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被相続人(ひそうぞくにん)とは?誰のこと?基本をわかりやすく解説

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

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相続において,相続財産を遺して亡くなった立場の方のことを被相続人(ひそうぞくにん)といいます。

被相続人とは?

遺産相続の場面において、相続財産を遺して亡くなった方のことを「被相続人」(ひそうぞくにん)といいます。他方、相続財産を受け継ぐ側の人は「相続人」(そうぞくにん)です。

相続「される」側の人が被相続人、相続「する」側の人が相続人です。

相続における被相続人の意思の尊重

遺産相続制度は、被相続人が遺した財産をめぐる紛争などの弊害を防止するために設けられている公的な制度です。

そのため、前記のように、誰が相続人となるのか、各相続人の相続分はどのくらいの割合になるのか、どのように相続財産を分配するのかなどは、法律(民法)によって基本的な基準が定められています。

もっとも、相続によって受け継がれる相続財産は、被相続人が生前に有していた権利義務です。その財産を築いてきたのも、被相続人です。

例え亡くなっているとはいっても、被相続人の意思は、相続の場面においてもできる限り尊重されるべきです。

そこで、相続が開始した後でも、被相続人の意思が効力を発揮させるための制度がいくつか用意されています。

遺言:被相続人の最後の意思表示

遺言とは、被相続人の最後の意思表示です。民法の規定に従って作成された遺言は、法的な効力を有します。

遺言書に記載したことのすべてが法的に効力を発揮するわけではありませんが、多くの場面で被相続人の意思を反映させることができます

例えば、以下の遺言事項を記載しておくと、法的効力が生じます。

遺言に定められる事項
  • 第三者や特定の相続人に対する財産の贈与(遺贈
  • 相続人の相続分をどの程度にするか(相続分の指定
  • どのような方法で遺産分割をするか(遺産分割方法の指定
  • 5年を超えない範囲での遺産分割の禁止
  • 推定相続人の廃除(遺言廃除)

自分の意思を相続に少しでも反映させたい場合は、遺言を作成しておくことをお勧めします。

被相続人と相続の開始の関係

遺産相続は、被相続人の死亡の時に開始されます。被相続人の死亡以外に条件はありません。

被相続人が亡くなると、相続人の同意などはなくても、自動的に相続が開始されます(ただし、相続人は相続放棄することも可能です。)。

また、相続の開始地は、被相続人の最後の住所地です。この相続開始地は、相続に関する裁判手続をする場合の裁判所の管轄や納税をする税務署の管轄を決める際の基準になります。

被相続人がいつ、どこで亡くなったのかは、相続において重要な意味を持っています。

被相続人と相続財産の関係

相続によって受け継がれるのは、相続開始時に被相続人が有していた一切の権利義務です。これを「相続財産」といいます。

一切の「権利」と「義務」であるため、被相続人のプラス財産(資産)だけでなく、マイナス財産(負債)も含まれます。

被相続人がどのような資産を有していたか、負債を負っていたかは、相続人が何を受け継ぐに直接関わってくるのです。

ただし、被相続人の一身に専属した権利義務は、相続財産に含まれません。また、祭祀財産は、相続とは違う形で祭祀主催者に受け継がれます。

被相続人と法定相続人の関係

前記のとおり、相続される側が被相続人、相続する側が相続人です。

法定相続人の基準

この相続人になれるのは、被相続人と特定の身分関係にある人だけです。

具体的には民法で決められています。民法で相続人となる資格を与えられる人のことを「法定相続人」といいます。

この法定相続人とは、被相続人の子、直系尊属、兄弟姉妹または配偶者です。ただし、全員が法定相続人になるわけではなく、配偶者を除く人には、順位が決められています。

第一順位は子、第二順位は直系尊属、第三順位が兄弟姉妹です。配偶者には順位がなく、常に法定相続人になります。

具体的には、以下のとおりです。

法定相続人
  • 子がいる場合
    他に直系尊属や兄弟姉妹がいても、子だけが法定相続人になる。
  • 子がいないが、直系尊属がいる場合
    他に被相続人の兄弟姉妹がいても、直系尊属が法定相続人になる。
  • 子も直系尊属もいないが、兄弟姉妹がいる場合
    兄弟姉妹が法定相続人になる。
  • 配偶者と子がいる場合
    他に直系尊属や兄弟姉妹がいても、配偶者と子が法定相続人になる。
  • 子がいないが、配偶者と直系尊属がいる場合
    他に被相続人の兄弟姉妹がいても、配偶者と直系尊属が法定相続人になる。
  • 子も直系尊属もいないが、配偶者と兄弟姉妹がいる場合
    配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になる。

被相続人は、誰が相続人になるのかを決める基準になっているのです。

被相続人の意思が相続人の資格に与える影響

相続人になる資格を有するのは、前記の法定相続人です。この法定相続人は、被相続人の遺言でも変更できません

ただし、被相続人は、一定の事由がある場合、生前に、将来自分の法定相続人になる予定の人を法定相続人から外すことができます。これを推定相続人の廃除といいます。

廃除できる場合は、被相続人に対して虐待・侮辱した場合などでかなり限定されているものの、廃除が認められると、その人は相続資格を失い、相続人になれなくなります。

また、被相続人を殺害、詐欺や強迫で遺言の作成を妨害した場合など一定の事由がある場合も、相続資格を失います。これを相続欠格といいます。

このように、被相続人の意思や被相続人に対する行動が、相続人の資格に影響する場合があります。

被相続人と相続人の相続分の関係

実際に相続人になる人が複数人いる場合(共同相続)、それぞれの相続人の取り分を相続分といいます。この相続分には、指定相続分と法定相続分があります。

指定相続分とは、被相続人が遺言で指定した相続分のことです。被相続人は、誰が相続人になるかを変更することはできないものの、相続人の相続分を決めることは可能なのです。

遺言で指定相続分が決められていない場合は、民法で決められた相続分(法定相続分)で配分が決められます。法定相続分より被相続人の意思が優先されるのです。

ただし、兄弟姉妹を除く相続人には最低限の取り分として遺留分が保障されています。遺言でも、この遺留分まで侵害することはできず、遺留分を侵害された相続人は、他の相続人や受遺者に対して遺留分侵害額の支払いを請求できます。

また、共同相続人間で話し合い、遺言の指定相続分や法定相続分と異なる相続分で遺産分割することは可能です。

被相続人と遺産分割の関係

共同相続の場合、各相続財産が誰にどの程度帰属するのかを確定させるには、共同相続人間で遺産分割をする必要があります。

遺産分割の時点ではすでに被相続人は亡くなっているものの、遺言で遺産分割にも意思を反映させられます。具体的には、以下の遺言を作成しておくことで、遺産分割に影響を与えることが可能です。

見出し
  • どのような方法で遺産分割するかを指定できる(遺産分割方法の指定)
  • 遺産分割を相続開始から5年以内の期間禁止することができる

ただし、これらの遺言がある場合でも、遺産分割では、それと違う遺産分割方法にすることが可能です。

被相続人と配偶者居住権の関係

被相続人が生前に所有する建物に配偶者と住んでいた場合、被相続人がその配偶者の住居を確保するためには、遺言で所有建物を配偶者に相続させる遺言を作成しておくのが最も端的な方法です。

もっとも、配偶者の住居にはしたいものの、家業などを継がせるために、建物の所有権は子に相続させたいなど、配偶者に建物所有権を相続させられない事情があるケースもあるでしょう。

そのような場合、被相続人は、遺言で所有建物に配偶者居住権を設定することによって、建物所有権の全部を配偶者に相続させずに、その建物に配偶者が住めるようになります

この配偶者居住権を定める遺言も、被相続人の意思を反映させる方法のひとつです。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。

民法と資格試験

民法は、私法の基本法です。我々の生活に最も身近な法律です。

そのため、例えば、司法試験(本試験)、司法試験予備試験、司法書士試験、行政書士試験、宅建試験、マンション管理士試験・・・など、実に多くの資格試験の試験科目になっています。

これら法律系資格の合格を目指すなら、民法を攻略することは必須条件です。

とは言え、民法は範囲も膨大です。メリハリを付けないと、いくら時間があっても合格にはたどり着けません。効率的に試験対策をするには、予備校や通信講座などを利用するのもひとつの方法でしょう。

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参考書籍

本サイトでも民法について解説していますが、より深く知りたい方や資格試験勉強中の方のために、民法の参考書籍を紹介します。

逐条解説 改正相続法
著者:堂薗幹一郎など 出版:商事法務
民法改正に対応した逐条解説書。相続を扱う実務家向けですが、持っていると何かと便利です。立法担当者や現役裁判官による著書であるため、内容に信頼性があります。

資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。

民法(全)(第3版補訂版)
著者:潮見佳男 出版:有斐閣
1冊で民法総則から家族法まで収録されています。基本書というより入門書に近いでしょう。民法全体を把握するのにはちょうど良い本です。

民法VI 親族・相続 (LEGAL QUEST)第8版
著者:前田陽一ほか  出版:有斐閣
家族法全体の概説書。条文・判例から書かれているので、学習の早い段階から利用できます。情報量もあるので、資格試験の基本書として十分でしょう。

親族・相続(伊藤真試験対策講座12)第4版
著者:伊藤真 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。民法は範囲が膨大なので、学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。

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