この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q遺産分割とは?
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遺産分割とは、相続人が複数人いる共同相続の場合に、遺産(相続財産)が誰にどの程度帰属するのかを決める手続のことです。いわゆる「遺産分け」のための手続です。遺産に属する物または権利の種類・性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況その他一切の事情を考慮して決めることになります。
このページでは、遺産分割とは何かについて詳しく説明します。
- 遺産分割とは何か・必要となるケース
- 遺産分割の期限や放置した場合のリスク
- 遺産分割の条件(要件)・効力
- 遺産分割の割合や分け方(方法)・トラブルになりやすいケース
- 遺産分割の手続の種類や流れ
- 遺産分割後に生じる問題

遺産分割とは?
民法 第906条
- 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
引用元:e-Gov法令検索
ある人(被相続人)が亡くなった場合、遺産(相続財産)は相続人に受け継がれます。
ただし、相続人が複数人いる場合(共同相続)、金銭その他の可分債権を除いて、遺産は共同相続人全員での共有(または準共有)になります(遺産共有。民法898条1項)。
この遺産の共有を解消するには「遺産分割」をする必要があります。
遺産分割とは、相続人が複数人いる共同相続の場合に、遺産共有を解消し、遺産が誰にどの程度帰属するのかを確定させる手続のことです。いわゆる「遺産分け」です。
遺産分割は、遺産に属する物または権利の種類・性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況その他一切の事情を考慮して決めることになります(民法906条)。
簡単に言うと、遺産を誰がどのくらいの割合で受け継ぐのかを決める手続です。
遺産相続と遺産分割の違い
遺産相続は、亡くなった人の遺産を相続人が受け継ぐことです。そして、相続人が複数人いる場合に、相続した遺産をどのように分けるかを決めるのが、遺産分割です。
そのため、遺産相続と遺産分割はまったく異なるものではありません。遺産相続の手続のうちのひとつが、遺産分割です。
遺産分割が必要となるケース
遺産分割が必要となるのは、相続人が複数人いる共同相続の場合です。相続人がひとりしかいない場合は、遺産分割する必要はありません。
また、遺産分割は遺産共有状態を解消するために行う手続です。遺産がまったくない場合や、遺産共有になる財産がない場合も、遺産分割は不要です。
そのため、遺産分割が必要となるのは、以下の2つの事情があるケースだけです。相続したら常に遺産分割しなければならないわけではありません。
- 相続人が複数人いる(共同相続)
- 遺産共有になる財産がある
遺産分割の期限
遺産分割には、期限はありません。そのため、いつ遺産分割をしてもかまいません。
ただし、相続財産(遺産)それ自体には、期限のあるものがあります。例えば、貸付金の請求権や損害賠償請求権などは、一定期間行使しないままでいると、時効によって消滅してしまうこともあります。
また、遺産分割自体は可能でも、相続開始から10年を経過すると、後述する特別受益や寄与分を主張できなくなります(民法904条の3)。
遺産分割自体には期限がないとはいっても、相続財産には期限がある点には注意しておく必要があります。
また、相続財産の期限だけでなく、遺産分割を放置すると、後述するような不利益を生じることもあります。早めに遺産分割にとりかかることが大切です。
遺産分割を放置すると生じるリスク
上記のとおり、複数人の相続人が存在し、遺産共有になる相続財産がある場合、遺産分割をしなければいけません。
ただ、実際には遺産分割をせず、相続前の状態のまま放置してしまっているケースも少なくありません。しかし、遺産分割しないままにすると、以下のようなリスクを生じる可能性があります。
- 財産を活用できない
- 相続財産自体が時効によって消滅してしまう可能性がある
- 相続開始から10年経過すると、特別受益や寄与分を主張できなくなる
- 遺産分割せずに財産を活用している場合、他人のものを勝手に使っているとして責任を問われるおそれがある
- 新たな相続が発生した場合、権利関係や財産の所在などが分からず、手続が非常に大変になる
- 控除や特例が使えず、相続税が高額になる
- 不動産が遺産に含まれる場合、相続登記義務化により、相続開始から3年経過するまでに相続登記(遺産分割が間に合わない場合は、とりあえず相続人申告登記)をしないと、10万円以下の過料を課されるおそれがある
遺産分割が必要なケースでは、忘れずに遺産分割をしておきましょう。
遺産分割の条件(要件)
遺産分割をするには、すべての共同相続人が参加しなければいけません。ひとりでも欠いていると、遺産分割しても効力を生じません。
遺産分割する際は、必ず事前に被相続人(亡くなった人)の出生から亡くなるまでの戸籍をすべて取り寄せて、誰が共同相続人なのかを確認しておくことが必須です。
また、遺言で、特定の財産ではなく遺産の取り分が第三者に贈与(包括遺贈)されている場合、その第三者(包括受遺者)も遺産分割に参加している必要があります。共同相続人の一部から相続分を譲り受けた第三者の参加も必要です。
そのため、遺産分割には、以下のすべての人が参加している必要があります。漏れのないように確認しておきましょう。
- 共同相続人
- 包括受遺者
- 相続分の譲受人
遺産分割の基準(民法906条)の意味
民法906条は、遺産分割の基準として「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情」を考慮すると定めています。
要は、相続人や相続財産に関わる一切の事情を考慮して、遺産分割する必要があると規定するものです。
共同相続人間で協議または調停で話し合って遺産分割する場合でも話し合いの基準にはなりますが、実際には、民法906条の基準にとらわれず自由に遺産分割の内容を決められます。
そのため、民法906条の基準は、どちらかと言えば、裁判所が遺産分割審判で遺産分割を決める際に意味を持つ基準と言えるでしょう。
ただし、裁判所は、一切の事情を考慮したとしても、法律に基づいて審判しなければならないため、共同相続人の相続分を変更するようなことはできません。
遺産分割の効果
前記のとおり、相続人が複数人いる共同相続の場合、一部例外を除いて、遺産(相続財産)は共同相続人全員で共有または準共有することになります。
遺産分割をして、相続財産の帰属を確定的に決めると、遺産共有は解消され、各共同相続人は個別に権利を行使できるようになります。
例えば、相続財産として土地があった場合、相続が開始されると、土地は共同相続人全員での共有になります。
その後、遺産分割で特定の相続人に土地を相続させることが決まった場合、遺産共有状態が解消され、その特定の相続人がその土地を受け継ぐことになります。
効力の発生時期(遺産分割の遡及効)
民法 第909条
- 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
引用元:e-Gov法令検索
遺産分割が確定すると、相続開始時に遡って効力が発生します(遡及効。民法909条本文)。
例えば、遺産分割で共同相続人の一人が不動産を受け継いだ場合、遺産分割した時からではなく、相続が開始した時からその共同相続人が不動産の所有者であったことになるのです。
遺産分割の遡及効の制限(遺産分割前の第三者の保護)
相続開始から遺産分割までの間に共同相続人と取引をした第三者がいた場合、遡及効により、不利益を被る可能性があります。
例えば、遺産分割が終わる前に、共同相続人Aが、遺産である不動産の自分の持分部分を第三者に勝手に売却した後、遺産分割が行われて、その不動産は共同相続人Bが単独で全部受け継ぐことになりました。
この場合、遺産分割の遡及効によって、不動産は相続が開始した時からすべてBの所有物であったことになります。
そうなると、Aは何の権利もないのに不動産の持分を第三者に売却したことになり、第三者も不動産について何の権利も取得できないことになります。
このように遺産分割をしたか否かのような外部から知り得ない事情で取引の効力が左右されることになると、取引の安全が害されます。
そこで、遺産分割前に遺産に関して取引関係に入った第三者に対しては、遡及効が制限されます(民法909条ただし書き)。ただし、第三者が保護を受けるには、対抗要件を備えることが必要であると考えられています。
上記の例でも、第三者が不動産の持分について対抗要件(所有権移転登記)を備えれば、不動産持分の所有権を取得できます。
遺産分割の対象とならない財産
遺産分割をしなければならないのは、被相続人が亡くなった時(相続開始時)に有していた相続財産です。
ただし、被相続人が相続開始時に有していたものであっても、財産の性質や種類によっては遺産分割の対象にならないものもあります。
被相続人の一身に専属する権利義務
民法 第896条
- 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
引用元:e-Gov法令検索
被相続人が相続開始時に有していた財産に属した権利義務であっても、「被相続人の一身に専属した権利義務」は、相続財産に含まれず、相続されることもありません(民法896条ただし書き)。
この被相続人の一身に専属した権利義務は、そもそも相続されないので、遺産分割の対象になりません。
祭祀に関する財産(祭祀財産)
民法 第897条
- 第1項 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
- 第2項 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
引用元:e-Gov法令検索
祭祀財産とは、民法897条1項に規定されている「系譜」「祭具」「墳墓」のことです。例えば、家系図、仏壇・仏具、お墓などです。
この祭祀財産は、通常の財産のように相続人に受け継がれるのではなく、祭祀主宰者に受け継がれます。
誰が祭祀主宰者になるかは、被相続人の指定または家庭裁判所の審判で決められるため、祭祀財産は遺産分割の対象になりません。
金銭その他の可分債権
被相続人が誰かにお金を貸したことによる貸金請求権や交通事故による損害賠償請求権など単純な金銭債権に代表される可分債権は、相続開始と同時に相続分に応じて各共同相続人に当然に分割承継されると解されています(最一小判昭和29年4月8日,最三小判昭和30年5月31日,最三小判平成16年4月20日等)。
そのため、金銭その他の可分債権(預貯金債権を除く)は遺産共有にならないので、遺産分割をする必要がありません。
ただし、共同相続人全員が同意すれば、可分債権であっても遺産分割の対象にできます。
遺産分割時に存在しない財産
民法 第906条の2
- 第1項 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
- 第2項 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。
引用元:e-Gov法令検索
遺産分割の対象となるのは、遺産分割時に存在している財産であると解されています。
相続開始時には存在していても、遺産分割前に消失してしまった財産は、遺産分割の対象になりません。
ただし、相続開始後から遺産分割までの間に処分された財産は、共同相続人全員の同意があれば、遺産分割時に遺産として存在するものとみなされて(民法906条の2)、遺産分割の対象にすることができます。
相続財産の代償財産
相続財産の代償財産とは、相続財産に代わる財産的利益(代償財産)のことです。
例えば、遺産分割前に共同相続人が遺産を売却したことによって発生した売買代金が、代償財産の典型例です。
この代償財産は、その利益を受領する権利を有する相続人固有の財産であり、特別の事情がない限り、遺産分割の対象とはならないと解されています。
生命保険金
被相続人が生命保険に加入していた場合、被相続人の死亡によって生命保険金が支払われます。
この生命保険金は、相続財産ではなく、契約で決められた保険金の受取人固有の財産になると考えられています。そのため、生命保険金は遺産分割の対象にはならず、受取人がすべて受け取れます。
ただし、相続財産に比べて生命保険金があまりに過大であり、相続人間の公平を著しく害する場合には、生命保険金が特別受益として扱われ、生命保険金を受け取った相続人の相続分が減少するケースがあります(最二小判平成16年10月29日)。
死亡退職金
被相続人が亡くなったことにより、勤務先から死亡退職金が支払われるケースがあります。
この死亡退職金も、退職金規程で定められた受取人固有の財産となり、相続財産には含まれないと考えられています。
そのため、死亡退職金も遺産分割の対象にならず、受取人がすべて受け取れます。
消極財産(マイナスの財産・負債)
相続人に受け継がれる遺産は、プラスの財産(積極財産・資産)に限られません。マイナスの財産(消極財産・負債)も含まれます。
例えば、被相続人が借金を負っていた場合、その借金は相続人に受け継がれます。
ただし、遺産分割の対象になるのはプラス財産だけです。マイナス財産は対象にならないので、遺産分割は不要です。
なお、遺産分割をしなくてよいだけで、相続はされます。借金も、各自の相続分に応じて当然に引き継がれてしまうのです。あまりに借金が大きい場合は、相続放棄を検討しましょう。
遺産分割の対象になる財産の具体例
前記の「遺産分割の対象にならない財産」を除いて、被相続人の権利義務はすべて遺産分割が必要と考えておきましょう。
例えば、遺産分割の対象となる財産としてよくあるものは、以下のとおりです。
預金・郵便貯金の遺産分割
預金・郵便貯金は金銭債権ですが、遺産分割が必要です(普通預金・通常貯金・定期貯金につき最大判平成28年12月19日、定期預金・定期積金につき最一小判平成29年4月6日)。
そのため、遺産分割で具体的な帰属先が決まるまでは、共同相続人が各自単独で預貯金を払い戻すことはできないのが原則です。
ただし、各共同相続人は、預貯金仮払い制度を利用することによって、遺産分割前でも一定額であれば、他の共同相続人全員の同意を得なくても単独での払い戻しが可能です。
具体的には、150万円を上限として、相続開始時における預貯金債権額の3分の1に自身の法定相続分を乗じた金額までなら、それぞれ単独で預金・貯金の払戻しができます(民法909条の2前段、民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令)。
遺産分割でトラブルになりやすいケース
遺産分割で特にトラブルとなりやすいのが「特別受益」と「寄与分」です。特別受益や寄与分を主張する共同相続人がいる場合、紛争になりやすい傾向があります。
また、相続財産の種類で言えば、不動産がある場合も、誰が不動産を取得するのかでトラブルになることがあります。
ケース1:特別受益を主張する共同相続人がいる
民法 第903条
- 第1項 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
- 第2項 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
- 第3項 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
- 第4項 婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
引用元:e-Gov法令検索
特別受益とは、共同相続人の一部が亡くなった人(被相続人)から受け取った、婚姻・養子縁組・生計の資本として贈与や遺贈のことです(民法903条1項)。
被相続人からの贈与や遺贈が特別受益として認められる場合、特別受益を受け取った共同相続人の相続分を減らして、遺産分割することになります。
共同相続人の一部が遺贈や贈与を受けていた場合、他の共同相続人が特別受益を主張して、遺産分割が長引くケースは多いです。
特別受益の要件
単に利益を受けていただけで特別受益と認められるわけではありません。特別受益が認められるのは、以下の場合です。
- 以下の利益を共同相続人が受けたこと
- 遺贈(または死因贈与)
- 婚姻・養子縁組のためまたは生計の資本としての生前贈与
特別受益の効果(持戻し)
特別受益が認められる場合、共同相続人の具体的相続分は以下のように計算されます。
- みなし相続財産の算出
相続財産の額に婚姻・養子縁組のためまたは生計の資本としての生前贈与の額を加算して「みなし相続財産」を算出する(遺贈はもともと相続財産に含まれているので、加算は不要)。 - 一応の相続分の算出
みなし相続財産を相続分に応じて配分し「一応の相続分」を算出する。 - 具体的相続分の確定
生前贈与や遺贈を受けた共同相続人(受益相続人)の一応の相続分から、生前贈与および遺贈を受けた額を控除し、各共同相続人の具体的相続分を確定させる。
寄与分を主張する共同相続人がいる
民法 第904条の2
- 第1項 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
- 第2項 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
- 第3項 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
- 第4項 第2項の請求は、第907条第2項の規定による請求があった場合又は第910条に規定する場合にすることができる。
引用元:e-Gov法令検索
寄与分とは、共同相続人のうちの一部が、被相続人の事業への労務の提供・財産上の給付や被相続人の療養看護その他の方法によって被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合に、その寄与行為を金銭的に評価したもののことです。
寄与分が認められた場合、寄与行為をした共同相続人の相続分が増加し、他の共同相続人の相続分は減少することになります。
特別受益と同様、寄与行為をした共同相続人が寄与分を主張することで、遺産分割でトラブルになることがあります。
寄与分の要件
ただ被相続人に何らかの協力をしただけでは、寄与分は認められません。寄与分として認められるのは、以下の場合です。
- 共同相続人自らが「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法」で寄与行為をしたこと
- 寄与行為が「特別の寄与」であること
- 被相続人の財産が維持または増加されたこと
- 寄与行為と被相続人の財産の維持または増加との間に因果関係があること
寄与分の効果
特別受益が認められる場合、共同相続人の具体的相続分は以下のように計算されます。
- みなし相続財産の算出
被相続人の相続財産から寄与分を控除して「みなし相続財産」を算出する。 - 一応の相続分の算出
みなし相続財産を相続分に応じて配分し「一応の相続分」を算出する。 - 具体的相続分の確定
寄与行為をした共同相続人の一応の相続分に寄与分を加算する。
ケース3:一部の共同相続人が話し合いに参加しない
遺産分割にはすべての共同相続人(および包括受遺者・相続分譲受人)が参加しなければいけません。一部の共同相続人等が遺産分割に参加しないと手続が進まなくなってしまいます。
このような場合は、遺産分割協議は諦め、家庭裁判所の調停を申し立てる方がよいでしょう。親族からの呼びかけには応じなくても、裁判所からの呼び出しには応じる可能性があります。
調停にも参加しない場合は、調停不成立となり、遺産分割審判に手続が移行します。審判では、参加しない共同相続人には争うつもりがないものと扱われ、そのまま手続が進められます。
遺産分割審判書があれば、協力しない共同相続人がいても、登記や銀行預金の払い戻しなどの相続手続を行えます。
ケース4:遺産に不動産がある
遺産分割で揉め事になりやすい遺産は、特に不動産です。不動産を誰が取得するのか、どうやって調整するのかで争いになるケースは多いです。
不動産の価値は何を基準に評価するのかが争われることもあります。その場合は、まずどのように不動産の価値を決めるのかから話し合う必要があります。
不動産が遺産に含まれている場合は、慎重に話し合いを進めることが大切です。
遺産分割の割合
共同相続人が有する遺産全体に対する取り分の割合を「相続分」といいます。
遺産分割では、各共同相続人がどの程度の相続分で遺産を受け継ぐのかを決める必要があります。遺産分割で確定される相続分を具体的相続分といいます。
遺言で相続分が指定されている場合
遺産を遺す人(被相続人)は、遺言で共同相続人の相続分を指定できます。遺言で指定された相続分を「指定相続分」といいます。
相続分が指定されている場合、基本的には指定相続分をベースに遺産分割することになります(特別受益や寄与分は考慮されます。)。
ただし、遺産分割協議や調停の場合は、共同相続人全員が合意すれば、指定相続分と異なる割合で具体的相続分を決めることも可能です。
相続分の指定がない場合
遺言による相続分の指定がない場合は、民法で定められている相続分(法定相続分)をベースに遺産分割します(特別受益や寄与分は考慮されます。)。
法定相続分は、基本的に頭割りです。例えば、被相続人の子3人が相続人であれば、それぞれの相続分は3分の1ずつになります。
ただし、血族相続人(子、直系尊属または兄弟姉妹)以外に配偶者も相続人になる場合は、以下のようになります。
| 相続人 | 相続分 |
|---|---|
| 配偶者と子が相続人になる場合 | 配偶者が2分の1 子が2分の1 |
| 配偶者と直系尊属が相続人になる場合 | 配偶者が3分の2 直系尊属が3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合 | 配偶者が4分の3 兄弟姉妹が4分の1 |
なお、遺産分割協議や調停の場合は、共同相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で具体的相続分を決めることも可能です。
遺産分割の方法
遺産分割する場合に問題となるのは、相続する割合(相続分)がどのくらいになるのかだけではなく、どのように個々の遺産を分けるのかも重要です。
基本的な遺産分割方法
遺産分割の基本的な方法(分け方)としては、以下の方法があります。
- 現物分割
遺産の現物そのものを分割する方法 - 換価分割
相続財産を換価して,それによって取得した金銭を分配するという方法 - 代償分割
遺産を共同相続人の一部に帰属させる代わりに、遺産を取得した相続人が他の共同相続人に代償を支払う方法 - 共有分割
遺産をあえて共有にする方法。他に方法がない場合にとるやむを得ない手段
もっとも、これらが基本的な方法であるだけで、他の方法が許されないわけではありません。共同相続人が合意しているのであれば、他の方法をとることも当然自由です。
ただし、遺産分割審判の場合は、まず現物分割が採用され、特別の事情がある場合に代償分割を検討し、いずれも困難な場合に換価分割を選ぶものとされています。
遺産分割方法の指定
民法 第908条
- 第1項 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
- 第2項 共同相続人は、5年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。
- 第3項 前項の契約は、5年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。
- 第4項 前条第2項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、5年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
- 第5項 家庭裁判所は、5年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。
引用元:e-Gov法令検索
被相続人(遺産を遺す人)は、遺言で遺産分割方法を指定することができます(民法908条1項)。
遺産分割方法の指定がある場合、共同相続人は、原則として遺言に従った方法で遺産分割しなければいけません。
ただし、遺産分割協議や調停の場合、共同相続人全員の合意により、遺言と異なる方法で遺産分割することは可能です。遺産分割審判の場合は、遺産分割方法の指定に従って分割されます。
遺産分割の禁止
例えば、相続人である未成年者が成人するまで遺産分割をしないように決めておきたいようなケースがあります。
そこで、被相続人または共同相続人は、相続開始時から一定期間、遺産分割を禁止することができます。
| 禁止の方法 | 禁止できる期間 |
|---|---|
| 被相続人が遺言で禁止する (民法908条1項) | 最長5年 |
| 共同相続人全員の合意により禁止する (民法908条2項、3項) | 最長5年(最長5年の更新可能) ただし、期間の終期は相続開始から10年を超えることができない |
| 家庭裁判所の審判により禁止する (民法908条4項、5項) | 最長5年(最長5年の更新可能) ただし、期間の終期は相続開始から10年を超えることができない |
遺産の一部分割
遺産分割を行う場合、紛争をいっぺんに解決するために、すべての遺産を対象として遺産分割を行うのが望ましいことは言うまでもありません。したがって、遺産の全部分割が原則です。
もっとも、全部を同時に解決しようとすることにより、かえって解決が遅くなってしまうこともあります。遺産の一部分割を共同相続人が望む場合には、その意思を尊重する必要もあるでしょう。
そこで、改正民法(2019年7月1日施行)では、遺産の一部を他の遺産から独立して分割することが認められています(民法907条)。
ただし、遺産分割審判においては、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合には、一部分割は認められません(民法907条2項但し書き)。
遺産分割の手続の種類
民法 第907条
- 第1項 共同相続人は、次条第1項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第2項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
- 第2項 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
引用元:e-Gov法令検索
遺産分割の基本は、共同相続人間での話し合い(遺産分割協議)ですが、協議が調わないときは家庭裁判所の手続を利用して決めることになります。
家庭裁判所の手続には、遺産分割調停と遺産分割審判があります。まずは調停をして、それでもうまくいかない場合に審判手続を行うのが通常です。
以下、それぞれの手続について説明します。
遺産分割協議(協議分割)
遺産分割をする場合、まず裁判外において、共同相続人間で話し合う必要があります(民法907条1項)。
この共同相続人による話し合いは、「遺産分割協議」といいます。協議によって遺産分割することを「協議分割」といいます。
特に遺産争いのないような相続であれば、この遺産分割協議で決められるでしょう。実際、大半の遺産分割は協議によって解決しています。
遺産分割調停(調停分割)
協議が調わなかった場合やそもそも協議に応じない共同相続人がいるなどの理由から協議ができなかった場合には、裁判手続を利用することができます(民法907条2項)。
遺産分割では、審判する前に必ず調停を行わなければならないとするルール(調停前置主義)は適用されませんが、まずは調停手続を利用するのが一般的です(いきなり審判を申し立てても、裁判所によって調停が行われるのが通常です。)。この調停を「遺産分割調停」といいます。
調停では、裁判官や裁判所が選任した調停委員が間に入って共同相続人間での話し合いを進めていきます。
調停で遺産分割することを「調停分割」といいます。
遺産分割審判(審判分割)
遺産分割調停はあくまで話し合いであるため、話がつかないこともあり得ます。調停で話がつかなければ審判に移行します。この審判を「遺産分割審判」といいます。
遺産分割審判では、各共同相続人が訴訟のように主張やそれを裏付ける資料の提出をし、それらや話し合いの内容に基づいて裁判所が遺産分割の内容を決定します。
審判によって遺産分割することを「審判分割」といいます。
遺産分割手続の流れ
遺産分割手続は、以下の流れで進めるのが一般的です。
- 遺言書の確認
- 相続人の調査・連絡
- 相続財産の調査・査定
- 遺産分割協議
- 遺産分割協議書の作成(または調停の準備)
- 遺産分割調停
- 調停調書の作成(または調停不成立)
- 遺産分割審判
- 裁判所による決定(審判)
- 審判に対する不服申立て
- 個別の相続手続
以下、それぞれの手続を具体的に説明します。
ステップ1:遺言書の確認
相続が開始したら、まずは遺言書を探しましょう。法定の方式で作成された遺言がある場合、遺産分割はその遺言に従って進めます。
自筆証書遺言は法務局で、公正証書遺言は公証役場で保管されている可能性もあります。法定相続人であれば、保管されているかどうかを確認してもらうよう申し出ることができます。
なお、自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認手続を行う必要があります。遺言書が見つかったとしても、うかつに開封しないように気をつけましょう。
ステップ2:相続人の調査・連絡
遺産分割はすべての共同相続人が参加しなければいけません。被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍をすべて取り寄せて、誰が相続人になるのかを調べます。
共同相続人がすべて判明したら全員に連絡をとり、遺産分割の準備を進めます。
ステップ3:相続財産の調査・査定
相続人だけでなく、相続財産に何があるのかも調べなくてはいけません。まずは遺品や郵便物をくまなく調べてみましょう。借金も相続されるので、負債がないかも忘れずにチェックします。
相続財産には、不動産や美術品のような価値の調査が必要なものもあります。あらかじめ査定しておくと、遺産分割がスムーズに進みます。
なお、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が大きい場合は、遺産分割ではなく、相続放棄や限定承認を検討することも必要になります。
ステップ4:遺産分割協議
共同相続人全員で遺産分割協議を行います。協議は裁判外での話し合いであるため、決まった方式はありません。
可能なら、共同相続人以外の人は親族であっても一切交えず話し合った方がよいでしょう(法定代理人や代理人の弁護士を除く)。
共同相続人以外の人がいると話がこじれるのはよくあるケースです。
ステップ5:遺産分割協議書の作成(または調停準備)
協議で話がついたら、話し合いの結果をまとめた書面(遺産分割協議書)を作成し、共同相続人全員が署名押印します。遺産分割協議書は、共同相続人全員分作成して、各自1通ずつ保管します。すべて取り交わせば、遺産分割協議は完了です。
逆に話がつかない、または話し合いに参加しない共同相続人がいる場合は、家庭裁判所の調停に向けて準備を進めます。
ステップ6:遺産分割調停
遺産分割調停は、相手方(他の共同相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所に、申立書と必要書類一式を提出して申し立てます。相手方が複数人いる場合は、どの相手方の住所地の裁判所でも問題ありません。
調停を申し立てると家庭裁判所から共同相続人全員に呼出状が送付され、決められた期日に裁判所に赴いて調停を行います。
調停では、裁判官または裁判所が選任した調停委員が、共同相続人間の話し合いを仲裁します。
ステップ7:調停調書の作成(または調停不成立)
遺産分割調停で話がつくと、裁判所によって、話し合いの結果をまとめた書面(調停調書)が作成されます。これで調停は完了です。
他方、話がつく目処が立たないと裁判所が判断した場合は、調停不成立が決定され、調停は終了して審判に移行します。
ステップ8:遺産分割審判
調停が不成立になると、手続は自動的に遺産分割審判に移行します。あらためて審判申立てをする必要はありません。
審判では、共同相続人が各自で法的主張をし、それを裏付ける証拠を提出します。適宜、話し合いや裁判官が共同相続人に話を聞く審問も行われます。
ステップ9:裁判所による決定(審判)
裁判所は、共同相続人から提出された主張・立証や審問の結果をもとに、法律に基づいてどのように遺産分割するかを決定(審判)します。
審判は、審判書として共同相続人に送達されます。この審判書を全員が受け取ってから2週間以内であれば不服申立てが可能です。
誰も不服申立てをせずに2週間が経過すると、審判が確定し、以降覆せなくなります。これで、遺産分割審判は完了です。
ステップ10:審判に対する不服申立て
上記のとおり、審判書を受け取ってから2週間以内であれば不服申立てできます。
不服申立ての手続は、審判をした家庭裁判所を管轄する高等裁判所で行われます。この不服申立て手続でも、当事者が主張・立証し、それに基づいて裁判所が決定を下します。
なお、高等裁判所の判決に不服がある場合は、さらに最高裁判所に不服を申し立てることがだきます。
ステップ11:個別の相続手続
遺産分割が確定した後は、共同相続人が各自で、取得した財産の名義変更や換金などの相続手続を行います。
遺産分割後の問題
遺産分割が確定した後は、それぞれの相続人が取得した権利を行使し、諸手続を行うことになります。
ただし、以下のケースでは、共同相続人間で遺産分割についての事後処理や何らかの対応をしなければならないことがあります。
相続開始後に認知された者がいる場合
民法 第910条
- 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
引用元:e-Gov法令検索
父親が亡くなった後でも、3年以内であれば子は認知の訴えを起こすことができます。この訴えが認められると、その子は相続開始後であっても相続人になることができます。
遺産分割は相続人全員が参加していないと無効であるため、この相続開始後に認知された子が参加せずに行われた遺産分割も効力を生じないはずです。
しかし、すでに確定した遺産分割やそれに基づく処分を全部やり直すのは、相続人に負担が大きく、法的安定性も害します。
そのため、相続開始後に認知された者が遺産分割を求める場合は、価額の支払いだけしか請求できないとされています(民法910条)。他の共同相続人は、相続開始後に認知により相続人になった者の相続分に相当する金銭を支払えば足ります。
ただし、相続開始後に認知された人が遺産分割を求めた場合、他の共同相続人が支払うべき金額は、プラスの財産の相続分に相当する金額です。マイナスの財産分を差し引いて計算することはできません(最三小判令和元年8月27日)。
共同相続人の担保責任
民法 第911条
- 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。
引用元:e-Gov法令検索
共同相続人は相互に、相続財産について、各自の相続分に応じて売主と同じ担保責任を負います(民法911条)。
具体的に言うと、欠陥や法律上の制限などの瑕疵(かし)がある財産を遺産分割で取得した相続人は、他の共同相続人に対して、欠陥部分の修理、損害賠償の支払いなどを請求できます。
遺産分割で取得した財産が債権の場合は、他の共同相続人に回収できない部分の支払いを求めることが可能です(民法912条1項)。他の共同相続人の中に資力がない人がいる場合は、資力のある共同相続人などが負担します(民法913条)。
なお、被相続人は、遺言で共同相続人の担保責任の割合を減らしたり、なくしたりすることができます(民法914条)。
遺産分割後に遺言が見つかった場合
遺言は被相続人の最後の意思表示であるため、相続において特に尊重されます。遺産分割が完了した場合であっても、遺言が見つかったときは、原則として遺産分割をやり直す必要があります。
ただし、遺言が見つかった後に、共同相続人全員が遺言を確認した上で、やり直さなくてよいと合意した場合は、遺産分割は効力を失いません。
もっとも、遺言で以下の事項が定められていた場合は、共同相続人全員で合意していても遺産分割し直す必要があります。
| 遺言事項 | やり直しの方法 |
|---|---|
| 第三者への遺贈 | 受贈者を入れてやり直す |
| 共同相続人の一部を廃除する旨の遺言 | 廃除が確定した後に、廃除者を除いてやり直す |
なお、前記のとおり、遺言で死後認知がされていた場合は、実際に認知された者が遺産分割を求めてきたとしても遺産分割をやり直す必要はなく、価額を支払えば足ります(民法910条)。
遺産分割が無効・取消し・解除された場合
遺産分割は一度確定したら簡単にはやり直せません。
とは言え、遺産分割も法律行為であるため、前記の遺言が遺産分割後に見つかった場合のほか、例外的な事情がある場合は白紙に戻してやり直せるケースもあります。
遺産分割協議のやり直し
遺産分割協議が強行法規や公序良俗などに違反する場合は、無効になります。詐欺や強迫などによって成立した協議も、取り消すことが可能です。
遺産分割協議が無効または取り消された場合、最初から遺産分割をしていないことになるので、再度やり直しが必要になります。
また、共同相続人全員の合意で遺産分割協議を解除してやり直すこともできます。
遺産分割調停のやり直し
遺産分割調停であっても、強行法規や公序良俗などに違反する場合は、無効になります。詐欺や強迫などによって成立した調停も、取り消すことが可能です。
ただし、調停の無効や取消を主張する場合は、それまで調停をしていた家庭裁判所に期日の指定を申し立てて調停を続行してもらう必要がありますが、必ずしも期日を指定してもらえるとは限りません。
そのため、遺産分割調停を無効や取り消すことは簡単ではありません。
遺産分割審判のやり直し
遺産分割審判は裁判所の公的判断です。無効・取消事由があるからといって、審判の効力がなくなるわけではありません。また、審判を解除することもできません。
仮に無効事由や取消事由があるような場合は、審判書が届いてから2週間以内に不服申立て(即時抗告)をして、高等裁判所で審判を取り消してもらう必要があります。
不服申立て期間を過ぎてしまった場合は、審判取消しを求めて、別途、裁判所に再審を提起する必要があります。ただし、再審が認められるのは非常に限られたケースだけです。
この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。
民法と資格試験
民法は、私法の基本法です。我々の生活に最も身近な法律です。
そのため、例えば、司法試験(本試験)、司法試験予備試験、司法書士試験、行政書士試験、宅建試験、マンション管理士試験・・・など、実に多くの資格試験の試験科目になっています。
これら法律系資格の合格を目指すなら、民法を攻略することは必須条件です。
とは言え、民法は範囲も膨大です。メリハリを付けないと、いくら時間があっても合格にはたどり着けません。効率的に試験対策をするには、予備校や通信講座などを利用するのもひとつの方法でしょう。
STUDYing(スタディング)
・司法試験・予備試験も対応
・スマホ・PC・タブレットで学べるオンライン講座
・有料受講者数20万人以上・低価格を実現
参考書籍
本サイトでも民法について解説していますが、より深く知りたい方や資格試験勉強中の方のために、民法の参考書籍を紹介します。
逐条解説 改正相続法
著者:堂薗幹一郎など 出版:商事法務
民法改正に対応した逐条解説書。相続を扱う実務家向けですが、持っていると何かと便利です。立法担当者や現役裁判官による著書であるため、内容に信頼性があります。
資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。
民法(全)(第3版補訂版)
著者:潮見佳男 出版:有斐閣
1冊で民法総則から家族法まで収録されています。基本書というより入門書に近いでしょう。民法全体を把握するのにはちょうど良い本です。
民法VI 親族・相続 (LEGAL QUEST)第8版
著者:前田陽一ほか 出版:有斐閣
家族法全体の概説書。条文・判例から書かれているので、学習の早い段階から利用できます。情報量もあるので、資格試験の基本書として十分でしょう。
親族・相続(伊藤真試験対策講座12)第4版
著者:伊藤真 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。民法は範囲が膨大なので、学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。


