この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q国債は相続される?
- A
はい。国債も相続財産に含まれるので、相続人に相続されます。
このページでは、国債が相続されるのかについて詳しく説明します。
- 国債が相続財産に含まれること(相続財産該当性)
- 共同相続の場合の取扱い・遺産分割の要否
- 遺産に国債があるかどうかを見つける方法
- 遺産に国債がある場合の相続手続の一般的な流れ

国債とは
国債とは、国が歳入の不足を補うために金銭を借り入れることによって負う一切の債務のことをいいます。
国債を表章する債券は、「国債ニ関スル法律」に基づき、国によって発行されます。この債券そのものを国債と呼ぶこともあります。
国債には、様々な種類がありますが、近時は、ゆうちょ銀行が扱う1万円単位で購入可能な個人向け国債などの金融商品もあります。
国債を購入すると、その購入者と国との間には金銭消費貸借契約類似の法律関係が発生し、国(日本政府)によって利息および元本が支払われることになります。
国債は相続財産に含まれるか?
国債とは、国に対する貸付金です。購入者は、国に対して、貸金返還・利息の支払いを求める請求権を取得します。
このように国債には財産的価値があるため、相続財産に含まれます。そのため、亡くなった人(被相続人)が国債を持っていれば、相続人が受け継ぐことになります。
共同相続の場合の取扱い
相続人が一人である場合(単独相続)、その相続人が国債を引き継ぐだけです。
他方、相続人が複数人いる場合(共同相続)、国債は相続開始により共同相続人に分割承継されるのか、それとも遺産分割をして分配を決めなければならないのかについては議論があります。
国債の準共有
国債は、国に対する債権であり、しかも、貸付金であるため金銭債権の性質を有しています。
そうすると、金銭債権という可分債権である以上、原則論からすれば、相続の開始によって、遺産分割を経ずに、各共同相続人に対して、それぞれの相続分に従って、当然に分割して相続されることになるはずです。
しかし、国債は、法令によって購入の単位が決められ、一単位未満での権利の行使が認められていません。純然たる可分な金銭債権とはいえないのです。
そのため、国債については、相続人が複数いる場合には、共同相続人にそれぞれの相続分に従って当然に分割されるものではなく、共同相続人全員の準共有になると解されています(遺産共有)。
この点につき、最高裁判例も、個人向け国債について「個人向け国債の内容及び性質に照らせば、共同相続された個人向け国債は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。」として、「本件国債等は、本件遺産分割審判によって上告人ら及び被上告人の各持分4分の1の割合による準共有となった」と判示しています(最三小判平成26年2月25日)。
遺産分割が必要
上記のとおり、相続財産に含まれる国債は、相続が開始すると共同相続人全員で準共有することになります。そのため、共同相続人各自が単独で国債の権利を行使することはできません。
この準共有状態を解消するためには、遺産分割をして、誰がどの程度の割合で国債についての権利を取得するのかを具体的に決めなければなりません。
国債の探し方
前記のとおり、国債も相続されます。そのため、相続が開始されたら、亡くなった人(被相続人)が国債を持っていたか、国債取引をしていたかを調べなければいけません。
ここでは、相続財産に国債があるかどうかを調べる方法について説明します。
遺品や郵便物の中に国債に関係する書類がないか調べる
相続財産の調査の基本は、遺品の確認です。遺品に、銀行や証券会社から送られている書類がないか探してみましょう。国債に関する書類としては、残高計算書や利子計算書などがあります。
相続開始後に郵送されてくることもあるので、郵便物の確認も必要です。「利息支払いのお知らせ」や「取引報告書」といった書類がないか調べてみましょう。
証券会社からの連絡は、電子メールで行われていることもあります。被相続人のパソコンやスマートフォンなどでメールを調べておくことも大切です。
銀行預金の通帳や取引履歴を調べる
遺品の中でも被相続人の銀行預金の通帳や取引履歴は、特に多くの情報が発見されることが多いです。証券会社を通じて国債取引をしていた場合、証券会社への入出金から国債の存在が判明することがあります。
通帳がない場合は、キャッシュカードなどから対象の銀行・信用金庫などを調べ、預金の取引履歴を取り寄せましょう。
証券保管振替機構(ほふり)を利用する
上記の調査のほか、証券保管取引機構に照会して調べる方法もあります。
証券保管振替機構(通称「ほふり」)は、「社債、株式等の振替に関する法律」に基づき、株式や投資信託など電子化された有価証券の振替や制度の運営を行っている組織です。
証券保管振替機構では、証券会社や銀行を通じて取得された個人向け国債であれば、被相続人がどの証券会社と取引していたかどうかを照会できます。
ただし、証券保管振替機構で調べられるのは、証券会社だけです。具体的な証券口座の番号や国債の内容などは、別途、証券会社に照会しなければいけません。また、個人向け国債でないものは調べられないこともあります。
とは言え、何も手がかりがない場合には有効な方法です。若干費用がかかります(6000円ほど)が、国債があることは確かだが他に手がかりがないような場合には、利用してみるのもひとつの方法です。
相続財産に国債がある場合の相続手続
最近は、堅実な投資商品であることから国債を持っている人が増えているため、相続財産に国債があるケースが多くなっています。
以下では、相続財産に国債がある場合の手続の一般的な流れを説明します。
証券会社・金融機関への連絡
国債の取引口座が判明したら、取引先の証券会社や金融機関に連絡して、相続に必要な手続や書類を確認しましょう。
問い合わせをすると、相続を証明するための書類の提出を求められるのが通常です。例えば、以下のような書類です。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 身分証明書コピー
会社によって必要な手続や書類が異なる場合があるため、必ず連絡をしておきましょう。
単独相続の場合
相続人が一人の場合は、すぐに証券会社で国債の相続手続にとりかかります。一般的には、以下のような書類の提出が必要となります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 身分証明書コピー
また、同じ証券会社や金融機関で口座を持っていない場合には、相続人名義で新たに証券口座・預金口座を開設し、そこに被相続人の資産を移すことが必要な場合もあります。あわせて確認しておきましょう。
なお、必要書類などは金融機関によって異なります。特にゆうちょ銀行の場合、他の金融機関とは違う書類や手続が必要となり、時間がかかることも多いので、事前に問い合わせて確認しておく必要があります。
共同相続の場合
前記のとおり、共同相続の場合、遺産分割で国債の帰属を確定させなければ、単独では権利行使できません。そのため、遺産分割をすみやかに進める必要があります。
遺産分割が完了した後は、遺産分割で決まった内容に従って、共同相続人各自で国債の名義変更や資産の移動などの相続手続を行うことになります。
個人向け国債の場合、発行後1年未満では換金できないのが原則ですが、国債の保有者が亡くなって相続されたものは発行後1年未満でも解約可能です。
もっとも、遺産分割前であっても、共同相続人全員で合意できれば、国債を解約・売却など処分することが可能です。
国債は値動きがあるので、時期によっては、遺産分割する前に共同相続人全員で合意して、先にお金に換えておき、そのお金を遺産分割で分けるケースもあります。
相続税の申告・納付
国債を相続した場合、相続税の申告や納税が必要です。相続税の納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った時から10か月です。
もし遺産分割が終わっていない場合は、いったん法定相続分で計算した金額を申告・納付して、遺産分割後に更正や修正申告をすることになります。
たとえば、個人向け国債は、相続開始時(亡くなった日)の時価(相続開始日に中途換金したと仮定した場合の金額)を基本として評価されます。
ただし、税金の計算は複雑です。国債を相続した場合の相続税の手続は、税理士や税務署に相談して進めた方が良いでしょう。
この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。
民法と資格試験
民法は、私法の基本法です。我々の生活に最も身近な法律です。
そのため、例えば、司法試験(本試験)、司法試験予備試験、司法書士試験、行政書士試験、宅建試験、マンション管理士試験・・・など、実に多くの資格試験の試験科目になっています。
これら法律系資格の合格を目指すなら、民法を攻略することは必須条件です。
とは言え、民法は範囲も膨大です。メリハリを付けないと、いくら時間があっても合格にはたどり着けません。効率的に試験対策をするには、予備校や通信講座などを利用するのもひとつの方法でしょう。
STUDYing(スタディング)
・司法試験・予備試験も対応
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参考書籍
本サイトでも民法について解説していますが、より深く知りたい方や資格試験勉強中の方のために、民法の参考書籍を紹介します。
逐条解説 改正相続法
著者:堂薗幹一郎など 出版:商事法務
民法改正に対応した逐条解説書。相続を扱う実務家向けですが、持っていると何かと便利です。立法担当者や現役裁判官による著書であるため、内容に信頼性があります。
資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。
民法(全)(第3版補訂版)
著者:潮見佳男 出版:有斐閣
1冊で民法総則から家族法まで収録されています。基本書というより入門書に近いでしょう。民法全体を把握するのにはちょうど良い本です。
民法VI 親族・相続 (LEGAL QUEST)第8版
著者:前田陽一ほか 出版:有斐閣
家族法全体の概説書。条文・判例から書かれているので、学習の早い段階から利用できます。情報量もあるので、資格試験の基本書として十分でしょう。
親族・相続(伊藤真試験対策講座12)第4版
著者:伊藤真 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。民法は範囲が膨大なので、学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。



