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社債は相続されるか?相続財産(遺産)該当性や調べ方を解説

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

Q
社債も相続される?
A

はい。社債も相続財産(遺産)に含まれるため、相続人に相続されます。

このページでは、社債の相続財産該当性について詳しく説明します。

このページで説明していること
  • 社債が相続財産に含まれること(相続財産該当性)
  • 相続人が複数人いる場合(共同相続)の取扱い(遺産分割の要否)
  • 遺産に社債が含まれているかどうかを調べる方法
  • 遺産に社債が含まれている場合の相続手続の流れ

社債とは

社債とは、公衆に対する起債によって生じた株式会社に対する債権で、これについて有価証券(社債券)が発行されるもののことをいいます。要するに、株式会社の借金です。

株式会社が資本を確保する方法としては、株式を発行する方法があります。資金調達の面では、この株式と社債は類似した面があるといえます。

もっとも、株式は、株式会社の社員(株主)たる地位であり、株式発行の際に株主が支払う金銭は出資であって貸付金ではありません。つまり、返還を要しない金銭です。

これに対して、社債は、株式会社に対する貸付金です。株式のように金銭支出者が株主たる地位を取得するわけではありませんが、株式会社は支出者(社債権者)に対して金銭を返還する必要があります。

なお、社債という権利を表章する有価証券を社債券といいます。この社債券がなければ、社債の権利を行使することができません。ただし、現在は大部分が電子化され、紙の社債券はほとんどなくなっています。

社債の相続財産性

相続財産(遺産)とは、亡くなった人(被相続人)が相続開始時に有していた財産に関する一切の権利義務のことです。相続財産は、相続人に受け継がれます。

前記のとおり、社債は、会社に対する貸付金債権です。誰でも権利行使が可能な権利であるため、被相続人の一身に専属するものでもありません。

そのため、被相続人が社債権者であった場合、社債も相続財産として相続人に受け継がれます

相続人が複数人いる場合(共同相続)

相続人がひとりであれば、その相続人が社債の一切の権利を受け継ぐので、すぐに権利行使できます。問題となるのは、相続人が複数人いる場合(共同相続)です。

共同相続の場合に、社債は相続開始によって各共同相続人に分割承継されるのか、遺産分割するまで共同相続人の準共有になるのかについては議論があります

分割承継説

社債は、会社に対する貸付金債権です。可分な金銭債権の性質を持っています。

このような金銭その他の可分債権は、相続の開始によって、遺産分割を経ずに、各共同相続人に対して、それぞれの相続分に従って当然に分割承継されると考えられています(最一小判昭和29年4月8日最三小判昭和30年5月31日最三小判平成16年4月20日等)。

そのため、金銭債権である社債も、相続開始によって、それぞれの相続分に応じて各共同相続人に分割承継されると考えるのが、分割承継説です。

準共有説(通説・実務)

上記のとおり、たしかに社債は金銭債権の性質を持っていますが、以下のような性質もあるため、純粋な金銭債権とはいえません。

社債の性質
  • 基本的には電子化されているとはいえ、有価証券たる社債券が発行される場合があり、その点からすれば、社債券という物が相続の対象となるともいえる
  • 社債については社債原簿に登録する必要があるところ、社債権者の請求による社債原簿の記載変更等請求は相続人らが共同してこれを行わなければならないとされている(会社法691条2項)

そのため、社債は、当然に分割承継されるのではなく、相続開始によって、共同相続人間での準共有になると考えられています(遺産共有。民法898条)。

準共有の解消:遺産分割

準共有になると、ひとつの社債を共同相続人全員で有していることになります。そのため、それぞれの共同相続人が単独で社債の権利を行使することはできません。

この遺産共有状態を解消するには、遺産分割で誰がどの程度の割合で社債を取得するのかを確定させる必要があります

遺産に社債があるかどうかを調べる方法

社債も遺産(相続財産)に含まれます。そのため、まずは、被相続人が社債を持っていたのかどうかを調べる必要があります

社債が遺産にあるかどうかを調べる方法としては、以下のようなものがあります。

遺品の中に書類や債券がないかを確認する

最初にやるべきことは、遺品のチェックです。遺品の中から、証券会社からの書類(取引残高報告書など)がないか探してみましょう

証券会社からは定期的に書類が送られるので、相続が開始した後に郵便やメールが届くこともあります。郵便物やメールなどのチェックもしておいた方がよいでしょう。

被相続人の預金口座の通帳や取引履歴を調べる

遺品の中でも、特に被相続人が使っていた預金口座の通帳や取引履歴を調べることは重要です。

預金での取引の中に、証券会社や、公共料金などとは違う一般の株式会社との取引がある場合、社債取引をしていた可能性もあります。実際、預金通帳や取引履歴から社債が発覚する場合もあります。

なお、預金取引からは、社債以外にもさまざまな情報が手に入ることが多いです。通帳がない場合は、被相続人が取引していた銀行から取引履歴を取り寄せておくことをお勧めします。

証券保管振替機構への照会で調べる

証券保管振替機構(通称「ほふり」)とは、「社債、株式等の振替に関する法律」に基づき、株式や投資信託など電子化された有価証券の振替や制度の運営を行っている組織です。

証券保管振替機構では、証券会社を通じて取得された社債であれば、被相続人がどの証券会社と取引していたかどうかを照会できます

ただし、証券保管振替機構で調べられるのは、証券会社だけです。具体的な証券口座の番号や社債の内容などは、別途、証券会社に照会しなければいけません。

また、親族経営の会社などでよく行われる少数私募債など非上場会社の社債は証券会社での取引がないため、証券保管振替機構では調べられません。

とは言え、何も手がかりがない場合には有効な方法です。若干費用がかかります(6000円ほど)が、社債があることは確かだが他に手がかりがないような場合には、利用してみるのもひとつの方法です。

遺産に社債がある場合の相続手続の流れ

遺産(相続財産)の中に社債がある場合は、相続の手続を行わなければいけません。遺産の中に社債がある場合の相続手続の一般的な流れは、以下のとおりです。

証券会社への連絡

社債が見つかった場合、まずは社債の取引をしていた証券会社に連絡し、相続手続や必要書類を聞いておきましょう

証券会社に連絡をした場合、相続人であることを明らかにするため、以下のような書類の提出を求められることが多いです。

相続関係を証明するための書類
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 身分証明書コピー

社債の取引があることまでは分かったものの具体的な口座番号や取引内容が分からない場合でも、証券会社で調べてもらえます。

単独相続の場合

相続人がひとりだけの単独相続の場合は、証券会社への連絡からそのまま相続手続を行います。一般的には、以下のような書類が必要です。

相続関係を証明するための書類
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 身分証明書コピー

証券会社によって必要となる書類や手続が異なる場合があります。あらかじめ確認しておきましょう。

共同相続の場合

前記のとおり、相続人が複数人いる共同相続の場合は、遺産分割をしなければいけません

遺産分割の基本は話し合い(協議)ですが、上手くいかない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。この遺産分割で社債の権利を取得した相続人が、証券会社との間で相続手続を行います

なお、社債は値動きがあるので、時期によっては、遺産分割する前に共同相続人全員で合意して、先にお金に換えておき、そのお金を遺産分割で分けるケースもあります

相続税の申告・納付

相続した場合は、相続税の申告が必要です。社債も、課税の対象になります相続税の納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った時から10か月です。

もし遺産分割が終わっていない場合は、いったん法定相続分で計算した金額を申告・納付して、遺産分割後に更正や修正申告をすることになります。

ただし、税金の計算は複雑です。非上場会社の新株予約権付社債(ワラント債)のように評価方法の難しいものもあります。

社債を相続した場合の相続税の手続は、税理士や税務署に相談して進めた方が良いでしょう。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。

民法と資格試験

民法は、私法の基本法です。我々の生活に最も身近な法律です。

そのため、例えば、司法試験(本試験)、司法試験予備試験、司法書士試験、行政書士試験、宅建試験、マンション管理士試験・・・など、実に多くの資格試験の試験科目になっています。

これら法律系資格の合格を目指すなら、民法を攻略することは必須条件です。

とは言え、民法は範囲も膨大です。メリハリを付けないと、いくら時間があっても合格にはたどり着けません。効率的に試験対策をするには、予備校や通信講座などを利用するのもひとつの方法でしょう。

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参考書籍

本サイトでも民法について解説していますが、より深く知りたい方や資格試験勉強中の方のために、民法の参考書籍を紹介します。

逐条解説 改正相続法
著者:堂薗幹一郎など 出版:商事法務
民法改正に対応した逐条解説書。相続を扱う実務家向けですが、持っていると何かと便利です。立法担当者や現役裁判官による著書であるため、内容に信頼性があります。

資格試験向けの参考書籍としては、以下のものがあります。

民法(全)(第3版補訂版)
著者:潮見佳男 出版:有斐閣
1冊で民法総則から家族法まで収録されています。基本書というより入門書に近いでしょう。民法全体を把握するのにはちょうど良い本です。

民法VI 親族・相続 (LEGAL QUEST)第8版
著者:前田陽一ほか  出版:有斐閣
家族法全体の概説書。条文・判例から書かれているので、学習の早い段階から利用できます。情報量もあるので、資格試験の基本書として十分でしょう。

親族・相続(伊藤真試験対策講座12)第4版
著者:伊藤真 出版:弘文堂
いわゆる予備校本。予備校本だけあって、実際の出題傾向に沿って内容が絞られており、分かりやすくまとまっています。民法は範囲が膨大なので、学習のスタートは、予備校本から始めてもよいのではないでしょうか。

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