産分割で変更することは可能です。)。

例えば,それぞれ5分の1ずつの法定相続分の共同相続人が5人いる場合に,被相続人に1000万円の借金が残っていたとすれば,各共同相続人はそれぞれ200万円ずつの借金の支払義務を背負うことになるということです。

借金などの負債・債務がある場合の対処法

被相続人に借金などの負債や債務が残っていたという場合,必ずその負債を受け継がなければならないとすると,相続人に不測の損害を与えることになります。

そこで,法は,相続財産のうちに借金などの債務がある場合に備えて,相続人がとることのできる対処法を用意しています。それが「相続放棄」や「限定承認」という制度です。

まずは,どのくらいの借金・負債があるのか,逆にどのくらいの資産や財産があるのかを確かめる必要があります。

その調査の結果,資産が借金や負債を上回っているということであれば,相続をしても,相続した資産で負債を支払うことが可能ですから,相続をしても問題ないでしょう。

しかし,負債の方が資産よりも多いという場合には,相続をすると,負担ばかりを背負ってしまう危険性があります。そのような場合には,上記の相続放棄や限定承認という方法をとる必要が出てきます。

相続放棄は,資産もすべて相続しないかわりに,借金・負債もすべて相続しなくて済むという制度です。つまり,相続そのものをしないという制度です。

限定承認とは,相続財産(遺産)の範囲内でのみ,借金・負債を相続するという制度です。したがって,借金・負債の方が資産よりも大きい場合には,相続はなされないということになります。

借金・負債の方が大きいことが明らかな場合には,相続放棄を選択するのが通常ですが,負債の方が大きいことが明らかでない場合などには,限定承認を選択する場合もあります。

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