この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

個人再生(個人民事再生)には、以下のメリットがあります。
- 債権者からの直接の取立てが停止される
- 債権者による強制執行が停止または取り消される
- 任意整理と異なり法的拘束力がある
- 自己破産と異なり、財産処分は必須でなく、資格制限などもなく、また、免責不許可事由があっても利用できる
- 住宅資金特別条項を利用することで住宅ローンの残る自宅を処分せずに債務整理できる
個人事業主・自営業者が個人再生を利用する場合には、上記のほか、個人事業・自営業を継続したまま、借金・債務の整理をすることができるメリットもあります。
個人再生のメリット
債務整理の方法のひとつに「個人再生(個人民事再生)」があります。個人再生は、民事再生手続(再生手続)を個人にも利用しやすいように簡易化した手続です。
この個人再生には、以下のようなメリットがあります。
- 債権者からの取立て・督促が停止される
- 債権者による強制執行などを停止または取消にできる
- 任意整理と異なり、法的な拘束力がある
- 大幅な借金の減額や長期分割払いにできる場合がある
- 自己破産と異なり、資格制限がないため、資格を使った事業や仕事を続けることができる。
- 免責不許可事由があっても利用できる。
- 住宅資金特別条項により、住宅ローンの残る自宅を処分せずに借金を整理できる
個人事業者・自営業者が個人再生を利用する場合のメリット
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類の手続があります。個人事業主・自営業者は、小規模個人再生を利用することが可能です。
個人事業者・自営業者が小規模個人再生を利用した場合、前記の個人再生のメリットを享受できます。
さらに、個人事業者・自営業者が個人再生を利用する最大のメリットは、個人事業・自営業を継続したまま、借金・債務の整理をすることができる点にあります。
個人再生による個人事業・自営業の継続
前記のとおり、個人事業者・自営業者も、小規模個人再生を選択することによって個人再生(民事個人再生)を利用することが可能です。
そして、個人事業主・自営業者の方が個人再生を利用することによって得られる最大のメリットは、やはり、個人事業・自営業を廃業せずに、借金・負債の債務整理を行うことができる点にあるでしょう。
自己破産の場合、事業資産は処分され、契約関係も清算されるのが原則であるため、個人事業・自営業を継続できる場合は限られます。
他方、個人再生においては、財産処分は必須とされていません。また、契約関係の清算も必須ではありません。そのため、事業資産を処分せずに済み、取引先との契約を維持することも可能です。
個人事業・自営業で使っているリース物件がある場合、リース会社との間で別除権協定を締結して裁判所の許可を得ることによって、リース物件を維持することも可能な場合もあります。
個人事業・自営業を継続しつつ、借金・債務を整理するならば、個人再生を利用することを第一に検討すべきでしょう。
個人事業・自営業を継続する場合の注意点
前記のとおり、個人事業・自営業を継続したまま借金・債務の整理を行う場合には、個人再生の利用が有効です。
もっとも、どのような場合でも常に個人事業・自営業を継続したまま借金・債務の整理をすることができるわけではありません。
個人再生を利用して、個人事業・自営業を継続したまま借金・債務の整理をする場合には、以下の点について注意をしておく必要があるでしょう。
- 債務総額が5000万円を超えていないか
- 継続的・反復した収入を得ることが可能か
- 再生計画を履行できるだけの収入を得る見込みがあるか
- 事業資産を含めて清算価値が高額になり過ぎていないか
- 税金や社会保険料などの公租公課の滞納はないか
- 債権者から不同意意見を提出される可能性はないか
- 取引先・顧客・従業員などの協力を得られる見込みはあるか
- 事業用のリース物件・所有権留保物件はあるか
個人事業・自営業を継続したまま個人再生で借金・債務の整理する場合には、これらの事柄について十分に吟味しておく必要があります。


