破産手続は、破産手続開始の申立てを受理した裁判所が、破産手続開始の要件を満たしていると判断した場合に、破産手続開始決定を発令することにより開始されます。
破産手続の開始に関する記事一覧
破産手続の開始に関する記事一覧は、以下のとおりです。
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破産手続の開始の概要
前記のとおり、破産手続は、破産手続開始の申立てを受理した裁判所が、破産手続開始の要件を満たしていると判断した場合に、破産手続開始決定を発令することにより開始されます。
裁判所に破産手続を開始してもらうためには、破産手続開始の申立てをする必要があります。しかし、申立てをすれば必ず破産手続が開始されるわけではありません。破産手続開始の要件を満たしている必要があります。
破産手続開始の申立ては、破産申立権者が、管轄の地方裁判所に対して破産手続開始の申立書を提出する方式で行います。
破産手続開始の申立てがされると、裁判所は破産手続開始の要件を満たしているかどうかを審査します。そのため、申立てから破産手続開始決定までの間には、若干の時間を要します。この間に、債務者の財産が散逸してしまうおそれが生じます。
そこで、破産法では、債務者の財産散逸を防止し、債権者による個別の債権回収行為を規制するため、破産手続開始前の保全処分を設けています。
破産手続開始の要件を満たしていると判断されると、裁判所によって破産手続開始決定(旧「破産宣告」)が発せられ、破産手続が開始されます。
破産手続が開始されると、破産管財人が選任されます。債務者(破産者)の財産の管理処分権は破産管財人に専属することになり、破産者自身でも財産を自由に処分することはできなくなります。
他方、債権者(破産債権者)も、個別の権利行使が制限されます。訴訟や強制執行などをすることはできなくなり、すでにされている訴訟や強制執行は中止されます。
破産手続が開始されても、破産者が締結していた契約が当然に終了するとは限りません。破産手続開始によっても終了しない契約については、破産手続において、破産管財人が契約関係の清算処理を行わなければいけません。
契約関係の清算処理方法は、それぞれの契約類型ごとに異なります。また、同じ類型であったとしても、個別具体的な事案における状況によっても処理方法は異なってきます。
参考書籍
破産法を深く知りたい方やもっと詳しく勉強したい方のために、参考書籍を紹介します。
著者:伊藤 眞 出版:有斐閣
倒産法研究の第一人者による定番の体系書。民事再生法と一体になっているので分量は多めですが、読みやすいです。難易度は高めですが、第一人者の著書であるため、信頼性は保証されています。
著者:伊藤 眞ほか 出版:弘文堂
条文ごとに詳細な解説を掲載する逐条の注釈書。破産法の辞書と言ってよいでしょう。破産法の条文解釈に関して知りたいことは、ほとんどカバーできます。持っていて損はありません。金額面を除けば、誰にでもおすすめです。
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の現役裁判官による破産実務の解説書。東京地裁の破産事件を扱う実務家必携の本。実務家でなくても、実際の手続運用を知っておくと、破産法をイメージしやすくなるでしょう。
司法試験・予備試験など資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。
著者:杉本和士ほか 出版:有斐閣
法科大学院生や司法試験・予備試験受験生向けに書かれた基本書・概説書。破産法だけでなく、倒産法全般について分かりやすくまとめられています。
著者:野村剛司ほか 出版:日本加除出版
こちらも法学大学院生や司法試験・予備試験受験生向けに書かれた教科書。著者が実務家であるため、実務的な観点が多く含まれていて、手続をイメージしやすいメリットがあります。
著者:伊藤塾 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。