この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
- Q個人再生にはどのようなデメリットがある?
- A
個人再生は、財産を処分せずに借金を大幅に減額可能な手続であるため、借金問題の解決に非常に有効です。ただし、利用条件が厳しい、手続が複雑などいくつかのデメリットが存在します。
- ブラックリストに登録される
- 借入れ・ローンを利用できなくなる
- クレジットカードが使えなくなる
- 信販会社系列の賃貸保証会社を使えなくなる
- 携帯電話・スマートフォンの端末本体を分割払いで購入できなくなる
- 利用条件が複雑で厳しい
- 手続が複雑な上自分で進めなければならない
- 返済を継続していかなければならない
- 個人再生したことが官報に掲載される
- 保証人や連帯保証人に迷惑をかける
- ローンで購入した商品を失う可能性がある
- あまり減額できない場合がある(給与所得者等再生)
- 債権者の意向で結論が左右される(小規模個人再生)
- ブラックリストに登録される
このページでは、個人再生のデメリットについて詳しく説明します。
- 個人再生の基礎知識・メリット
- 個人再生の9つのデメリット(詳細)
- 個人再生する際に気を付けておくべきこと
- 個人再生のデメリットに関するよくある質問
- 個人再生を弁護士に依頼せずに行うデメリット

- 個人再生(個人民事再生)とは
- 個人再生のデメリット
- デメリット1:ブラックリストに登録される
- デメリット2:利用条件(要件)が複雑で厳しい
- デメリット3:手続が複雑な上に自ら進めなければならない
- デメリット4:返済を継続していかなければならない
- デメリット5:個人再生をしたことが官報公告される
- デメリット6:保証人や連帯保証人に迷惑をかける
- デメリット7:ローンで購入した商品や自動車を失う可能性がある
- 小規模個人再生のデメリット:債権者の意向で成否が左右される場合がある
- 給与所得者等再生のデメリット:あまり減額できないケースがある
- 個人再生に向いているケース
- 個人再生する際に気をつけておくこと
- 個人再生のデメリットに関するよくある質問
- 個人再生を弁護士に依頼しない場合のデメリット
- 弁護士の探し方
- 参考書籍
個人再生(個人民事再生)とは
個人再生(個人民事再生)とは、裁判所に再生計画を認可してもらうことによって、借金を減額(最大で10分の1)した上で3年から5年の長期分割払いにできる手続です。
この個人再生には、以下のようなメリットがあります。
- 借金を大幅に減額できる(概ね5分の1〜最大10分の1)
- 減額した借金を3〜5年間の分割払いにできる
- 法的な強制力がある
- 財産を処分しなくてよい
- 住宅ローンの残っている自宅を手放さずに債務整理できる
- 公的な資格の利用を制限されない
- 転居や出張・旅行の制限がない
- 郵便物を転送されることはない
- 借金の原因が浪費やギャンブルでも利用できる
- 債権者からの取立てをストップできる
- 給料差押えや競売を取り消せる
このように、個人再生は、借金・債務の整理をするための方法として、非常にメリットの大きい手続です。
個人再生のデメリット
上記のとおり、個人再生には多くのメリットがありますが、デメリットがまったくないわけではありません。
個人再生のデメリットとしては、主として以下のようなものがあります。
- ブラックリストに登録される
- 利用条件が複雑で厳しい
- 手続が複雑な上自分で進めなければならない
- 返済を継続していかなければならない
- 個人再生したことが官報に掲載される
- 保証人や連帯保証人に迷惑をかける
- ローンで購入した商品を失う可能性がある
- あまり減額できない場合がある(給与所得者等再生)
- 債権者の意向で結論が左右される(小規模個人再生)
これらのメリットとデメリットの両方を考慮して、個人再生を選択すべきかどうかを検討する必要があります。
個人再生と任意整理・自己破産のメリット・デメリット比較一覧表
借金返済の問題を法的に解決する方法(債務整理)は、個人再生以外にも、主として任意整理と自己破産があります。
メリット・デメリットを比較すると、以下のとおりです。
| 比較項目 | 個人再生 | 任意整理 | 自己破産 |
|---|---|---|---|
| 借金の減額 | 概ね5分の1~最大10分の1まで減額 | 減額はほぼない(将来利息のカットのみ) | 全額帳消し(免責) |
| 分割払いの回数 | 3年~5年 | 3年~5年 | 返済はゼロ |
| ブラックリストの登録期間 | 完済から5年・再生手続開始から7年の両方を過ぎるまで | 完済から5年 | 免責許可から5年・破産手続開始から7年の両方を過ぎるまで |
| 利用条件 | 厳しい | 易しい(返済可能な収入があれば利用可) | やや厳しい |
| 手続の複雑さ | 複雑な上、自分で進める必要がある | 簡単 | 複雑だが、破産管財人が進める |
| 官報公告 | あり | なし | あり |
| 保証人への影響 | あり | 保証人付き債務だけ外せる | あり |
| ローンで購入した商品の引き揚げ | あり | あり(ただし、ローンだけ外せる) | あり |
| 債権者の意向 | 小規模個人再生では影響あり | 影響あり | ほぼなし |
以下では、個人再生のデメリットを個別に説明します。
デメリット1:ブラックリストに登録される
個人再生に限らず、債務整理(任意整理・自己破産)をすると、信用情報機関が保有・管理する信用情報に事故情報(異動情報)が掲載されます。いわゆる「ブラックリスト」に登録されるのです。
金融機関は、信用情報を確認してお金を貸すかどうかを審査します。事故情報が掲載されていれば、審査を通さないのが通常です。
そのため、個人再生すると、新たな借り入れ、ローンを組むこと、クレジットカードの利用が非常に難しくなります。
もっとも、一生ブラックリストに登録され続けるわけではありません。個人再生による返済が完了してから5年間(または個人再生の手続が開始されてから7年間)が経過すれば、事故情報は消されます。
影響1:新たな借入れが難しくなる
信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載されている期間は、新たに借入れをすることは非常に難しくなります。
とは言え、ブラックリストによって制限されるのは、金融機関からの借入れです。個人再生をしたからといって、金融機関以外からの借金(家族や親族など)まで制限されるわけではありません。
とはいえ、違法な無登録業者(いわゆる闇金)からは間違っても借りないでください。債務整理でだけでは解決できない問題が生じてしまいます。
影響2:クレジットカードを使えなくなる
個人再生をしてブラックリストに登録されると、以下のとおり、クレジットカードは全般的に使えなくなります。
- 残高のあるクレジットカード
個人再生の対象になるため、カード会社によって強制解約されます。 - 残高のないクレジットカード
カード会社は定期的にカード利用者の信用情報をチェックしているため、残高がなく個人再生の対象にしなかったクレジットカードもいずれ利用できなくなる可能性が高いです。 - 新規のクレジットカード作成
事故情報が掲載されている間は、新規でクレジットカードを作ることも難しいです。
クレジットカードを利用できない期間は、現金決済を中心として、必要な場合はデビットカードで補い、借入れに頼らない生活を目指しましょう。
影響3:住宅ローンや自動車ローンなどを組めなくなる
個人再生をして信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載されると、自動車ローンや住宅ローンを組むことも難しくなります。
ただし、現金一括での購入は制限されません。住宅はともかく、中古自動車であれば数十万円台で購入できる場合もあるため、必要な場合は現物一括購入もひとつの選択肢です。
影響4:信販系の賃貸保証会社を使えない場合がある
個人再生したからといって、家や部屋を借りられなくなることはありません。
ただし、信販会社系列の賃貸保証会社は信用情報を確認している可能性があるため、事故情報(ブラックリスト)が掲載されていると、利用できないケースがあります。
個人再生した後に家や部屋を借りる際は、信販系ではない賃貸保証会社や普通の連帯保証人で借りられる物件を選びましょう。
影響5:携帯電話やスマートフォンを分割で購入できなくなる
個人再生により信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載されると、携帯電話やスマートフォンの端末本体を分割で購入することも難しくなります。
ただし、一括払いで購入することは妨げられません。格安SIMなどもあるので、新規で購入する場合は、現金一括払いにしましょう。
デメリット2:利用条件(要件)が複雑で厳しい
個人再生は、任意整理や自己破産に比べて、かなり利用条件が厳しく複雑です。誰でも利用できる手続ではない点が、個人再生のデメリットと言えるでしょう。
実際、個人再生を申し立てたとしても、再生計画の認可に至らないケースも少なくありません。
個人再生の要件にはさまざまなものがありますが、以下では、特に問題となりやすい代表的な要件を説明します。
主要要件1:借金・債務額が5000万円以下であること
個人再生は、任意整理や自己破産と違って、利用できる借金・債務額の上限が決まっています。具体的には5000万円が上限です。
この5000万円には、借金・債務の元本だけでなく、利息や遅延損害金(延滞金)も含まれます。
ただし、住宅資金特別条項を利用する場合は、対象住宅ローンは5000万円にカウントされません。
主要要件2:返済可能な継続的収入があること
個人再生は、「継続的・反復した収入を得る見込み」がないと利用できません。
また、ただ継続的収入があればよいだけではなく、個人再生で認可された後も支払いを完了できる見込み(再生計画遂行の見込み)があることも必要です。
そのため、返済し続けられるのに十分な金額の収入を継続的に得られる見込みがないと、個人再生は利用できないのです。
個人再生に失敗するケースの多くは、この収入要件を満たしていない場合です。
なお、個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類の手続があります。給与所得者等再生の場合は、継続的なだけでなく、給料のように定期的な収入であることも必要となります。
主要要件3:持っている財産の価値以上は返済しなければならないこと
個人再生では、減額できるとはいえ、最低でも返済しなければならない総額(最低弁済額)が決められています。
また、返済総額は、最低弁済額だけでなく、持っている財産の価値(清算価値)よりも高額でなければいけないとするルール(清算価値保障原則)もあります。
個人再生では、財産が強制処分されることはありません。しかし、清算価値保障原則があるため、多くの財産を持っているほど返済総額が高額になります。
財産を多く持っているため、個人再生をしたのにあまり減額できないケースもあります。あらかじめ、自分が持っている財産を査定しておきましょう。
小規模個人再生の要件
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
このうち小規模個人再生とは、継続的・反復した収入の見込みがある人が広く利用可能な個人再生の基本タイプの手続です。個人再生を利用する人の大半は、小規模個人再生を選択しています。
小規模個人再生で必要となる主要な要件としては、以下のようなものがあります。
- 再生手続開始原因(支払不能になるおそれ)があること
- 債務者が個人(自然人)であること
- 再生債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
- 再生債権額が5000万円を超えていないこと
- 再生計画案提出期間またはその伸長期間内に再生計画案を提出したこと
- 返済総額(計画弁済総額)が、「最低弁済額」と「持っている財産の価値(清算価値)」の両方を上回っていること
- 再生計画案の決議において、不同意を述べた再生債権者が、議決権を有する再生債権者の総数の半数に満たず、かつ、その議決権を有する再生債権者の再生債権の額が総額の2分の1を超えないため、再生計画案が可決されたこと
給与所得者等再生の要件
前記のとおり、個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
給与所得者等再生とは、サラリーマンや公務員など変動の少ない定期的な収入の見込みがある人に限り利用できる個人再生の特別タイプの手続です。
給与所得者等再生で必要となる主要な要件としては、以下のようなものがあります。
- 再生手続開始原因(支払不能のおそれ)があること
- 債務者が個人であること
- 再生債権額が5000万円を超えていないこと
- 再生債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
- 債務者に給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあること
- 定期的な収入の額の変動の幅が小さいと見込まれること
- 再生計画案提出期間またはその伸長期間内に再生計画案を提出したこと
- 過去の給与所得者等再生の再生計画が遂行された場合の当該再生計画認可決定確定日、ハードシップ免責がされた場合の当該再生計画認可決定確定日、破産免責許可決定確定日から7年以内にされた申立てでないこと
- 返済総額(計画弁済総額)が、「最低弁済額」「持っている財産の価値(清算価値)」「可処分所得の2年分」を上回っていること
住宅資金特別条項を利用する場合の追加要件
個人再生には、住宅資金特別条項と呼ばれる制度が設けられています。住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されると、住宅資金貸付債権(住宅ローン)だけ個人再生の対象から外すことができます。
住宅資金特別条項を使って住宅ローンを減額対象から外せば、ローン会社に自宅を競売にかけられることなく、他の借金だけ個人再生で整理できます。住宅資金特別条項は、小規模個人再生でも給与所得者等再生でも利用可能です。
この住宅資金特別条項制度は、個人再生の大きなメリットです。ただし、住宅資金特別条項を使うには、小規模個人再生や給与所得者等再生の要件に加えて、以下の追加要件も必要になります。
- 住宅資金特別条項の対象となる債権が「住宅資金貸付債権」に当たること
- 住宅資金貸付債権が法定代位により取得されたものでないこと
- 対象となる住宅に住宅ローン関係の抵当権以外の担保が設定されていないこと
- 対象となる住宅以外の不動産にも住宅ローン関係の抵当権が設定されている場合には、その住宅以外の不動産に後順位抵当権者がいないこと
- 再生債務者が住宅の所有権または住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれないこと
デメリット3:手続が複雑な上に自ら進めなければならない
個人再生は、要件が複雑であるだけでなく、手続も複雑な上、申し立てをした本人(再生債務者)が手続を主導的に進めていかなければいけない点もデメリットと言えます。
自己破産であれば、裁判所が選任した破産管財人が手続を進めてくれますが、個人再生では、裁判所が定めたスケジュールに沿って、自分で進める必要があります。
個人再生では、個人再生委員が選任されるものの、あくまで監督するのみです(アドバイスはしてくれます。)。
そのため、裁判所に提出する書面や再生計画案の作成、債権認否の手続、貸主など債権者への対応や話し合いも、自分で行う必要があります。
ただし、弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに手続を進めてくれるので、このデメリットはほとんどなくなります。
補足:家計簿提出の負担はある
個人再生の場合、実際に返済していけるだけの収入があるかどうかを確認するため、家計簿を作成して、毎月裁判所または個人再生委員に提出することになるのが一般的です。
弁護士に依頼したとしても、この家計簿の作成は自分で行わなければいけません。
ただ、家計簿を作成することは、収支を見直して生活を立て直すのにも役立ちます。負担と考えずに、前向きに捉えることが大切です。
デメリット4:返済を継続していかなければならない
個人再生では、自己破産のように返済がゼロになるわけではありません。3年間から5年間の長期にわたって返済を続けていかなければなりません。
とは言え、大幅な減額が可能なため、任意整理ほどの返済負担は残りません。少なくとも、個人再生をする前よりは返済の負担が軽減されることは間違いありません。
デメリット5:個人再生をしたことが官報公告される
裁判所の個人再生手続が開始されると、手続の各段階において、個人再生をしていることが氏名や住所などとともに官報(国の機関紙)に掲載されます。
官報は公に告知(公告)されるため、まったく誰にも知られないように個人再生を行うことはできません。
とは言え、特殊な職業に就いている場合でもない限り、官報を常日頃からチェックしている人はほとんどいません。
そのため、「まったく誰にも知られない」わけではないものの、官報公告によって個人再生をしたことを家族や勤務先などに知られる可能性は小さいでしょう。
デメリット6:保証人や連帯保証人に迷惑をかける
個人再生では、借金を含むすべての債務を対象にしなければいけません。任意整理のように対象を選べないのです。そのため、保証人や連帯保証人が付いている借金は、必ず個人再生の対象になります。
個人再生によって借金が減額されれば、貸主はその連帯保証等に個人再生で減額された分の支払いを請求します。しかも、分割払いの請求ではなく、一括払い請求になるのが一般的です。
どうしても迷惑をかけたくない場合は、任意整理を選択して連帯保証人等が付いている借金だけ対象から外す他ないでしょう。
デメリット7:ローンで購入した商品や自動車を失う可能性がある
自動車ローンなど物販ローンの残高がある場合、個人再生すると、購入した商品がローン会社に引き揚げられることがあります。
自動車ローンの場合は、ほぼ100パーセント引き揚げられるでしょう。他の商品は、種類によります。引き揚げコストが過大なものや価値がほとんどないものは、引き揚げられないこともあります。
どうしても商品を手放せない場合は、任意整理を選択して、ローンだけ対象から外すほかないでしょう。
住宅ローンの場合
住宅ローンを対象に個人再生すると、住宅はローン会社に競売にかけられ、売却処分されます。
ただし、個人再生には、住宅ローンだけ減額等の対象から外せる「住宅資金特別条項」制度(住宅ローン特則)があります。
住宅資金特別条項を利用すると、住宅ローンだけ契約どおり(または若干リスケジュールして)返済を続けられるため、競売にかけられるおそれはなくなります。
住宅ローンの残っている自宅を手放さずに、他の借金だけ個人再生できるのです。個人再生の大きなメリットのひとつです。
小規模個人再生のデメリット:債権者の意向で成否が左右される場合がある
小規模個人再生では、民事再生法で定める「最低弁済額」と持っている財産の価値総額「清算価値」のいずれか高い方の金額まで減額できます。財産が少なければ概ね5分の1(最大で10分の1)まで減額できます。
給与所得者等再生よりも大きく減額できるケースが多いのが、小規模個人再生を選ぶメリットです。そのため、大半の人は小規模個人再生を選択することになります。
ただし、小規模個人再生では、貸主など債権者により、再生計画案に同意するか否かを問う決議が行われます。
この再生計画案の決議で、債権者から以下の反対(不同意)が提出されると否決となり、個人再生の手続が打ち切り(廃止)になってしまいます。
- 不同意回答をした議決権のある再生債権者が、議決権者総数の半数以上の場合
- 不同意回答をした議決権のある再生債権者の議決権の額が議決権者の議決権の総額の2分の1を超える場合
小規模個人再生には、債権者の意向で成否が左右されるデメリットがあるのです。
給与所得者等再生のデメリット:あまり減額できないケースがある
給与所得者等再生は、サラリーマンや公務員など定期的な収入を得ている場合に利用できる個人再生手続です。
給与所得者等再生では、貸主ら債権者による再生計画案の決議が行われません。そのため、小規模個人再生よりも債権者の意向に左右されにくいメリットがあります。
ただし、給与所得者等再生では、民事再生法で定める「最低弁済額」、持っている財産の価値総額「清算価値」、「可処分所得の2年分」のいずれか高いものの金額までしか減額できません。
基準が多い上、可処分所得はかなりの高額になる場合があるため、給与所得者等再生の方が小規模個人再生よりも減額できないケースが多いです。
そのため、個人再生するときは、まず小規模個人再生を検討し、不同意の債権者が多い場合に給与所得者等再生を考えることになります。
個人再生に向いているケース
個人再生に向いているのは、以下のようなケースです。
- 返済可能な継続的収入がある
- 処分したくない財産を持っている
- 住宅ローンの残っている自宅だけは手放したくない
- 公的資格を使って仕事をしている
- 借金が高額なため、任意整理では支払い切れない
ただし、前記のとおり、個人再生は利用条件が厳格です。個人再生に向いているとしても、要件を充たしていないため利用できないことも多いです。
まずは弁護士に相談して、個人再生の利用条件を満たしているのか否かを診断してもらうことをお勧めします。
個人再生する際に気をつけておくこと
事前に対応が可能であるため、デメリットとまでは言えないものの、個人再生する前に注意しておくべきことがあります。
個人再生の対象にした銀行の預金口座が一時的に利用できなくなる
銀行や信用金庫などからの借金がある場合、個人再生の対象になります。対象となった銀行や信用金庫の預金口座は、一時的に凍結されます。
口座が凍結されると、入出金が制限されます。その上、口座に残高が残っていると、自動的に借金の返済に充てられてしまいます(預金相殺)。
そのため、あらかじめ以下の準備しておく必要があります。
- 預金を引き出して残高をゼロ円にしておく
- 給料や年金などの入金先を、借入れのない金融機関の預金口座に変えておく
- 家賃や公共料金などの支払方法を、借入れのない金融機関の預金口座からの引き落としや振込用紙払いに変えておく
なお、口座凍結は一時的なものです。解約されるわけではありません。個人再生が終わるまでには、もとどおり利用できるようになるでしょう。
クレジットカード払いができなくなる
個人再生すると、信用情報に事故情報(ブラックリスト)が掲載され、クレジットカードはすべて使えなくなります。そのため、クレジットカード払いもストップします。
個人再生をする前に、必要なものはあらかじめ支払方法を、借入れのない金融機関の預金口座からの引き落としや振込用紙払いなどに変更しておきましょう。
対処し忘れると、滞納になってしまい債務が増えるばかりか、知らぬ間に解約されてしまうこともあります。忘れずに確認しておくことをお勧めします。
例えば、以下のようなものがクレジットカード払いになっていることが多いです。
- 公共料金:電気・ガス・水道
- 通信費:携帯電話・スマートフォン料金、インターネットプロバイダ料金
- 保険料:生命保険・自動車保険など
- その他サブスクサービスなど
個人再生のデメリットに関するよくある質問
個人再生のデメリットに関連するよくある質問について、Q&A形式で説明します。
個人再生していることを家族に知られる?
- Q個人再生していることを家族に知られることはある?
- A
個人再生していることを家族に知られる可能性は小さいです。とは言え、絶対にバレないとは限りません。あらかじめ事情を話して協力を求める方が、手続をスムーズに進められます。
個人再生すると官報(国の機関紙)に氏名・住所などが掲載されます。ただし、官報を定期的にチェックする人は少ないため、官報から個人再生していることを知られる可能性は小さいでしょう。
とは言え、絶対にバレないわけではありません。以下のケースでは、家族に知られる可能性があります。
- 家族からの借金がある
家族の借金も個人再生の対象になるため、裁判所から家族宛てに通知が届く - 家族が保証人・連帯保証人になっている借金がある
保証債務も個人再生の対象になるため、裁判所や貸主から家族宛てに通知が届く - 債権者から支払いを求める裁判を起こされる
裁判所から自宅に訴状が届き、借金を返済していないことを気づかれる
個人再生の場合、家族全体の収支をもとに利用条件を満たしているかどうかが審査されます。家族の協力を得た方がスムーズに手続を進められるため、事情を話して協力を求める方がメリットが大きいです。
個人再生すると家族に影響する?
- Q個人再生すると家族にも影響がある?
- A
個人再生しても家族には影響がないのが原則です。ただし、一定の場合には影響を及ぼすことがあります。
個人再生した場合、ブラックリストに登録されるのも、官報に掲載されるのも個人再生した本人(再生債務者)だけです。
ただし、以下の場合は家族に影響を及ぼす可能性があります。
- 家族から借金している
家族の借金も個人再生の対象になり、減額される - 家族が借金の保証人・連帯保証人になっている
貸主が、家族に肩代わりの支払いを請求する(一括払い請求の場合が多い) - クレジットカードの家族カードが使えなくなる
クレジットカードが使えなくなるので、付帯の家族カードも使えなくなる
住宅ローンの残る自宅を残すため住宅資金特別条項を使う場合、連帯保証人になっている家族も一緒に個人再生しなければならないケースもあります。
個人再生すると勤務先に知られる?
- Q個人再生すると勤務先に知られる?
- A
個人再生しても勤務先に知られる可能性は小さいです。ただし、一定の場合には、勤務先に知られることがあり得ます。
一般的に、個人再生をしても勤務先に知られる可能性は小さいです。実際、勤務先に知られずに終わることの方が多いです。
ただし、以下の場合には、勤務先に知られる可能性があります。
- 勤務先から借金している
勤務先の借金も個人再生の対象となり、裁判所から勤務先宛てに通知が届く - 勤務先が保証人・連帯保証人になっている借金がある
保証債務も個人再生の対象になるため、裁判所や貸主から勤務先宛てに通知が届く - 債権者から給料を差し押さえられる
裁判所から勤務先宛てに差押命令書が届き、借金返済していないことを知られる - 勤務先が官報を定期的にチェックする職種の場合
勤務先が金融機関・保険会社・警備会社などの場合、官報を定期的にチェックしている可能性がある
なお、仮に勤務先に知られたとしても、個人再生していることだけを理由として仕事を解雇されることはありません。
個人再生を弁護士に依頼しない場合のデメリット
個人再生は、弁護士に依頼せずに、自分だけでまたは司法書士に依頼して申し立てることも可能です。
しかし、弁護士に依頼せずに個人再生を申し立てることには多くの困難が伴います。個人再生は弁護士に依頼して申し立てることをお勧めします。
以下では、個人再生を弁護士に依頼しない場合のデメリットについて説明します。
法律の知識を習得するのに多くの時間や手間がかかる
個人再生を成功に導くためには、民事再生法をはじめとした多くの法律の知識を習得していなければいけません。知識だけではなく、実務経験も必要となってくるでしょう。
しかも、個人再生は、要件や手続がかなり複雑です。インターネット上の情報だけでは対処しきれないことも多いです。
しかし、これらの知識を一から習得するのは、大変な時間と手間がかかります。仕事をしながらでは、いつまでも個人再生の手続に取り掛かれず、借金が膨れ上がってしまう可能性があります。
弁護士に依頼すれば、法的知識を習得する時間や手間を省略できます。法律のことは弁護士に任せて、生活の立て直しに注力できるのが、依頼する最大のメリットです。
複雑な手続を自分で進めていかなければならない
個人再生を申し立てる場合、事前に十分な財産や債務の調査を行って、膨大な書類や資料を集め、必要書類を作成しなければなりません。不備があると、申立ては通りません。
申立てができたとしても、個人再生の手続はかなり複雑です。手続を間違えれば、再生計画を認可してもらえません。
しかも、自己破産のように、裁判所が選任した破産管財人が手続を進めてくれるわけではなく、申立てをした本人が裁判所の決めたスケジュールに沿って手続を進めていかなければいけません。
このような複雑な個人再生手続を本人だけで行うのはかなりの労力です。個人再生の手続にばかり労力をとられ、肝心の生活再建が遅れる可能性もあります。
また、司法書士の場合は、書類作成しかできないため、裁判所や個人再生委員との交渉などができない場合もあります。
しかし、弁護士に依頼すれば、手続のほとんどを任せることができます。書類作成にとどまらず、裁判所や個人再生委員との折衝にも制限がありません。そのため、裁判所側も、個人再生をする場合は弁護士に依頼することを推奨しています。
手続の選択に失敗する可能性がある
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。どちらを選ぶのかによって、必要となる条件や効果が違ってきます。
また、借金問題を法的に解決する債務整理の方法は、個人再生だけではありません。任意整理や自己破産といった方法もあります。
どれが最適なのかは、人それぞれによって違います。自分だけで判断すると、メリットばかりを追ってしまいがちなため、客観的に判断することが難しいです。
弁護士に相談・依頼すれば、客観的・専門的な見地から、個々の事情に合った最適な手続を選択してもらえるでしょう。
この記事は、法トリ(元弁護士)が書いています。
この記事が参考になれば幸いです。
弁護士の探し方
「個人再生をしたいけど、どの弁護士に頼めばいいのか分からない」
という人は多いのではないでしょうか。
現在では、多くの法律事務所が個人再生を含む債務整理を取り扱っています。そのため、インターネットで探せば、個人再生を取り扱っている弁護士はいくらでも見つかります。
しかし、インターネットの情報だけでは、分からないことも多いでしょう。やはり、実際に一度相談をしてみて、自分に合う弁護士なのかどうかを見極めるのが一番確実です。
債務整理の相談はほとんどの法律事務所で「無料相談」です。むしろ、有料の事務所の方が珍しいくらいでしょう。複数の事務所に相談したとしても、相談料はかかりません。
そこで、面倒かもしれませんが、何件か相談をしてみましょう。そして、相談した複数の弁護士を比較・検討して、より自分に合う弁護士を選択するのが、後悔のない選び方ではないでしょうか。
ちなみに、個人再生の場合、事務所の大小はほとんど関係ありません。事務所が大きいか小さいかではなく、どの弁護士が担当してくれるのかが重要です。
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・休日対応・メール相談可
- 所在地:東京都台東区
- 相談無料(無料回数制限なし)
- 全国対応・依頼後の出張可
- 所在地:東京都墨田区
- 相談無料
- 24時間対応・秘密厳守・匿名相談可能・メールフォーム・LINE相談可能
- 所在地:東京都千代田区
参考書籍
本サイトでも個人再生について解説していますが、より深く知りたい方のために、個人再生の参考書籍を紹介します。
個人再生の実務Q&A120問
編集:全国倒産処理弁護士ネットワーク 出版:きんざい
個人再生を取り扱う弁護士などだけでなく、裁判所でも使われている実務書。本書があれば、個人再生実務のだいたいの問題を知ることができるのではないでしょうか。
個人再生の手引(第2版)
編著:鹿子木康 出版:判例タイムズ社
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官および裁判所書記官・弁護士らによる実務書。東京地裁の運用が中心ですが、地域にかかわらず参考になります。
破産・民事再生の実務(第4版)民事再生・個人再生編
編集:永谷典雄ほか 出版:きんざい
東京地裁民事20部(倒産部)の裁判官・裁判所書記官による実務書。東京地裁の運用を中心に、民事再生(通常再生)・個人再生の実務全般について解説されています。
事例解説個人再生 大阪再生物語(第3版)
編集:中尾彰ほか 出版:大阪弁護士協同組合
大阪地裁の個人再生の実務運用を解説する実務書。事例形式になっています。書式集も付いているので、実務家以外でも参考にできます。
書式 個人再生の実務(全訂6版)申立てから手続終了までの書式と理論
編集:個人再生実務研究会 出版:民事法研究会
東京地裁・大阪地裁の運用を中心に、個人再生の手続に必要となる各種書式を掲載しています。書式を通じて個人再生手続をイメージしやすくなります。




