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自己破産すると保証人や連帯保証人などにどのような影響が生じるのか?

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自己破産すると,保証人や連帯保証人が,破産した人に代わって保証している借金・債務を支払わなければならなくなります。この場合,債権者次第ではありますが,原則としては一括での返済が請求されます。

保証人や連帯保証人にどうしても迷惑をかけたくない場合には,任意整理など別の債務整理方法を検討する他ありません。

保証人・連帯保証人の責任

カードローンや消費者金融からの借金では,保証人や連帯保証人を付けているケースはあまり多くないでしょう。

他方,住宅ローンや自動車ローン,奨学金借入れの場合などには,債務に保証人や連帯保証人が付けられている場合があります。

保証人とは,主債務者が債務を履行しない場合に,主債務者に代わって履行しなければならない責任(保証債務)を負う者のことをいいます(民法446条)。

保証人は,債権者から請求された場合でも,まずは主債務者に請求するよう求めることができ,保証人が複数人いる場合は,各自その頭割りの金額だけ支払えばよいものとされています。

連帯保証人も,保証債務を負う者ですが,ただの保証債務ではなく,主債務者と連帯して責任を負わなければならないとされます。

そのため,債権者は,主債務者に請求する前に連帯保証人に請求することができ,連帯保証人が複数人いる場合でも,それぞれの連帯保証人に対して債務の全額を請求することができるものとされています。

個人の借入れの場合には,住宅ローンを除いて,あまり例はないと思いますが,連帯債務者がいることもあります。連帯債務者は,保証人ではなく債務者そのものです。

自己破産した場合の連帯保証人等に対する影響

自己破産をして免責が許可されると,その破産した人の借金・債務の支払い義務が免除されます。しかし,免責されるのは,あくまで破産した人だけです。保証人や連帯保証人の保証債務は免責されません。

したがって,自己破産をすると,債権者は,保証人や連帯保証人に対し,破産者に代わって保証債務を支払うよう請求し,保証人や連帯保証人は,これを支払わなければならなくなります。

しかも,通常は約定において,主たる債務者が滞納したり破産したりした場合は期限の利益が失われる旨の条項が定められています。

期限の利益が失われるというのは,要するに,分割払いの約束はなくなり,一括で返済しなければならなくなるということです。

そのため,自己破産をすると,債権者は,保証人・連帯保証人に対して,一括で返済するよう請求できるということです。

実際に,一括請求してくるか,従前と同じ程度の分割払いでよいとして請求してくるかはその債権者次第ですが,少なくとも権利としては,債権者に一括請求できる権利が生じることになります。

なお,日本学生支援機構の奨学金の場合は,従前どおりの分割返済を保証人や連帯保証人に求めてくるのが通常です。

連帯保証人等に迷惑をかけない方法の選択

前記のとおり,自己破産すると,保証人や連帯保証人に請求がされることになります。

自己破産の手続では,一部の債権者だけ自己破産の対象から除外することは許されません。したがって,自己破産する以上,保証人や連帯保証人には請求がされてしまいます。

どうしても保証人や連帯保証人に迷惑をかけたくないという場合には,自己破産以外の債務整理を考える必要があります。

任意整理の選択

保証人や連帯保証人に迷惑をかけずに債務整理をするには,任意整理を選択する方法が考えられます。

任意整理を選択し,保証人や連帯保証人が付いている債権者だけは対象外として,その他の債務だけ整理することになります。

ただし,任意整理は返済が必要な手続です。したがって,返済可能な程度の収入がなければ,任意整理は難しいこともあります。

個人再生の選択

自己破産以外の債務整理方法として個人再生がありますが,個人再生でも一部の債権者だけ対象外とすることはできません。したがって,個人再生でも迷惑をかけてしまう点では自己破産と異なりません。

ただし,住宅ローンの保証人や連帯保証人の場合には,住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することによって,迷惑をかけないで済むこともあります。

住宅資金特別条項を利用できる場合には,住宅ローンだけ個人再生による減額等の対象から外し,従前どおり(または若干条件変更して)支払いを続けていくことができるようになります。

そのため,住宅ローンを支払い続けていく限り,保証人や連帯保証人に請求はされず,迷惑をかけないで済みます。

ただし,個人再生は利用の条件が自己破産よりも厳しいため,利用できないこともあります。

連帯保証人等自身の債務整理

前記のとおり,自己破産すると,保証人や連帯保証人に請求がされることになります。

保証人や連帯保証人の方で支払いが難しい場合には,その保証人や連帯保証人も,自己破産など債務整理をしなければならないこともあり得ます。

なお,主たる債務者と保証人・連帯保証人が同時に自己破産を申し立てる場合,手続も一緒に進んでいくのが通常です。また,引継予納金も1人分で済むこともあります。

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