この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

個人再生(個人民事再生)には、債権者からの直接の取立てが停止される、債権者による強制執行が停止または取り消される、任意整理と異なり法的拘束力がある、自己破産と異なり、財産処分は必須でなく、資格制限などもなく、また、免責不許可事由があっても利用できる、住宅資金特別条項を利用することで住宅ローンの残る自宅を処分せずに債務整理できる、などのメリットがあります。
個人事業主・自営業者が個人再生を利用する場合には、上記のほか、個人事業・自営業を継続したまま、借金・債務の整理をすることができるというメリットもあります。
個人事業者・自営業者が個人再生をするメリット
債務整理の方法の1つに、個人再生(個人民事再生)があります。個人再生は、民事再生手続(再生手続)を個人にも利用しやすいように簡易化した手続です。
この個人再生には、以下のようなメリットがあります。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続があります。個人事業主・自営業者は、小規模個人再生を利用することが可能です。
個人事業者・自営業者が個人再生を利用した場合でも、もちろん、上記のメリットを享受できます。
さらに、個人事業者・自営業者が個人再生を利用する最大のメリットは、個人事業・自営業を継続したまま、借金・債務の整理をすることができるという点にあります。
個人事業・自営業を継続できる場合があります
前記のとおり、個人事業者・自営業者の方も、小規模個人再生によって個人再生(民事個人再生)を利用することが可能です。
そして、個人事業主・自営業者の方が個人再生を利用することによって得られる最大のメリットは、やはり、個人事業・自営業を廃業せずに、借金・負債の債務整理を行うことができるという点にあるでしょう。
自己破産の場合、事業資産は処分されます。契約関係も清算されるのが原則です。そのため、個人事業・自営業を継続できる場合は限られてきます。
他方、個人再生においては、財産処分は必須とされていません。したがって、事業資産を処分せずに済むことがあります。
また、契約関係の清算も必須ではありませんから、取引先との契約を維持することも可能です。
個人事業・自営業で使っているリース物件がある場合、リース会社との間で別除権協定を締結し、それについて裁判所の許可を得ることによって、リース物件を維持することも可能な場合もあります。
個人事業・自営業を継続しつつ、借金・債務を整理するならば、個人再生を利用することを第一に検討すべきでしょう。
個人事業・自営業を継続する場合の注意点
前記のとおり、個人事業・自営業を継続したまま借金・債務の整理を行う場合には、個人再生の利用が有効です。
もっとも、どのような場合でも常に個人事業・自営業を継続したまま借金・債務の整理をすることができるわけではありません。
個人再生を利用して、個人事業・自営業を継続したまま借金・債務の整理を使用という場合には、以下の点について注意をしておく必要があるでしょう。
- 債務総額が5000万円を超えていないか
- 継続的・反復した収入を得ることが可能か
- 再生計画を履行できるだけの収入を得る見込みがあるか
- 事業資産を含めて清算価値が高額になり過ぎていないか
- 税金や社会保険料などの公租公課の滞納はないか
- 債権者から不同意意見を提出される可能性はないか
- 取引先・顧客・従業員などの協力を得られる見込みはあるか
- 事業用のリース物件・所有権留保物件はあるか
個人事業・自営業を継続したまま借金・債務の整理を使用という場合には、これらの事柄について十分に吟味しておく必要があります。
この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。
弁護士の探し方
「個人再生をしたいけど、どの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。
現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
弁護士法人東京ロータス法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・休日対応・メール相談可
・所在地:東京都台東区
弁護士法人ひばり法律事務所
・相談無料(無料回数制限なし)
・全国対応・依頼後の出張可
・所在地:東京都墨田区
レ・ナシオン法律事務所
・相談無料
・全国対応・メール相談可・LINE相談可
・所在地:東京都渋谷区
参考書籍
本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。
個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。
破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。
はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。
書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。