記事内にPR広告が含まれます。

相続開始の場所(相続開始地)とは?被相続人の住所の意味を解説

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

answer

遺産相続は、被相続人の住所において開始されます(民法883条)。この被相続人の住所地のことを相続開始地といいます。

相続開始の場所(相続開始地)とは

民法 第883条

  • 相続は、被相続人の住所において開始する。

ある人が亡くなると、相続が開始されます。この亡くなった人を被相続人といいます。

この相続は、被相続人の住所において開始されます民法883条)。この場所のことを「相続開始地」といいます。

仮に亡くなったのが病院や屋外などであったとしても、相続開始地は被相続人の住所とされます。

相続開始地を定める意味

この相続開始の場所(相続開始地)は、裁判所の管轄に関係します。

例えば、以下の相続に関する裁判手続は、相続開始地を管轄する裁判所で行われるのが原則です。

相続開始地を管轄する裁判所で行われる相続手続
  • 推定相続人の廃除・廃除の取消しの審判(家事事件手続法188条1項)
  • 祭祀主宰者選任の審判(同法190条1項)
  • 遺産分割の審判(同法191条1項)
  • 相続放棄限定承認の申述(同法201条1項)
  • 財産分離の審判(同法202条1項1号)
  • 相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判(同法203条1号)
  • 特別縁故者に対する相続財産の分与の審判(同法203条3号)
  • 遺言書の検認(同法209条1項)
  • 遺留分を算定するための財産の価額を定める場合における鑑定人の選任の審判(同法216条1項1号)
  • 特別の寄与料の審判(同法216条の2)
  • 法定相続情報一覧図の申請(不動産登記規則247条1項)

なお、相続開始地は、相続税の申告にも関係してきます。相続税の申告先は、相続開始地を管轄する税務署となります(相続税法附則3項)。

被相続人の住所の意味

民法 第22条

  • 各人の生活の本拠をその者の住所とする。

民法 第23条

  • 第1項 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。
  • 第2項 日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。

引用元:e-Gov法令検索

相続開始地となる被相続人の住所とは、被相続人の最後の住所地です。

住所とは、生活の本拠のことです(民法22条)。通常は、住民票上の住所が被相続人の住所となるでしょう。

例えば、被相続人の最後の住所地が東京都千代田区であれば、管轄の裁判所は、東京家庭裁判所(訴訟の場合は東京地方裁判所)になります。

被相続人が住民票の住所以外を生活の本拠にしていた場合

被相続人が住民票の住所でない場所を生活の本拠(日常的に寝起きするなど生活の中心とする場所)としていた場合は、その実際の生活の本拠地が住所になります。

例えば、実際には引越ししていたものの、住民票を移していなかった場合などです。

被相続人が老人ホームに入っていた場合

被相続人が高齢者で老人ホームに入居しているものの、住民票を移していないケースがあります。

老人ホームの形態にもよりますが、ほとんど自宅のように老人ホームで寝起きや食事などをしている場合は、老人ホームが被相続人の生活の本拠と言えるので、老人ホームの所在地が被相続人の住所・相続開始地となります。

被相続人の住所がわからない場合

住所が不明な場合、居所が住所とみなされます(民法23条1項)。

住所がまったくない場合はあまりないかもしれませんが、仮に住所が分からない場合は、被相続人が最後に実際に住んでいた場所(居所)が相続開始地となります。

まったく生活の本拠地や居所がわからない場合には、住民票の住所や本籍地を相続開始地として扱うケースもあるようです。

被相続人が外国に住んでいた場合

被相続人が海外に住んでいて日本国内に住所がないケースもよくあります。

この場合、被相続人が日本国籍であれば、日本の法律によって相続開始地が決められます。そして、日本に滞在する際に住んでいた場所(居所)がある場合は、その場所が住所とみなされ相続開始地となります。

居所がない場合は、それぞれの手続ごとに管轄を判断する必要があります。

例えば、相続に関する家事事件の場合、外国に住所を移転していた場合を除いて、被相続人の日本国内における最後の住所地を管轄する家庭裁判所に裁判管轄が認められます(家事事件手続法3条の11第1項)。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。

民法と資格試験

民法は、私法の基本法です。我々の生活に最も身近な法律です。

そのため、例えば、司法試験(本試験)、司法試験予備試験、司法書士試験、行政書士試験、宅建試験、マンション管理士試験・・・など、実に多くの資格試験の試験科目になっています。

これら法律系資格の合格を目指すなら、民法を攻略することは必須条件です。

とは言え、民法は範囲も膨大です。メリハリを付けないと、いくら時間があっても合格にはたどり着けません。効率的に試験対策をするには、予備校や通信講座などを利用するのもひとつの方法でしょう。

STUDYing(スタディング)
・司法試験・予備試験も対応
・スマホ・PC・タブレットで学べるオンライン講座
・有料受講者数20万人以上・低価格を実現

参考書籍

本サイトでも民法について解説していますが、より深く知りたい方や資格試験勉強中の方のために、民法の参考書籍を紹介します。

逐条解説 改正相続法
著者:堂薗幹一郎など 出版:商事法務
民法改正に対応した逐条解説書。相続を扱う実務家向けですが、持っていると何かと便利です。立法担当者や現役裁判官による著書であるため、内容に信頼性があります。

資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。

民法(全)(第3版補訂版)
著者:潮見佳男 出版:有斐閣
1冊で民法総則から家族法まで収録されています。基本書というより入門書に近いでしょう。民法全体を把握するのにはちょうど良い本です。

民法VI 親族・相続 (LEGAL QUEST)第8版
著者:前田陽一ほか  出版:有斐閣
家族法全体の概説書。条文・判例から書かれているので、学習の早い段階から利用できます。情報量もあるので、資格試験の基本書として十分でしょう。

親族・相続(伊藤真試験対策講座12)第4版
著者:伊藤真 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。民法は範囲が膨大なので、学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました