この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q任意整理には、どのようなデメリットがある?
- A
任意整理をすると、以下のようなデメリットが生じることがあります。
- ブラックリストに登録される
- 返済可能な収入がなければ利用できない
- 借金の元本を減額するのは困難
- 強制力がない
- クレジットで購入した商品が引き揚げられる
- 保証人・連帯保証人に請求される
このページでは、任意整理のデメリットについて詳しく説明します。
- 任意整理とは何か
- 任意整理の6つのデメリット
- 任意整理する際の注意点
- 任意整理のデメリットに関するよくある質問・Q&A

任意整理とは
借金返済の問題を法的に解決することを「債務整理」といいます。この債務整理の具体的な方法のひとつが「任意整理」です。
任意整理とは、弁護士が消費者金融やクレジットカード会社などの債権者と交渉して、より負担の小さい返済条件へと変更してもらう手続です。
裁判所の手続ではないため、制限が少なく、柔軟な解決が可能になるメリットがあります。
任意整理のデメリット
任意整理は多くの人が利用する債務整理手続ですが、何のデメリットもないわけではありません。
任意整理も、約定の返済ができなくなる点で債権者に不利益を与えるものである以上、一定の不利益は生じます。
他の債務整理(自己破産や個人再生)に比べれば少ないものの、任意整理にも、以下のようなデメリットが存在します。
- ブラックリストに登録される
信用情報機関が保有する個人信用情報に事故情報(異動情報。いわゆる「ブラックリスト」)が掲載され、借入れ・ローン・クレジットカードの利用が難しくなる - 返済可能な収入がなければ利用できない
返済を継続する手続であるため、返済可能な程度の収入がなければ利用できない - 借金の元本を減額するのは困難
毎月の返済額を減らすことはできても、借金の元本を減らすことはほとんどできない - 強制力がない
あくまで裁判外での話し合いであるため、話し合いに応じない業者とは任意整理できない - クレジットで購入した商品が引き揚げられる
クレジットカードの残高を任意整理すると、購入した商品をカード会社に引き揚げられるケースがある - 保証人・連帯保証人に請求される
保証人などが付いている借金を任意整理すると、その保証人などか貸主から代わりの支払いを請求される
以下、それぞれのデメリットについて説明します。
デメリット1:ブラックリストに登録される
債務整理に共通するデメリットとして、「ブラックリストに登録される」不利益があります。任意整理をした場合も、ブラックリストへの登録は避けられません。
ブラックリストとは
個人の経済的信用に関する情報は、個人信用情報として、3つの信用情報機関で収集・管理されています。
個人信用情報には、氏名・住所・連絡先などの個人情報のほか、どこからいくら借りているかといった借入れの契約に関する情報も掲載されています。
さらに、個人信用情報には、延滞や代位弁済など返済能力を疑わせる情報(事故情報・異動情報)も掲載されます。これがいわゆる「ブラックリスト」です。
ブラックリストに登録されるとどうなるか?
任意整理すると、個人信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載されます。
金融機関は、信用情報をチェックして、お金を貸すか否かを審査します。信用情報に事故情報が掲載されていると、審査を通しません。
そのため、任意整理すると、以下のことは非常に難しくなります。
- 新たに借金すること
- 自動車ローンや住宅ローンなど各種ローンを組むこと
- クレジットカードを利用すること
- 携帯電話やスマートフォンを分割払いで購入すること
- 信販会社系列の家賃保証会社を利用すること
ブラックリストが消えるまでの期間
任意整理をしてブラックリストに登録されたとしても、一生消えないわけではありません。
任意整理した後に借金を全額返済してから5年が経てば、ブラックリストは消されます。
期間が過ぎたら、事故情報が消されているか確認してみましょう。本人であれば、信用情報機関に開示請求して、信用情報を確認できます(本人開示請求)。
ブラックリストを過剰に恐れるのは禁物
ブラックリストに登録されたくないがために債務整理をせず、借金を増やし続けてしまう人が多いです。しかし、結局はいずれ返済できなくなり、債務整理することになる人も多いです。
借金が増えすぎると、もはや任意整理では解決できません。自己破産や個人再生をする必要があります。
返済しきれなくなった借金を抱えたままで自転車操業を続けていくよりも、もはや余分な借金はしないという決意をもって、任意整理をし、生活を立て直していくことが重要です。
なお、このブラックリストは、信用情報機関に登録している金融機関しかみることができません。
自己破産や個人再生における官報とは違い、誰もがみることのできる情報ではないため、信用情報から家族や周囲にに任意整理していることを知られる可能性はほとんどありません。
デメリット2:返済可能な収入がなければ利用できない
任意整理では、長期分割払いへの変更や利息のカットなどにより、返済条件を改善させます。とは言え、返済していくことに変わりありません。
そのため、任意整理によって変更された条件で返済を続けていけるだけの収入があることが、最低限の条件です。
収入が足りない人や無収入の人は、任意整理を使えません。
どの程度の収入が必要か
任意整理では、3年(36回)の分割払いに変更するのが基本です。そのため「借金総額を36で割った金額を毎月支払える程度の収入」が必要になります。
なお、業者によっては、3年を超える期間の分割払いを認めてくれることも多いです。
例えば、5年(60回)払いが見込める場合は、「借金総額を60で割った金額を毎月支払える程度の収入」があれば足りることになります。
ただし、3年を超える期間の任意整理は、あまりお勧めできません。
無理な任意整理は危険
後述するように、任意整理では、毎月の返済額は減らせても、借金の元金を減らすことはほとんどできません。
自己破産や個人再生ほどの制限がないことを理由に、無理に任意整理をすると、途中で返済に行き詰まります。
3年を超える分割払いを認めてもらえるからといって、あまりに長期の分割にすると失敗する可能性が大きくなります。
自己破産や個人再生を選べない特別な事情があるケースを除いて、3年払いできるかどうかを基準に、任意整理を選ぶかどうかを判断した方がよいでしょう。
デメリット3:借金の元本を減額するのは困難
任意整理では、過払いとなっている場合を除いて、借金の元本を減額してもらうのは難しいのが現状です。
現在では、ほとんどの貸金業者が利息制限法の範囲内の利息の利率で取引をしているため、過払いになっていることは少なく、減額はより難しくなっています。
そのため、任意整理の場合には、借金が全額免責される自己破産はもちろんのこと、個人再生よりも返済金額がかなり高額になるでしょう。
任意整理は、あくまで「今よりも毎月の返済額を抑える」「終わりの見えない返済を終わらせる」ことが目的と考えておくべきです。
あまりに返済額が過大になってしまう見込みの場合には、自己破産や個人再生を検討する必要があるでしょう。
利息・遅延損害金のカットも難しい場合がある
任意整理では、利息や遅延損害金(延滞金)のカットも交渉します。
ただし、最近は、和解した日以降の利息(将来利息)のカットには応じるものの、和解が成立するまでの利息や延滞金(経過利息)のカットには応じない業者が増えています。
そのため、目に見えるような大きな効果が表れないケースも多いです。
例外:借金元本を減らせるケース
前記のとおり、任意整理で借金の元金まで減らせるのは、過払いがあるケースです。
ただし、過払いになるのは、20年近く前(2010年より前)から借入れと返済を繰り返し続けている場合に限られます。
そのため、任意整理で借金元本を減額できるケースは、かなり限られるでしょう。

インターネット広告でよく見る「任意整理で借金が半分になった!」などは、2010年より前から貸し借りを続けている場合の話です。現在では、元本カットは極めて難しいのが現実です。任意整理する場合は「毎月の返済額の減額」を目指しましょう。
デメリット4 強制力がないこと
任意整理は、裁判所を介しない「話し合い」の手続です。そのため、少ない法的制約で柔軟な解決が可能ですが、その反面、強制力がない点にデメリットがあります。
強制的に借金の減額や分割払いへの変更ができないので、話し合いに応じない強硬な業者がいると任意整理を進められません。
任意整理にまったく応じない業者は少ないですが、まったくいないわけではありません。また、話には応じるものの、利息カットには応じない業者もいます。
このような業者がいる場合は、返済できるだけの収入や原資があっても、任意整理を諦めなければならなくないこともあります。
あらかじめ弁護士に相談して、任意整理できる相手方なのかどうかを確認しておきましょう。
デメリット5:クレジット購入商品を引き揚げられる
クレジットカードの残高も任意整理することは可能です。
ただし、クレジットカードの残高を任意整理すると、支払いが完了していない購入商品を引き揚げられる可能性があります。
商品引き揚げを避ける方法
任意整理では、対象にする相手を選択できます。
引き揚げられると困る商品がある場合は、その商品購入に使ったクレジットカード会社だけ任意整理の対象から外せば、商品を引き揚げられることはありません。
引き揚げられない商品
クレジットカードの残高を任意整理したからといって、必ず商品が引き揚げられるわけではありません。引き揚げても価値がないもの、引き揚げる方がコストのかかるものは、任意整理しても引き揚げられません。
ただし、具体的にどの商品が引き揚げの対象になるかは、各カード会社の内部基準によって異なります。
確実に引き揚げを避けるには、商品購入に使ったクレジットカード会社を任意整理の対象から外した方がよいでしょう。
デメリット6:保証人や連帯保証人に迷惑をかける
保証人や連帯保証人が付いている借金を任意整理すると、貸主は、その保証人などに代わりに支払うよう請求します。
保証人や連帯保証人への請求を避ける方法
前記のとおり、任意整理では、対象にする相手を選択できます。
保証人などが付いている借金だけ任意整理の対象から外せば、保証人などへ請求されることはありません。
保証人や連帯保証人が付いている借金
保証人などが付いている借金は、奨学金や自動車ローンなどに限られます。普通の消費者金融やクレジットカード会社からの借入れ、銀行カードローンでは、保証人などはつけられていないのが通常です。
不安な場合は、契約書や重要事項説明書などをもう一度確認してみましょう。業者に直接問い合わせて確認することもできます。
任意整理する際に注意すること
デメリットとまでは言えないものの、任意整理する際にはいくつか注意すべきことがあります。
特に銀行からの借入れを任意整理する場合やクレジットカード払いを利用している場合は、以下で説明するような事前準備をしておきましょう。
銀行預金口座が一時凍結される
カードローンや融資など銀行からの借金を任意整理すると、その銀行の預金口座は一時的に凍結されます。
凍結されると、入金はできますが、出金や引き落としはできなくなります(入金も出金もできなくなることもあります。)。また、残高があると、自動的に借金の返済に充てられます。
そのため、給料が入った途端に全額返済に充てられてしまったり、家賃などの引き落としができず滞納になってしまいます。
任意整理を始める前に、以下の準備を忘れずに行いましょう。
- 預金口座から全額払い戻して、残高をゼロにしておく
- 給料や年金などの入金先を、任意整理の対象にしていない銀行口座に変更する
- 家賃や公共料金その他必要なサービスの支払方法を、振込用紙払いや他の口座からの引き落としなどに変更する
クレジット支払いが使えなくなる
前記のとおり、任意整理すると信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載され、クレジットカードは使えなくなります。
クレジットカード会社は定期的にカード利用者の信用情報をチェックしているため、任意整理の対象にしていないカードもすべて使えなくなる可能性が高いです。
そのため、クレジットカード払いにしていた支払いも止まってしまいます。また、クレジットカードからのオートチャージにしていた電子マネーもチャージされません。
クレジットカード払いになっているものがあったら、任意整理する前に支払方法を、任意整理の対象にしていない銀行口座からの引き落としや振込用紙払いなどに変更しておきましょう。
クレジットカード払いかどうか確認しておくべきもの
クレジットカード払いにしていることが多いものとしては、以下のようなサービスがあります。
- 電気・ガス・水道などの公共料金
- 生命保険や自動車保険などの保険料
- 電子マネーのオートチャージ
- サブスクサービス
念のため、クレジットカードの取引履歴を確認することをお勧めします。
任意整理のデメリットに関するよくある質問
任意整理のデメリットに関するよくある質問をQ&A形式で説明します。
使用中の携帯電話やスマートフォンが使えなくなる?
- Q任意整理すると、今持っている携帯電話やスマートフォンは使えなくなりますか?
- A
いいえ。通話料を支払っている限り、携帯電話やスマートフォンが使えなくなることはありません。
任意整理をしても、携帯電話やスマートフォンの通話料の支払いには何も影響しません。そのため、任意整理した後も携帯電話やスマートフォンは引き続き利用できます。
ただし、本体代金の分割払いを任意整理の対象にすると、携帯電話やスマートフォンが使えなくなります。
携帯電話やスマートフォンを分割で購入できなくなる?
- Q任意整理すると、分割払いで携帯電話やスマートフォンを買うことはできなくなりますか?
- A
はい。任意整理すると、一定期間、分割払いで携帯電話やスマートフォンを購入するのは難しくなります。
任意整理すると、信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載され、クレジットカードや割賦払いは利用できなくなります。
そのため、事故情報が掲載されている間(完済から5年)は、分割払いで携帯電話やスマートフォンの本体を買うのは難しいでしょう。
ただし、一括払いで買うことは可能です。
自動車ローンが残っている自動車は引き揚げられる?
- Q自動車ローン返済中に任意整理すると、自動車を引き揚げられますか?
- A
自動車ローンを任意整理すると購入した車はローン会社に引き揚げられますが、自動車ローンを外して任意整理すれば、引き揚げを避けられます。
自動車ローンを任意整理すると、そのローンで購入した自動車はローン会社に引き揚げられます。自走可能な限り、ほぼ100パーセント引き揚げられるでしょう。
一方、自動車ローンを任意整理の対象から外せば、自動車を引き揚げられずに済みます。
任意整理すると自動車ローンで車を購入できなくなる?
- Q任意整理すると、自動車ローンを組んで車を購入できなくなりますか?
- A
はい。任意整理すると、一定期間、自動車ローンを組むことが難しくなります。
任意整理すると信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載されます。ローン会社は信用情報を確認してローンの審査をするため、事故情報が掲載されているとローン審査を通さないでしょう。
そのため、任意整理すると、事故情報が消えるまで(完済から5年間)自動車ローンを組んで車を購入することは難しくなります。
ただし、事故情報の影響を受けるのはローンです。一括払いで自動車を購入することは可能です。
任意整理すると家族にも影響する?
- Q任意整理すると、家族にも影響がありますか?
- A
いいえ。任意整理しても家族に直接的な影響は生じません。
任意整理をして信用情報に傷がつくのは、本人だけです。家族の信用には何の影響もありません。
ただし、家族共有で使っていたクレジットカードや家族カードが使えなくなるなど、間接的な生活への影響が生じる可能性はあります。
家族が保証人になっている場合でも、保証人が付いている借金(奨学金など)だけ対象から外して任意整理すれば、家族に請求されることはありません。
任意整理したことは家族や勤務先に知られる?
- Q任意整理したことは、家族や勤務先に知られますか?
- A
任意整理しても家族や勤務先に知られる可能性は小さいです。
任意整理は、あくまで弁護士と貸主の交渉です。裁判所を介するわけではないので、自己破産や個人再生のように官報(国の機関紙)に掲載されるわけではありません。
そのため、任意整理をしても家族や勤務先に知られる可能性は小さいです。実際、家族や勤務先に知られないまま任意整理している人も多いです。
ただし、絶対にバレないとは言えません。
貸主から裁判(訴訟)を起こされると、自宅に裁判所から訴状などの書類が送られます。給料を差し押さえられれば、勤務先に裁判所から命令書が送られます。
これらによって、借金をしていることが知られ、そこから任意整理していることを知られる可能性はあります。
任意整理しなければよかったと後悔しないために
これまで説明してきたように、任意整理にはいつかのデメリットがあるとはいえ、自己破産や個人再生に比べれば少ないです。
ただし、任意整理では元金を減額できません。また、現在では経過利息のカットも難しいため、将来利息のカットにとどまります。そのため、毎月の返済額の減額以上に大きな成果は望めません。
デメリットが少ないからといって無理に任意整理をすると、いずれ返済できなくなって失敗に終わるケースが多いです。
「任意整理しなければよかった」と後悔しないように、しっかりと本当に返済可能なのかを検討して、任意整理するかどうかを慎重に判断することをお勧めします。
この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。
弁護士の探し方
「任意整理をしたいけど、どの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。
現在では、多くの法律事務所が任意整理を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、任意整理の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・休日対応・メール相談可
- 所在地:東京都台東区
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・依頼後の出張可
- 所在地:東京都墨田区
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- 所在地:東京都千代田区
参考書籍
本サイトでも債務整理について解説していますが、より深く知りたい方のために、参考書籍を紹介します。
クレジット・サラ金の任意整理実務Q&A
編著:柄澤昌樹ほか 出版:青林書院
任意整理の実務書。任意整理だけでなく、債務整理全般について解説されています。若干古いため、アップデートは必要ですが、細かいところも拾えます。



