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自己破産の少額管財はどのような流れで進む?手続の18ステップを解説

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。

Q
自己破産の少額管財の手続は、どのような流れで進む?
A

少額管財の手続は、一般的に以下のような流れで進みます。

管財事件(少額管財)の手続の流れ
  • ステップ1
    弁護士への依頼

    少額管財を利用できるのは、弁護士に依頼して自己破産を申し立てた場合だけに限られます。そのため、まずは弁護士に相談・依頼することが必要です。

  • ステップ2
    借入れ・返済のストップ

    弁護士に自己破産を依頼した後は、債権者への返済をストップします。また、新規の借入れやクレジットカードの利用も禁止されます。

  • ステップ3
    受任通知の送付:取立てのストップ

    自己破産の依頼後すぐに、弁護士が各債権者に債務整理の依頼を受けた旨の通知(受任通知)を送付します。この受任通知が送付されると、貸金業者や債権回収業者からの電話・訪問・郵便による直接の取り立てが停止されます。

  • ステップ4
    取引履歴の開示請求・引き直し計算

    受任通知の送付とあわせて債権者(特に貸金業者)に取引履歴の開示も請求します。開示された取引履歴をもとに引き直し計算を行い、利息制限法に従った正当な借金額を調査します。

  • ステップ5
    申立ての準備:債権調査・過払い金返還請求

    上記貸金業者の債権だけでなく、自己破産の申立てをする前に、債権者は誰か、債権額はいくらか、担保は設定されているかなどの債権を調査します。

  • ステップ6
    申立ての準備:財産調査

    自己破産の申立てをする前に、どのような財産を持っているか、その財産の価値はどれくらいか、換価処分の対象になるかなどを調査します。

  • ステップ7
    申立ての準備:免責調査

    自己破産の申立てをする前に、免責不許可事由はあるか、免責不許可事由がある場合は裁量免責が得られるかなどを調査します。

  • ステップ8
    自己破産の手続の選択

    債権・財産・免責の調査をした上で、自己破産で進めるか、他の債務整理手続に変更するかなどを再度検討します。

  • ステップ9
    申立書の作成・必要書類の作成・収集

    自己破産の申立てをする際に裁判所に提出しなければならない申立書や添付書類を作成し、必要となる書類を集めます。

  • ステップ10
    裁判所への自己破産申立て

    準備が整ったら、管轄の地方裁判所に申立書と必要書類一式を提出して自己破産を申し立てます。申立て後、裁判所で法律要件のチェック・管財事件とするか同時廃止とするかの審査が行われます。

  • ステップ11
    破産手続開始決定・破産管財人の選任

    申立てに不備がなければ、裁判所によって破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任されます。

  • ステップ12
    破産管財人との打ち合わせ(面談)

    裁判所で破産手続が開始されてから概ね1~2週間以内に、破産管財人との打ち合わせ(面談)が行われるのが通例です。一般的には、破産管財人の弁護士が所属する法律事務所で行われます。

  • ステップ13
    引継予納金の納付

    破産管財人は、財産管理のため破産管財人名義の預金口座(管財人口座)を開設します。開設後、管財人口座に引継予納金を振り込みます。

  • ステップ14
    破産管財人による調査・財産の換価処分

    破産手続が開始されると、破産管財人が破産者の財産・債権・免責についての調査を行い、財産の換価処分を行います。

  • ステップ15
    裁判所での債権者集会

    申立てから概ね3~4か月後に、裁判所で債権者集会が開催されます。債権者集会には、裁判官、破産管財人、破産者(および代理人弁護士)が出席します。債権者も出席できますが、金融機関の債権者が出席することは少ないです。

  • ステップ16
    裁判所での免責審尋

    債権者集会までに破産管財人の換価業務がすべて終了していれば、破産手続は終了します(終了しない場合は、さらに1~3か月後に債権者集会が行われます。)。債権者集会が終了すると、そのまま引き続き免責を許可してよいかどうかに関する免責審尋が行われるのが通常です。

  • ステップ17
    裁判所による免責許可決定

    免責審尋から概ね1週間ほどで裁判所によって免責許可が決定されます。免責許可の決定書は、代理人弁護士宛てに送付されます。免責許可決定は概ね1か月ほどで確定します。確定すれば自己破産の手続は完了です。

  • ステップ18
    債権者への配当

    財産の換価処分によって債権者に配当できるだけのお金が集まっていた場合には、債権者への支払いや配当手続が行われます。なお、この手続に破産者が参加する必要はありません。

このページでは、自己破産の少額管財手続の流れを、わかりやすく説明します。

このページで説明していること
  • 自己破産の少額管財とは
  • 少額管財の手続の流れ:18ステップ
  • 少額管財で免責許可を得るまでにかかる期間
  • 免責が不許可になった場合の対処法
  1. 自己破産の少額管財とは
  2. 少額管財手続の流れ
  3. ステップ1:弁護士との相談・依頼
    1. 弁護士に相談する場合に持参した方がよい書類
  4. ステップ2:借入れ・返済のストップ
  5. ステップ3:受任通知の送付:取立てのストップ
  6. ステップ4:取引履歴の開示請求・引き直し計算
  7. ステップ5:申立ての準備(債権調査・過払い金返還請求)
  8. ステップ6:申立ての準備(資産・家計状況の調査)
    1. 財産に関して必要となる書類
    2. 処分されない財産(自由財産)
    3. 否認対象行為の調査
  9. ステップ7:申立ての準備(免責に関する調査)
    1. 免責不許可事由
    2. 裁量免責
  10. ステップ8:自己破産の手続の選択
  11. ステップ9:自己破産の申立書・添付書面の作成
  12. ステップ10:自己破産の申立て
    1. 自己破産の申立てで提出する書類
    2. 自己破産の申立ての際に納付する費用
    3. 即日面接(東京地裁本庁のみ)
    4. 債務者の審尋
    5. 破産管財人候補者との開始前打ち合わせ(東京地方本庁のみ)
  13. ステップ11:破産手続開始決定・破産管財人の選任
    1. 破産管財人に選任される人
    2. 郵便物の転送の開始
    3. 居住制限の開始
    4. 資格制限の開始
  14. ステップ12:破産管財人との打ち合わせ(面談)
    1. 破産管財人から聞かれること
  15. ステップ13:引継予納金の納付
  16. ステップ14:破産管財人による管財業務の遂行
  17. ステップ15:裁判所での債権者集会
  18. ステップ16:裁判所での免責審尋
  19. ステップ17:免責許可決定
  20. ステップ18:債権者への弁済や配当
  21. 少額管財で免責許可を得るまでにかかる期間
  22. 免責不許可となった場合の対処法
  23. 弁護士の探し方
  24. 参考書籍

自己破産の少額管財とは

自己破産とは、裁判所に免責を許可してもらうことにより、借金全額を帳消しにする手続のことです。

この自己破産には、破産管財人が選任される管財事件と同時廃止事件があります。

管財手続が原則的形態ですが、裁判所に納付する費用(引継予納金)が高額すぎると、個人の債務者が自己破産を利用できなくなってしまうおそれがあります。

そこで、弁護士に依頼して自己破産を申請(申立て)した場合に限り、引継予納金の金額を原則20万円とする「少額管財」が、各地の裁判所で運用されています。

少額管財手続の流れ

少額管財は、引継予納金を抑えるため、少額管財ではない管財事件(特定管財)よりも手続が簡略化されています。

具体的には、少額管財は以下のような流れで進むのが一般的です(裁判所によって異なる部分はあります。)。

管財事件(少額管財)の手続の流れ
  • ステップ1
    弁護士への依頼

    少額管財を利用できるのは、弁護士に依頼して自己破産を申し立てた場合だけに限られます。そのため、まずは弁護士に相談・依頼することが必要です。

  • ステップ2
    借入れ・返済のストップ

    弁護士に自己破産を依頼した後は、債権者への返済をストップします。また、新規の借入れやクレジットカードの利用も禁止されます。

  • ステップ3
    受任通知の送付:取立てのストップ

    自己破産の依頼後すぐに、弁護士が各債権者に債務整理の依頼を受けた旨の通知(受任通知)を送付します。この受任通知が送付されると、貸金業者や債権回収業者からの電話・訪問・郵便による直接の取り立てが停止されます。

  • ステップ4
    取引履歴の開示請求・引き直し計算

    受任通知の送付とあわせて債権者(特に貸金業者)に取引履歴の開示も請求します。開示された取引履歴をもとに引き直し計算を行い、利息制限法に従った正当な借金額を調査します。

  • ステップ5
    申立ての準備:債権調査・過払い金返還請求

    上記貸金業者の債権だけでなく、自己破産の申立てをする前に、債権者は誰か、債権額はいくらか、担保は設定されているかなどの債権を調査します。

  • ステップ6
    申立ての準備:財産調査

    自己破産の申立てをする前に、どのような財産を持っているか、その財産の価値はどれくらいか、換価処分の対象になるかなどを調査します。

  • ステップ7
    申立ての準備:免責調査

    自己破産の申立てをする前に、免責不許可事由はあるか、免責不許可事由がある場合は裁量免責が得られるかなどを調査します。

  • ステップ8
    自己破産の手続の選択

    債権・財産・免責の調査をした上で、自己破産で進めるか、他の債務整理手続に変更するかなどを再度検討します。

  • ステップ9
    申立書の作成・必要書類の作成・収集

    自己破産の申立てをする際に裁判所に提出しなければならない申立書や添付書類を作成し、必要となる書類を集めます。

  • ステップ10
    裁判所への自己破産申立て

    準備が整ったら、管轄の地方裁判所に申立書と必要書類一式を提出して自己破産を申し立てます。申立て後、裁判所で法律要件のチェック・管財事件とするか同時廃止とするかの審査が行われます。

  • ステップ11
    破産手続開始決定・破産管財人の選任

    申立てに不備がなければ、裁判所によって破産手続の開始が決定され、破産管財人が選任されます。

  • ステップ12
    破産管財人との打ち合わせ(面談)

    裁判所で破産手続が開始されてから概ね1~2週間以内に、破産管財人との打ち合わせ(面談)が行われるのが通例です。一般的には、破産管財人の弁護士が所属する法律事務所で行われます。

  • ステップ13
    引継予納金の納付

    破産管財人は、財産管理のため破産管財人名義の預金口座(管財人口座)を開設します。開設後、管財人口座に引継予納金を振り込みます。

  • ステップ14
    破産管財人による調査・財産の換価処分

    破産手続が開始されると、破産管財人が破産者の財産・債権・免責についての調査を行い、財産の換価処分を行います。

  • ステップ15
    裁判所での債権者集会

    申立てから概ね3~4か月後に、裁判所で債権者集会が開催されます。債権者集会には、裁判官、破産管財人、破産者(および代理人弁護士)が出席します。債権者も出席できますが、金融機関の債権者が出席することは少ないです。

  • ステップ16
    裁判所での免責審尋

    債権者集会までに破産管財人の換価業務がすべて終了していれば、破産手続は終了します(終了しない場合は、さらに1~3か月後に債権者集会が行われます。)。債権者集会が終了すると、そのまま引き続き免責を許可してよいかどうかに関する免責審尋が行われるのが通常です。

  • ステップ17
    裁判所による免責許可決定

    免責審尋から概ね1週間ほどで裁判所によって免責許可が決定されます。免責許可の決定書は、代理人弁護士宛てに送付されます。免責許可決定は概ね1か月ほどで確定します。確定すれば自己破産の手続は完了です。

  • ステップ18
    債権者への配当

    財産の換価処分によって債権者に配当できるだけのお金が集まっていた場合には、債権者への支払いや配当手続が行われます。なお、この手続に破産者が参加する必要はありません。

以下では、各手続をステップごとに説明します。

ステップ1:弁護士との相談・依頼

前記のとおり、少額管財になるのは、弁護士に自己破産申立てを依頼している場合に限られます。本人だけでの申立てや司法書士による申立てでは、少額管財になりません。

そのため、まずは弁護士に相談・依頼することが必要です。

現在では、ほとんどの法律事務所で自己破産を含めた債務整理に関する無料相談を行っていますので、まずは相談をしてみて、良い弁護士が見つかれば依頼をします。

通常は、貸金業者などの債権者、その業者との取引の期間、現在の債務の残高、資産・財産の状況、借入れの原因、家計の状況などを話し、自己破産が可能かどうかを相談することになるでしょう。

なお、相談や依頼については、事務所によって手続が異なります。事前に問い合わせて確認しておきましょう。

【参考】弁護士を探したい方はこちら

弁護士に相談する場合に持参した方がよい書類

自己破産を弁護士に相談・依頼する場合にどのような書類が必要になるかは、事務所によって異なります。相談を予約する際に、必要書類を確認しておきましょう。

一般的には、以下のような書類が必要となることが多いです。

弁護士に相談する際の必要書類の具体例
  • 身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 借金の借り入れ先や残額などがわかる資料
    クレジットカード、借り入れ先との契約書、請求書、取引明細、返済に使っている預金通帳、取引履歴(すでに開示請求している場合)など
  • 家計の収支がわかる資料
    給与明細・賞与明細・確定申告書の写し、家計簿、預金通帳など
  • 持っている財産に関する資料
    預金通帳、保険証券、不動産の登記事項証明書、車検証、退職金証明書など
  • 印鑑(依頼する場合は必要になることがある)

ステップ2:借入れ・返済のストップ

自己破産を弁護士に依頼した後は、借金の借入れと返済を停止します。借金・債務の金額を確定させるためです。

弁護士に依頼した後に借入れをしたり、返済したりすると、借金の帳消し(免責)が許可されないなどの不利益を被る可能性があります。借入れ・返済をしないようにしましょう。

なお、生活に必要な支出(家賃、水道光熱費、通信費、食費など)まで禁止されるわけではありません。

依頼者がすること

  • 返済を止める(銀行引き落としで返済している場合は、口座残高をゼロ円にしておく)
  • 借り入れをしない
  • クレジットカードを利用しない(カード払いのものは解約・変更しておく)

ステップ3:受任通知の送付:取立てのストップ

弁護士に依頼すると、借入先などの債権者に債務整理を開始する旨の通知(受任通知)が送付されます。

この受任通知が送付されると、貸金業者や債権回収会社からの電話・郵便・訪問などによる直接の取立てが、法律に基づき禁止されます。貸金業者や債権回収会社だけでなく、他の債権者も取立てをやめてくれるのが通常です。

そのため、借金の返済をストップしても、取立てを受けることはありません。連絡窓口は、すべて弁護士宛てになります。

弁護士に依頼すると当日や翌日には受任通知が発送されるので、早い段階で取立てから解放されるのもメリットです。

依頼者がすること
特になし。受任通知は弁護士が送付してくれます。

ステップ4:取引履歴の開示請求・引き直し計算

受任通知の送付と同時に、貸金業者などにそれまでのすべての借入れと返済の記録(取引履歴)の開示を求めます(取引履歴の開示請求)。

開示された取引履歴に基づいて、すべての取引を利息制限法に従った利息に直して、借金の額を計算します(引き直し計算)。

この引き直し計算によって、利息制限法に従った正確な借金額を確定させます。

依頼者がすること
特になし。取引履歴の開示から引き直し計算まですべて弁護士が行ってくれます。

ステップ5:申立ての準備(債権調査・過払い金返還請求)

借金以外に債務がある場合は、債権者に受任通知を送付するとともに、債権を届け出るよう連絡をします。届け出られた債権を確認した上で資料とつきあわせ、債務額を確定させます。

また、引き直し計算の結果、過払い金が判明した場合、貸金業者に返還を請求します。交渉による過払い金の返還が難しい場合には、訴訟を提起し、過払金を回収することになる場合があります。

自己破産の場合、緊急性がある場合や金額が僅少なときなどは、過払金を回収せずに、そのまま自己破産を申し立てることもあり得ます。

ただし、過払い金が発生するのは、少なくとも2010年より前から取引を続けていた人に限られます。そのため、過払い金が発生しているケースは限られるでしょう。

依頼者がすること
基本的にはなし。ただし、争いがある場合には契約時の書類や取引経過の資料を準備しなければならなくなるケースはあります。

ステップ6:申立ての準備(資産・家計状況の調査)

借金の調査と並行して、どのような財産・資産があるのかも調べます。必要な場合は、財産の査定をすることもあります。

また、自己破産を申し立てる際は、裁判所に家計状況も提出しなければいけません。そのため、家計の調査も行われます。

依頼者がすること
指示に従って、各種の書類を集めて弁護士に提出します。

財産に関して必要となる書類

自己破産では、財産の処分が必要となることもあります。そのため、事前に財産を調査しておく必要があります。

財産に関して必要となる書類は、持っている財産によって異なります。例えば、以下のような書類が必要です。

必要な資料具体例(入手先)
収入の証明給与明細書(勤務先)
源泉徴収票(勤務先)
課税証明書(市区町村役場)
銀行預金がある場合預金通帳
預金の取引明細(銀行など)
不動産を所有している場合不動産登記事項証明書(法務局)
査定書(不動産会社など)
自動車を所有している場合自動車検査証
査定書(自動車査定協会など)
民間の保険に加入している場合保険証券・保険約款
解約返戻金証明書(保険会社)
退職金がある場合退職金規程
退職金証明書(勤務先)

処分されない財産(自由財産)

自己破産してもすべての財産が処分されるわけではありません。破産法で定められている一定の財産(自由財産)は処分不要です。

ただし、自由財産であっても、裁判所への申告は必要です。そのため、どのような自由財産があるのかも、事前に調査します。

自由財産

上記のほか、各裁判所によっては、さらに処分しなくてもよい財産が定められていることもあります。裁判所ごとに換価基準・自由財産拡張基準は異なるため、事前に弁護士に確認しておきましょう。

否認対象行為の調査

すでに手元にない財産であっても、不正・不公平な行為で手放した財産は、自己破産の手続で破産管財人によって取り戻されます(否認権の行使)。

そこで、不正・不公平な行為で流出した財産がないかも事前に調査します。

もし不正・不公平な行為で流出した財産がある場合は、財産を譲り受けた人から返してもらうのが最も確実な対応です。

ステップ7:申立ての準備(免責に関する調査)

自己破産しても、破産法で定める一定の事由(免責不許可事由)があると、裁判所に借金の帳消し(免責)を許可してもらえないケースがあります。

そこで、あらかじめ免責不許可事由がないかどうかも調査する必要があります。

免責不許可事由がある場合でも、裁判所の裁量によって免責が許可されることが多いです。免責不許可事由がある場合は、裁量免責してもらえる事情があるのかも調査しておきます。

依頼者がすること
借金の経緯や各種の事情を弁護士に説明します。

免責不許可事由

免責不許可事由としては、例えば、以下のような事由があります。

免責不許可事由に該当するケース
  • 家族・親族に財産の名義を変更した
  • 知人に財産をただであげてしまった
  • 闇金から借金した
  • クレジットカードで購入した商品を、代金完済前に転売した(換金行為)
  • 家族・親族の借金だけ返済した
  • 浪費・ギャンブル・投資の失敗で借金を過大に増やした

裁量免責

免責不許可事由がある場合でも、裁判所はさまざまな事情を総合的に判断して、裁量で免責を許可できます。

裁量免責の事情として、反省しているかどうかも重要なポイントです。反省の態度を示すため、事前に反省文を準備しておくこともあります。

むしろ、免責不許可事由があるのに無いと嘘をつくことの方が危険です。自己破産を申し立てた後に免責不許可事由が発覚すると、リカバリーが難しくなります。

正直に話し、生活を改善するように努力していれば、よほどのことがない限り、裁量免責を受けられます。破産では、嘘をつく方がリスクが高いことは知っておくべきでしょう。

ステップ8:自己破産の手続の選択

債権調査・資産調査・家計調査などに基づいて、自己破産の手続を選択すべきか、それとも他の債務整理手続を選択すべきかをもう一度確認します。

また、自己破産の手続を進める場合も、少額管財になるのか同時廃止になるのかも、あわせて確認しておくことになります。

なお、自己破産以外の債務整理手続としては、以下のものがあります。事情に応じて、債務整理の方針を変更することはあり得ます。

自己破産以外の債務整理手続
  • 任意整理
    弁護士が債権者と裁判外で交渉して、より負担の小さい返済条件の実現を目指す手続。法的な制限やデメリットは小さいものの、効果はそれほど大きくない
  • 個人再生
    裁判所に再生計画を認可してもらうことにより、借金を大幅に減額した上で3~5年の分割払いにする手続。財産を強制処分されずに借金を減額できるメリットがある反面、利用条件は自己破産よりも厳しい点がネック。

依頼者がすること
調査結果をもとに、弁護士と方針について打ち合わせます。

ステップ9:自己破産の申立書・添付書面の作成

自己破産の申立ては、裁判所に申立書と添付書類一式を提出する方式で行います。

そのため、申立てする前に自己破産の申立書(破産手続開始・免責許可の申立書)と各種添付書類を作成しておく必要があります。

これらの作成は、弁護士が行います。

依頼者がすること
前記の書類収集や事情説明のほかは、特になし。申立書などの書類作成や整理は、すべて弁護士が行ってくれます。

ステップ10:自己破産の申立て

準備が整ったら、管轄の地方裁判所に自己破産の申立書と添付書類一式を提出して、自己破産を申し立てます。この自己破産の申立ても、弁護士が行います。

依頼者がすること
基本的にはなし。裁判所への申立ては、弁護士が行ってくれます。ただし、裁判所によっては、申立て後に後述する債務者審尋が行われるケースはあります。

自己破産の申立てで提出する書類

自己破産の申立てでは、以下のような書類を提出します。

自己破産の申立てで提出する書類
  • 自己破産の申立書
  • 住民票の写し
  • 債権者一覧表
  • 報告書(または陳述書)
  • 資産目録
  • 家計簿
  • その他財産に関する書類など

どのような書類の添付が必要となるかは、裁判所によって違いがあります。

自己破産の申立ての際に納付する費用

自己破産の申立てをする際は、以下の費用を裁判所に納付します。

費目金額
裁判手数料(収入印紙代)1,500円(全国一律)
予納金(官報公告費)概ね3万円(裁判所により異なる)
予納郵券(郵便切手代)概ね4000~6000円(裁判所により異なる)

なお、少額管財の引継予納金(原則20万円)は、破産手続が開始した後に、破産管財人に支払うことになります。

即日面接(東京地裁本庁のみ)

東京地裁本庁では、自己破産を申し立てる際、裁判官と代理人弁護士の事前面接(即日面接)が実施されています。現在は、新型コロナの影響もあり、電話での面接になっています。

この面接で、少額管財になるか同時廃止になるかが決められます。なお、面接するのは弁護士のみです。依頼者の同席は不要です。

債務者の審尋

自己破産の申立て後に、裁判所で裁判官(および破産管財人候補者)が債務者本人に質問をする審尋手続が実施されるケースもあります。

東京地裁や大阪地裁の場合、弁護士が代理人となっている場合には、よほどの問題がある場合を除いて、基本的にこの債務者審尋は行われません。

ただし、他の裁判所では、債務者の審尋を行う場合があります。事前に弁護士に確認しておきましょう。

破産管財人候補者との開始前打ち合わせ(東京地方本庁のみ)

破産管財人との打ち合わせは、破産手続が開始した後に行われるのが通常です。

しかし、東京地方本庁だけは、申立てをした後、破産手続が開始する前に破産管財人候補者と打ち合わせをしなければならないことになっています。

破産管財人との打ち合わせについては、後述します。

ステップ11:破産手続開始決定・破産管財人の選任

申立てに不備がなければ、裁判所によって破産手続開始決定(かつての破産宣告)が発令され、同時に破産管財人が選任されます。

概ね申立てから1週間〜1か月で開始になります。(東京地方本庁の場合は、自己破産の申立てをした日の属する週の翌週の水曜日午後5時付で破産手続開始決定がされることになっています。)

以降、破産手続は、裁判所の監督の下、破産管財人によって進められていきます。

依頼者がすること
自己破産した人は、裁判所や破産管財人の調査や業務に協力しなければならない義務が課されます。そのため、破産管財人が指示した書類の収集などをする必要があります。

破産管財人に選任される人

破産管財人に選任されるのは、自己破産の申し立てを依頼したのとは別の、中立な立場にある弁護士です。

自己破産を申し立てた地方裁判所の管轄地域内に所在する法律事務所に所属する弁護士が選任されるのが通例です。

例えば、東京地方裁判所に申し立てをした場合であれば、東京都23区内に所在する法律事務所に所属する弁護士が破産管財人に選任されます。

郵便物の転送の開始

破産手続が始まると、自己破産した人宛の郵便物は、破産管財人に転送されるようになります。破産管財人は、転送郵便物を開けて内容を調査できます。

この郵便物の転送は、破産手続が終わるまで続きます(第1回債権者集会までの場合もあります。)。

なお、チェックが済んだ郵便物は、破産管財人から返してもらえます。返還方法は、郵送してもらうのか取りに行くのかなど、破産管財人と相談して決めることになります。

居住制限の開始

破産手続が始まると、引っ越しや長期の出張などに裁判所の許可が必要になります。

とは言え、正当な理由があり、ちゃんと連絡が取れるのであれば、許可されます。なお、居住制限も、破産手続が終われば解除されます。

資格制限の開始

破産手続が始まると、公的資格の利用ができなくなります。例えば、以下の公的資格が制限されます。

制限される資格
  • 警備員
  • 保険外交員
  • 各種士業

ただし、資格制限は、免責が許可されれば解除されます。

ステップ12:破産管財人との打ち合わせ(面談)

裁判所の破産手続が開始した後、破産管財人、破産者、代理人弁護士の3者による打ち合わせ(面談)が行われます。概ね破産手続の開始後1〜2週間以内に実施されます。

一般的には、破産管財人弁護士の法律事務所で行われることが多いでしょう。所要時間は、個人の自己破産であれば、30分〜1時間程度です。

なお、前記のとおり、東京地裁本庁では、破産手続開始前に打ち合わせが行われます。

依頼者がすること
破産管財人と調整した日時に、指定場所に行って打ち合わせを行う必要があります。質問には誠実に対応することが大切です。

破産管財人から聞かれること

破産管財人から聞かれることは、人それぞれです。決まったことを聞かれるわけではありません。破産管財人が必要と考えていることはすべて聞かれます。

とは言え、事前に十分な調査をしていれば、依頼した代理人弁護士に聞かれたのと同じことを、また破産管財人から聞かれる程度でしょう。

また、質問だけでなく、処分する財産がある場合は、処分の段取り(いつ査定に行くか、どのように売却するかなど)も打ち合わせます。

不足する書類があれば、追加で提出を求められることもあります。破産管財人によっては、毎月家計簿や通帳の写しを提出するよう求められることもあります。

ステップ13:引継予納金の納付

破産管財人は、選任後、すみやかに破産管財人名義の専用預金口座を作成します。

引継予納金は、この破産管財人口座に振り込んで納付します。

予納金は通常一括払いですが、東京地方裁判所本庁だけは分割(最長4回払い)が認められています(ただし、立川支部の場合には、積立額が10万円以上になるまでは、破産手続が開始されません。)。

依頼者がすること
破産管財人から管財人口座を伝えられたら、すみやかに引継予納金を振り込む必要があります。

ステップ14:破産管財人による管財業務の遂行

自己破産の手続が開始されると、破産管財人は以下の業務(管財業務)を行います。

破産管財人の業務

依頼者がすること
この破産管財人の調査等については、破産者に協力義務が課されています。この調査等に協力しなかった場合には、そのこと自体が免責不許可事由となってしまいます。

とは言え、破産管財人とのやり取りや法的な主張などは代理人弁護士が行うため、依頼者(破産者)が自分で行うことは限られるでしょう。

ステップ15:裁判所での債権者集会

少額管財手続では、申立てから3〜4か月後に、裁判所で債権者集会が行われます。債権者集会には、裁判官、破産管財人、債権者、申立てした本人、代理人弁護士が出席します。

債権者集会では、破産管財人が管財業務の進捗状況を裁判所や債権者に報告します。所要時間は、早ければ5分、長くても30分でしょう。

債権者集会には、当然債権者も出席できます。しかし、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者や債権回収会社が出席することはほとんどありません。

第1回の債権者集会の時点で財産の換価業務がすべて終わっていれば、破産手続は終了(または配当)になります。

なお、換価業務が終わっていない場合は、また1〜3か月ほど後に第2回の債権者集会が開かれます。換価が終わるまで債権者集会は続きます。

依頼者がすること
必ず債権者集会に出席しなければなりません。裁判官や破産管財人から質問されることがありますが、この場合も誠実に対応する必要があります。

ステップ16:裁判所での免責審尋

換価業務が完了しているため債権者集会が終わった場合は、引き続き免責審尋が行われるのが通常です。

免責審尋では、破産管財人が免責を許可してよいかどうかについて意見を述べます。また、裁判官から、生活状況や自己破産した原因などを聞かれることもあります。

依頼者がすること
免責審尋にも出席する必要があります。免責審尋でも裁判官や破産管財人から質問されることがありますが、誠実に対応しなければならない点は債権者集会と同じです。

ステップ17:免責許可決定

免責審尋から概ね1週間後に、裁判所によって免責許可が決定されます。免責許可決定書は、代理人弁護士の事務所に送られます。

なお、免責許可決定が確定するまで1か月ほどかかります。この間、債権者は不服を申し立てることができます。ただし、債権者から不服が申し立てられるケースはほぼありません。

依頼者がすること
特になし。免責許可決定書は、自宅ではなく代理人弁護士の事務所に送られます。

ステップ18:債権者への弁済や配当

債権者に支払えるだけのお金が集まっている場合は、破産管財人が債権者に支払いをします。

まず税金や国民健康保険料などの財団債権に弁済し、残りがあれば、借金の貸主など破産債権者への配当手続が行われます。

依頼者がすること
この弁済や配当は破産管財人がすべて行うので、申立てをした人は何もする必要がありません。

また、配当の終了を報告するための期日(任務終了報告集会)が指定された場合でも、破産者は出頭する必要はないのが一般的です(裁判所によっては出頭が必要なところもあります。)。

少額管財で免責許可を得るまでにかかる期間

少額管財の場合は、弁護士に依頼してから手続が終了するまで、以下の期間がかかるのが一般的です。なお、以下の期間は、個人の自己破産の場合を想定しています。

手続期間の目安
申立ての準備2~3か月
ただし、弁護士費用を分割払いにしている場合は、支払いが終わるまで
申立て~免責許可決定3か月
ただし、処分に時間がかかる財産がある場合や隠し財産の調査が必要など、破産管財人の業務に時間がかかる場合は、半年から1年以上かかるケースもあります。
免責許可決定~確定1か月
合計6か月~1年

免責不許可となった場合の対処法

免責が不許可となった場合、自己破産の申立てをした地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して異議申立て(即時抗告)をすることができます。

即時抗告は、免責許可決定書を代理人弁護士が受け取った日から1週間以内に行う必要があります。

この高等裁判所における抗告審では、免責不許可決定の当否が判断されます。免責不許可決定が不当である場合は、高等裁判所によって免責許可が決定されます。

もし即時抗告をしても免責不許可の決定が覆らなかった場合は、別の債務整理手続(任意整理・個人再生)に切り替える必要があるでしょう。

この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。

弁護士の探し方

「自己破産をしたいけどどの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。

現在では、多くの法律事務所が自己破産を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、自己破産を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。

しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。

債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。

そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。

ちなみに、個人の自己破産の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。

弁護士法人東京ロータス法律事務所

  • 相談無料(無料回数制限なし)
  • 全国対応・休日対応・メール相談可
  • 所在地:東京都台東区

弁護士法人ひばり法律事務所

  • 相談無料(無料回数制限なし)
  • 全国対応・依頼後の出張可
  • 所在地:東京都墨田区

弁護士法人ちらいふく

  • 相談無料
  • 24時間対応・秘密厳守・匿名相談可能・メールフォーム・LINE相談可能
  • 所在地:東京都千代田区

参考書籍

本サイトでも自己破産について解説していますが、より深く知りたい方のために、自己破産の参考書籍を紹介します。

破産実務Q&A220問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
破産実務を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、破産実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。

破産・民事再生の実務(第4版)破産編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、破産事件の実務全般について解説されています。

破産管財の手引(第3版)
編著:中吉徹郎 出版:金融財政事情研究会
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。破産管財人向けの本ですが、申立人側でも役立ちます。

はい6民です お答えします 倒産実務Q&A
編集:川畑正文ほか 出版:大阪弁護士協同組合
6民とは、大阪地裁第6民事部(倒産部)のことです。大阪地裁の破産・再生手続の運用について、Q&A形式でまとめられています。

破産申立マニュアル(第3版)
編集:東京弁護士会倒産法部 出版:商事法務
東京弁護士会による破産実務書。申立てをする側からの解説がされています。代理人弁護士向けの本ですが、自己破産申立てをする人の参考にもなります。

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